チーム
2018.07.02

アルゼンチンの崩壊に見るチームの鉄則!スターが一人では発展はない

奇跡的な勝利でワールドカップ決勝トーナメントに勝ち進んだアルゼンチン。しかし、強国であるはずのチームは、2015年から始まった南米予選に始まり、ギリギリの成績で勝ち上がってきました。なぜ彼らの戦術は崩壊したのでしょうか? 一人のエースに頼り切った末の悲劇は、チームマネジメントにおいて重要な教訓を残しています。

なぜアルゼンチンは勝てないチームになったのか

W杯南米予選から苦しんだアルゼンチン

アルゼンチンを始め、ブラジル、チリ、コロンビア、パラグアイなど強豪揃いの南米では、ロシアワールドカップの切符を掴むための予選も大混戦の様相を呈しました。1位のブラジルは早々に予選通過を手にしましたが、それ以下はまさにどの国が出場してもおかしくない成績でした。予選では上位4位までが自動的にワールドカップ出場が決まり、5位であれば大陸間プレーオフに回る形となります。しかしアルゼンチンは、全18節ある予選のうち、第17節の時点でプレーオフ圏外である6位まで順位を落としてしまったのです。前回大会のブラジルワールドカップ予選でも順当に一位通過し、また本大会ファイナリストであるアルゼンチンにとっては、予想もしなかった展開であったかもしれません。結局、最終節でメッシが叩き出したハットトリックにより勝利し、ロシアワールドカップへの出場が決まるわけですが、その本大会では4試合連続勝ちなしという不名誉な記録を樹立した上、グループリーグでの敗退が危ぶまれる事態へと陥ってしまうのです。

グループリーグ最終戦で、ナイジェリアに勝利し決勝進出を劇的に決めたアルゼンチン。不調でありながらも、まるでドラマのように勝ち進む様子は私たちに驚きと感動を与えてくれます。しかし、なぜここまで不調が長引くのでしょうか。そこには、スター選手ひとりに依存しているアルゼンチンサッカーの実態が見えてきます。

主役級のFWがゴロゴロ…でもメッシに頼りきったアルゼンチン


メッシは伝説のストライカー、マラドーナと比較されることが非常に多い選手です。アルゼンチンチームに君臨する絶対的エース。彼に任せておけば心配はないという安心感、そして何とかしてくれるという期待を一身に背負っているといっても過言ではないでしょう。1986年のワールドカップを勝利に導いたマラドーナよろしく、メッシの双肩にもその重責がのしかかっています。

マラドーナの全盛期、アルゼンチンは彼を中心に据えた戦術を展開しました。マラドーナがプレーしやすい最善の形をつくり、全てのボールをその足元に集めたのです。現在のアルゼンチン代表においても、その戦術はほとんど変わっていないように思います。その中心でプレーするのが、メッシであるというわけです。

しかし、現代サッカーではファウル判定も厳しくなっていますしVARというビデオによる審判補助システムもある上、各チームの攻撃の起点になる選手は徹底的に研究され尽くされます。アルゼンチンがこだわり続ける「戦術メッシ」だけでは限界に来ているということが一番の要因ではないでしょうか。

そもそも、アルゼンチンには名実ともに素晴らしい選手が多く選出されています。MFやDF陣はもちろん、メッシと同じFWでも、セリエAでプレーするイグアインや、プレミアリーグ所属のアグエロなど得点力がある面子が揃っているのです。彼らはそれぞれのチームでの勝利に貢献していますし、メッシ自身もバルセロナでの活躍の方が代表での戦績よりも輝かしいことに間違いはありません。なぜならクラブチームでは、練りに練られたシステムとチームワークが存在し、個々のポジションが的確に機能しているからです。

にもかかわらず、メッシを絶対的な得点屋として譲らず彼にパスを集めるだけで目立った働きをしないアルゼンチン代表選手たち。一流のクラブチームで活躍する彼らは代表に合流した時、メッシへの遠慮やチームの体質に囚われてしまい、本来の動きをできていないことが試合内容からも汲み取れます。このままではアルゼンチンというチームが崩壊する日が、そう遠くない未来に訪れてしまうかもしれません。実際、メッシを欠いた状態で臨んだ2018年3月のスペインとの親善試合では、6対1という大敗を喫しています。そう、一人のエースに依存状態のチームにはシステムそのものが存在しないようなものなのです。

