事例紹介
2018.04.05

「ITで女性のライフスタイルを豊かに!」から生まれた『妊活ボイス』開発の裏側をインタビュー

『妊活ボイス』というWebサービスが生まれたというニュースを目にしたのが2月23日。ちょうど、妊活のドラマが放送されていたタイミングでした。

不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦は約5.5組に1組(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査」2015年6月)なのだそうです。
さらに、同サービスの調査によると、高度不妊治療にかかる費用は平均で約193万円もの金額になるそうです。

これまで、「妊活」は周囲に相談できなかったことが何より深刻でした。このサービスは、その解消を図ることができるものとしてすでに多くのユーザーから期待が寄せられています。

今回は、女性限定サービスではありますが、開発者が実は男性ばかりだということも知りつつ、その開発の裏側をのぞきに名古屋オフィスをお訪ねしました。

 

プロフィール:
清水さん:
株式会社CURUCURU CTO
自社サービスの開発・マネジメントからデザイン制作、デジタルマーケティングまで、多岐にわたる業務に従事。
大手百貨店のシステム部門から、Webサービス運営企業でのシステム開発、マネジメント業務を経て現職。
また自身でもWebサービス、アプリの開発・運営を行っており、大手企業などへの導入も行なっている。

女性でも安心して使える1人ゴルフ」サービスのgolco:https://golco.curucuru.jp/
「みんなの妊活プチブログ」妊活ボイス:https://www.ninkatsu-voice.jp/

満を持して公開された「妊活ボイス」とは

編集部:

「妊活ボイス」のリリース、おめでとうございます。と、お疲れさまでした。今日はこのアプリケーションの開発についてお話を伺いたいと思います。

清水:

よろしくお願いします。

編集部:

早速ですが、このアプリケーションについて少しご説明をお願いします。

清水:

『妊活ボイス』は、「クチコミ・ランキングで知る みんなの妊活プチブログ」をテーマにした、妊活者専用のSNSです。用途も会員も限定されることで、妊活者があまり触れたくない話題を目にすることも避けられます。病院・クリニックについての口コミや、排卵検査薬やサプリメント・漢方のランキング、妊活に役立つ記事も掲載されます。

大きな特徴が3つあります。
1つ目は、タイミング法・人工授精といった治療ステージや年齢などから、自分と似た状況の妊活者と繋がれること。「いいね」や「コメント」をつけた投稿内容などから、趣味・志向の合った妊活仲間がレコメンドされます。

2つ目は、自分に合った妊活が分かること。投稿を通して、悩みの解決を図ったり、同じ状況にある妊活仲間の行動を参考にしたり、自分が今後どのような行動をすれば良いのかを効果的に知ることができます。

3つ目は、検索機能。「基礎体温計」や「排卵日検査薬」といった「妊活ワード」から、自分の知りたいこと・気になることを調べられます。

妊活についての一番の不安は、誰にも相談できなかったこと。『妊活ボイス』は、それを少しでも軽減し、妊活者が少しでも前向きに妊活ができるためのサポートツールとして誕生しました。

編集部:

技術的なバックボーンは、どのようになっていますか?

清水:

簡単に説明をしますと、
– サーバー環境はGAE(GoogleAppEngine)を使い、開発言語にはGo言語を採用しましたが、Go言語にはPHPのSymphonyやRubyのRoRのようなディレクトリ構造がきちんと整理されたフレームワークがまだなく、社内エンジニアにてフレームワークの構想と設計を行いました。現在ではそのフレームワークを流用して新しいプロジェクトにも取り組んでいます。

– 検索部分ではGoogleのSearchAPIを駆使し、快適な検索環境を整えることができました。

– ユーザー分析にはログをBigQueryに流すことで効率的な分析をする予定もあります。

– クライアント環境はReact+Redux+TypeScriptを採用することで複雑になりがちなクライアント実装もメンテナンスしやすいコードで実装することができました。また、SPA(SinglePageApplication)として実装をしたことで画面遷移時に画面全体が再描画されなくなるのでユーザーストレス軽減にも一躍かっています。

編集部:

では、まずこのサービスが世の中に登場するまでの振り返りをお願いします

清水:

もともとこのサービスの構想が生まれたのが約3年ほど前のこと。SNSとして着想し直したのが1年半前になりますね。ちょうど企画側で構想が決まり、開発メンバーもアサインできたという流れです。

女性のためのサービスなのに開発メンバーは男性ばかり。困りませんでしたか?


