テロから身を守る海外ノマドの知恵

あなたはテロの現場を直接、見たことがあるでしょうか。海外ではテロの現場に居合わせる可能性もないとはいえません。テロは突然、日常を恐怖に変えてしまいます。2019年4月にスリランカのコロンボ市を含む数か所で爆破テロがあり邦人1人を含む253名が亡くなる凄惨な事態となりました。

バンコクに住んでいたときは直接、怪我をしたことはありませんがテロで危ない目にあったこともありました。日本では到底、見られないであろう光景を何度も目にしたことがあります。LCCなどで海外に気軽に行けるようになった一方で、海外の治安の悪さやテロにあう危険性などを忘れている人も多いように思えます。

リモートワークをする際の滞在先を海外にする人や海外で働く人も珍しい時代ではありません。本記事では、海外ノマドワークをすることが多い私がテロから身を守るために気をつけていたことをご紹介します。

私が経験したバンコクの内乱とテロ


タイ王国は、日本人観光客にも人気の国です。しかし私がいた頃も含め政情が安定しているわけではなく危ないこともたくさんありました。タイは落ち着いているときは良いのですが忘れた頃に度々内乱や事件が起こる国でした。私は内乱やテロと隣り合わせの生活を送っていました。

国内の政治闘争に巻きこまれる

私がバンコクにいた頃はタクシン派(赤シャツ)と反タクシン派(黄シャツ)の政争で混乱状態にありました。簡単に言えば、タクシン派は地方の貧困層を支持基盤にしている一派で、反タクシン派は都市部の中間層を支持基盤にしている一派です。

当時、国外逃亡していたタクシンに対してインラック元首相がタクシン復権につながる恩赦法を成立させようとしたことが発端となり、大規模な内乱に発展しました。BTS(スカイトレイン)や主要な道路が複数、封鎖され最終的には軍隊が突入するような情勢でした。街中で突然、発砲音が聞こえることも多々ある異常事態で、外出もなかなかできなかったのです。私は大学の仕事が終わると、学生から危険エリアを教えてもらい、なるべく安全なルートで帰るようにしていました。

エラワン廟爆破事件

軍事政権がクーデターを起こし、タクシン派、反タクシン派を抑えて混乱がおさまった後もテロは度々起きました。例えば、私が大学の勤務を終え馴染みの日本食屋で同僚と食事をとっているときに突然、大規模な爆破音が聞こえたことがあります。2015年のエラワン廟爆破事件です。日系の伊勢丹デパートも入っている大型ショッピングモールのセントラルワールドの近くで20人の死者と125人の負傷者が出ました。私が食事をしていた日本食屋から200m程度しか離れておらず一歩、間違えればテロに巻き込まれていたかもしれません。異様な雰囲気で、人がたくさん集まり大混乱の中を爆破音があったのと反対側の方に急いで避難したのをいまでも覚えています。そして、家に帰るとLINEやSNSでテロの情報を友人と共有しながらテレビで動向を見守っていました。

私にとってテロや内乱はテレビの向こうのことではなく現実と地続きのものでした。

テロを避けるためにすべきこと

テロを100%避けることはできません。テロは基本的に民衆が安心しているところにテロル(恐怖)を撒き散らすものだからです。

しかし、テロにあう可能性を低くすること、あったときに逃げきれるようにしておくことで生存できる確率は高まります。海外に気軽に行けるようになった現在だからこそテロに対する備えをしておくべきです。

海外に3ヶ月未満なら「たびレジ」に登録。3ヶ月以上なら「在留届」

3ヶ月以上、海外に滞在するときは日本大使館・総領事館に「在留届」を出しましょう。オンラインですぐに登録できます。在留届を出すと安否確認、緊急連絡、救援活動など速やかに対応できます。
3ヶ月未満の場合も「たびレジ」という外務省が運営する海外安全情報配信サービスに登録することをおすすめです。

出発前から旅先の安全情報・最新情報を受け取れるうえに、現地で事件・事故に巻き込まれてもサポートを受けやすくなります。

在外邦人向けのメールマガジンをよく確認する

海外には各国に日本大使館があります。各国の大使館の多くはメールマガジンを無料で発行しています。メールマガジンではその国に住んでいる人や旅行者向けに、かなり詳しい情報を速報で配信してくれます。

