フリーランスという働き方が困難をプラスに変えた

厚生労働省が発表した『フリーランス白書 2018』によると、日本には1,100万人余りのフリーランス(副業・兼業含む)がいるといわれています。この規模は、日本の労働力人口の約6分の1。つまり、働く人の6人に1人がフリーランスということになります。アメリカはさらに進んでいて、1億6千万人の労働力人口のうち 5,730 万人がすでにフリーランスだそうで、2027 年には フリーランス人口が過半数になるという予測が出ているとのことです。

このようにフリーランスが増えた背景のひとつは、テクノロジーの進化です。クラウドサービスやビジネスチャットなどが誕生したことで、場所や時間にとらわれない働き方、いわゆるテレワークが可能になりました。業務委託の人材マッチングサービスやクラウドソーシング、シェアリングエコノミーなどのマッチングプラットフォームも充実してきて、簡単なオンライン上の登録をするだけで気軽に仕事が探せるようになっています。履歴書や職務経歴書を準備し、何度も面接に足を運んで就職先を見つけなくても、「今日、半日時間があるから、仕事しよう」という感覚で探してからすぐに仕事が開始できる手軽さになりつつあります。

このように確実に身近になっているフリーランスという働き方も、会社員を続けているとなかなか自分とは関係ない話ように思ってしまうもの。では、実際にフリーランスとしてテレワークを始めた人は、どのようなきっかけや理由があったのでしょうか。今回は、実際にフリーランスという働き方を実践している人に始めるきっかけになったことを聞いてみました。

理由1;家族

まず、一番多いのが家族の事情によるもの。家族というと、結婚している人、子どものいる人、両親が高齢の場合など、かなり限定的な事情のような気もしますが、案外幅広い世代が影響を受けるのだということがわかりました。

転勤

まさに私自身がこちらに該当しますが、特に女性で多いのが、夫の転勤を機に会社員を辞めなければならなくなり、フリーランスに転身したという事例。海外への転勤の場合だと、ビザの関係で現地で就業すること自体が禁止されていることも少なくなく、日本の仕事をテレワークで続けるというスタイルを選ぶ人は多くなってきています(転勤に帯同した家族が、テレワークで日本の仕事をすることも厳しく取り締まっている国もあるようですが)。また、日本国内でも、首都圏で勤めていたのが、北海道や九州などまったく土地勘のない場所に転勤になって、働き方を模索するうちにフリーランスたどり着いたという人もいます。通勤して働く場所を探すのは、場所が変わるとかなり超えなければならないハードルが高いものですが、テレワーク型のフリーランスだと、気軽に続けられるのがメリットだと考えられます。

看護

ある男性の例ですが、兄弟の闘病を家族全員で支えるためということで在宅ワークのフリーランスを選択した人がいます。こちらは、両親であれば介護といったシチュエーションで考えられることかもしれません。もちろん、妻(夫)や子どもの病気ということもあるでしょう。人間、誰しも健康な時ばかりではなく、そうなった時に支えるのが家族。家族の看病は当たり前といえば当たり前ですが、生活を続けるには仕事(お金)も大事です。むしろ、治療費のことを考えると、より稼がなければならないといっても良い状況でしょう。でも毎日、通勤をしているとどうしても支えなければならない家族まで手がまわりません。仕事も家族も両立することが、フリーランスでは実現可能といえます。

妊娠・育児

転勤や看病ほど、絶対に選ばなければならない理由ではないかもしれませんが、妊娠・育児を理由にフリーランスを選ぶ人もいます。ある女性は十数年前に会社員を辞め、育児と両立するためにフリーランスになったと話ていました。ここまでフリーランスが一般化していない当時だったと思います。やはり女性の働き方は一歩先を進んでいると思わされる事例です。