これは、前回大会から今までに3回もの監督交代があったにもかかわらず、決して変わることのなかったアルゼンチン代表チームの致命的な落ち度と言わざるを得ません。

スタープレイヤーだけでは、チームの成長は望めない

大切な存在だからこそ、エースを支えるチームメンバーがいる

これは、ビジネスにおいても変わらない要素です。チームを組織する時に、全体を引っ張るリーダーは当然として、仕事を成功へ導くエースの存在は非常に大きく、なくてはならないポジションです。しかし、そのたった一人に頼り切った仕事の進め方を続けていけば、エースは疲弊し、反対にその他のチームメンバーは成長することや考えることを放棄してしまうことに繋がっていくでしょう。

仕事ができる、結果を残せるエースとはいえ一人でオープンからクローズまでを常に担当できるわけではありません。また、エースが絶対に間違わないということもありません。細かい事務作業が得意な人や、進行管理が得意な人など、それぞれの特色を持った人材を集め、個々の役割をお互いが認識した上で仕事を進めていく必要があります。エースに絶大の信頼を置き、重要な仕事を任せているといえば一見聞こえはいいですが、度を超えると過剰な期待や責任が一人に掛かってしまい、結果的にエースは孤立してしまいます。

ビジネスが成功した時はチームがその栄誉を同時に享受できますが、仮にエースが失敗した時には、「なぜできなかったのか」「失望した」というような避難を周囲からのみならず、チームメンバーからも一身に受ける危険性が高いからです。

重圧を与え続けた末にエースが離脱してしまった時、そのチームは間違いなく空中分解してしまうでしょう。

エース頼みにならないチーム編成と管理方法


では、どのようなチームが理想的といえるでしょうか?
まず先にも説明したように、得意分野が異なるメンバーを集めることが重要です。エース級のメンバーを多く揃える方が成果が出るのではないか、と思われるかもしれません。しかし、同様の強みを持っていたり担当したい分野が重複している者が多くいる場合、意見の衝突が多くなるため、100%のポテンシャルを発揮できない可能性が高まります。各々の個性や長所、苦手分野などをしっかり把握した上で、チームの形を作っていくことでチーム力を最大化することに繋がります。

また、エースがリーダーを兼ね備えることはお勧めしません。メッシはアルゼンチン代表チームのエースであり、ほとんどの試合でキャプテンマークをつけています。チーム全体を俯瞰しながら、誰よりも得点をしなければならない状況は、少なからず彼のパフォーマンスに影響を及ぼしていると考えられます。もちろんエースがキャプテンを努める事例はアルゼンチンに限ったことではありませんが、その場合は周囲の協力やチームワークがあってこその起用といえます。

ビジネスにおいては特に、エースがリーダーを兼任する場合、達成するべきミッションがシビアであればあるほどワンマンチームにならざるを得なくなります。メンバーひとりひとりの状態や仕事ぶりを観察しアドバイスできるリーダーがいてこそ、エースは結果を出す仕事に注力できるようになるでしょう。責任や役割が分散されることで、チーム全体が働きやすい環境になるのです。

最後に、エースやリーダーに対して正しい反対意見を述べられる人物をチームに組み込むことも大切なポイントです。同意ばかりの環境で仕事を進めていると、非常にスムーズで効率の良い状態が作り出せているかのように感じます。しかし、どんな人間にも絶対はありません。失敗することや道を間違うことは少なくないのです。前述のようにワンマンなチームになることを防ぐためにも、方向性や考え方が正しいのかを指摘してくれるメンバーが重要になってきます。フラットな関係でディスカッションができる風通しの良いチームを目指しましょう。

まとめ「結局は、お互いを信頼すること」

エースがたった一人で道を切り拓いていくことほど、孤独で辛いチームはありません。助けてほしくても、ままならない状況にならないように、普段からチームの結束を高めておくことが必要です。チーム内で相談できる先を見つけておくこと、そして相談される余裕を自分自身が持っておくこと。リーダーやエースばかりでなく、各チームメンバーが意識しておきたいポイントではないでしょうか。ビジネスだからこそ、お互いに信頼しあえる関係を作っておきたいものですよね。

さて、決勝トーナメント一回戦で敗退となってしまったアルゼンチンですが、メッシが世界屈指のプレーヤーであることは間違いありません。対フランス戦では、チーム全体が一丸となったプレーも数多く見られ、非常に面白い試合運びとなっていました。メッシ四度目のワールドカップは終わりを迎えましたが、今後のアルゼンチン代表の成長に一役買ったゲームになったのではないでしょうか。

チームとは育つもの。崩れることを恐れず、多くのトライアンドエラーを試みながら、最高の組織づくりを目指していきましょう。

間違いないチームマネジメント

競争的な市場の中でビジネスを加速させていくためには、強力なチームの存在が欠かせません。効果的なチームビルディング術や、チームでの共同作業に役立つツールやポイントを押さえることで、最高のチームを作り出しましょう。

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