日本人も知っておきたい移民解禁政策

今月から連載で「自由に生ききるためのリベラルアーツ」というテーマを書かせていただきます。

リベラルアーツは日本語では「教養」と訳されることが多いと思いますが「自由になる手段」という意味もあります。英語にするとLiberal(自由) arts(技術・技)の複数形です。国際化や働き方の多様化が進み社会の変化も激しい今だからこそ、自分の立ち位置や考え方の基礎となるリベラルアーツを連載のテーマにしました。時事問題や文化・地理・宗教・哲学・科学などジャンルを横断して自分自身を自由にする教養を身につけられる連載にしたいと思っています。

連載の第一回目は「移民」の話です。日常生活でも身近になる国際化についてご紹介します。

2019年4月に入国管理法改正で新しい在留資格「特定技能」が設けられます。日本政府は目先の人手不足のための措置だと言います。しかしいくつかの要件をクリアすれば外国人は日本で永住が可能になります。実質的に日本は移民解禁政策に舵をきったと言っても過言ではありません。

日本は今後も人手不足は必至で移民労働者を受け入れなければ立ちいかないから仕方ないという意見もあれば、欧州と同じように移民を受け入れたことで社会問題が起きるのではないかという不安もあるでしょう。

しかし賛成・反対は置いておいて日本人は今後、国内外で外国人と接する機会がますます増えるのではないでしょうか。私は北陸の石川県の出身ですが帰郷した時に南加賀の日帰り温泉に立ち寄りました。すると受付スタッフはネパール人・中国人・フィリピン人の多国籍人材で構成されていました。日本の田舎の温泉街ですら既に国際化の時代です。日本人は今後、外国人と今後、上手につきあっていくための教養や立ち振る舞いが必要になっていくでしょう。

入国管理法の改正の背景は人手不足

日本は現在、人手不足です。小売・外食・介護・建設・運輸など様々な分野で人手が足りていません。東京の都心のコンビニに行くと多くのスタッフが外国人です。今や珍しくありません。外食産業でも厨房で多くの外国人スタッフが働いています。日本人だけでは現場が機能しないところまで人手不足が進んでいるからです。

私は少しだけ外国人の留学生支援の財団法人に在籍していたことがあります。そこで日本を代表する大手小売チェーン店や外食チェーンでも人手不足でアルバイトもなかなか集まらないという話を聞きました。

日本の生産人口は少子高齢化で今後ますます減っていきます。日本政府は年金受給を75歳から受給できるようにする選択肢を提示したり、男女共同参画社会をさけんだりするなど老若男女を総動員して働くように促しています。

その一方で外国人留学生や技能実習生を実質的な労働力として受け入れる政策をとってきました。
しかし外国人留学生や技能実習生は本来、勉強や技能を学びにきているという名目で日本にきています。日本の現場は留学生をアルバイトとして、技能実習生を仕事を学ぶ見習いとして事実上、労働力としてきました。

今回の入国管理法の改正では正面から外国人労働者を受け入れる方向に舵をきったわけです。

新設された在留資格の特定技能とは?

入国管理法の改正で新しく新設される在留資格が「特定技能」です。この「特定技能」には2種類あります。この2つについて解説します。

特定技能1号は最長5年

特定技能1号は最長5年、日本に在留することができます。特定技能1号の資格を得るためには技能実習生ならば3年以上の実習経験があれば無試験で特定技能1号の資格を取得できます。実習生以外も技能試験と日常会話程度の日本語試験に合格すれば特定技能1号の資格を取得できます。

特定技能の対象は14業種です。

介護職・外食業・建設業・ビルクリーニング業・農業・食料品製造業・宿泊業・素形材産業・造船/舶用工業・漁業・自動車整備業・産業機械製造業・電気/電子情報関連産業・航空業です。

これらの産業でも特に単純労働とされる業務です。

特定技能2号は永住可能

特定技能2号は特定技能1号の中から技能試験に合格したら得られる在留資格です。特定技能2号になると配偶者・子の帯同が可能になります。

そして特定技能2号は「永住可能」なのです。日本以外のアジア諸国でも人手不足から移民労働者を受け入れていますが永住は認めていません。つまり日本は他のアジア諸国に先駆け実質的に移民労働者の永住を制度上可能にするという大胆な政策をとったと言っても過言ではありません。