タイにいた頃は、タイの日本大使館のメールマガジンでよく情報収集をしていました。テロが起きると家に待機し現地のテレビ・ニュースを見ながら日本大使館のメールマガジンの配信を待っていたものです。

大使館はパスポートがなくなったときや無犯罪証明書などを受け取るときにも行かなければいけないため余裕があれば確認しておいた方が良いでしょう。

外務省の海外安全ホームページを確認する

海外に渡航する前は、外務省の海外安全ホームページを確認しておくべきです。外務省では各国のエリアごとに危険レベルを4段階に分けています。危険レベル1で「十分に注意」、レベル2で「不要不急の渡航は止める」レベル3で「渡航中止勧告」レベル4で「退避勧告」です。

例えば、2019年5月現在のタイならば、ほとんどのエリアが危険エリアに指定されていませんが、首都のバンコクはレベル1、マレーシア国境沿いの南のエリアはレベル3です。何も知らずにタイからマレーシア国境まで陸路で越えようとしたら、かなり危ないエリアを通ることになります。

ちなみに、テロが起きたスリランカはレベル2に引き上げられました。日本の外務省の見解では、実はレベル3のタイ南部の方が危ないのです。

思わぬところが危険エリアに指定されていることもあるため、海外に渡航するときは目的地の危険度を確認しておきましょう。

情報ソースとしてもフェイクニュースなども多いSNSよりも信頼性も高く、国内外のさまざまな有力筋から得られた膨大な情報が外務省の海外安全情報ではまとめられています。

野次馬根性を出さない

テロや内紛が起きると日本では見れない光景に遭遇します。好奇心が旺盛な人はつい現場に行ってしまうかもしれません。しかし危険な現場に近づいてはいけません。巻き込まれる可能性が飛躍的にあがるからです。

タイの内紛で面白がってデモをしている人にスマホカメラを向けたら、スマホを取り上げられ叩き割られてしまい暴行に巻き込まれたという話もありました。気が立っている人も多い状況、テロの首謀者が近くに潜伏している可能性を考えるとすぐに現場から離れるべきです。

安全のための3原則

常日頃から海外で行動する際には安全のための3つの原則を守り行動するべきです。

・目立たない
・行動を予知されない
・用心を怠らない

この3つです。

目立たない

犯罪者やテロリストは目立つ人を標的にしがちです。私が住んでいたタイでは、本を出版し目立っていた邦人が同じ邦人に殺害されるというショッキングな出来事まで起きました。

不用意に目立ちすぎると事件・事故に巻き込まれてしまう恐れがあります。Twitterやインスタグラムなどで旅のことを発信するにしても情報を発信する際には時間差で発信するなど工夫をした方が良いでしょう。

行動を予知されない

テロに限りませんが毎日、同じ行動パターンをしていると犯罪者に狙われやすくなります。そのため先回りしにくいようにルートや時間を変えるなどのランダムな行動を入れると狙われづらくなります。

私は大学が終わるといつもいろいろなところを寄り道をして帰っていたので、結果的に狙われづらい行動パターンをとっていました。

用心を怠らない

常日頃から用心を怠らないことが危険にあう可能性を小さくします。慣れると海外も日本も変わらないという人が出てきます。しかし、海外では警戒を怠ってはいけません。常日頃から安全対策に気を配ることがリスクを低くします。

テロにあったときの対処法

テロにあう可能性を抑えることはできても完全に避けることはできません。ある日、突然に日常を恐怖に陥れるのがテロです。少しでも生き残る可能性を高める行動を積み重ねることが命を守ることにつながります。

万一、テロが近くでおきた場合は伏せる・逃げる・隠れるの3つがテロにあった際に生存率を高めます。

STEP1:姿勢を低くする(伏せる)

爆破テロの場合、姿勢を低くしましょう。爆発の衝撃は上にいくため伏せた方が生存できる確率が上がります。爆風などにできる限り体を晒さないことでダメージを和らげることもできます。また銃弾が飛び交うときも当たる確率が下がります。そして、周囲の状況を確認し「逃げる」または「隠れる」のどちらが良いかを瞬時に判断します。

STEP2:避難ルート確保(逃げる)

