コピーライターに叩き込まれたコンセプトを考える大切さ

私はタイの国立大学で元コピーライターの当時50歳以上の日本人の方と仕事をしていました。
彼と話している時に良くコンセプトという言葉を聞きました。

「この講義のコンセプトって何?」
「この企画のコンセプトが分からんで」
「ちゃんとコンセプトから決めなあかんで」など

当時の私は広告やWEBの世界と縁がなかったので何を言っているのか良く分かりませんでした。調べてみると辞書的には「全体を貫く基本的な観点・考え方」でした。
要するに筋が通っていれば良いということでしょうか。当時の私は伝えたいこと、目標設定を先に決めて、ぶれないように伝えることだと理解しました。何かする時や伝える時にゴールを決めておかないと確かに何が言いたいのか分からなくなります。本記事ではコンセプトにの大切さについてご紹介します。

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広告業界でよく使うコンセプトとは?

広告業界で使うコンセプトには確かに「全体を貫く基本的な観点・考え方」という意味もあります。一番大事なものにこの三つあります。

  • 伝えたいこと/届けたいこと
  • 筋を通す
  • それを聞いただけで誰でも直感的に分かるぐらい端的に表現されていること

またコンセプトを伝えると、その伝えたいことが分かるだけではなく直感的にイメージ出来るこことも大切です。
例えば有名なi Pod のコピーは英語で「1000 songs in your pocket」です。一瞬でiPodのイメージが直感的に沸いてくるコピーです。これが「80GBのHDDを搭載しており音楽データを持ち運べます。」だとどうでしょうか。

言いたいことはわかりますがGBって何?HDDって何?と考えてしまう人もいるのではないでしょうか。伝えたいことは確かに同じなのですが、後者の表現では直感的なイメージができないのです。
つまり伝えたいことを直感的に理解できるところまで言葉で落とし込めてはじめてコンセプトという言葉になるのです。

伝える人なら誰にでも役に立つコンセプト

営業でも広告でも大学の講義でも何かを人に伝えるところは共通しています。日々の生活でも仕事でも人は何かを伝えなければならない場面を避けることはできません。

しかしWhat to do (何をするか)を伝えるだけでは不十分です。専門用語や良く分からない業界用語や言い回しで伝えても人には伝わりません。

それだけではなくHow to say(どう伝えるか?)まで意識してはじめて伝えたい価値を人に届けることができます。そのうえで筋の通った考えを提示して初めてコンセプトが完成します。

コンセプトを決めない事による失敗例

何を伝えたいのか分からない講義は誰も聞いてくれない

タイの国立大学では40人〜50人のタイ人学生を相手に講義をしていました。日本語の会話から日本史、日本地理、観光、文化まで教養科目も担当していました。
講義を聴いてもらえる時もあれば、何だか反応が悪い時もありました。反応が悪い時というのは今、振り返ってみると講義で自分が何を言いたいのか自分でもはっきり
していない時でした。例えば日本史の講義で「西暦1600年、徳川家康が天下をとった関ヶ原の戦い以降、行き場を失った西国の武士がタイのアユタヤに渡り傭兵として活躍した。そして・・・」という内容の話を延々としました。関ヶ原で仕事を失った武士の一部は仕事がなくなり海外に活路を見出したという歴史があるのです。スライドで写真なども多く盛り込んでみたのですが、あまり反応が良くありませんでした。

そんな時に同僚に
私:今日の日本史の講義は反応、悪かったんだよね。
同僚:それ講義のコンセプトがちゃんと出来てなかったんちゃう?
このように言われてしまいました。私は日本史の講義では歴史的な事実を詰め込みすぎていたため大学生も「だから何なの?」という反応をしたのだと思います。しっかりこの講義のコンセプトを決めて講義をするべきだったと今では思います。例えば講義のコンセプトを以下のようにすれば良かったかもしれません。
「タイと日本は昔から良いパートナーだった。」