世界中で需要が増す外国人労働者

世界中で移民労働者の需要は高まっています。シンガポール・香港・台湾・韓国などのアジア諸国でも外国人の労働力によって支えられている国は珍しくありません。もちろんアジアだけではなく欧州でもドイツではトルコ系移民、フランスではアフリカ系移民など移民労働者を受け入れてきました。中東でも極端なところではアラブ首長国連邦のドバイは人口の9割が外国人労働者です。

現在、世界各国が外国人労働者の奪いあいにをしているという見方もできます。

日本の人手不足の業界で働く外国人労働者

私は昔、外国人留学生を支援する財団法人と関わりがあったため日本で働いている外国人に対して何度かインタビューをしたことがあります。中国・台湾・タイ・ミャンマー・ベトナム・カンボジア・バングラディッシュなどの様々な国の外国人に話を聞きました。

「日本に来て良かった?」と。

日本に感謝している外国人

留学して日本に感謝しているという外国人がいました。彼はベトナム人で最初は学校に通いながらアルバイトで生計を立てていました。食品工場で夜中にバイトをして翌朝、学校に行くという、ほとんど寝る時間もない過酷な生活をしながら学業に励み都内の一流理系国立大学に入学して大学院で修士号までとった秀才でした。

彼は日本人の奥さんと結婚して最終的にはコンサルティングの仕事に就いたそうです。日本語も非常にうまく日本語で話しているのに私よりも弁のたつ頭の良い方でした。

日本では最初、苦労したそうですが毎日、必死に勉強しハングリー精神で苦しい時代を乗り切りました。日本人よりも日本人らしい真面目なベトナム人で日本のきめ細やかなところが大好きなのだそうです。

彼によればベトナムは社会主義国で国内の教育機関の質があまり良くないそうで、日本に来て苦労したが留学してベトナム国内にいるよりも、良い生活ができるようになったと喜んでいました。
私は正直、彼を見て新興国のハングリーな精神を持つエリートの頭の良さに驚きました

彼のように日本にやって来てキャリアを積み日本で幸せに暮らしている外国人もたくさんいます。

日本を嫌いになる外国人

日本を嫌いになる外国人もいます。例えば技能実習先で最低賃金以下の劣悪な労働環境に晒されたり人権無視のような扱いを受けたとするケースです。

またベトナムやネパールなどでは日本の留学斡旋業者が「日本で働けば毎月30万円稼げてしかも留学先で勉強もできる」という甘言で現地の若者に学費や渡航費を借金させてまで、日本に連れてきて働かせる悪質なブローカー行為をしているところもあります。

しかし実際はあまりに劣悪な環境と低賃金で働かされる留学生アルバイトや技能実習生も多く、中には失踪する人も珍しくありません。そして借金だけ残ってしまったが母国に帰れずに不法滞在をしてしまう外国人もいます。夢と希望を持って日本に来たのに絶望してしまう外国人もいるのです。

私はとある夜中に稼働している食品工場に昔、労働の実態を調べるため中国人留学生アルバイトと一緒に働いてみたことがあります。私は夜中にずっと同じ作業を繰り返し筋肉痛になりました。留学生アルバイトの人は帰宅したら、そのまま日中は日本語学校に通わなければなりません。中国人留学生のアルバイトは

「こんなはずじゃなかった・・・。これじゃ中国にいた方がよかったです。」

と言っていました。

私は正直、日本人にすら人気のないきつい仕事に人手不足だからといって外国人で補うのはどうなのだろうとも、当時、思いました。このように日本に失望してしまった外国人もたくさんいるのです。

これから人口減少で逆風に晒される日本

日本は今後、人口減少で逆風に晒されていくのではないでしょうか。生産人口も減り消費も先細りしていきます。労働力も足りなければ国内の需要も期待できません。

世界三大投資家のひとり、ジム・ロジャーズは昔から日本は移民を受け入れないと滅びの一途を辿ると言っていました。現在も外国人労働者に頼る人手不足の業界は数多くあります。明日いきなり外国人がいなくなったら立ちゆかなくなる現場が日本にはたくさんあるでしょう。

