事例紹介
2018.07.20

過去から脱却する!IT化の進展で分散型へと向かうビジネスモデル|ビジネスモデルにみる組織のあり方 Vol.4

この記事は「ビジネスモデルにみる組織のあり方」連載の4回目です。
>>まだ連載の3回目を読んでいない方はこちら

これまでの連載ではローマ帝国や江戸時代のビジネスモデルについて詳しくみてきました。

今回は、情報化の進展に伴ってアップデートされつつある現代のビジネスモデルについて、過去の事例をふまえながらみていきたいと思います。

ビジネスモデルが回帰する!?

江戸時代、ローマ帝国以降の経済史は、次のように進展しました。

第一に、金融の仕組みが整備され、株式会社制度が生まれました。現代にいたるまで続く金融の仕組みは中世のイタリアで確立されたものです。大規模な事業を行ない、リスクに挑戦するための事業形態として株式会社制度が生まれました。
これら2つは、ビジネスモデル上の大きな発展であり、大規模な事業を遂行するために不可欠でした。

第二は、工場制工業の登場です。
製造業はそれまで、家内工業を中心とする小規模なモノでした。18世紀後半のイギリスで産業革命が勃発し、工場制工業が新しい産業として登場しました。機械で製品を生産するようになった最大の理由は、一度に大量の製品を手間をかけずに生産できるようになったからです。
工場制工業は、農業や商業・貿易に代わって、主要な産業としての地位を確立しました。また、製造業は、金融の仕組みと株式会社の組織を用いて事業資金を調達し、事業を運営し、事業規模を拡大しました。
これもビジネスモデルから見て重要な展開です。

以上の変革によってもたらされた経済発展が、20世紀の後半にいたるまで続きました。
これらの新しい経済活動の特徴は、企業の大規模化、組織化、官僚化にみることができます。

このようなビジネスモデルは、江戸時代やローマ帝国のそれとは大きく異なります。
以下の表に示してみました。

江戸時代やローマ帝国 産業革命後から20世紀後半 現在から未来
市場化 組織化 市場化
多様化 同質化 多様化(ダイバーシティの推進)
分散化 集中化 分散化(ブロックチェーン)

このように、江戸時代やローマ帝国のビジネスモデルが、市場化、多様化、分散化を強調するのに対して、産業革命後から20世紀後半までのビジネスモデルにおいては、組織化、同質化、集中化が重要な要素となっています。

産業革命以降の時代におけるビジネスモデルの展開は、工場制工業という産業の特質によるものです。
産業革命において、新しい技術が発明された後は、市場取引を拡大するよりも、取引を組織内に取り込んで組織を巨大化することが生産性向上のための主要な手段でした。
現在、企業の採用等においても多様性が重視される傾向にありますが、産業革命後の時代においては、多様な人材よりも、専門的訓練を経た同質的な労働力が協業することのほうが重要でした。

「産業社会」や「産業化」という場合には、このような特徴をもったビジネスモデルを指しています。

情報化の進展と市場機能の向上で、ビジネスモデルは先祖返りする

以降の連載では、情報に関連する産業のビジネスモデルについてみていきます。これは、それまでの時代が重要でないからという理由ではなく、未来に向かって、産業革命以降から20世紀までの時代を否定することが必要だからです。

20世紀の後半以降、産業社会に新しい変革の波が生じました。
みなさんもご存知の通り、それは情報化の波です。

私たちは現在、情報化がもたらす大きな変化の中に生きています。
AI、VR、ブロックチェーンなどこれまでにない新しいテクノロジーがどんどん出てきています。それもたった数十年の間に、です。

このような新しい産業社会においては、江戸時代やローマ帝国時代のビジネスモデルが大いに参考になります。なぜなら、これらの時代がもつ特質が、現在起きている変化と類似している点が多々あるからです。
逆に言えば、産業革命以降20世紀前半までのビジネスモデルは、これからの未来を考えるうえで、あまり参考にならないといえます。先ほどの表でも確認したように、変化の方向性や時代が持っていた特質が根本的に違っているからです。

過去から脱却し、これからの未来について考える

経済活動を行なうためには、情報が不可欠です。その情報を手に入れるために、組織という形で経済的な関係を固定し、情報を仕入れるための費用を節約しながら成立していたのがこれまでの企業です。

しかし、今後は5Gの出現により通信コストも大きく低下すると考えられます。通信コストが低下するということは、情報を得るためのコストが低下します。このようにして、情報が簡単に得られるようになった社会においては、市場の機能が向上します。
その結果、組織の力が弱まり、働き方としては、個人で働く人が増えたり、リモートワークをする人が増えたりしていくと考えられます。なぜなら、情報が簡単に得られる社会において、大きな組織に属する必要性はほとんどないからです。

江戸時代やローマ帝国時代以降、ビジネスモデルは集中化や同質化という流れの中で、一度本流から外れました。しかし、現在、情報化の波を受けて本来の形へと戻りつつあります。これは、ビジネスモデルの回帰と言えるでしょう。

このようにして、未来を考えるために、私たちには過去からの脱却が必要とされています。特に若い人はこれらの変化を敏感に感じとっていると思いますが、一世代前の常識は現代の社会では通じなくなってきています。この傾向は、これからどんどん加速していくでしょう。

これからの社会を生き抜いていくためには、産業化の時代を超えて、それぞれの考え方や行動をアップデートしていく必要があるのです。

まとめ

いかがでしたか?情報化により、社会の中の様々なことが大きくアップデートされてつつあることをわかって頂けたかと思います。
次回の連載では、情報に関する産業のビジネスモデルについてみていきます。いままさに社会で起こっている変化を少しでもイメージしやすいようにまとめていきたいと思います。

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