『グレイテスト・ショーマン』にみるビジネスとチームビルディングの成功への処方箋

『レ・ミゼラブル』」『ラ・ラ・ランド』といったミュージカル映画が注目され、話題を集めています。
日本においていえば、近年、世代を超えた人気のある歌手の存在が乏しく、皆が楽しめるヒット曲がなかなか出ない状況が続いています。そんな風潮のなか、ミュージカル映画は、世代を問わずにストーリーと曲で映画を楽しめるので、違う世代同士でも感動を分かち合あえるところが大変魅力的なのでしょう。ここでは、『X-メン』(00)などの映画スターであると同時に、トニー賞に輝くミュージカル俳優としても活躍するヒュー・ジャックマン主演『グレイテスト・ショーマン』にみるビジネスとチームビルディングの成功への手法についてご紹介していきます。

あらすじ

貧しい生まれながら、夢を持ち、想像力豊かなバーナム。幼なじみの名家の令嬢チャリティと結婚し、妻子を幸せにするため努力と挑戦を重ねていきます。バーナムはやがて、生まれ持った個性から、差別を受け、日陰に生きてきた人々を集めて、誰も見たことがなかったサーカスを作り上げ、大きな成功をつかみます。しかし、そんな彼の人生を、激動が待ち受けていました。数々の波乱のなか、彼はどう生きていくのかを軸に映画は進んでいきます。

『グレイテスト・ショーマン』は、「地上でもっとも偉大なショーマン」と呼ばれた19世紀アメリカの実在の興行師P・T・バーナムの半生を描いたミュージカル映画です。
音楽を手がけているのは、『ラ・ラ・ランド』で歌曲賞を受賞したコンビ。主人公の歌って踊れる長身のスター、ヒュー・ジャックマンと共演するのは、『ハイスクール・ミュージカル』のザック・エフロン。そしてディズニーチャンネル出身のスター、ゼンデイヤや、ゴールデングローブ賞主演女優賞受賞の実力派、ミッシェル・ウィリアムズなどの豪華俳優陣が、19世紀のアメリカのセットのなかで、近代的な音楽とダンスパフォーマンスを魅せてくれます。単なる豪華さだけを表現する作品ではなく、現代にも強く訴えかける深いメッセージが込められた映画になっています。

興行的にも当初アメリカではスターウォーズなどの人気作品と同時上映のために不振でしたが、その後じわじわと口コミで広がり、大きなヒットを収めています。

目標を高く掲げる目標設定力

まず初めに強い印象を受けるのが、バーナムの生まれの貧しさと、それに染まらない強さ、ポジティブ思考です。バーナムの父は仕立て屋で、良家の子女にドレスや衣装を仕立てて生計をたてていました。父の手伝いのため、一緒に良家に通っていたバーナムは、後の妻になるチャリティと知り合います。厳格な父に育てられているチャリティを周りに気づかれないように笑わせ、楽しませるバーナム。それがチャリティの父に見つかって、手ひどい注意を受けてしまいますが、チャリティをずっと思い続けました。そして、生活が貧しかったにもかかわらず、父は他界。バーナムは孤児になり、食べるパンにも住居にも困る環境に陥ってしまいます。

でも、バーナムは、非常に苦しく貧しい生活を送っていても、自分の環境を嘆いたり、自分を卑下することがありません。普通の人であれば、環境があまりにも違いすぎる相手との関係を考えたときに、どうしても自分を卑下してしまったり、マウンティングされているような気持ちになってしまうときもあるかも知れません。しかし、バーナムは、夢=いつか成功するという目標をいつも心に暖め、自分に自信を持って、いつか羽ばたくことを胸に秘めて、貧しい暮らしを、歯を食いしばって送っていたのでしょう。逆境の仲でも目標を見失わないバーナムの姿に、私たちビジネスパーソンも、リーダーの資質を見ることができるのではないでしょうか。

