外国人に聞かれても困らない「令和」と日本の天皇制

東京23区の新成人の8人に1人が外国人の時代です。日本の在留外国人は300万人を超え一部では世界第4位の移民国家になっているとさえ言われています。そして2018年の訪日外国人観光客も3000万人を突破。そんな中で西暦2019年5月1日に日本の元号が「平成」から「令和」へと改元されました。日本だけでなく改元は世界各国のメディアに紹介されました。しかし日本人にとってあまりにも当たり前すぎる元号や天皇制ですが改めて外国人に聞かれて説明できるでしょうか。国際化の時代には仕事でもプライベートでも会話の中で日本の伝統・文化などを聞かれることは珍しくありません。元号と天皇制は話題になるテーマです。そこで「大人の社会科2.0」では、日本の歴史・文化を知るうえで避けては通れない元号と日本の天皇制についてニュートラルな立場でご紹介します。

世界で唯一の「元号」を採用している日本

「元号」を現在、採用している国は世界で日本だけだと言われています。もともとの元号の起源は古代中国の前漢の武帝が定めた「建元」でした。当時の古代中国は縁起の良い漢字を組み合わせた年号で年をあらわすようになりました。古代中国の王朝は周辺諸国にも強い影響力がありベトナムや朝鮮半島でも独自の元号が使われました。日本でも歴史の時間にならう「大化の改新」のときに初の元号「大化」が使われました。

そして現在の中華人民共和国やベトナム、韓国などのアジア諸国では「元号」は廃止されましたが日本では「元号」の伝統が生き続け今に至ります。

昔の「元号」は数年に一度は変わるものだった

歴代で最も長く使われた元号をご存知でしょうか。実は昭和の62年が最長です。そして約30年続いた平成は4番目。実は一人の天皇に一つの元号を定める「一世一元」が定められたのは明治時代に入ってからです。それまでは一人の天皇の在位中でも何度も元号が変わりました。

日本の学校の社会科の時間では天皇は「国民の象徴」という表現で記載されています。天皇の在位期間と元号を一致させることで、現在の日本の元号も日本の象徴としての役割を果たしていると言えます。

「令和」の由来と英訳

新元号の「令和」は「梅の花の歌」、

「初春の令月にして、気淑(よ)く風和らぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(ゆら)す」

の令月の「令」と和らぎの「和」から引用されました。日本最古の和歌集の『万葉集』の歌です。和歌の意味は「初春の良い月で、空気が澄み渡って風がやわらかくそよいでいる」という意味です。


(日本語訳 参照:https://haru-journal.com/trend/news/7156/

令和には「人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ育つ」という意味がこめられています。日本の外務省は「令和」の意味を「Beautiful Harmony」(美しい調和)という趣旨だと在外公館に説明するように伝えています。

外国人によく聞かれる日本の神道と天皇

私はタイの国立大学にいた頃よくタイ人から日本の宗教は「Shinto」ですか?と良く聞かれました。
個人的なことを言えば「そんなの日常で意識しないけど無宗教っていうもの多分、違うな」と思い「神社にも行くし寺にも行くし教会にだって行くし色々じゃないかな?」と答えるようにしていました。

「八百万の神」と言うぐらい日本にはいたる所に神様がいると良く聞くし間違っていないだろうと思います。しかし今、思うと返答として十分ではなかったなとも思います。

天皇制についても良く聞かれました。特にタイは王国だったため関心が高かったのかもしれません。

日本の天皇の基礎知識

タイ王国の王は仏教・バラモン教・ヒンズー教で祀られているヴィシュヌ神の生まれ変わりであるとされています。タイの大使館などでは怪鳥ガルーダがシンボルになっていますが、ガルーダはヴィシュヌ神が乗っていたためタイ王国のシンボルとして今でも扱われています。

