XRテクノロジーの分野で発奮するアイデアクラウド・チームマネージャーに独自の開発体制について訊く

名古屋市中区に本社を構えるアイデアクラウド。スタートはWeb制作会社なのですが、現在の主力事業はXR(VR、AR、MRなどの技術を一括りにしてXRと表現します)など、動画系の新しいテクノロジーを使った事業。常に新しいテクノロジーの早期導入を意識して事業を展開していると語られるその現場の開発に興味を覚え、チームマネージャーの長屋さんにお話を伺いました。

 

長屋さんプロフィール:
株式会社アイデアクラウド デベロッパー/チームマネージャー

大学卒業後、飲食店スタッフを経てWebデザイナーを目指すが、アイデアクラウド入社時にプログラマーの道へ。
入社後はWeb開発のほか、プロジェクションマッピングや、インタラクティブコンテンツ、VRなどの先端テクノロジー事業に携わる。
現在は、マネージャとしてチームマネジメントを行なっている。

XR事業に踏み出すまで

編集部:

まず御社の事業についてのご紹介をいただけますか?

長屋:

当社はあくまでWeb制作会社として始まっている会社ですから、受託案件も引き続きあります。その一方で、ARやVRなどXRテクノロジーに力を入れ始めているということになります。

編集部:

独自アプリもリリースされているようですが

長屋:

PERS ARというアプリは、Googleが開発したTangoを採用した空間検知型ARです。

現実の空間を測定して、深度認識を行ないスペースを把握し、従来までのARと異なりマーカーによるオブジェクト描画・設置ではなく、平面となる場所を判定して、そこにテーブルやイス・ベットをはじめとしたさまざまな3Dオブジェクトを自由に配置することが可能となるすぐれものです。

空間に対してオブジェクトが設置されているため、端末を実際に近づけたり回り込んだりすることで、オブジェクトの大きさや角度が変わり、あたかも現実世界に設置したような体験を提供することができます。

Tangoは、米グーグル(Google)内にある、先端テクノロジーの研究開発部門「ATAP」(Advanced Technology And Projects)が取り組んでいるプロジェクトです。モバイル端末に3Dの空間把握能力を持たせ、活用できるようにすることが目的とされています。

編集部:

それはすごい! イベントやショールーム施設などで活躍しそうですね。

長屋:

はい、おかげさまで問い合わせも多くいただいています。弊社は現在特にAR事業に注力しているのですが、この分野ではトップランナーであろうという会社全体の意思でもあります。これまで、プロジェクションマッピングとVRに関しては東京に遅れをとってしまったという感覚がどうしてもありますから。

PERS ARについて
GoogleのTango自体は、Google側での開発が終了しているため、現在、それに代わる、Googleの「AR Core」とAppleの「AR Kit」という技術を使ったアプリ 「Okeru AR」を東京支社で開発し、既にリリースしています。
■Okeru AR
https://a-r-tech.net/okeruar/
■デモ動画
https://www.youtube.com/watch?v=V_W4cd0LhNs&feature=youtu.be

編集部:

私もいま活動拠点は東京なので、名古屋と東京におけるビジネスでの温度差は実感しています。

長屋:

感覚的に、新技術の場合は東京で一通り行き渡ったなという段階でようやく名古屋で話題にできるというサイクルかと思います。

それでも、新技術は競合が少ないですし、早く取り組めば取り組むほど会社のブランドとしても強くなります。プロジェクションマッピングの場合、名古屋は一周遅れで取りかかったと思っています。VRは半周遅れです。

そんな状況を目の当たりしして、ARの分野ではNEWテクノロジーをいち早く取り入れ、名古屋にいながらも東京のスピード感で仕事できるようにしていきたい、というのが現在の姿勢です。

編集部:

そのスピード感というのは、まさに今回お話をお聞きしたい開発スタイルにつながっていくと思います

長屋:

さすが、いい流れですね〜

さまざまな人材が集う会社

長屋:

その前に少し、弊社の風土みたいなところもお話したほうがよいかなと思います。

編集部:

それはぜひ。

長屋:

弊社はクリエイティブ企業としては少し珍しく、社員の退社時刻が早い。18時頃には大半の社員が退社し、22時を過ぎるとほぼ誰もいません。また、社員には既婚女性が多く、ご家族やお子さんがいるわけなので早く家に帰りたい人が多い。

編集部:

これまでお話を伺ってきている他の会社さんでも、「退社時間が早い」とおっしゃるところが多いです。生産性と退社時間は比例しますね。

長屋:

つまり、退社時間を早くするということは、社員一人ひとりの生産性が高くないと実現できないわけですからね。

もうひとつ、時間で稼ぐのではなく、作ったモノの価値で社会に認められる状態、つまりブランド化するということですが、自分たちの価値を上げていく仕事をしていく必要があります。
その点で、新技術は収益性が高いことが既に実感できていますので、アイデアクラウドの戦略としてそこに力を入れていくということです。

編集部:

XR事業というと、2020年東京オリンピックに関しての需要もまだまだ読み切れない分野ですしね。それはともかく、特徴的な会社カルチャーもありますか?