このように講義で伝えたいコンセプトを決めたうえで史実で「スペインの無敵艦隊からアユタヤ朝の独立をタイ人と一緒に日本人が守った。そして・・・」と伝えれば、少し反応は違ったと思います。広告コピーのコンセプトとは少し違いますが、講義で伝えたい歴史的な意義を自分の中で落とし込めていなかったため、「だから何なの?」という反応が多かったのだと思います。歴史の講義でも史実だけでなく、その史実を通して何を伝えたいのかを明確にするべきでした。さらにタイ人が相手ですから言葉だけで直感的にイメージをしてもらうのが、難しいため伝えたいメッセージを分かりやすいイラストや写真とあわせて見せるべきでした。伝えたい部分がブレてしまうと何を伝えたいのかが分からなくなります。

新人CMプランナーにありがちなミス

新人CMプランナーの指導もしてきた元同僚のコピーライターによると、有名なタレントをとりあえず起用したいという企画を持ってくるプランナーが多くて困ったという話をしていました。とりあえず何か売りたい商品に有名なタレントを登場させておけば、良いだろうという考えです。確かにその時に勢いのある人気有名タレントを起用すればCMは見てもらえるかもしれません。しかし問題もあります。CMそのものは有名になっても、そのCMで商品そのものの魅力が伝えられず、タレントの良さも生かしきれず広告費だけかさんでしまうというケースです。CMの目的は商品を知ってもらうことで売上を伸ばすことです。しかしCMで出演していたタレントは覚えても商品は覚えられていなかったというケースも少なくありません。コンセプトが全くない状態で何となく有名タレントを起用してもCMはなかなかうまくいかないのです。

人を惹きつけるための伝えるコツ

何かを伝える時はコンセプトを考える

何かを伝える時はコンセプトを考えてからでなければ、単なる思考の垂れ流しになってしまいます。ブレーンストーミングでアイデアを出す時にはもちろん良いのですが広告を出す時や営業をする時に単なる自分の思考の垂れ流しを聞かされては顧客側も迷惑です。あらかじめ何かを伝える時はコンセプトを考える癖をつけてく必要があります。

  • What to say(何を伝えるか?)
  • How to say(どう伝えるか?)

この2つをしっかり考えて相手が直感的にわかる表現をすることが大切です。What to sayの部分だけでは十分ではありません。How to sayの部分で直感的に分かるような伝え方まで考えます。もちろん普段の仕事で毎回、名作コピーを考え伝えることは難しいですよね。なので相手にわかりやすく伝えようとする姿勢をもつことが大切です。商品やサービスを考える時にもコンセプトを考えることは役に立ちます。コンセプトが定まらないような商品に魅力を感じるでしょうか。

コンセプトとペルソナ設定を結びつける

コンセプトは相手ありきです。相手のことも考えたうえでコンセプトをつくります。How to sayの
部分は相手のことを考えなければ上手に伝えられないからです。営業や大学の講義では目の前に伝える人がいます。しかし、広告のように不特定多数に何かを伝える時はペルソナ設定も考えます。ペルソナとは簡単にいえば伝えたい人のモデルです。どんな人に売りたいかを明確にし具体的な人物像にまで掘り下げていきます。考えるべきペルソナ設定は以下の7つあります。

  • 年齢、性別、居住地
  • 職業
  • ライフスタイル
  • 性格
  • 人間関係
  • 収入・貯蓄性向
  • 趣味


ペルソナ設定でつくられた人物に何を伝えるべきか、何が必要なのか、どのように伝えれば興味を持ってくれるのかを考えます。ペルソナ設定は何を伝えるだけではなく、何かをつくる時にも役に立ちます。消費者目線に立ちどのような商品が必要とされているかを考えやすくなるからです。

一貫した哲学に人はついてくる

コンセプトを決めていくことで一貫したメッセージを伝えることができます。コンセプトを考える過程の中で方向性の違う考え方や無駄な部分が削ぎ落とせるからです。
そして人は一貫した哲学やストーリーに惹かれます。例えば1000円カットのQBハウスという床屋があります。キャッチコピーは「10分の身だしなみ」です。聞いただけで直感的にイメージできるコンセプトになっています。短時間で伸びた髪を整えたいという新しい需要を掘り起こしました。全国展開しており色々なところで見かけます。しかし、もしもQBハウスが「10分の身だしなみ」というコンセプトから外れて急に1時間かけて仕上げる本格的なカット・ヘアスタイリングコース(5000円)などをつくったらどうでしょうか。コンセプトとあきらかにに外れていて何だか一貫していません。これでは新しい顧客を獲得しようとして逆に既存の顧客すら離れていってしまいます。