(長尾さん。7年前からプログラミングを始めて、ゲーム制作系の会社に入社。そこで4年間を過ごしブラウザゲーム、スマホアプリ開発などを経験しました。その後、小さな会社でEC周りの仕事(WordPress、EC-CUBE)を経て、CURUCURUに入社。CURUCURUでは主に新規サービス開発をメインに業務を行なっています。)

編集部:

開発を始めるにあたって、社内的な決めごととか。新しいチャレンジなのでなにかイベントがあったとか?

長尾:

はじまりは、6名体制でスタート。企画、デザイナー、エンジニアですね。全員、自社のメンバーだけで取り組んでいます。それは現在も変わってはいません。

昨年の夏くらいでしたかね、最初にキックオフミーティングをやりました。どんなサービスを作るのか、何のために必要なのか、そしてそのサービスの成長の先にどんな世界があるかなど、しっかりやりました。

社内メンバーばかり、ということで、コミュニケーションロスで、何か問題が発生したということはないというのは自慢できそうです。

編集部:

女性のためのWebサービスということだと、理解が難しくなかったですか?

長尾:

それは確かにそうですね。自分は異性なので女性の気持ちを解れと言ってもそんな簡単ではなかったです。

編集部:

開発が始まると、そのあたりの課題はどのように解決したのですか?

長尾:

女性の気持ちをわかるのは女性だと思います。
幸いなことに社内にはたくさんの女性がいますので、社内の女性陣からのフィードバックは欠かせませんでした。

テストを実施する際には社内の女性に協力してもらい、動画を撮影しながらテストを行うことで、「こういう使い方をするのか」と男性目線では気づけない部分にも気づくことができました。
育児の経験者なども何人もいますから、リアルな声がたくさん聴けたということは大きかったですね。

サービスをリリースしてからは実際のユーザーさんからの投稿を見ることができるので「こんなサービスを待ってました」というような声を目にすると素直に嬉しいです。
当初はわからなかったのですが、これは求められているサービスなんだと実感できました。

(名古屋本社の様子。女性比の高いオフィス)

なんとなく「スクラム」体制で進んでます

編集部:

では、改めて開発スタイルについてお伺いさせてください

清水:

スピード感、品質などと検討をしていくと、当初からなんとなくアジャイル型の開発で、なんとなく「スクラム」的に開発をしているというのが正直な答えかと思います。

編集部:

実際に開発の流れはどういう体制ですか

清水:

週単位で動いています。週はじめには、企画メンバーも含めミーティングをして、目標をすりあわせて、週の終わりには、「できたこと」「できなかったこと」を整理して、次週につなぐという体制。企画メンバーは東京なので、このときは東京ー名古屋を結んでリモート会議です。

編集部:

それぞれツールは何を使われていますか

清水:

タスクやスケジュール管理には、JIRA。ソース管理はBitbucket。これは連携させられるので、便利に使っています。一方、コミュニケーションツールに関しては、チャットワークが多いですね。というのも、エンジニアばかりの会社ではないので非エンジニアにとってはチャットワークが便利なようです。

編集部:

週の初めのミーティングで決められることは

長尾:

このミーティングでは、プロジェクトの進行そのもののすり合わせと、細かい課題が列挙されます。それを正しく優先順位付けをしていきます。していく、と言っても基本的には企画メンバーが優先順位をしているものをエンジニアに共有していくと言ったほうが正しいですね。
そして、その週に進めるべきことを決めたら、ぼくがその週のタスクをメンバーへ割り振っていきます。

編集部:

スケジュール管理は長尾さんの役割? 遅れた時、遅れそうな時はどう対処していますか

長尾:

「開発あるある」でもありますが、やはりスケジュールが間に合わずできなかったことはあります。その場合、「なぜ遅れたか」と検証をするのですが、想定してなかった不具合が発生したり、そもそも仕様変更があったりという、これも「あるある」かもしれませんが。

