『強いチームはオフィスを捨てる』を読んで、リモートワークを多角的に捉えてみた

みなさんは自分が働いているオフィスについてどのように考えているでしょうか?もちろん、まったく問題ないという方もいるでしょうが、おそらく多くの人が職場について何らかの問題を抱えているはずです。例えば「無駄に会議が多い」「電話やお喋りによる中断」「通勤するのが辛い」など、思い当たる節があるのではないでしょうか。

『強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」』(ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン 著 / 早川書房 刊)は、そのような問題を解決するための一つの方法として、「リモートワーク」についてあらゆる論点を網羅しています。この記事では、著書の内容の中でも重要性が高いことをピックアップして、考察していきます。

リモートワークに対する考え方をアップデートする


著者によれば「リモートワーク」の目的は、みんなが一番やりやすい方法で働くことであり、「こうしなければならない」という決まりはありません。リモートワークは働く「場所」について言及されることが多いですが同時に、働く「時間」も柔軟になります。それらを上手く調整することによって、仕事とトレードオフだと考えられている「育児」や「趣味」も犠牲にすることなく、両立することができます。

「リモートワーク」は自分の会社には縁のない話だと思うかもしれませんが、実は現在の多くの企業がすでに、リモートワークを取り入れていることは意識されていません。まず弁護士や税理士、給与計算などのバックオフィス業務を外部に委託している企業は少なくありません。また、隣の席にいるのにチャットで話しかけたり、ヘッドホンを着けて外部を遮断したりすることで、対面のコミュニケーションが避けられている事実にも注目するといいでしょう。

よくあるリモートワークの誤解

「リモートワーク」はまだまだ世の中の多くの人にとっては馴染みがない仕組みですので、誤解して捉えられることもたびたびあります。この章では「よくあるリモートワークの誤解」を3つ取り上げることで、リモートワークが正しく理解されるように解説します。

上司の監視がないと、部下が仕事を怠ける

一つ目は多くの人が抱くであろう誤解です。確かにオフィスと比べると、家には誘惑が多いです。そのため上司がきちんと目を光らせていないと、部下が仕事をサボるのではないかと考えることは妥当です。しかし、これは少し低レベルな議論です。まず一つは、監視していないと仕事をしないような信頼できない社員を雇うべきではないでしょう。もし該当するなら、それは採用におけるミスです。

次にもし仕事が十分に面白ければ、誘惑に負けることなく作業に取り込むことができるだろうということです。もし仕事よりも誘惑に惹かれるのであれば、仕事の内容が次に述べるような問題に直面している恐れがあります。

  1. やることが明確でない
  2. 単純作業ばかり
  3. 仕事に意味を見出せない

これらに当てはまるのなら、仕事を見直すべきです。信頼に足る人を採用しているのであれば、面白い仕事に対して自発的に仕事をするはずです。上司の監視は必要ありません。

セキュリティ上の問題がある

この誤解はもっともです。確かにオフィスで働くよりも、リモートはセキュリティをきちんと考える必要があります。しかし、きちんとした対策を講じることができれば、それらの懸念も払拭することができるでしょう。具体例として、37 signalsは次のようなルールを設けています。

  1. ハードディスクを暗号化する
  2. 自動ログインを使わない
  3. ウェブサイトを見る時は暗号化通信に
  4. 外部端末にはパスワードをかける
  5. パスワードを長く複雑に
  6. Gmailの2段階認証を利用する

会社によっては上に挙げたよりも厳しくセキュリティを高める必要があることもありますが、多くの場合それらを満たすような仕組みが存在しているので、セキュリティ上の問題があるからリモートワークを採用できないと断定するのは、誤りであるといえます。

企業の文化が崩れてしまう

リモートワークで社員を同じ場所に集めて管理していないと、企業が持っている文化を維持することができないのではないかと考える人も多いです。もちろん企業の文化があることは、仕事をするにあたり重要な要素の一つです。しかし、社員を目の届く範囲で管理していないと企業文化を維持することができないのなら、その企業文化が弱いといえます。仮に企業文化が強く浸透しているのであれば、いちいち見張ったりしなくても、メンバーが企業の方向性に合う方法で自己管理をして成果を出してくれるはずです。また、それを評価するにも場所と時間を重視するのではなく、仕事の内容そのもので評価する必要があります。

リモートワークの仕事スタイル


リモートワークは仕事の環境を柔軟にコントロールできるため、自分がどのようなスタイルで働くかについてよく考えるべきです。万人への正解はありませんが、リモートワークの仕事スタイルについて本書で言及されていることを、まとめます。

