時を経ても色褪せない名著!自己啓発本の原点『人を動かす』を解説

『人を動かす』(デール・カーネギー 著、創元社 刊)は、1937年に初版が発行されて以来、瞬く間に読者を増やし邦訳は500万部を売り上げた歴史的ベストセラーです。自己啓発本の原点といわれ、時代を超えてなおも支持され続ける『人を動かす』が説く原則は、人間の本質を鋭く突くが故に普遍的です。本書の魅力について、記事にしました。

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『人を動かす』の要約

  • 時を経ても色あせない人間に対する洞察
  • 豊富な事例に裏付けされた「原則」の正しさ
  • 「原則」は心から行われる時のみ効果を発揮

『人を動かす』はこんな人におすすめ

  • 人を動かし、仕事で成果をあげたい人
  • 処世術ではなく本質的な人との付き合いを望む人
  • 公私問わず、良好な人間関係を築きたい人

「原則」→「事例」という構成の狙い

『人を動かす』は、合計37の「原則」が解説されています。一つ一つの原則は、実際にあったさまざまな事例を挙げることで正当性が裏付けられています。『人を動かす』に出てくる事例は、車のローン未払いや商品輸送の遅延など身近で親しみやすい例もあります。一方、アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンやフランクリン・デラノ・ルーズベルトなど偉人のふるまいの例まで、幅広く取り上げられています。このような構成は、『人を動かす』が掲げる原則がいかに普遍的であるかを強調する狙いがあります。

37の「原則」を俯瞰して眺めよう

37の「原則」を一つずつ紹介していくこともできますが、いささか退屈でしょう。そこで本章では、それらをやや俯瞰しながら全体像をつかむことを目的に解説します。

人を動かす三原則

本書のタイトルでもある「人を動かす」をテーマにした原則は次の3つです。

人を動かす唯一の方法は、その人の好むものを問題にし、それを手に入れる方法を教えてやることだ。

人を動かす三原則で説かれていることをまとめると、「相手の立場を考えて尊重する」ということです。本書によると、人はみな一番の関心ごとは自分であり、自分の立場をもっとも優先して考えると述べてあります。確かに、これは辛辣ですが的を得ていると言えるでしょう。そのため、人を動かすためには、相手の立場を中心にして話を進めなければならないのです。

人を非難するのは、ちょうど天に向かってつばをするようなもので、必ずわが身にかえってくる。

私たちはついつい、他人の粗探しをしてしまいます。しかし本書の言葉を借りると、それは何の役にも立ちません。非難しても、反発されるだけなのです。だから、相手の立場を考えて尊重することが大切なのでしょう。他人から非難されたいと思っている人はどこにも存在しないという事実を念頭に置く必要があります。

人に好かれる六原則

誰しも、人から嫌われたいとは思わないでしょう。できることなら人に好かれることを望むはずです。『人を動かす』では、人に好かれるための6つの原則が紹介されています。

われわれは、自分に関心を寄せてくれる人々に関心を寄せる

上の言葉は、ローマの詩人パブリアス・シラスの言葉です。みなさんも直感的にうなずけるのではないでしょうか。人に好かれるためには、相手に心からの関心を寄せることが大切です。本書によれば、「心から」ということがポイントです。では、どうしたら自分が「心から」関心を持っていると示すことができるのでしょうか?

「心から」関心を寄せていることを示すヒントは、6つの原則を見ればわかります。いつでも笑顔でいること。名前を覚えること。聞き手にまわること。関心のありかを見抜くこと。心からほめること。これらのすべてが、相手への関心が「心から」のものであると伝えてくれます。

人を説得する十二原則

人を説得することの難しさは、みなさんもご承知でしょう。やり方を間違えると、説得するどころかもっと悪い方向へと話が進んでしまう場合もあります。『人を動かす』が説く人を説得する12の原則を見てみましょう。

