会計事務所業務はオンラインでできるのか? メリット&デメリットまとめ

人手不足の問題を解決するために、アウトソーシングサービスやオンラインアシスタントサービス、人材派遣会社などを活用する企業が増えています。他の業界に比べて「古い体質」であるといわれる会計事務所業界も例外ではありません。

そこで、複数の会計事務所で勤務経験があり、現在オンラインでアウトソーシング(クラウドソーシング)サービスを提供する業者を介して会計業務を請け負っている方から実際の業務の流れや、個人で会計事務所の業務を請け負うことで感じる課題などについて聞きました。

変わりつつある会計事務所業界の「古い体質」

かつて会計事務所業界は、繁忙期(とくに12〜5月にかけて)には徹夜や連続出勤することもめずらしくない過酷な労働環境にありました。それに加えて、士業の世界では事務所の先生のいうことは絶対とされ、仕事以外の業務が発生することも。イベント好きな先生はお花見、納会、歓迎会、送別会、誕生日会などを次々と催し、パートや派遣社員までそれに参加するという話を聞いたこともあります。

しかし、働き方改革や人手不足の問題によりこうした労働環境が見直され、会計事務所業界でも業務効率化が進められています。そこで注目されているのが、アウトソーシングサービスオンラインアシスタントービスです。

これらのサービスを提供する業者は、働き手を求める「会計事務所」と、「結婚・子育て・介護・配偶者の転勤などの理由で退職した税理士や元会計事務所職員ら」をマッチングさせ、オンラインで業務を請け負っています。今回話を聞いた方も、オンラインアシスタントサービスなどを提供する業者を介して、会計事務所などから業務を請け負っています。

オンラインで業務を請け負うメリット・デメリット

オンラインで業務をおこなうと、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

メリット

  • 好きな時間に仕事ができる
  • 社内行事がなく、仕事だけに専念できる
  • 子どもの行事や通院なども仕事のスケジュールに組み込むことができる
  • 地方に住んでいる人にとっては、パートなどで働くより時給が高い
  • 転勤になっても仕事を継続できる(キャリアアップできる)
  • 時間管理ツール(TimeCrowdなど)を使用する場合は、秒単位で報酬をいただける

デメリット

  • いつ契約解除になるかわからない
  • 納期によっては、土・日曜日、祝日や夜間も稼働する場合もある(金曜日の午後に依頼を受けて、月曜日の朝に納品する、など)
  • Chatworkなどのツールが連絡手段の場合は文字によるコミュニケーション中心となるため、意思疎通が難しい場合がある
  • コミュニケーションツールでのやり取りだけでは、意図をくみ取ることが難しいことも(質問に対するフィードバックがない場合もある)

コミュニケーション手段について

会計事務所では紙の資料も多く、その取り扱いに細心の注意を払うことが求められます。では、会計事務所と個人事業主はどのように書類やデータをやり取りしていて、どんなツールを使ってコミュニケーションをとっているのでしょうか。オンラインでおこなわれる業務の流れの一例を紹介します。

【ケース1】A税理士法人の場合(所在地:首都圏/規模:所員約20人)

連絡手段はChatworkというコミュニケーションツールでおこない、書類のやり取りはDropboxというオンラインストレージサービスで共有しました。

  • 受注した業務:月次入力
  • 受注から納品までの流れ:担当者からChatworkで連絡→入力用のデータをDropboxで受け取り、納期までに月次入力→入力データと質問などを記載したシートをDropboxに保存して納品。

【ケース2】B公認会計士事務所の場合(所在地:関西の商業都市/規模:所員約15人)

連絡手段は、Chatwork、Web会議ツールのZOOM、電話、メールなどで、書類のやり取りはDropboxでおこないました。

  • 受注した業務:資料のスキャン、年末調整、決算など
  • 受注から納品までの流れ:担当者からChatworkで連絡 → 資料の受け取り(郵便、Dropbox、Googleスプレッドシートで) → 入力データを納品。資料は宅急便やゆうパックで返送。

ストレスなく業務を進めるために必要なこと

上記のケースでは、オンラインでもストレスなく業務を進めることができたそうです。理由としては

窓口が一本化されている

上記2つの事務所は、依頼、進行管理、質問への回答などをすべて同じ担当者が対応しているので、スムーズにやり取りすることができました。B公認会計士事務所では以前、依頼する業務の直接の担当者が個別に依頼していたところ混乱したため、現在のように窓口を一本化したそうです。

ビジネスツールをうまく活用している

上記2つの事務所では業務のICT化が進み、ビジネスツールを積極的に活用していました。B公認会計士事務所では会計事務所向けグループウェアのMyKomon、Salesforceなどのマネジメントツール、DocuWorksなどのデータ管理ツールを活用し、Chatworkでコミュニケーションをとっていました。Chatworkでやり取りされている内容を読むと、それまでの流れや引き継ぎ事項を把握できます。また、DocuWorksには登記簿謄本や決算資料だけでなく、根拠資料やチェック表が取引先別・年度別に保存されているため、依頼された仕事の背景がわかりやすくスムーズに業務をおこなうことができました。

指示が明確である

マニュアルがある、明確な指示があったので、不安を感じることなく業務を進めることができました。

と、間に入り業務を仲介している「業者」や「窓口役」の存在が大きいことがあげられています。

なお、A税理士法人やB公認会計士事務所のように、オンラインでやり取りする体制が整っているところばかりではありません。過去に業務を請け負った会計事務所のなかには、電話やLINEで緊急の案件を依頼してくる、納期が極端に短い(または明確でない)、事前連絡なしに資料をダンボール箱で送ってくるといったところもあったそうです。

いま、感じている課題


個人で業務を請け負う場合、問題点もあります。

オンとオフの切り替え(スケジュール管理)の難しさ

繁忙期には「金曜日の午後に依頼→月曜日の朝一納品」という案件もあり、休みが取れないことが多々あります。スケジュール管理や健康管理を自分自身でおこなう難しさがあります。

情報の保守

クライアントからの資料を預かる場合もあり、その取り扱いや情報漏えいに細心の注意が求められます。鍵つきの仕事部屋があることが条件となる場合もあります。

おわりに

先日、会計事務所で働く元同僚から、人手不足のため仕事が忙しくなる一方で、子どもと過ごす時間がなかなか取れないという悩みを聞きました。求人広告やWebサイトなどで職員を募集しても、応募者がいないそうです。その一方で、育児や介護などの事情でやむを得ず、パート職員として働いている有資格者も多いと聞きます。

会計事務所業界では、オンラインアシスタントサービスなどを積極的に利用して、地方や海外に住む優秀な人材を活用していくことも、生き残りのひとつの方策になると考えられます。「業務を外注したい会計事務所」と、「オンラインなどにより在宅で業務を請け負いたい働き手」のマッチングが進むことや、双方がストレスなく業務を進めることができる環境が整備されることを期待したいです。

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