女子に絶大な人気“事務”の仕事はなくなるか?

私が人材サービス会社で働いていた時に行った調査ですが、20代女性の約8割が転職する際に希望するのは事務の仕事。

結婚・出産などのライフイベント後も無理なく仕事を続けられるイメージを持つ女性が多いようで、学歴やそれまでの職種に限らず希望する女性が後を絶たないという状況でした。その一方で、事務のポジションはどの企業も採用枠が限られているので、競争率が非常に高いのが特徴でした。しかも、人材サービスのキャリアアドバイザーも口を揃えて、事務職はいつか機械にとって代わられる将来性のあまりない職種といい、転職希望者にどうにか別の職種を選んでもらうように勧めていました。

技術の進化とともに、「20年後にはなくなっている仕事」などという話題は確かによく耳にします。事務の仕事は本当に将来なくなってしまうのでしょうか。海外移住を機に、リモートで事務の仕事を初めて挑戦して分かった事務の以外な特徴をご紹介してみたいと思います。

すごいレベルに進化している機械の仕事

はじめに、数年前までは“人”に依頼していた仕事だけれど、機械で十分にまかなえるようになったかもと感じた処理についてご紹介したいと思います。

翻訳

日本語は文法が独特で他言語に訳すのが難しく、少し前まではどうしても機械が無理やり訳しているという、ぎこちない言葉で訳されることが常でした。しかし、ここ最近のGoogle翻訳のレベルはすごい。日本語から他言語、他言語から日本語、いずれもそこまでの違和感がありません。カバーしているのは100カ国以上。5000文字までは本当に瞬時に訳してくれます。

もちろん、まったく違和感がないかというとそこまでではないですが、内容が概ね理解できるレベルには訳してくれます。数年前までは、高いお金をかけて翻訳を外注するのが当たり前でしたが、近い将来、翻訳の精度がさらに進化すれば、“人”ではなくてもよくなるかもしれません。

文字起こし

執筆の仕事をしていると、取材してそれを文字起こしするというのはいわゆるルーティン作業。文字起こしはそれなりに時間がかかるので、ほんの数年前までは外注するということが多くありました。録音の長さにもよりますが、手間のかかる作業のため、そこそこ費用が発生していたように思います。それが、文字起こしアプリ(例えばrecoco)に出会った時の衝撃は忘れられません。取材の際に音声を録音する要領でスタートすると、リアルタイムで文字化してくれます。調べてみると、googleドキュメントにも自動文字起こし機能がついているようですし、他にも有能なアプリがあるようです。

その他、スペルチェックや校正といった作業も機械化が進んでいます。編集にまつわる作業についてしか詳しくありませんが、人事・経理、マーケティングのデータ解析など、さまざまな作業の機械化が進んでいることは間違いなさそうです。

フルリモートで行なう事務の仕事

そんな中、私はちょうど半年前にフルリモートで行なう事務の仕事を始めました。私自身、事務の仕事は初めての経験でしたし、前職の知識から、いつかは機械にとって代わられる失くなりゆく仕事だろうといったネガティブな感情がなかったわけではありませんでした。しかし、海外移住を機にリモートでしか仕事ができなくなってしまったため、“仕方なく”始めたのです。

事務の内容としては、前項であげた翻訳や文字起こしの作業をはじめ、あるホームページから必要事項(例えば電話番号など)をひたすらコピペする、専用システムに決められたものをひたすら入力するといった超単純作業などさまざま。どれも共通しているのは、確かにいつかは機械が一瞬で行なってくれそうな作業を、地道に人の手で進めているということ。これでは、確かに何年後かになくなってしまうかもしれない。事務の仕事は本当に機械に変わってしまうのでしょうか?

事務職の将来について確信する

結論から言うと、事務を経験してみて「絶対に事務の仕事はなくならない」という確信に変わりました。それはなぜかー。
その理由は3つあります。

チェックは人でなければできない

ひとつめは、正確性を確認する作業が必要だからです。翻訳も文字起こしも、その他の単純作業もそうですが、確かに機械がかなりの精度で処理してくれるようになっています。しかし、それが100%正しいものか、仕事のアウトプットとして成立しうるレベルかを判断するのはやはり人間でなくてはできないと思うのです。これは人が作業した時にも当てはまりますが、単純作業である事務仕事だからこそ、間違いが許されないということが往々にしてあります。なので、二重にも三重にもチェックが必要で、正しい作業をするには機械で完結しうる仕事はないということが分かりました。

機械を動かすのは人

もうひとつは、機械(プログラム)を作るのも人であり、操作するのも人、バグを修正するのも人だということがわかったからです。機械は機械単体では生まれないですし、機械があっても操作する人がいないと動きません。そして動いたからといって、ずーっと永久に誤作動がないことはなく、一定の割合で発生するバグを調整・修正する人が必要になります。人なくして機械なしなのです。もちろん、機械(プログラム)を生み出す人は特定の能力が必要で、いわゆるエンジニアと呼ばれる職種の人になりますが、機械を操作したり、バグを手作業で修正したりするのは、意外に地道な単純作業であったりするので(例えば、このフラグが全部ついているか1000ページ開いて確認するとか)、いわゆる事務の領域の仕事になります。

機械を作るには時間とお金がかかる

最後に、機械(プログラム)を組むのは簡単ではないから。つまり機械でもできる作業だけれど、100件程度のコピペならプログラムをわざわざ組むより、人がやってしまったほうが安いし早いという状況が多分にしてあるということ。よっぽどの大量の処理が必要であれば、機械化した方が効率的ということはある一方で、世の中にはそんな大量な仕事ばかりではなく、小さな単純作業が溢れています。しかも、情報やシステムはどんどんアップデートされていくため、周りの環境に応じて自身のプログラムもアップデートしていかなければなりません。なので、機械化できるかできないではなく、機械化と人でやるどちらが効率的かを考えた時に、人がそのシステムに応じて作業する方が効率的でお金も節約できるということが意外に多くあります。

移住を機に始めた事務という仕事を通して確信したこと。それは、事務の仕事はなくならないということでした。上記のことはおそらく事務以外にも当てはまることは多そうです。どんな仕事もAIだ、機械だといっても、実際に機械を生み出し、操作し、調整・修正するのは人間である以上、それに関連する仕事が100%機械になるということはないのだと思います。

まとめ

事務などの仕事が機械化によってなくなることはないとはいえ、機械と同じ仕事をしていてはダメなのだろうと思います。正しいかのチェックにしても、調整や修正にしても、人だからこその状況判断をして柔軟に対応するといったことをしていかなければいけません。それは人同士でも当てはまることで、気の利いた人、期待以上のアウトプットを出してくれる人に、誰もが仕事をお願いしたくなります。どんな仕事でもいつまで仕事が続けられるかは、自分のアウトプットや仕事に取り組む姿勢にかかっているのかもしれません。

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