相手の心が反抗と憎悪に満ちているときは、いかに理をつくしても説得することはできない

まず人を説得するためには、相手との対立を避けなければなりません。議論をする中で相手の誤りを指摘するような態度では、決して相手を説得することはできないと本書は述べています。そのためには、穏やかに話し、できるだけ議論を避けます。そうすることで相手の心のガードを低くすることができ、説得するチャンスが生まれます。その他にも、いくつか説得力のある原則が紹介されています。いずれの方法も、しっかり意識をしていないと、なかなか実行することは難しいでしょう。そのため、人を説得する場面が来たら、本書の内容を思い出して準備する心構えが必要です。

人を変える九原則

人間は誰しも独自の考え方を持ち行動しています。そして、その考え方や行動を変えようとすることはとても難しいです。『人を動かす』では、9の原則を掲げこの難題に立ち向かおうとしています。

だれでもほめてもらうことはうれしい。だが、そのことばが具体性を持っていてはじめて誠意のこもったことば、つまり、ただ相手を喜ばせるための口先だけのものではないことば、として相手の気持ちをじかにゆさぶるのである。

本書では繰り返し、人を「ほめる」ことの大切さを説いています。しかし、うわべだけの言葉はすぐに相手に見透かされます。そのため、人をほめる時には具体性を持たせると良いと本書では述べています。またここでも、相手の立場に立って物事を考えることが、重要だとしています。このように、本書では原則同士がお互いに重複することが多く見られます。繰り返し説かれるということは、それほど重要なことなのだと考えて、しっかり覚えておくことが大事です。

幸福な家庭をつくる七原則

最後は、少し趣が違います。『人を動かす』では、誰にとっても必要な幸福な家庭を作るために、7つの原則を解説しています。

  1. 口やかましく言わない
  2. 長所を認める
  3. あら探しをしない
  4. ほめる
  5. ささやかな心尽くしを怠らない
  6. 礼儀を守る
  7. 正しい性の知識を持つ

こうやって見ると、どれも当たり障りのないことが書かれているように思えますが、実際に行えている家庭は決して多くはないでしょう。そして、ここで説かれている原則のすべてが、他のところですでに解説したものであることに気づくでしょう。一度にすべてを実行することは難しいかもしれませんが、この中の一つか二つでも実行できるように心がけてみてはいかがでしょうか。

筆者による考察

筆者は、『人を動かす』を学生時代から5回は読んでいると思います。しかし毎回、読み進めるのが苦痛です。というのも、本文で述べたような「原則」→「事例」の構成は、シンプルでわかりやすい一方、リズムが単調になりがちで、恥ずかしながら読み進めるうちに、だんだん飽きてきてしまうのです。本書で挙げられている事例が、馴染みがなくイメージしにくいというのも読み進めるのを難しくしている理由の一つでしょう。

しかし断言しますが、読むのが苦痛でも『人を動かす』は読み通す価値があります。この本には、人間の行動原理に対する答えが書いてあります。本書で述べているように、「原則」を利用することで困難だった問題がいともたやすく解決する可能性は十分にあります。本書の原則は、長い時間を経ても色あせることがない普遍的なものです。身につけておいて損はないでしょう。

本書について一つ思うことは、「理解」と「実行」のギャップは大きいということです。一度本を読んで、「原則」を理解したと思っても、それを実行できるかとなると話は別です。例えば、本書では繰り返し「ほめる」ことの大切さが述べてあります。しかし、ほめようと思っても、気恥ずかしくなったりして、なかなかほめることができないというのはよくある話です。

すべての本に関して言えることですが、読み終わって満足感を味わっても、自分の行動を変えることができなければ、意味がありません。ですので、37の原則のうちまずは1つだけ必ず実行するものを決めてしまうと良いでしょう。1つだけなら、なんとか実行できるかもしれません。そして、それが習慣になったら、次の原則へと移ればいいのです。ぜひ、本書の内容を生かして欲しいと思います。

まとめ

『人を動かす』の説く37の原則の全体像をつかむことを目的に、ここまで本記事ではその内容について述べてきました。考察で述べたように、本書は「読み進める手が止まらない」というタイプの本ではありません。しかし、読み終えることができれば必ず、みなさんの生活に変化をもたらす原則と出会うことができるでしょう。一つずつ、原則を実行していければ良いですね。

D.カーネギー「人を動かす」
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