思い出づくりプロジェクトで終わらせないための3つの秘訣

「プロジェクトの成功」とは、目的をもって立ち上がったプロジェクトが、その目的を達成できたことを意味します。ですから言うまでもなく、プロジェクトマネジャーは、達成すべき目的を理解していなくてはなりません。

とはいえ、プロジェクトマネジャーは目の前にある様々な問題の対応に追われ、目的を見失ってしまいがちです。今回話を聞いたプロジェクトマネージャーは、このように目的意識が薄れてしまったプロジェクトを、“思い出づくりプロジェクト”と呼んでいました。

そこで今回は、プロジェクトマネジャーが“思い出づくりプロジェクト”に陥らないための秘訣を紹介します。

「達成感」は失敗しても得られるもの


あるWebサービスの開発プロジェクトは、大幅に遅延しました。それだけでなく、出来上がったWebサービスは、当初思い描いていた理想からほど遠いものとなりました。つまりこのプロジェクトは、ビジネスとしては失敗したと言えるでしょう。

しかし、プロジェクト開発チームは熱意をもって取り組み、メンバーたちは達成感を得ていたのです。周囲からは「こんなはずでは……」という声が聞かれたものの、現場のメンバーたちは満足していました。彼らは失敗を省みることなく、次のプロジェクトに向けて始動しました。

達成すべき目的と現状のズレを常に把握しよう

このような“思い出づくりプロジェクト”を、これまで多くの現場で目撃されています。中には、「準委任契約でプロジェクトが炎上するほど儲かるし、エンジニアは達成感を得ているのだからいいのではないか」という考えの開発ベンダーもいます。

しかし「それは本当に持続可能なビジネスなのか?」と、疑問に思いませんか。
そして、あなたのプロジェクトチームはどうでしょうか?

今回は、“思い出づくりプロジェクト”に陥らないための、3つの秘訣を考えてみました。

1.議事録を日頃から振り返る

達成感は魅惑的です。求人サイトでは「達成感を味わえます」といった文言が並んでいます。

メンバーに達成感を得てもらうことは、モチベーションの維持にとって重要です。しかしその前に、チームをリードしていく立場にあるプロジェクトマネジャーは、プロジェクトが前進しているかを振り返り、現状を冷静に把握する必要があります。

会議の議事録を読み返してみてください。次のような言葉ばかりが並んでいたら要注意です。

<チェックリスト>
・間に合わせるべく努力しています。
・簡単には進めることができない状況です。
・別の観点で改めて考えてみることが必要との結論に至りました。
・打合せを設定します。
・この作業は継続します。
・この課題は進捗が芳しくなく心配です。

会議で進行中の課題について結論を出さずに感情で語っていると、不思議と達成感を得られます。しかし、これではプロジェクトで達成しようとしているゴールには近づきません。学生時代に評価される「熱意があること」や「誰かから与えられた課題を解決すること」から、少し距離をとりましょう。

2.情報共有を常に意識する

そもそもプロジェクトには、明確な答えが用意されていません。プロジェクトの立ち上がりは、何かの理想像を実現したいという想いからスタートします。

理想像をメンバーと共有するためには、ゴールのイメージやプロジェクト計画が必要となります。それらからどのくらいズレているかを随時認識し、今何を決定すべきかを理解することで、一歩ずつ前進することができるのです。

効果的なアクションとして、メンバーへの「報・連・相」や、フィードバックといった情報共有の方法を変えてみることをおすすめします。

<リスト>
・現状を客観的に整理し、ドキュメント化する。
・成果物を実際に確認することで計画とのズレを把握し、評価した内容を共有する。
・ズレが起こっている作業および担当者ではなく、ズレを引き起こしている障害に議論の焦点を当てる。
・決定事項を明確にする(判断内容を経緯とともに記録に残す)。
・設計や計画の変更を恐れない(事前検討が不足していたことは問題ではない。それに気づけたことに価値がある)。

3.時間を味方につける

「時間」は、あればあるほどよいでしょう。しかし残念なことに、時間には限りがあります。

“思い出づくりプロジェクト”では、時間は“仮想敵”として扱われます。振り返り会でよく聞くワードのトップ1、2位は、「時間があればできた」「時間がない中、熱意によって乗り越えた」です。 プロジェクトをコントロールする立場にあるプロジェクトマネジャーは、時間を味方につけなくてはなりません。

時間は、プロジェクトの前半では寛大であり、終盤では非情になります。そこで、早い段階でモックをつくるなどして、課題を「見える化」することをおすすめします。モックの段階なら、間違いなどが分かった時点で軌道修正することができます。

また、モックによって分かった間違いは記録しておきましょう。その際、「この道は選んではいけない」と、目印を付けておくこことを忘れずに。

実装することを約束した機能は、基本的にリリースのスコープから外すことはできません。プロジェクトの終盤では、機能の優先順位よりも約束を守ることのほうがウェイトが高くなります。これは、利害関係者(ステークホルダー)が終盤になるほど増えるからです。しかし、プロジェクトの早い段階であれば、機能の優先順位を材料に、約束を変更することができるかもしれません。

「好転反応」は課題が表面化した好ましい状況


以上、“思い出づくりプロジェクト”に陥らないための秘訣を紹介しましたが、ここでもう一つ、気に留めていただきたいことがあります。

“思い出づくりプロジェクト”から卒業すると、「好転反応」が現れます。好転反応とは、東洋医学の用語で、治療過程で一時的に起こる発熱や頭痛などの身体反応のことを指します。では、プロジェクトにおける好転反応はどのような形で現れるのかというと、メンバー間の意見の対立として現れます。

目的意識が希薄なプロジェクトマネジャーは、メンバーたちの衝突を「チーム内のコミュニケーションが失敗した」と捉え、是正しようとするでしょう。これが、“思い出づくりプロジェクト”へ逆戻りさせてしまうことになるのです。

どのような場面でこのような衝突が起こるでしょうか。過去のプロジェクトでは、あるメンバーは品質を、あるメンバーは納期を重視しており、プロジェクトの方針を検討する場で対立が起こりました。しかし、QCD(品質・コスト・納期)は常に相反するものであり、プロジェクトマネジャーは目的意識をもって、相反するそれらのバランスを取ることが仕事です。

好転反応によって、プロジェクトマネジャーの仕事が増えたのではないのです。本来行うべき仕事がようやく課題として見える形になったと捉え、この状況を歓迎しましょう。

まとめ

どんなプロジェクトも、“思い出づくりプロジェクト”になってしまう可能性があります。しかしプロジェクトは、目的を達成してこそ成功したと言えるのです。
達成感を得るだけで満足してしまわないように、紹介した「3つの秘訣」を実践しながら、プロジェクトを進行してみてはいかがでしょうか。

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