「ジョブ・シェアリング」と「ペアワーク」が示す新しい働き方の可能性

第三次安倍内閣で推進されている働き方改革ですが、みなさんの周囲では何か働き方や環境に、変化や改革を感じるときはありますか?

やむをえず長時間労働を続けている人や、将来に未来が見いだせないような、賃金の低い非正規雇用者のケア、プレミアムフライデーの導入、働き方の多様性を増やす、正規雇用者と、非正規雇用者との賃金の違いを是正する、などと実行や解決できれば本当に「改革」と呼びたい、すばらしい目標、大きな問題ばかりが存在しています。

現状でいえば、ニュースでも取り上げられている、プレミアムフライデーの導入というトピックをみても、導入した会社では、いくら早い時間に帰宅する決まりになっても、個々の仕事量に変化はないので、午後三時に仕事を終えて会社を出るのは難しい、三時に会社を出ても、結局近くのカフェでパソコンを開いてまた働いている人も多いため、導入はかえって迷惑だと考えている人もいるなどと言われます。

会社を早く退出するか、早く出社するか?


プレミアムフライデーは早く社員に帰ってもらい、夜に外食したり、買い物したりと消費してもらおうという取り組みですが、一方では先日、NHKテレビのサラメシという番組で、こんなことが放送されていました。
東京青山の伊藤忠商事。朝8時までに会社の社員食堂に行けば、朝ご飯のサンドイッチやジュースなどといった商品が3品無料でもらえるとのことでした。社長も、社員食堂でもらったサンドイッチを社長室でほおばっていました。

この朝食無料制度のねらいは、社員を早く出社させて、朝時間を有効に活用し、仕事を終えて帰宅する時間を早めたり、生産性をあげたい目的があったそう。2015年から導入しており、実際会社の売上も増えたと社長は話していました。
このように、企業のトップは社員の長時間労働を減らして生産性をあげたいと考えていますが、どの企業も、なかなか簡単には解決できない問題です。

正規雇用者と非正規雇用者の賃金格差を減らすには?

日本において会社で仕事をする場合、雇用形態には正規雇用者と非正規雇用者がありますが、正規雇用者は社員と呼び、非正規雇用者のことをパートさん、アルバイトさん、派遣さんと呼んだりする文化のある会社もあります。派遣、アルバイト、パートの人たちは社員とはまったく違う、社員のほうが立場が上だと考えるスタンスの人もいるでしょう。一方で、非正規雇用社員も、その現状を苦々しくも受け入れてしまい、非正規雇用社員と、社員との賃金差がかなり大きくなっているのが現状です。

日本政府も、平成28年3月28日付の『働き方改革実行計画』で、欧米と比べて、日本は正規雇用者と非正規雇用者との賃金格差が大きいと述べています。
参考: http://www.kantei.go.jp/jp/headline/pdf/20170328/01.pdf

これからの日本において、ますます大きな問題になっていく超少子高齢化のなか、このような賃金格差を減らすためには、働き方に多様性をもたせていくことが、日本をどう発展させていくかという問題を解決できる鍵のひとつとなるでしょう。

働き方にもっと多様性を! ジョブ・シェアリングの可能性


最近、テレワーク、フリーランス、副業などという単語を以前より耳にするようになりました。働き方の多様性について少し認知が広がってきている証拠かもしれません。しかし、テレワークやフリーランスの人が仮にふえても、彼らがいまだ長時間労働をしているようでしたら、働き手が減少していくなか、長時間労働の完全解決にはなりません。
働いている人の長時間労働を減らすには、今、働いていない人たちに働きたいと思わせる、あるいは働けるかも、と思える取り組みや仕組みが必要です。

日本のように、働き手が減っていくことを問題視したドイツは、柔軟な労働時間制度を取り入れています。
企業は、働き手に対して、パートタイム労働や、フレックスタイムの導入、ジョブ・シェアリング、交代制労働時間モデル、などを提供しています。
特にパートタイム労働と、ジョブ・シェアリングは、日本でも話題になりながらも改善が難しい、働き手のワークライフバランスの改善や、家事・育児・介護にさく時間が女性ばかりに集中する傾向を改善するために、有効な働き方となりました。

あまり日本ではなじみのないジョブ・シェアリングですが、一時期日本でも話題になったことがありました。それは企業が業績悪化の折に失業者を出さないようにする、雇用維持のための仕組みでした。一方、ここで紹介したいジョブ・シェアリングは、勤務を何人かで分割し、短時間勤務してすすめる仕組みです。これは、働き手の人数を増やせることから、雇用を促進できる仕組みでもあります。業務分割の方法は、1ヶ月間のなかでで週ごとに勤務したり、1日を午前と午後でわけたり、1日おきで交代で勤務したりとさまざまです。

このような働き方は、日本でも大変有効なことだと思います。例えば、仕事がしたい、また能力があるのにもかかわらず、従来の長時間労働に従事できないがために、働くことをあきらめている主婦層が、子供が保育円や学校から帰ってくるまでの間に勤務することができます。また、昼は学校に通いたい学生などが、学校が終わったあとに、働くこともできます。あるいは、主婦が子供の夏休み中は仕事をやすみ、一方で学生が世の夏休み中に働くなどと、いろいろな可能性がありますが、一番のメリットはやはり、短時間勤務でも社会や仕事にかかわり、雇用される続けることができることでしょう。
特に現在の日本では、妊娠、出産の前後で女性が仕事を辞めてしまうことが大きな問題となっています。十分な教育をうけた女性が多くいる、先進国であるこの日本においてのジェンダーギャップ指数は、2016年の報告によると世界第111位であり、女性の政治参画、経済参画指数は著しく劣っていると言わざるを得ません。
http://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/2016/201701/201701_04.html

