PMPホルダーの私がチームメンバーに協力を依頼するときの事前準備とタイミング

以前の記事では「得意な仕事で成果を出すこと」や「不得意な仕事は他メンバーに任せること」を行ないやすい環境に整備してみてくださいと書きました。

私自身、ついつい自分で仕事を引き受けてしまいがちです。プロジェクトが終わってから振り返って「あの人にお願いしておけば、もっと早く終わったのではないだろうか」と思うことが多々あります。

本記事では、システム開発においてプロジェクトマネージャーがメンバーに協力を依頼するときの判断基準を私なりにお伝えできればと思います。

以前の記事:「プロジェクトメンバーのモチベーションを上げるチームビルディングの極意

1.判断基準の軸となる自分の「売り」を定義する

仕事には期限がありますが、納期に余裕がある場合が少ないものです。手元にある仕事を闇雲に進めるだけでは、うまくいかないことも多いのではないでしょうか。仕事を期日までに完了させるためにはチームメンバーの協力が不可欠です。メンバーに相談するとき、何をお願いするか判断する基準を持っておきましょう。

その基準は、仕事に必要な能力が自分の「売り」にしていることかどうかです。

自分の売りの定義は、自分が得意なこと、これから伸ばしていきたいと思っていること、または周りが自分に対してどのような成果物を作ってほしいと期待しているかなどを踏まえて考えます。もし自分の売りにしたい分野で自分より優れているメンバーがチームにいたとしても、そのことはあまり気にせずに決めてよいと思います。

2.客観的な事実とやりたいと思っていることを分けて整理する

プロジェクトマネージャーは、担当しているプロジェクトを通して新しいものを生み出したり、既存のサービスなどをニーズに合わせて変更したりしようとしています。このような立場の人は、相談内容に「客観的な事実」と「自分のやりたいこと」が混ざってしまいがちです。

私もよく混同してしまうので、要素を分解できるようなフレームワークを用意しています。チームメンバーに協力を依頼する前に次の要素を文章に起こしてみましょう。

  • 相談内容の背景、目的
  • 前提条件、制約条件
  • 合意事項、決定事項
  • やりたいこと
  • 自分なりに考えてみた解決方針とその理由

特にプロジェクトマネージャーの立場からチームメンバーに「自分なりに考えてみた解決方針」を説明するときには注意が必要です。あくまで自分の想像であることをきちんと伝えていないと、その解決方針がチームメンバーには決定事項のように伝わってしまいます。

「決定事項だと思って作業したのに、後から方針が変更されて、やり直しになった」とメンバーからの不満が出ないように注意しましょう。

3.自分の売り以外はすべて相談する

私は自分の売りにしている領域以外はすべて相談することにしています。

私は元エンジニアで、現在プロジェクトマネージャーをしています。たとえば、技術的な面でドキュメントを書かなければならない場合、自分でも書けますが、決して一人で書くことはありません。

現職での自分の売りと定義している領域ではないし、それを売りにしているメンバーが他にいるからです。そのメンバーに書いてもらう、またはそのメンバーとの打合せの前にドキュメントの骨格だけを作っておき、打合せでヒアリングしながらドキュメントを完成させます。

協力依頼がスムーズになること以外でも、以下のようなメリットがあると感じています。

  • そのメンバーに対して、自分の売りがどこなのか明確になる
  • 自分がそのメンバーの売りを知っているとアピールできる

4.対象の領域を売りにしているメンバーが複数いる場合

このような場合には、相談窓口を一人にしたうえで、該当するメンバー全員に相談します。

プロジェクトには必勝法がなく、プロジェクトマネージャーはいかにリスクを下げて成功確率を上げるかに注力します。誰か一人に聞くよりも多くの人に相談する方が、漏れに気づける確率が上がるのではないでしょうか。

5.仕事の方針が十分に固まっていない場合

ただし、知恵が多ければ多いほど良いというわけではなく、それを売りにしていない人に聞いて雑音が増えるだけの場合もあります。

たとえば、エンジニアの多くは前提条件を加味して、現実的なゴールへの筋道を立てる能力に長けています。しかし、そのようなスキルを持つメンバーが前提条件のない企画段階から入っても、そのメンバー本来の能力を十分に発揮できません。

経験上、そういったメンバーは都合よく想定した前提条件をベースにその能力を発揮しようとし、結果として手戻りが大きくなりがちです。「そのような前提があるとは知らなかった!」などの不満が出てしまいます。

仕事の方針が十分に固まっていないタイミングで相談するときは、方向性が出来上がるまでにはその分野を売りにしているメンバーを中心に相談して、方向性をしっかり固めてからチーム全体に広げていくとスムーズにいくことが多いようです。

6.チームの誰もが売りにしていない領域の仕事がある場合

チームメンバーが売りにしている領域だけで仕事が完結していると良いのですが、チーム体制によっては、その領域を誰も売りにしていないということがあります。とはいえ、プロジェクトの完遂に向けて誰も作業しないというわけにもいきません。

チームメンバーの誰も売りにしていない領域があることに気づけただけでもラッキーです。普通は自分の売りにしている領域には注意が向いても、そうでない領域には意識が向かず、プロジェクト終盤で気づいて右往左往してしまうものです。

このような場合にはまず、チームメンバー外から、その領域を売りにしている人を調達できないか確認します。

次に、今後売りにしていきたいという意思のあるチームメンバーがいれば、その人にお願いします。ただし聞き方には注意してください。上司部下の関係の場合、部下にとっては命令のように聞こえます。

「自分はこの領域をチャレンジしなければいけないんだ」と自分の思い描くキャリアプランとズレていても「売りにしていきたいと意思表示を示す(上司にとってはそのように聞こえる)」ことがあるようです。

最後は自分でやることになるかもしれません。このような場合には、誰かに引き継ぐことを前提に、作業した内容を細かく記録しておくことで、メンバーを調達できたときやその領域を売りにしたいメンバーが現れたときに役立ちます。

7.まとめ

プロジェクトマネージャーの「相談」は、相談以上の影響力があります。プロジェクトで時折発生する手戻りや認識の違いをただのコミュニケーション不足で済ませていては、失敗を次に活かすことができません。

私は多くのプロジェクトを通して、プロジェクトマネージャーがチームメンバーに協力を依頼するときには、しっかりと準備して適切なタイミングで相談することが肝要と学びました。少し意識するだけで成果物の出来が大きく変わることを実感しています。この方法はオススメです!

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