日本の天皇も諸説ありますが、日本の神話の『古事記』や『日本書紀』に登場する天照大神の子孫とされる第一代の神武天皇をルーツにするという捉え方もあります。このような神話によって歴代の天皇の権威と伝統が支えられてきた側面もあります。

天皇は英語ではKingではなくEmperorと訳されます。世界でもEmperorという称号を持っているのは現在では日本の天皇のみで、天皇と皇族で構成された皇室は現存する世界最古のロイヤルファミリーとも言われています。

日本の神道と天皇との関係

現在の日本国憲法では天皇は「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」と義務教育では教えられたのではないでしょうか。憲法では政教分離の原則も定められていますが皇位継承に伴う儀式は日本の神道の形式です。

日本の天皇が神道の神々をルーツとしているという神話もある一方で天皇の国民に対する祈りは戦後、宗教色のない皇室の私的行事であるとされました。

様々な見解がありますが英国のエコノミスト誌は

“The imperial succession highlights Shinto’s muddled status in Japan”

と述べています。神道は国教ではないが常にそこに存在するものとし、一連の天皇の神道の儀式について取り上げて日本における神道の立ち位置について紹介しました。外国人に対する一般論の説明としての落としどころとしては、このようなところになると思いますがいかがでしょうか。

(エコノミスト誌の記事はこちら:https://www.economist.com/asia/2019/05/04/the-imperial-succession-highlights-shintos-muddled-status-in-japan

改元と西暦

日本史を遡ってみると明治時代の一世一元の制が制定される前から改元はいつの時代でも国の平和と繁栄を願い日本の人々の心を新たにするために行われてきました。日本の改元の報道を見る限りでは今でも元号の改定は、お祭り騒ぎの様相を見せていたのではないでしょうか。日本の元号には西暦の数字には現れない日本人の祈りがこめられています。

明治以前の日本では天皇の代が変わる代初改元以外にも・おめでたい出来事を祝うとき・災害が起きることで災いを断ち切るとき・中国の伝統にのっとり不吉な社会変革が起きるとされる干支のとき

にも改元されていました。改元はキリスト教国を中心に世界に広がった西暦にはない伝統文化とも言えるでしょう。

元号を廃止して西暦で統一するべきなのか?

IT企業でシステムをつくっているところの中には元号が変わることで面倒な対応に追われ混乱したところもあるといいます。メガバンクのみずほ銀行では通帳・入金帳の取引年月日を利便性を考えて元号をもとにする和暦から西暦へ移行するところもあります。グローバル化の中で和暦を使い続けることは不合理だと内心、感じている人も少なくはないでしょうか。

しかし西暦以外の暦を使っている国は実は日本だけではありません。私はタイの国立大学にいましたが正式な書類は全て仏暦で2562年などと記載されており不便を感じることもありました。独自の暦は他にもイラン暦、クルド暦、ユダヤ暦・・・など実は数多く世界には存在し、その国の生活に根付いています。もちろんタイで仏暦は分かりづらいから全て西暦にしてほしいとは言えません。異国の生活に根ざす暦を私だけの都合で否定できません。

私個人としては元号は廃止しなくとも生活に根ざしているシステムの部分については西暦を採用した方が混乱も少なく便利だとは思いますが利便性だけで伝統・文化の撤廃は簡単にはいかないでしょう。

新元号「令和」に巡りたい皇室ゆかりの地

新元号「令話」の制定を機にお祭り騒ぎで盛り上がるところもあれば日本の政治の在り方などの議論が盛んになっているところもあります。微に入り細に入りの議論には答えがありませんから、ここでは「令和」ということで外国人の方に紹介すれば喜ばれそうな、皇室のゆかりの地をご紹介します。実際に足を運んでみたり紹介したりすれば、いっそう日本の文化を感じることも感じてもらうこともできるでしょう。

