日本企業の労働生産性がいつまでたっても上がらない6つの理由

日本の労働生産性が、先進7カ国で20年以上も最下位であることは、有名な話です。2030年の日本は15~64歳の人口が6740万人になるとも言われ、労働人口の減少がわかりきっている現在、労働生産性を高めることは国全体の急務な課題になっています。

労働生産性が高まらないのは日本らしさ?

なぜ、日本はこうも労働生産性が低いのでしょうか?
いろいろな意見がありますが、かたや日本らしさ、という観点もあります。

日本らしさに紐づくポイントを挙げてみます。

繊細さか、完璧主義か

世界中から見た日本の文化の良さ、その一つは繊細さです。

京都の庭園などを見ると、その繊細な手入れに同じ日本人でも思わず見とれてしまいます。また職人による匠の技の数々も、繊細さから思わずため息が出ます。
料理の味の繊細さも抜群ですね。外国に遊びに行くととても楽しいですが、どうしても料理だけは日本で食べたい、と思ってしまいます。

繊細さは日本の強みです。仕事においてそれを失う必要はありません。

かたや、その繊細さと背中合わせになっていて、労働生産性の足枷になっているもの、それが完璧主義です。完璧主義とは、過剰でストイックな精神状態で仕事をし、なかなか出来栄えに納得できないので、いつまで経っても仕事の終わりを迎えられない。そんな状況を生みがちです。思いの強さから、仕事の優先度を見誤ることも多々あります。

繊細さは大いに強みになりますが、完璧主義はかなり効率が悪いのです。

「神は細部に宿る」という言葉がありますが、あくまで仕事の繊細さを指していると考えるべきです。ゆとりを持って物事を捉えて、場合によっては85点でも良しとし、良い意味での妥協を覚えることも大事です。完璧主義は心の病にもつながるケースがありますので、ぜひ気を付けたいところです。

2.組織が重たい、決済が遅い

これこそ長い間ピラミッド型組織であった日本ならでは、と言えます。

昨今、ピラミッド型組織観はかなり崩れてきましたが、まだまだ決済に時間がかかる会社は多く存在します。

まずは主任に相談をして、資料を作成し、課長に依頼して承認を貰い、次長、部長……と続いて回り、役員あたりでやり直し……なんてことになると、非効率的かつモチベーションも下がります。そのうち「どうせ通らないんだから……」と、決済が必要な挑戦的な仕事を避けるようにもなります。
その割に上からの指令は、常に緊急案件扱いで、緊急スクランブルをしています。仕事の手を止めてでもそちらに対応しなくてはいけない。なぜか、そんなときばっかり決済も早い。となると、従業員は少しずつ、アホらしくて考えることを止めていくでしょう。

考えることを止めていくと、当然ながら労働生産性はどんどんと下がっていきます。仕事もいわゆるお役所的になっていきます。

決裁にスピード感がある組織は、すぐに案件を行動に移せるので、初動に帯びていた熱がそのまま仕事に反映されます。モチベーションは高く維持され、パフォーマンスもよく、労働生産性も高まります。
社内から挑戦者を多数輩出できる組織になる可能性もあるでしょう。

せめて上司の権限と判断基準を明確にし、少しでも決裁者を減らす工夫は必要です。

3.やけに家族的

飲みニケーションであったり、全員が輪になって座って行う会議であったりと、日本の組織はどこか家族的な空気を求める傾向があります。

友達同士で家族的な関係を築くことは悪くありませんが、仕事においてはそこまで必要性を感じません。ときに組織を家族的にしようとすることは、上司のエゴであったりすることもあります。今どきの子は、飲みニケーションに対するアレルギーも多いものです。内心、ついていけないのではないでしょうか。

労働生産性を高めるためには、一度見直した方がいい文化と言えます。

4.管理が厳しい、歯向かえない上司が存在する

このテーマは決して日本だけとは限りませんが、日本の会社は従業員の行動に対しての管理がとても厳しい、そんな印象を持っている人は多いのではないでしょうか。

上司になると部下の行動が気になって仕方ありません。
「はみだしていないか」「自分にとって不利益な行動をしていないか」「自分の悪口を言ってないか」「サボってないか」…