チャンスを逃さない眼力と行動力

念願かなって思い続けていたチャリティと結婚。二人の娘にも恵まれ、つましいながら幸せともいえる生活を送っていましたが、妻のチャリティの実家のように、またはそれ以上に大きい成功を手にしたいバーナムは、現状に満足できず、仕事も長続きしません。就職していた貿易会社も倒産し、解雇されてしまいます。そのときバーナムは、倒産した貿易会社が所有していた沈没船の登録証を職場で発見。それを持ち出して担保にし、銀行から資金を調達することに成功します。そして、世界中のあらゆる奇妙なものを展示した「バーナム博物館」をオープンさせることになるのでした。

本来であれば、会社が所有していた船の登録証を持ち出して、船がいかにも自分のもののように銀行でふるまうことは、完全にイカサマなわけですが、船は沈没しているし、会社は倒産しているし、という事実から、とっさに登録証を持ち出して資金調達にこぎつけたバーナム。この行動がなければ、後の成功のきっかけとなる博物館を手にすることはありませんでした。人生には、このような瞬間が訪れるときがあるのかもしれません。そのときの決断や行動が、吉とでるか、凶とでるかは、運とその後の行動によって決まるのかもしれません。

相手が誰であっても話を聞く傾聴力

自身の夢の結晶でもある博物館をオープンさせたバーナム。しかし、客足はなかなか集まらず、支払いに不安のある日々が続きます。チケットを売るのにも、妻や娘が一緒になって懸命に手伝いをします。このシーンからはバーナムの夢をかなえようと、家族が一丸となって協力する家族愛の素晴らしさを感じました。家族仲が良いものであったからこそ、娘たちは心からの助言をしてくれることになります。同時にバーナムは、小さな子供の単なる助言とはとらえずに、あくまでもその助言を尊重し、飛躍のためのアイディアのヒントへと結びつけることができたと考えられます。それはひとえに、逆境からなされる深い傾聴力とも言えるのではないでしょうか。

チームにメンバーを向かい入れるとき大事な心がまえ

娘たちの言葉をきっかけに、バーナムはとっぴなアイディアを思いつきます。それは、小人症の男性や髭の濃い女性、結合双生児の兄弟などの、差別を受けて世間から隠れるよう生きてきた人たちを集め、いわゆるフリークス・ショーとも言えるサーカスを始める、という考えでした。バーナムは、ショーに出てくれる人の面接を片っ端から行ないます。チラシを配ったり、街の人に聞いてみたりと、行動力の固まりのようなバーナム。新しいことに挑戦する姿は、みていてとてもワクワクするシーンです。ショーに採用となったメンバーは、家族からも疎まれ、世間からは、存在しないものとみなされているも同然の扱いを受けていました。

そんななか、バーナムが心から、そのままの存在を認めてくれ、仕事に採用してくれることにどれほど勇気をもらえたことでしょうか。仮に、そのような個性の持ち主でなくとも、チームメンバーやリーダーに、「そのままのあなたが素晴らしく、そのままの個性やスキルを尊重し続けます」と評価を受けたならば、嬉しく幸せを感じられるのではないでしょうか。ビジネスパーソンは、真剣に働いていればこそ、自分にないスキルや不足について悩み、足を取られてしまうことがあることでしょう。しかし、スキルに不足があればそれを認め、チームメンバーとの連携でそれを埋めればいいのではないかと、思わせてくれる、そんなシーンです。

異次元の人をチームに入れるとき

ショーは大盛況となり、バーナム一家は裕福になりました。しかし、批評家には酷評され、市民には「街の恥さらし」と激しい抗議活動を受け、上流社会からは下品な成り上がりという扱いを受けてしまいます。娘が上流階級の子女に陰湿な言葉をかけられているのを目にしたとき、上流階級への仲間入りをしようと考えたバーナム。一流の劇作家、フィリップを、自分のショーの演出家としてスカウトし、チームの仲間とします。

