嘘のような本当の話 オンラインコミュニケーションでよくあるタブー

技術の進化とともに、パソコンさえあれば働き場所を選ばず、あらゆるところで仕事ができるようになってきました。国土交通省が発表した平成29年度のテレワーク人口実態調査によると、全就業者におけるテレワークを実践している人の割合は15.4%にのぼり、その存在感が理解できます。在宅勤務などを制度として取り入れている企業も年々増えており、さらに「クラウドソーシング」や「在宅派遣」など雇用形態を選ばずにテレワークができる仕組みが整ってきました。

在宅勤務制度などない、または制度を利用していないといった人でも、社内ではメールでのやり取りが主流で、会話をするのは週1回の共有ミーティングの時ぐらいという人も多いのではないでしょうか。現在は、多くの会社で資料やツールがシステム化されていますので(紙の資料しかないから、資料室に行かないと調べられないといった会社はあまりないと思いますので)、出社して働こうが、どこで働こうが理論上はテレワークのスタイルなのです。それを雇用の管理上、出社するよう定めているか、週に何回までと回数を決めて社外で働いて良いと認めているかの違いだけになります。

私も正社員として勤務していた時は、育児をするワーキングマザーという立場上、週に3回まで在宅勤務をすることが認められており、在宅で仕事を進めていましたが、社内にいる時と同様に社内ネットワークが利用でき、社内で仕事するのとまったく変わらず業務が進められました。

働き方が多様化する日本では、会社に属さずに収入を得るフリーランスも年々増加傾向にあり、会社に属す、属さないに限らず、テレワークで完結する仕事の幅はどんどん広がっていくでしょう。
一方で、オンラインで完結する仕事を進める際のコミュニケーションマナーを知っている人は少ないと感じています。そこで、今回はテレワークにおけるコミュニケーションの注意点についてご紹介したいと思います。普段社内で一緒に仕事をしている同僚(つまり顔見知り)とのやり取りではあまり考えられないようなコミュニケーションが、実はテレワーク完結の仕事だと多くあります。そんなタブーのポイントについてお伝えしたいと思います。

「そっちでやっといて」「もう使わないよ?」乱暴な言葉遣い

昭和の話ではありません。平成も終わろうとしているこの世の中で、オンラインではこういったコミュニケーションをする人が実は多い印象です。最初に名刺交換から始まるリアルなビジネスの場面ではあまり経験しないかと思いますが、特にチャットがメインのコミュニケーションでは、特に“仕事を頼む側”のほうに極めて失礼な言葉遣いをする人が案外多くいます。会ったこともない人という距離感と、文字だからということがそうさせているのでしょうか。面と向かっては発しないような言葉をついつい使ってしまうようです。こういったコミュニケーションは、仕事を頼む立場の人こそ絶対に避けるべき。なぜなら、アウトプットの質に影響が出るからです。

例えば、制作会社にインタビュー記事を制作してもらうとすると、おおよそ原稿作成に数万円のコストがかかります。一方で、クラウドソーシングのサービスを見てみると、1文字あたり約1円、すなわち1000文字で1000円くらいのお仕事として紹介されているのがほとんどです。大雑把な比較ではありますが、10分の1程度の価格差がそこにはあります。

このような低価格がベースとなっているテレワークの世界では、実は“仕事をする側”が有利といえます。個人の状況にもよりますが、1000円の収入にそこまで固執する人は多くいません。そうすると、このような失礼な態度を取る人の仕事をするメリットがないので、仕事へのコミットメントは低下するばかり。アウトプットの質はおろか、その仕事から手を引く人もいるでしょう。頼む側はコスト削減のために企業ではなくクラウドで仕事を依頼しているという観点が大きくあるかと思います。コストを削減しながらも質を担保するには、まず気持ちよく仕事に取り組んでもらうというのが大事といえます。これはクライアントと請け負う側という立場だけでなく、マネジメントとメンバーなどあらゆる関係性で言えることですが、テレワークのやりとりだからこそ、仕事を頼む側が、低姿勢に丁寧に、作業をする人に気持ちよく仕事に取り組んでもらうよう心がけることが、より良いアウトプットにするためのポイントになります。

連絡が取りにくい。約束を守らない。


メールやLINEの返信が遅い(または反応しない)という人は公私ともに一定数いますが、テレワークの世界で連絡がなかなか取れないというのは、致命的。仕事を頼む側、頼まれる側どちらであっても、絶対にNGです。出社して横で働いている同僚と違って、テレワークでは相手の存在がメッセージのやりとりでしか認識できません。返信がないのは「話しかけているのに無視」ということになります。こちらも案外いないようで、実は多い印象です。