会社によっては、営業パーソンの行動をGPSで監視したりしているようです。
サボっていた営業をGPSで上司が発見し、問い詰めて追い詰め、辞めさせたという話もあります。知人の会社の話です。そのことを知った周囲には、サボってもいないのに「次は自分ではないか」という恐怖心が生まれ、モチベーションは下がるわ、残業して仕事をしているフリをするわで、労働生産性がガタ落ちだったそうです。

また、自分の価値観に無い行動をとる部下を不遇にして、会社を辞めさせようとする上司もいると聞きます。個性的な新卒が入社してきたら上司が入社式の当日に退職しろと言い、実際にその新卒は1カ月後に辞めて行った、と言います。これもまた、先ほどと同じ理由で、会社全体の労働生産性はガタ落ちとなったようです。

ザ・ブルーハーツの歌では、自分を制約しようとする大人に「ホントはボクのことがうらやましいんだろ?」と歌っていますが、このような文化が残っているようでは労働生産性を高めるなんてことは、まだまだ遠い夢の話です。

5.おもてなしか、過剰なサービスか

日本のサービスは海外と比較して過剰過ぎないか、これでは労働生産性が高まらないのではないか、というような記事をよく目にします。特に宿泊業や飲食業のようなサービス業がこれに当てはまるようです。

筆者としては旅館の従業員の方々が実践しているおもてなしは、心から美しく思いますし、感謝の気持ちも生まれます。失いたくない日本の文化です。

しかし、物事すべてがお客様ファースト過ぎるのではないか、という記事には共感をします。

例えば、製作に5時間かかる商品を夕方の6時に業者に依頼して、「急ぎだから、明日の朝までに納品しておいてね」と告げて家に帰る会社があるとします(実際、ありますね)。すると、業者には5時間の残業が自動的に決定するのです。それに対して納期の相談ができないというのも、また不思議な文化です。「オレは客なんだから、サービスを提供する側はどんな我儘も言うことを聞くべき」と我儘言いたい放題の人もいます。サービスを提供する側は、やっぱりその我儘を無償で聞いています。

これが正しいお客様ファーストなのでしょうか?

お客様は神様かもしれませんが、サービスを提供する側の労働生産性を低める権利はありません。その考えを定番にし、原則ブレないことが必要です(無論、例外もあります)。

おもてなしは失いたくありませんが、お客様ファースト過ぎる文化が労働生産性を低めているという意見は一理あります。せめて、サービスを提供する側が主張をしてもおかしくない文化にはしたいものです。

6.現場は意識改革を始めた、が、管理職が変わっていなかった

上司が残業をしている部下を「あいつは頑張っている」と評価したり、効率よく働いている部下に「もっと頑張れ」と言ってしまったり、残業を前提とした仕事を与えていたり。これでは、幸せを目指す部下は全く報われません。

労働生産性を高めるために最も大切なこと、それは管理職の意識改革ではないでしょうか。現場をまとめる管理職こそ、マネジメントの意識を変え、視野を広げて能力を高める必要があります。

上司が変わらなくては、実際には何も変わりません。

「労働生産性を高める」についてのまとめ

労働生産性を高めようとせず、まずは悪しき日本の働き方の矛盾を減らし、個々の強みや能力を効率よく組み合わせて、結果を出すことに注力する。
その結果が、労働生産性の高まりであり、労働分配率の高まり。しいてはプライベートの充実であり、満足度の高まり。
そう考えると、労働生産性が高まっている状態が幸せでないわけがない、そう思いませんか?

効果的なマネジメントの処方箋

組織の潜在能力を引き出してビジネスを成功に導くためには、タスクや時間、そして人に対して、適切なマネジメント(管理)を実践することが必要不可欠です。
しっかりとした方法論に則って、効果的なマネジメントを実現させましょう。

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