環境に変化をつけ、クリエイティブに

決まり切ったことの繰り返しは、クリエイティビティを弱らせる

リモートワークは自宅以外にもさまざまな場所で仕事をすることができます。また、仕事をする時間も柔軟に設計することが可能です。ですので積極的にそれらの環境を変えることで、知的な労働に不可欠な創造性を刺激するといいと、本書では述べています。例えば、リモートワーカーの中には世界中を旅しながら仕事をしている人も少なくないようです。確かに場所や時間に縛られる必要がないため、実践することは可能でしょう。多様なものを見て、多様な空気を感じることで、毎日同じ場所に通う生活より、ずっと発想の幅が広がるはずです。

存在感は仕事の「成果」で示す

リモートで働くことは多くの場合、自由を増やすことを意味しています。しかし前提として、仕事で十分な「成果」を出すことが求められます。なぜなら、物理的に他のメンバーや上司と接することがないリモートワーカーは、オフィスで働いている時のように決まった時間に座っていれば評価をされるということがなくなるからです。つまり実力勝負の世界になるわけです。リモートワークで働き続けることができるように、自身のスキルアップは常に意識しておかなければなりませんね。

「孤独」「運動不足」「働きすぎ」に注意

他人と毎日顔をあわせるのは地獄かもしれないが、孤独が天国だと思ったら大まちがいだ。

人は完全な孤独に耐えることができません。そのためリモートワーカーでも、現実世界でコミュニケーションする存在が必要です。そのような点において、家庭を持つ人はリモートワークによる孤独に対処し易いことになります。もし友人や家族と定期的に接触することができないのであれば、意識的に家の外に出るような決まりを作ることが懸命です。

著者は、リモートワーカーは「運動不足」への対策を考えるべきといっています。オフィスで働いている人のすべてが健康であるというわけではありませんが、少なくとも仕事場までの移動でそれなりの運動をしていることになります。リモートワーカーはベッドからデスクまで数歩でたどり着くことができるため、まったく運動をしない危険が十分にあります。意識的に少しの運動を生活に取り入れることで、この問題に対処するとよいでしょう。

前述したように、リモートワークはメンバーが怠けるのではないかと考える人が多いです。けれども、実際はむしろ働きすぎてしまうケースがたびたびあります。なぜなら「仕事」をいつでもどこでもできるため、メリハリをつけることが難しくなるからです。これに対処するために本書では、仕事に関するルールを設けることが大切だと述べています。例えば、仕事用のPCと娯楽用のPCを分けることや自宅で仕事をする時はデスクの前だけにすること、のような規則が考えられます。

リモートワークで働くメンバーをマネジメントするには?

リモートワークには当然のことながら、従来のマネジメント方法をそのまま適用できる場合もありますが、新しいマネジメントの手法を活用するべき局面が多くなるでしょう。この章では、それらのマネジメントに対するヒントを示します。

コアタイムを決める

リモートワークをする時に共通のコアタイムを決めることが大切です。本書いわく、毎日4時間は全社員が同時に働いた方がいいとされています。このような理由から、時差が大きすぎるメンバーをチームに加える時は慎重になる必要があるでしょう。よほどの理由がなければ、このようなメンバーと協働することはやめておくことが懸命です。

直接会って交流をする

リモートで働くからといって必ずしも離れていなくてはならないという決まりはありません。普段はリモートでコミュニケーションしている相手でも、定期的に直接会う機会を作ることが重要です。このような時間を設けることで、リモートではわからなかった問題が浮き彫りになることも少なくありません。また、そのような現実世界での接点を持つことは、その後リモートでコミュニケーションする時にも良い影響を与えます。

オフィスとリモートの格差をなくす

オフィスで働いているメンバーとリモートで働いているメンバーの間に「格差」が生じないようにマネージャーは工夫する必要があります。本書では具体的に、次の3つの原則が示されています。

  1. 高性能な通信機器を用いて、全員の声をクリアに届ける
  2. 画面共有ツールを使って、全員が同じ画面を見られるようにする
  3. 議論はなるべくメールやチャット上でおこなう

これらの原則を守ることで、全メンバーが公平に働くための環境を生み出せます。さらに本書では、無駄な承認や手続きをなくして、リモートのメンバーが自分の判断で行動できるようにすることも大事だと主張しています。

まとめ:強いチームはオフィスを捨てる

ここまで、リモートワークについてさまざまな角度から著書の論点をまとめてきました。リモートワークだからといって無理に構えることはありませんが、注意しておきたい考えもありそれらを意識することは大事です。興味が湧いた方は、著書を一読してみるとよいでしょう。

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