女性の経済、政治の参加が不十分であることは、これまでの企業に、女性が働き続けづらい要因や、社会の風潮にも一員があることに間違いありません。
社会の目を気にして、仕事を妊娠、出産のために仕事を辞めた女性は、長時間労働ができず、周囲に迷惑をかけてしまうと考えたり、長時間労働に耐えられないと考えて辞めてしまう方がほとんどです。しかし、ジョブ・シェアリングを利用して、勤務し続けることができれば、働き手は、キャリアを手放すことなく、等身大の仕事量で仕事ができますし、企業も優秀な人材を人材側の一時的な環境の変化で失わないですみ、お互いに大きなメリットがあるものでしょう。

ジョブシェアリングは、仕事をシェアする人同士の連携を風通しよくすることが大変重要です。仕事を共有するわけですし、細かい進捗状況の共有なども必要でしょう。この勤務体制で、仕事をシェアしている同士、うまく連携をとることができれば、生産性も向上し、最強のチームとして、大きな働きができるに違いありません。

ペアワークでコミュニーケーション力をアップさせよう

ペアワークも、仕事を共有する点で、ジョブ・シェアリングと似ているようですが、少々違います。ペアワークは、同時に2人で仕事を行う方法です。これは特に、日本ではIT系の業種で導入されている企業があります。利点としては、一方の人が仕事をするのを見ることで、もう一方の人にさまざまな学びや仕事のこつ、すすめかたなどを知ることができ、短い時間で多くの仕事を吸収することができます。昔ながらの伝統工芸や老舗の料理屋さんなどのように、目上の先輩のすることを目で覚えるのと少々似ている部分もありますね。

近年、学生への英語の授業でも進められてきているペアワークですが、学生の間では、苦手な人とペアになってしまったり、片方の人ばかり発言してしまいレベルがばらばらになったりと、否定的な面ばかりとらわれている人も多いようです。教師からみたデメリットとしては、生徒からの一人一人の発言の回数が少なくなりがちなこと、ペアをつくるときの人選が難しい問題もあります。しかし日々の授業でペアワークを経験していけば、クラスごとの授業のみを受けてきた生徒よりも、コミュニーケーション力がアップできる可能性も増えます。勉強でペアワークを経験した学生が就職し、仕事でもペアワークを体験すれば、コミュニーケーション力もそなえつつ、効率的に仕事の方法がつかめることが望め、大変有効性の高い業務スタイルだといえます。ペアワークは、ジョブ・シェアリング同様、コミュニーケーションが必要不可欠な業務スタイルです。ペアワークがうまく進んでいれば、業務効率の高いチームとしても、非常に評価の高い役割をはたせるでしょう。

ペアワークスタイルとその利点

ペアワークの方法としては、先輩と弟子型、または教師二人型とでも表現できるような組み合わせが考えられます。
先輩と弟子型では、その業務に精通している人材が主導権をもち、弟子的人材がその業務を常に観察します。先輩は自分の進め方を意識的にすすめることができ、弟子も業務に経験があさいからこそ浮かぶ斬新なアイデアや、意外性のある指摘が期待されます。
教師二人型は、同じような技量をもった人材二人で業務を行います。似た技量同士ながらも、別々の人材のため、違った切り口をお互いにもっているため、気づきが生まれます。また、お互いの知識を有効に使いやすいスタイルのため、無駄な調べものの時間なども減り、時間短縮にも効果的です。このようなペアワークスタイルは利点が大変大きいものとなります。

どちらの型にしてもポイントは、同時にペアが仕事に関わることが重要なところです。片方の人が常にチェックや観察を行なうことで、緊張感とモチベーションが大きくなり、業務改善やタスクの解決能力が格段にあがる可能性があります。
そしてコミュニーケーションを多大に必要とするワークスタイルなので、共通の目的やタスクをシェアしやすく、問題解決能力を増強するのにも効果的であるとも考えられます。日本企業や日本人に不足しているといわれる、チームとして案件を解決していく能力、すなわちチームビルディング能力も、養える勤務スタイルともいえるでしょう。

新しい働き方で毎日を活性化させよう!

これまで、長時間労働に従事する社員のみ担当できるとみなされていた、チームワークやすぐれたチーム力が必要な重要案件を、ワークライフバランスを取りやすい、短時間労働者であるジョブ・シェアリング人材やペアワーク人材が請け負って、結果を出していけるようになれば、新しい働き方、さらには新しい日本人像を表現できるのではないでしょうか。

事例に学ぶ

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言います。ビジネスについても同じことが言えるでしょう。
他の企業の戦略や取り組みを分析し、そこから抽出した要素を組織に取り入れてみることで、あなたのビジネスを成功に導く鍵が見つかるかもしれません。

詳細を確認する

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

同じタグのついた記事

同じカテゴリの記事