長屋:

どっぷり中に入っていると、あまりわからないところもありますが、やはりベンチャーなんで中途入社者ばかりの企業ですから、だからこその文化はできているかなと思います。

もったいつけずに言うと、ユニークな人材が多いと思います。

編集部:

お、それはどういうことなのでしょう?

長屋:

これは既にクライアントさんにも公開している情報なので、言っちゃいますが、私自身ももともとは「蕎麦屋」だったんですよ。実は、弊社は飲食事業からのキャリアチェンジ組が多いですね。

編集部:

それは驚きです! では、長屋さんは相当勉強されたということなんですね。

長屋:

実は、転職時の記憶を遡ると、一番最初は入社を断られているんですよ。

最先端ならではの面白さ

編集部:

思わぬ爆弾発言が飛び出しましたが、本題に進めましょうか

長屋:

はい、開発スタイルの話題に。AR事業などの注力分野に限って言うと、チームとしては3人から5人で構成しています。言ってしまえば、「なんちゃってアジャイル」だとは思いますね。

編集部:

具体的なツールってどんなものをお使いなんですか

長屋:

コミュニケーションは、チャットワークですね。タスク管理、というかチケット管理は、独自開発したTrello クローンを使っています。

編集部:

独自開発?

長屋:

もともとTrelloを使っていたのですが、「これはいらないな」というものが増えてきて、だったら自分たちの使いやすいものを作ってしまおう、となって、いまではその独自のTrello風ツールをメインに使うようになったということです。

編集部:

コード管理は何かこれと決めていますか

長屋:

Git だったりまちまちです。

編集部:

チャットワークのタスク機能は使われていますか

長屋:

使うこともあります。その場合、いわゆるかんばん管理とは別の状態で生まれるタスクというルールが自然とできているのだと思います。

編集部:

ほかには?

長屋:

アイデアクラウドでは作業効率化を常に追い求めていて、「これが上手くできたらいいのに・・」ということを日々改善しながら仕事をしています。

作業環境で言うと、まぁ珍しいことではないですが、ディスプレイをデスクに2台置き、デュアルディスプレイにして作業してもらっています。作業はメインディスプレイ、原稿や管理ツールなどはサブディスプレイにするなど、各人の使い方はいろいろのようです。

ただ、そういう思考で仕事をしていれば、課題提案をする、それをどう解決するか考える、試してみる、解決を図るというグッドサイクルが生まれます。先ほどのお話ではないですが、そういうカルチャーが育まれて入るかと思っています。

編集部:

ところで、お蕎麦を打っていたという話ももっとお伺いしたい気がしますが、さすがにそれはちょっと趣旨に反するので、開発面で困っていることをお聞きしたいです

長屋:

困っていることというと、「採用」でしょうか。弊社のプロダクトは基本的にすべて内製化しています。
スピード重視という上でも優秀な仲間が増えていくのは嬉しいです。

いま取り組んでいるものは、いま世の中に無いものです。
日本語のドキュメントやサンプルは存在しない状態から、自分たちでコードを書き上げなければなりません。

やったことがないからできないのではなく、できないかもしれないがやってみる気概のある方たちと出会いたいですね。

編集部:

飲食事業からの新しい仲間も歓迎だ、と。

長屋:

はい、もちろん。

編集部:

最後に、もともとWeb制作会社だからこそいまに引き継がれているスタイルってなにかありますか

長屋:

う〜ん、それはつまりエクセルで管理してます、みたいな話ですかね? 受託案件ではやはりいまでもそれが通用していますね。

編集部:

やっぱり。今日はありがとうございました。

取材を終えて

未来を創る仕事、と言い切ること。
新しいものづくりをする困難さは、まさにいま私たちも直面しているところですので、お話の中でいくつも共感ポイントがありました。

実はそのために、随分脱線しながらのお話になりましたが、紙面にはその脱線の様子は割愛しております。

TeamHackersでは、これから数回にわたってスクラム開発事例を個社インタビューを通してご紹介していきます。引き続き、ご購読をよろしくお願いいたします。

事例に学ぶ

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