「令和」の節目の時代に日本の皇室や歴史と深い縁のあるところを訪れてみることで教養を深めるきっかけもできるのではないでしょうか。

東京の皇室ゆかりの地

❶皇居外苑

東京駅からも歩いて15分ほどでいけるのが東京都千代田区の皇居。江戸時代の徳川幕府の江戸城跡の敷地に明治時代から天皇が京都から移ってきて以来、天皇の居住地となりました。皇居は日本のインバウンド観光客が増えて以来、人気の観光スポットになっています。宮内庁もこのような情勢を受けて英語ツアーを実施するようになりました。皇居の参観者の半数近くが外国人観光客です。緑も多く令和になり時代の節目ということもあり人気があります。

❷明治神宮

明治天皇と皇后が祀られてる神社が明治神宮です。神宮は神社の中でも古代から皇室とつながりの深い神社、または天皇を祭神とする神社です。初詣では例年、日本一の参拝者数を集める神社として知られています。山手線の原宿駅からも近く都内でありながらも緑の豊かな神社です。

❸迎賓館赤坂離宮

世界各国の国王、大統領を迎え外交活動の華やかな舞台となったのが迎賓館赤坂離宮です。JRの四ツ谷駅から徒歩で7分ほど。日本でも唯一のネオ・バロック様式で行事がないときは一般公開されています。都会の喧騒の中に豪華絢爛な近代建築を楽しめます。

京都のゆかりの地

❶京都御所

平安遷都から明治になるまでの1075年間もの間、天皇の居住地だったところが「京都御所」です。今出川駅から徒歩で5分ほど。2016年から通年、無料公開されるようになった皇室のゆかりの地です。英語や中国語による観光案内も実施されています。広大な土地の中に豊かな自然や天皇が即位する儀式が行われた紫宸殿などが有名です。京都御所の周りは幕末の政争の舞台にもなったところで周辺も歴史を感じられるエリアです。

❷二条城

明治維新後に徳川家から皇室の所有に移りました。歴史の時間でも習う大政奉還の舞台となったことでも知られています。世界遺産にも指定されており元江戸城とは、また趣が異なるつくりになっています。見所のある三つの庭園や大政奉還が行われた大広間など歴史を感じさせるところが数多く見られます。地下鉄の二条城駅前からのアクセスが便利です。

令和の由来の土地、太宰府

令和の出典になった日本最古の和歌集「万葉集」の梅花の歌と序文の舞台となったのが九州の福岡県にある太宰府です。歌を詠んだ大伴旅人の邸宅は太宰府にあったとされ注目を集めています。諸説ありますが「坂本八幡神社」周辺が大友旅人の縁の地です。学問の神様として祀られている菅原道真で有名な太宰府天満宮もあり受験生にも人気があります。

令和の節目だからこそ日本史を見直そう

平成から令和となり、日本に新しい時代がやってきたと日本各地で祝賀ムード一色となりました。また天皇の譲位は202年ぶり。上皇様は「明仁(あきひと)上皇」となり、新しく即位された天皇陛下は「今上天皇」となりました。(上皇様を平成天皇と呼ばないのは崩御後の称号であるため、在位中の天皇は今上天皇と呼びます)

令和の節目の時代だからこそ改めて日本史や文化に触れてみる機会をつくることで教養のあるビジネスパーソンを目指しましょう。国際化社会だからこそ自国の伝統・文化や歴史を紹介できるようになりたいものです。今回の改元は良いきっかけとなるのではないでしょうか。大人になってから行ってみると新たな発見や感じ方ができる名所も多いものです。

まとめ

元号を現在でも使っているのは日本だけです。平成から令和へと改元され世界中から日本に注目が集まりました。日本国内でも外国人の働き手や訪日観光客が急増する中、日本の歴史や伝統を改めて考えるきっかけに改元はなるのではないでしょうか。元号・天皇制・神道などが改元を期に話題になることも少なくないでしょう。また時間の余裕があれば日本の皇室や令和と縁のあるところをまわってみることで日本の歴史・文化に対する理解がより深まるはずです。

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