十数年前ですから、ワークライフバランスといった概念もなく、会社員である限り朝から晩まで働くのが当たり前という時代。そんな中で働き続けるには、会社員を辞めなければならなかったと彼女は話していました。育児をしながら女性が働くという環境が今ほどに整っていなかったからでしょう。ただ、先日も1人の保育園のママ友が「転職しようと辞表を出してすぐに2人目の妊娠が発覚した。内定をもらった会社は内定取り消しいなり、今勤めている会社も辞めなければならないから保育園も退園しなくてはならない」と涙ながらに話すのを聞きました。妊娠・出産・育児そして仕事のバランスは、女性にとって今でも難しい選択です。そんな彼女にも、フリーランスはおすすめできると感じました。

ペットの介護

こちらも男性の話です。飼っている猫が高齢になり、腎臓か何かに病気があって、毎日のようにペット病院に注射を打ちに行かなければならないといった状況になり、フリーランスを選んでいました。ペットを飼っていないと、ペットぐらいでと軽んじてしまいそうですが、飼っている人にとってはペットもかけがえのない家族の一員。それでも人間の家族ほどに忌引きの制度があるわけでもないですし、「ペットが病気なので休職させてください」ということが会社に通用しにくいのも事実。ペットを理由に仕事のコントロールをするには、やはりフリーランスという働き方を考えざるを得ないのが日本の現状かもしれません。

理由2:移住


自分の意思による移住も意外にも多い理由です。移住の背景には、地元に帰るというUターンと出身地などではなく、地方に住みたい、地方創生がしないなどの理由から移るIターンのパターンがあります。

Uターン

地元に帰るという理由で、フリーランスになる知人の話。地元が好き(または東京などの都市が嫌い)だから地元に戻りたいが、地方は東京ほどに仕事がないという状況があります。もしくは、東京よりもかなり賃金の水準が低いということもあり、地方の会社に就職するよりも、テレワーク型のフリーランスになったほうが報酬の面でもメリットがあると話ていました。

Iターン

会社員仲間ではIターンを希望している人に出会ったことがありませんでしたが、フリーランスには「地方に住みたい」「地方の創生に興味がある」「田舎で暮らしたい」といった理由で移住を果たした人が意外にも多くいました。女性、男性など性別は関係ない印象です。最近は、これから移住したいがために、フリーランスになりたいという人もちらほらいて、驚いています。自分らしい働き方だけでなく、自分らしい生き方、暮らしといったライフスタイルそのものを見直したいという人が増えているのかもしれません。

理由3;闘病、勉強、震災など

他に、知人の中で経験者がいるわけではないですが、考えられる理由として、自身の闘病や資格取得のための勉強との両立、震災といったことも考えられるでしょう。闘病は、がんなどの大病で数ヶ月、数年に及ぶ闘病を勤務しながらでは難しいと判断して、在宅でできる範囲で働くという選択ができるようになったのはすごくポジティブなことだなと思います。同じ病気でも、まさに今の時期に多いインフルエンザもひとつ。罹患すると1週間ほど出社禁止になってしまいますが、体調さえ回復すれば在宅ワークは開始できます。東日本大震災の時にも経験しましたが、震災や原発問題で通勤や外出が難しいという時も在宅ワークであれば、クリアできます。

■まとめ

今回ご紹介したのは知人の事例をもとにしたものです。どれも、通勤が難しいまたは不可能という状況で“仕方なく”フリーランスに踏み切った、ある種ネガティブともいえる理由です。しかしながら、このような事情は性別や年代関係なく、誰にでも起こりうることだと思います。実際にここで紹介したフリーランス仲間は、性別も年齢もバラバラです。誰でも他人事ではありません。

一方で、時間と場所を選ばないテレワーク型のフリーランスは、今後ますます増えていくとも予想されている中で、きっと今回ご紹介した、ある種ネガティブな理由ではなく、もっと前向きに“あえて”フリーランスを選ぶ人も増えてくるのだろうと考えています。それほどに、フリーランスという働き方には良さがあります。フリーランスだからこその良さも今後少しずつご紹介していければと思います。

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