このときのバーナムとフィリップには、かなりの隔たりがありました。かたや、人気を誇るが下世話なショーの提供者。かたや、上流階級から認められている劇作家。しかし、フィリップは、自分は書いた劇を見た観客達は、悲しい顔で帰っていくのに、バーナムのショーを見たあとの観客達は皆笑顔で帰っていくことに軽い嫉妬を覚えていました。バーナムはこの嫉妬を見過ごさず、フィリップの心をくすぐる交渉をしてチームメンバーに入れることに成功します。このシーンでのヒュー・ジャックマンと、ザック・エフロンの、ショットグラスを小道具にした歌と踊りはまさに圧巻です。

チームを作る喜びやワクワク感に胸が踊ります。そして、バーナムの人の深い心を読む力、そして自分を絶対に卑下することなく、魅力的に魅せる説得の仕方が印象的です。ビジネスにおいても、苦手な相手や畑違いの相手、生まれ育った環境が異なり異次元からきたとすら感じてしまう相手とチームメンバーとして仕事をしなければならないときがあると思います。そんなときは、バーナムのように自分をいつも見失うことなく、自信を持った態度でコミュニケーションをとることが大事だと思い出させてくれます。

チームメンバーから見捨てられない愛され力とは

フィリップのコネにより、ショーの仲間を連れてヴィクトリア女王に拝謁、またその場で欧州一と誉れ高い歌姫ジェニーと知り合い、ショーを企画。公演を成功させ上流階級への階段を登っていくバーナム。バーナムは、上流階級の仲間入りを果たそうとするあまり、家族や、家族同様のショーメンバーをおろそかにしてしまいます。そんな彼を、立て続けにトラブルが襲いかかります。家族、財産、ショー会場、全てをバーナムは失ってしまいます。絶望するバーナムを、ショーのメンバーたちやフィリップが再建を持ちかけてくれ、失った会場のかわりにテントでのサーカスをスタートさせ、再度成功をつかみ、家族も取り戻すことになるのでした。

バーナムは、名声を追い求めるあまり、家族を軽んじ、ショーメンバーを大切にしないに人物になってしまいます。そのためか、彼はトラブルに襲われてしまうのですが、そんな彼がすべてを失ったとき、フィリップはじめショーのメンバーは、彼を見捨てず手を差し伸べます。それはひとえに、バーナムの持っていた愛され力とも言えるのではないでしょうか。マイナスな仕打ちをされても、それを許して、また協力し合える関係性を保つチームビルディングとは、なかなかあるものではありません。強烈なチームの結束があったこと、バーナムがメンバーにいつも高い評価をし続けたこと、チームでいることが皆の喜びにつながるといったポジティブな要素があれば、過ちを犯してしまってもそれを認め、マイナスを挽回できるチャンスを手にできるのだと感じさせてくれるシーンです。

Next…「映画『カーズ』からチームビルディングの成功法則を知る」

映画配給会社の勇気

小人症や多髭症の女性、有色人種への偏見など、この昨今、クレームが出る可能性がある題材でもあるこの「グレイテスト・ショーマン」。19世紀と現代と比べて考えてみても、問題が多少変わったとはいえ、多様性を認め、お互いを尊重することの大切さへの理解がまだまだ十分だとは言えません。
国と国、性別、年齢、環境、あらゆるエリアでマウンティングや分断が起こっていると感じるニュースが枚挙にいとまがありません。特に、大きな分断が起こって久しいアメリカで、この映画を製作した映画会社や製作陣チームの勇気と力に希望が出る映画でもあります。ぜひ見てみて参考になさってください。

効果的なマネジメントの処方箋

組織の潜在能力を引き出してビジネスを成功に導くためには、タスクや時間、そして人に対して、適切なマネジメント(管理)を実践することが必要不可欠です。
しっかりとした方法論に則って、効果的なマネジメントを実現させましょう。

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