日本政府も人口減少と生産人口の先細りから、いよいよ移民受け入れに舵をきりました。

訪日外国人観光客は2018年末には年間3000万人を超えたことが話題になっています。インバウンドのマーケットは現在、日本で拡大し続けています。

そして、外国人労働者も入国管理法の改正で、今後、日本人と同じ職場の働き手として一緒になることも珍しくなくなるでしょう。

いまや、日本は消費でも労働・生産でも外国人と関わりあうことを避けられない時代になりました。

日本人は余力がある今だからこそ世界に目を向けるべき

日本人は余力がある今だからこそ世界に目を向けなければなりません。世界に目を向けるというと大げさですが、今後、隣人になるであろう外国人のことをもっと知るべきではないでしょうか。世界に目を向けるといっても、あなたの普段の日常や家の近所に世界はあります。

日本に来て良かったと思っている外国人もいれば、日本に失望してしまっている外国人もいます。
色々な外国人がいますが今後、多くの日本人は何らかの形で外国人と交流することが日常になるのではないでしょうか。

また国内だけではなくビジネス上、海外に活路を見出さなければならないこともあるでしょう。
国内外で本当の意味で外国人とコミュニケーションがとれなければ困る時代に入りつつあります。

日本人が学ぶべきリベラルアーツ

これから国内外で交流することが当たり前になる外国人と接するうえで、本当の意味で必要になるのはリベラルアーツです。リベラルアーツとは教養のことです。扱う範囲は幅広く

語学・宗教・地理・経済・歴史など多岐にわたります。

文化・宗教・言語・価値観の異なる外国人と交流するためには最低限の教養が必要です。

私がリベラルアーツを知らずにかいた恥の数々

私は正直なところ外国人と接する中で大恥をかいた経験がたくさんあります。

タイの国立大学にいた頃はコピー室のイスラム教徒のスタッフが決まった時間にメッカの方にお祈りをしているとも知らずに、部屋にズケズケと入っていって他のスタッフから怒られた経験があります。

日本で同僚のバングラデシュ人とランチでカレー屋にいきビーフカレーをすすめたら、「オレ、イスラム教徒ダカラ」と言われ、やはり気まずい思いをしました。中学の地理でイスラム教徒は牛肉を食べられないと習っていたのに、この有様です。イスラム教徒向けのハラール料理をすすめるべきだったと後悔しました。

タイの映画館では映画が始まる前に国王を讃えるため全員、一度、席から立たなければならないのですが知らずに座ったままで隣に座っていたタイ人の同僚から、ちゃんと立つようにと注意されたこともあります。

外国人の友人と日本の神社に行った時に神社の作法を教えて欲しいと言われ、あまり詳しく答えられずに恥ずかしい思いをしたこともあります。鳥居をくぐるときは中央は通らないなど作法を後から知りました。

タイ人のアニメが好きな元教え子から日本の戦国武将や新選組について詳しく教えて欲しいと言われた時も「ちょっとまっててね。」と言ってGoogle検索でこっそり聞かれた質問を調べたこともあります。

私は外国人と接する機会がタイに住んでいた時も日本でも多かったのですが、教養がなくて恥をかいてしまったり相手を不愉快にしてしまったことも少なくありませんでした。今後、多くの日本人も職場の同僚として、時にはビジネス上の顧客として外国人に接する機会が増えていくことは避けられないのではないでしょうか。

リベラルアーツを学ぼう

日本人もこれからは最低限のリベラルアーツを学ぶべき時代です。日本政府は移民解禁政策に舵をきりました。インバウンドのマーケットも現在、拡大しています。そして人によっては日本から海外にいかなければいけないこともあるかもしれません。

国内外で外国人との交流が増えていく時代だからこそリベラルアーツを学ぶべき時代です。リベラルアーツを学ぶことで、これから出会う隣人とうまくコミュニケーションをとり良い関係を築くことができます。

まとめ

日本は実質的に人手不足から移民受け入れ政策に舵をきりました。そして訪日外国人観光客も最近は爆発的に増えています。一方で日本は今後生産人口も減り需要も先細る時代に入ろうとしています。だからこそ外国人との交流はいろいろなシーンで避けられなくなります。外国人と良い関係を築くためにリベラルアーツを学びましょう。

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