マネジメント
2018.08.31

記憶するのではなく記録するーナレッジマネジメントの基となる文書化の重要性

日常生活の中で、私たちは様々なコミュニケーションを取っています。会議や打ち合わせなどビジネスに関するものの他、友人や家族とのなにげない雑談、情報伝達など、ありとあらゆる場面で人とのやりとりが行われています。

このとき、話のポイントや誰かに正しく伝えなくてはならない内容は、メモとして記録されるでしょう。しかし、活字として書き残されなかったやりとりの中にも、重要な内容が含まれている可能性があります。

今回は、ナレッジマネジメントにおける、コミュニケーションを文書化して記録する必要性について説明します。

1.盛り上がった話の詳細が、翌日にはあやふやに

ある海外在住のプロジェクトマネージャーが体験した実際の話です。飲み会の帰り道、上司や同僚たちと進行中のプロジェクトの問題について解決策を探っていたところ、妙案が出て話が盛り上がりました。そこで、「明日、他のプロジェクトメンバーを集めて話し合いましょう」と言って別れました。

ところが、翌朝に会議を開いたものの、昨夜いたメンバーはみんな、妙案の詳細を明確に覚えていなかったのです。お酒が入っていたせいなのか、ところどころ記憶が抜けていました。このとき、「メモを取っていればよかった……」と、後悔しました。

2.会話をメモや文書で記録し、Evernoteなどで共有

このプロジェクトマネージャーは「この経験から、気になったことは何でも記録するようにしました。」と話していました。会議や打ち合わせといったビジネスの場面だけでなく、誰かと雑談している最中でも、そこから浮かんだアイデアをメモしたり、対話した内容を記録したりしたそうです。

また、ただ単に書き留めるだけでなく、関係者とその内容を共有するように工夫。その際に利用するツールはメモアプリの他、チャットツールや情報管理を一元化するEvernoteなどです。

3.コミュニケーションの文書化がナレッジマネジメントに役立つ

今回の事例では、プロジェクトの解決策について話し合っていましたが、導きだされた解決策はもちろんのこと、そこに至るまでのプロセスを共有することは、ナレッジマネジメントとして成り立ちます。

そう考えると、日常の中で発生する情報発信・収集、雑談から会議での対話まで、すべてのコミュニケーションを文書化し、ナレッジマネジメントの基となるものを取捨選択することは可能であり、とても意味のあることです。

リスク管理するうえでも、正確な情報を記録するだけでなく、発言者、同意者などの情報を集約し管理することが大切なのです。

4.文書化した情報は「記録のアーカイブ(保管庫)」で管理

「文書化して記録しておけば、記憶しなくても大丈夫」と脳が忘れてくれるのは、ある意味ありがたいことかもしれません。しかし、記録したこと自体を忘れたり、記録がどこにあるのか分からなくなってしまったりしては、本末転倒です。とはいえ「企画案のメモを作成したことは覚えているけれど、それをどこに保存したか忘れてしまった」「ナレッジマネジメントの担当者が不在、または担当者が変更になったため、必要な文書がどこにあるか分からない」などということは、ビジネスの場面でよくあるでしょう。

こうした状況を回避するためにも、文書化したものを必要な時にすぐ活用できる状態にしておくためにも、「記録のアーカイブ(保管庫)」をつくる必要があります。つまり、文書化された記録を、取り出しやすい“書庫”に収めておくことが、ナレッジマネジメントの要なのです。

記録したものが“迷子”にならないようにするためには、使用する人や用途に合わせた保管方法を検討し、それに基づいて整理する必要があります。組織内で使用する記録であれば、管理体制から整備する必要があります。最初に決めなくてはならないのは、記録管理責任者です。次に重要なのは、どのような基準で記録を整理していくのかなどの分類基準を決め、保存期間や廃棄の基準などを定めることです。

また、個人で使用する記録であれば、アナログとデジタルのどちらを使用するのか、兼用するのかといったツールの設定や、記録したものをどんな目的で使用するのか、どれくらいの頻度で見返すのかなど、用途に合わせて整理する方法を工夫することも必要でしょう。

5.「顧客共有型ナレッジマネジメント」ではチャットやLINEなどを活用

コミュニケーションの文書化は、社内だけでなく社外のコミュニケーションにおいても、リスク管理などで大変役立ちます。顧客とのやりとりをデータベース化する「顧客共有型ナレッジマネジメント」では、顧客とのメールやチャットのやりとりが文書化されています。

たとえば、フィンランドの社会保険庁や税務署の公式ホームページにはチャットツールが導入されており、営業時間内に利用することができます。電話による対応も行われていますが、個人の重要なやりとりはチャットの他、郵便によって書面でやりとりされ、かつ個人登録ページにその書面のPDFが保存されます。つまり、いつ誰とどんなやりとりがあったのかが、すべて文書化されているのです。

日本では電話が問い合わせの一般的なツールですが、最近は問い合わせ専用のメールやLINEを開設する企業なども増えてきました。受話器を片手に持ちながら、もう片方の手でメモを取っていると、聞き取り間違いや誤解、メモの漏れなどが生じ、後で「言った、言わない」という言い争いが生じることがあります。このように、記録に漏れがあることはリスク管理上、非常に危険です。

>>「チャットツール比較5選!社内コミュニケーションを活性化させる【無料トライアル有】」を読む

まとめ

日本では、すべてのやりとりを文書化し記録することは、これまでほとんど重要視されてきませんでした。「暗記する」ほうが、望ましいとされていたからなのでしょうか。

しかし、現在では、記憶するより「記録」して「共有」することにより、リスクヘッジや新しい価値観の創造につながると考えられるようになってきました。ナレッジマネジメントを実践することがどんどん重要視されていくことでしょう。

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