編集部:

今回のアプリで、ここは大変だったというとどの部分ですか

長尾:

例えば、「タイムライン」機能の操作性については何度も検討を重ねたもの。ブラウザ依存なので、どう快適性を実現するかは時間がかかりましたね

サービスリリース後、どんどんユーザーの声が届いていて

編集部:

さきほど、男性目線からするとわかりにくいサービスだった、という長尾さんのお話もありましたが、リリース後の反応も踏まえて、エンジニアとしていかがでしょう

長尾:

リリース前、大変だったなぁ、という感慨がまず一つ。でも、リリース直前になるほど要望も期待も高まってくるし、数も増える。そこの解消に時間使いました。でも、「よりよいサービスを作りたい」の一心だと思ってましたから、それは苦ではなかった。

実際、やってよかったなといまでは思っていますしね。

清水:

妊活の問題点は、「一人で抱え込んじゃうこと」。そこに尽きるのですが、いち早くその解決を図りたい。ということが、いま私たちの共通の目標になっていると思います。

編集部:

はい、その言葉を受けて今後のさらなる目標は

清水:

少し大きな話をしますと、マイクロサービスの概念で複数のサービスを進めていきたいと考えています。やはり、ベンチャーですので、どんどんチャレンジはしていかなきゃならない。

マイクロサービスとはアーキテクチャスタイルの1つであり、小さなサービスの組み合わせにより単一のアプリケーションを開発するアプローチです。そして、その小さなサービスはそれぞれ自身のプロセスで動作し、軽量な方式で通信をします(通常、HTTP Resource APIが使われます)。個々のサービスは、業務上の機能に沿って構築され、その配備は完全に自動化されたものになります。それらサービスに対しての集中管理は最低限にし、また、それぞれのサービスは異なるプログラミング言語や異なるデータストレージ技術を利用します。
http://www.nttdata.com/jp/ja/insights/trend_keyword/2015072301.html

長尾:

ぼくから言えることは、きちんとユーザーを増やしていくということ。そのためには、より使い勝手の向上を図っていく必要があると思います。収益化はその後に。
病院やクリニック、医師などとつながるサービスにしていきたいですね。

清水:

最後にもう一言よいですか。今回のアプリではGO言語を使って開発を進めました。エンジニアからは、ビルドもテストも早くできるのがいい、と好評でした。
もともと、phpがメインだったんですが、GOを採用してみることにしたのは、やはり新しいチャレンジをしてみたいという気持ちが強かったからです。

あ、すみません。採用メッセージみたいになっちゃいました。

編集部:

株式会社CURUCURUでは、エンジニア募集中だそうです。ちなみに、弊社カタリストシステムでもエンジニア募集中ですから。

取材を終えて

「妊活ボイス」をリリースなさった株式会社CURUCURUの主力事業は、ゴルフライフ事業で、いまでは女性ゴルファーの10人に1人が使うEC・Webサービスをやっておられます。今回の「妊活ボイス」サービスは、ライフイベント事業に位置づけられている新しいチャレンジ。

今回のインタビューは、代表の時田さんとのご縁から実現しました。そもそも株式会社CURUCURUの理念は、「ITで女性のライフスタイルを豊かに!」です。

妊活と言えば、実は筆者の身近にも大変な思いをしながら出産のその日を迎えた人がいました。その当時は、声がかけられなかったです。これまで困っていた大勢の女性たちにも救いとなるサービスに成長しますように、応援したいと思いました。

今回取材を引き受けていただいた男性お二人、サラリと語っておられましたが女性のためのアプリ開発は大変だったろうなぁ、と想像できます。改めて、取材にご協力いただいてありがとうございました。

TeamHackersでは、これから数回にわたってスクラム開発事例を個社インタビューを通してご紹介していきます。引き続き、ご購読をよろしくお願いいたします。

事例に学ぶ

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言います。ビジネスについても同じことが言えるでしょう。
他の企業の戦略や取り組みを分析し、そこから抽出した要素を組織に取り入れてみることで、あなたのビジネスを成功に導く鍵が見つかるかもしれません。

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