忙しい状況であったり、優先順位があったりするかと思いますが、「私のメッセージはいつまでも返信がこない」というのが、「私の〝仕事の〟優先順位は低いのだろうな」という理解に繋がります。優先順位が低いとされている相手の仕事は、自分も優先順位を下げて行うようになります。そして仕事の優先順位が下がる、アウトプットの質が下がるという致命的な悪循環になってしまうのです。

同様に、約束を守らないというのは仕事における関係性の崩壊に一気に繋がります。
こちらも当たり前のようですが、リアルなコミュニケーションがあると、今は忙しいのかもしれない、体調を崩しているようだ、この人はこういう性格といった事情や背景が自然に伝わってくることも多いですが、テレワークだと結果がすべてというシビアなルールがあるのが事実。どんなことがあっても約束は守るということを徹底するほかありません。テレワークでは普段のコミュニケーションの積み重ねとアウトプットによって信頼を少しずつ構築していきます。リアルなコミュケーションよりずっと時間がかかるものですが、コミュニケーションに1回でも齟齬が生まれると一気にその積み上げた信頼が崩壊してしまうという危険も伴ってしまいます。

「こんなことをする人だったのか。付き合うのは気をつけよう」と思われると、またゼロから信頼関係を築いていかなければいけません。

リアルでは普通の抽象的表現。オンラインで思い知ることに

抽象的なコミュニケーション。こちらは前述の2つのタブーと違って、リアルの世界では決して珍しくない、普通にやり取りしているコミュニケーションになりますが、オンラインの世界では痛い目をみるタブーになります。

「前回のをもっといい感じに」「なる早で」など…。何となくのイメージ言葉を使いながらも成り立つのがリアルの世界です。打ち合わせをしてホワイトボードにメモを取りながら、または電話で何度も確認しながらお互いのイメージを近づけていき、アウトプットを出していきます。顔を合わせたり、電話したりと、口頭でやり取りすると、何となくの表現もあまり気にならず、お互いのゴールイメージを合わせて行くことができるのですが、テレワークで基本的に文字ベースのやりとりになると、これがまったく思うようにいきません。ダラダラ長く言いたいことを書いても、読む側にとっては面倒なだけ。逆にシンプルすぎてもどんなことをイメージしているのかさっぱりわからない。

結局、アウトプットをしてから、「もっとこうしてほしかった」「こんなに早くやってくれるなんて思わなかった」といった具体的なフィードバックが少しずつ出てきて、頼まれた側は「最初からそう指示してほしい」と思うし、頼んだ側は「最初に確認してほしい」と感じ、モヤモヤします。しかも、フィードバックのたびに具体化が進むので、何度もアウトプットと変更を繰り返さなければなりません。

特に日本人は話を具体化するのがとても苦手。というより、具体的にしない美学のようなものがあり、空気を読んで察することで進めるのが一般的であったりしますが、テレワークでこれをすると、お互いに不幸にしかなりません。頼む側はとにかく具体的にして相手にお願いすべきですし、頼まれる側も具体的でないところがあったら、確認する必要があります。

いかにリアルな世界で多用されていたかを思い知るのがこの抽象的なコミュニケーションですが、具体的コミュニケーションスキルが身につくとリアルなビジネスシーンでもより相手とスムーズに話が進められるようになります。いわゆる要件定義能力ですが、これはテレワークだからこそ身につけられる、非常に役立つビジネススキルと言えるかもしれません。

嘘のような本当の話 オンラインコミュニケーションでよくあるタブーのまとめ

ここまで書くと、テレワークのコミュニケーションって面倒くさい、怖いといった印象を受けるかもしれません。しかしそんなことはありません。職場にいると、あの人は今忙しそう、機嫌が悪そう、話しかけずらい、そんな気持ちになって5分話せば済むことを先延ばしにしてしまうといった経験は誰しもあるはず。オンラインでは、そんな相手の様子を伺う、空気を読むといったことが不可能ですので、シンプルに仕事の話だけに集中できるというメリットがあります。相手がどんな立場の人でも(仮に社長といった偉い人でも)今確認しなければならないことは今するといった割り切りが可能なのです。

シンプルなやりとりだからこその上記注意点になるわけですが、リアルのコミュニケーションのほうがずっと面倒なことはたくさんあります。無駄に気を遣わなずに済むという意味では、リアルよりもずっとストレスのかからないコミュニケーションが実現できます。

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