テロが起きたら現場から速やかに距離を置くことが生存率を高めるために有効です。できる限り目立たないところに隠れ、避難ルートを確認したら速やかに避難します。不審者や不審人物を見かけても速やかにその場を離れましょう。非常口や避難ルートが混雑していることも考えられるため、闇雲に動かずに避難ルートをうまく確保します。海外ではできる限り建物やビルなどに入る際には建物の構造や出入口を大雑把にでも把握しておくことが大切です。

STEP3:スマートフォンの通知音をきり気配を消す(隠れる)

逃げられそうになかったら、いったん隠れることも有効です。メールや電話の通知音がなることでテロの当事者に見つかることもあります。危険時に音で目立ってしまうのはさらに危険です。テロが起きると意外に友人や知り合いから安否確認のメールやLINEなどの通知が鳴りがちです。その音が命取りになりかねないのです。

できる限り物陰の目立たないところに隠れてください。例えば机やベッドがあれば、その下に隠れます。ないときは柱の影などが良いでしょう。そして避難ルートが確定したら速やかに避難しましょう。

海外旅行保険に入らないと親族に大迷惑がかかる


海外に行くときに海外旅行保険に入っているでしょうか。あまり考えたくないことですがテロだけではなく海外で命を落とすことになった場合、遺体を親族に引き取ってもらうことになります。遺体を海外から日本に送る費用が実はかなりかかります。アジア圏で100万円から、ハワイなどで100〜150万と、かなりかかります。海外旅行保険に加入していないと死んだ後に家族に多大な負担を背負わせてしまう可能性があるのです。

海外渡航に慣れてしまうと、つい旅行保険の出費が無駄に感じてしまい入らない人も多いのではないでしょうか。しかし万一のことがあったときに迷惑を被るのは自分ではなく親類・家族かもしれません。

海外の文化・風俗を事前に確認する

現地の宗教・風俗・法律に照らし合わせて不適切な行動は控えましょう。宗教や政治体制に対する侮辱は場合によってはかなり危険なことに繋がりかねません。

海外が身近になり、慣れすぎると危機意識が希薄になります。そんな時にこそ危険は忍び寄ってくるのです。そのため海外にいるときは普段から危険を遠ざけるために現地の文化・風俗についてもよく知っておく必要があります。

例えば、国によっては王室に対する不敬罪など日本には存在しない法律もあります。例えば、タイでは王室に関する不用意な発言をするのは危ないと現地ではよく聞かされました。Webなどでの書き込みも同様です。また宗教的な行事などに合わせてテロが起きることも多々あるため、大きいイベントがある時は十分に注意が必要です。特に人が大勢、集まるところでは警戒を怠らないようにしてください。

私は危機感がなさすぎてよく怒られていた

私はタイのバスの中で居眠りをするなど、いま考えると危機意識がなくて現地での生活に慣れている人からよく怒られていました。つい長く生活していると慣れてしまい危機意識がどんどん薄れていってしまうものです。私は警戒心の強いタイプの人と一緒に行動することが多かったため、あまり危ない目にあうこともなく、あったとしても速やかに危機を回避できました。しかし、一人で危機意識もなく行動していたら何か危ない目にあっていた可能性も、いま思えばあります。

海外旅行や海外生活に慣れれば慣れるほど危機意識が薄くなり危ない目にあう可能性も高まります。テロなどに巻き込まれても生き残るためには常日頃から危機意識を保つことで、危ない目にあう可能性を小さくすることができます。

まとめ

私が常日頃から海外に出る時に気をつけている安全対策は、日本の外務省が注意喚起している内容と同じです。なぜなら、私は外務省や大使館からの情報をまめに確認して海外生活を送っていたからです。テロから身を守る秘訣は以下の通りです。

・テロから身を守るために外務省の「たびレジ」または「在留届」に登録する
・外務省や大使館からの情報をまめに確認する。特に海外安全情報は情報ソースとして信頼できる
・安全のためにの3原則は目立たない・行動を予知されない・用心を怠らない
・テロにあったら伏せる・逃げる・隠れるの行動をうまくとることで生存できる可能性が高まる
・海外旅行保険に入り、命を落としても遺体引き取りで家族に迷惑がかからないようにする
・渡航する前には渡航する国の文化や風俗についても簡単に知っておく

海外に渡航することが珍しくない時代だからこそ普段から危機意識をもって行動するべきです。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

同じタグのついた記事

同じカテゴリの記事