人は迷走しているブランドや商品、人にはなかなかついていきません。一貫した哲学やストーリーに人は惹きつけられます。コンセプトの辞書的な意味は「全体を貫く基本的な考え」です。明確に伝えたいことや提供したいものを決めたら一貫した態度でいどむべきです。もしも新しいアイデアや商品を時代に合わせて展開するならコンセプトそのものを変えてしまいましょう。中途半端にコンセプトの中で矛盾するものがあると一貫性がなくってしまうからです。

コンセプトを考えるためのステップ

コンセプトを考えるためのステップをまとめます。

  • 何を伝えるのか?何を届けるのかを明確にする。
  • 伝えたい、届けたい相手のことを考える。特定の相手がいなければペルソナ設定をする。
  • 相手が直感的に分かるような表現を考える。
  • 一貫したコンセプトから外れない

何かを伝える時も商品を届ける時もコンセプトを明確にすると迷走しなくてすみます。デザインや動画、写真などクリエイティブな仕事から営業や普段のコミュニケーションでもコンセプトを考えることで迷わずに相手視点にも立ったメッセージや商品・サービスを届けることができます。

コンセプトが決まらない時は?

明確で一貫したコンセプトの重要性は理解したけど、コンセプトを組み立てるためのアイデアが
浮かばないと悩むこともあるのではないでしょうか。そこで簡単に実践できるアイデア発想法も併せてご紹介します。

バグリスト

不愉快なことを延々と紙に書き出します。10分ほどで結構です。すると色々な不満が浮かび上がってきます。この不満点がアイデアの宝庫です。
例えば寒いけどダウンジャケットはかさばる。このような不満からユニクロのライトダウンような小さくたためるダウンジャケットが生まれたのかもしれません。不満を解消できるメッセージや商品・サービスをつくれば人から喜ばれます。意外に同じような不満を感じている人は多いからです。相手が不満に思っているだろうなと思うことを書き出してみても良いでしょう。

ノートをとる

まめにアイデアのノートをとることもコンセプトをつくる時に役に立ちます。例えば自分のアイデア・他人のアイデア、気になった情報を何でもノートをとっておきます。そして記録したノートを読み返し、気づいたことをさらに書き加えます。このような地道な作業を繰り返すことで新たな発見があります。

ブレーンストーミングをする

ひとりでは良いアイデアが生まれなくても複数の人で考えれば新しいアイデアが生まれることも
あります。あえてコンセプトなどの枠組みを抜きに溢れてくる考えを伝え合い話し合うのがブレーンストーミングです。新しいアイデアが生まれるかもしれません。

ターゲットに直接聞く

ターゲットが誰なのか明確であれば、ターゲットに直接、不満や悩み希望を聞くのもコンセプトづくりに役に立ちます。相手の悩みや希望、リクエストを聞いて、そこから自分が何を提供できるのかを考えてコンセプトをつくれば的外れなメッセージや商品・サービスを届けずに済みます。私はタイの大学で歴史の講義が学生から面白くないと言われたので、思いきって直接どんな講義にして欲しいか聞いたことがあります。すると細かい日本の史実や固有名詞をたくさん覚えても仕方がないと言われました。そこで講義のコンセプトをつくりなおしました。それが以下の4つです。

  1. 何を伝える?:タイ人が日本のことを好きになってくれるエピーソード
  2. どう伝える?:固有名詞をできるだけ使わず覚えることを少なくして伝える
  3. 相手が直感的に分かる:伝えたいメッセージを出来る限り短い文章で端的に伝える
  4. 一貫したコンセプトから外れない:史実を織り交ぜつつもタイ人が日本を好きになってくれるテーマを集める。

コンセプトを明確にした後は私の日本史の話も少しは学生も聞いてくれるようになりました。

まとめ

コンセプトは「それを聞いただけで誰でも直感的に分かるぐらい端的に表現されていること」です。そしてコンセプトをつくるためには何をどう伝えるのかを相手の立場に立って決めます。そして主張を一貫させます。コンセプトが定まっていないと、なかなか人に伝えたいことが伝わりません。コンセプトを考えることで相手目線に立った一貫したメッセージや商品・サービスを考えることができるようになります。

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