個人事業主(フリーランス)になるのは誰のため?

働き方改革関連法案が施行されて間もなく半年。来年のオリンピック開催に向けて交通緩和を目的に、今年7月から9月にかけてテレワーク(リモートワーク)を推進する「テレワーク・デイズ」も開催され、改めて働き方に注目が集まっています。そんな中、健康機器メーカーのタニタが2017年に新しい働き方の制度として導入した「個人事業主」制度が話題に。社員が「個人事業主」として独立するのを支援するという取り組みですが、働き方改革の一環として、働くほうにメリットとなる新しい取り組みである一方で、「脱法手法」と非難の対象にもなっているようです。個人事業主(フリーランス)は、時間や場所を選ばず、ワークライフバランスも実現できる働き方として、憧れる人も多いはず。なぜそれが脱法なのか? そこで、個人事業主(フリーランス)という働き方について改めて考えてみたいと思います。

タニタで話題の「個人事業主」制度とは?

タニタが「個人事業主」制度を導入したのは2017年。タニタ社員の中で希望者を、会社との雇用関係を終了したうえで、元々タニタで行っていた業務を委託し、社員として得ていた報酬を支払うというものです。働く時間や業務量、プライベートの時間などをすべて働き手が自分で調整できるようにするのを目的として導入されました。働き方改革=残業時間ではなく、働きたい人は思う存分働けて、適切な報酬を受け取れるようにしたいと社長が考えて「社員の個人事業主化」に踏み切ったといいます。この制度に踏み切った人の平均収入は30%ほどアップ。3年目で30名弱の社員が独立したそうです。個人側に十分なメリットのある、まさに働き方改革の先端を行く取り組みとも思える制度。なぜ脱法なのでしょうか。

詳細な法的観点は専門的で難しいので割愛しますが、要は業務委託契約であるにもかかわらず、働き方が労働者と変わらなければ、労基法違反となってしまうということ。建前上は時間や場所が自由になっても、業務内容や報酬、指揮系統そして働き方までもが社員時代と同じだと違法になってしまうのです。

そうでなくても、この制度がリリースされた時、SNSなどでは「非常によい取り組み」と評価された一方で、「業績が悪化したら契約が切られる」「ブラック企業がよく使う脱法行為」といった批判的なコメントも目立ったそう。

社員か個人事業主(フリーランス)か。最近では、ランサーズの「#採用をやめよう」という広告も話題になりましたが、働く側にあらゆる自由が認められているという良い面と、会社側の責任逃れといった悪い面の二極化した意見に別れる特徴があるようです。

個人事業主(フリーランス)のリスクとメリット

ある冠婚葬祭企業が7000名を超える従業員の中35名しか正社員がいないと話題になったのも記憶に新しいかと思います。業務委託ながら、会議の参加が必須であったり、ノルマがあったり、異動まで発生したりという実態があったにも関わらず、不当に業務委託が切られたと訴訟になりました。このような労働法の適用を免れるために、業務委託契約を乱用する企業があるのも事実。業務委託であれば、企業側は労働法に基づいて働く側の権利を守る必要がありません。企業のメリットだけを考えた、良くない業務委託パターンの典型といえるでしょう。

フリーランスのひとりブラック企業化

実際に、私も個人事業主(フリーランス)として働き始めてから、クライアントから無理な依頼を受けたことが何度かありました。社員であれば残業に規制があったり、残業代を払ったりの義務がありますが、業務委託であれば夜19時に翌朝納期の仕事を依頼することも可能(当然、受けるか受けないかの選択は委託されるほうにも当然ありますが)。正社員であれば解雇規制があるのでクビになることは基本的にありませんが、業務委託であれば毎月頼んでいた仕事を来月から止めるということも簡単にできるでしょう。「社畜」という言葉がなくなりつつある昨今、フリーランスのひとりブラック企業化が問題になりつつあるのも事実です。個人事業主(フリーランス)になるのはそれなりのリスクが伴うということは忘れてはいけません。

自由とリスクは紙一重

一方で、タニタが目指しているように、働く側が働く場所や時間、そして業務量などを自由に選べるというメリットも明確にあります。自由とリスクは紙一重。個人事業主(フリーランス)を選ぶ際は、このようなリスクとメリットをきちんと理解するのがとても重要であることを、改めて強調させていただきたいと思います。

個人事業主(フリーランス)に向いている人ってこんな人

ここまで書くと、個人事業主(フリーランス)なんてとんでもない。正社員がやはり一番安定しているから良いのでは?という気持ちになってしまうかもしれません。しかし、そうではありません!私は現在、個人事業主(フリーランス)として働いて本当に良かったと思っています。何がお伝えしたいかというと、個人事業主(フリーランス)に向いている人とそうでない人がいるということです。

個人事業主(フリーランス)に向いている人

  • 働く時間(または日にちや期間など)に制約のある人
  • 通勤しにくいエリアに住んでいる人
  • ひとりでいる(行動する)のが好きな人
  • 組織や決まり事が苦手な人
  • 周りから指示されるのが嫌い(苦手)

このようなタイプの人は、フリーランスになるとその心地よさにはまってしまうことでしょう。一方で、個人事業主(フリーランス)に向いていない人として、上記の逆のタイプ以外で「仕事がとにかく嫌いな人」や「決められたことを粛々としたい人」が挙げられます。「仕事が嫌いな人」は、オフィスに行かないと仕事をしないという意味で嫌いな人としています。家にいると仕事をする気になれないなど、なんとなく男性に多い傾向のように思います。

なぜ個人事業主(フリーランス)を選択するのか? という問いに、時間や場所、やりたい仕事、お金などあらゆる自由のためと考えがちだと思いますが、時間や場所はともかく、仕事やお金が正社員より良い条件になるとは限りません。「働き方も仕事も自分のやり方や裁量でどんどん進めていきたい」というタイプには、個人事業主(フリーランス)はピッタリとハマると思いますが、そうではない場合はリスクのほうが大きくなってしまう場合もあるので、自分に合うかどうか見極める必要がありそうです。

まとめ

タニタの「脱法手法」の記事を読んだ時、この記事のせいで個人事業主(フリーランス)は良くない、安定しない、ブラックという風潮になってしまったら嫌だなというのが一番はじめに思ったことです。タニタの考える個人事業主(フリーランス)のあり方は決して悪い側面しかないわけではありません。実際に数十人の人がその道を選んでいるという実績もあります。私自身、夫の転勤というやむを得ない理由で正社員という雇用契約を終了せざるを得なくなった人間にとっては、個人事業主(フリーランス)こそ「この手があったか!」という救世主のような働き方でした。この道を見つけたおかげで、地球上どこでも仕事ができるという自信が持てました。

もちろん、正社員などの直接雇用には直接雇用の良さがあり、その形態こそがぴったりハマる人も多いと思います。正社員が良くて個人事業主が悪い(またはその逆)といった二極的に結論を出すのではなく、自分の性格や働き方のタイプ、プライベートで置かれている環境などを含めて、どういう働き方が自分に合っているかという視点で考えてみてはいかがでしょうか。これだけ多様化が進んでいる働き方ですので、きっと自分に合うスタイルが見つけられると思います。

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