考えながら行動できる人材づくりのためにすべきこと

時代は自立型人材を求めています。どうすれば、チームメンバーをそのように育てることができるのでしょう。そのためには、マネジメントやリーダーシップのあり方を見直してみる必要があるかもしれません。

自立型人材が求められる背景


日本社会では、いままさに働き方に対する考え方が大きく変わりつつあります。それはITの普及、グローバルビジネスへの展開、多様な価値観を持った個の集まりなどによって、社会に急激な変化が起きているからです。

それにしたがって、企業の採用活動においても、大きな変化が訪れています。これまでは、上司からの指示に従って、綿密な計画を立て、それを淡々と実行していく人材が求められていましたが、近年、多くの企業が自立的に考えながら行動できる人材を求めるようになっています。その背景は、前述した変化への対応だけではなく、現在のビジネスにおける諸問題が想定の範囲外であることが多く、複雑でしかも迅速に対応しなければならない場面が増えてきたことにあるでしょう。

標準化や過去の経験では対応できない事態も珍しくありません。これらに対応して成果を上げるためには、一人ひとりが自ら考えて、自立的に動けることが求められます。企業は、そのような人材を新卒・転職市場に求めるだけではなく、自社内で育成していく必要があるでしょう。

選択理論心理学のススメ

ここでは、自立的に動ける人材を育成するためにヒントとなる、選択理論心理学の概要について説明します。

選択理論心理学という言葉を聞いたことがある人は、あまり多くないでしょう。選択理論心理学とは、アメリカの精神科医であるウィリアム・グラッサーによって提唱された「人間の脳の働きと行動のシステム」を説明する理論で、内的コントロール心理学の一つとして位置付けられています。内的コントロール心理学というと、さらにいまひとつピンとこない方を生んでしまったかもしれませんね。

この内的コントロールの対極にあるボスマネジメントという考え方と比較して説明してみます。内的コントロール心理学では、人は外からの刺激に反応して行動するのではなく、自分の基本的欲求を充たすべく自ら行動を選択することによって行動すると論じています。一方で、ボスマネジメントは人間を外的な動機付け(例えば、上司からの命令など)によってコントロールできるという視点に立ったマネジメント手法です。ほとんどの企業で、主にこのボスマネジメントによって部下の管理が行なわれているのではないでしょうか? このボスマネジメントでは、部下の欲求への配慮せずに強制的にコントロールしようとするものなので、部下の自由な発想や発言を抑制してしまうという弊害があります。

内的コントロールに基づいた選択理論心理学を人材育成に取り入れてきている企業が増えてきているということは、つまりその従来型ボスマネジメントを裏返したものと考えていただければわかりやすいのではないでしょうか。そして、この選択理論を応用したものに「リードマネジメント」という手法があります。

リードマネジネントについて

人間は誰しも、他の人の役に立って喜ばれたいという気持ちを持っています。そして、その方法を学びたいと思っています。その一方、他人に何かを強制されたり、コントロールされることは気分の良いものではありません。人間は自分が決めたことには責任を持ち、熱心に取り組む傾向があります。そして、いい仕事をするためには安全かつ恐れがなく、リラックスしていることが必要です。リードマネジメントとは、これらの人間の特性をマネジメントに活かしていくものです。
ここでリードマネジメントが理想とする組織には以下の3つの特徴があります。

  • 相手との人間関係を大切にして、協力関係を築く
  • 一人ひとりが自立しながら、協働し合う
  • 組織力を高めながら、問題解決に取り組む

どれも、実現することができたら素晴らしいことばかりですよね。リードマネジメントでは、このような組織を目指すために、構成メンバーは、自分に対しても他者に対しても内的コントロールを促すことができる状態を目指します。

それでは、組織とメンバーにリードマネジメントが浸透すると、どうなるのでしょうか? 具体的には、次の7つのような特徴を持つと言われています。

  1. 組織と個人の目標が明確になる
  2. 問題ではなく解決に焦点が当てられる
  3. 職場に良質な人間関係と信頼関係がある
  4. メンバーが成長して、業績が上がる
  5. 意見や質問を屈託無く言える
  6. 絶えず改善の継続がされる
  7. 自立的に仕事に取り組み、生産性が向上する

リードマネジメントでは、メンバーは上質なものを知っていて、それをできるだけ低いコストで実現する方法も知っているけれども、外的圧力によってそのようなメンバーの能力の発揮が阻害されてしまうと考えられています。メンバーが上質な仕事を実現できるかは、リーダーとメンバーとの間の信頼度に依存します。

それでは、部下に信頼されるリーダーになるためにはどうすれば良いのでしょうか? その問いに答えられるサーバントリーダーシップについて学んでみましょう。

≫あわせて読みたい…「エラスティックリーダーシップで「デキるチーム」を作ろう!」

サーバント・リーダーシップとは

従来からあるリーダーシップの方法としては、「理念やビジョンを掲げて、人々をその方向へと先導する」という率先垂範型が一般的です。ただ近年、そのようなリーダーシップに対して、「サーバント・リーダーシップ」の必要性が主張されています。

サーバント・リーダーシップとは、先頭に立って人を引っ張っていくことではありません。メンバーやチームがその能力を最大限発揮できるように、あたかもサーバント(奉仕者)であるように、動機付けや環境整備をサポートしていくリーダーシップのことを言います。サーバント・リーダーシップのあり方は、トップダウン型のリーダーシップに見られるように一方通行ではなく、双方向の対話型リーダーシップとなります。

それでは、サーバント・リーダーシップに求められる資質とは何でしょうか? 次の表でまとめました。

傾聴 相手が望んでいることを聞き出すために、まずは話をしっかり聞き、どうすれば役に立てるかを考える。また自分の内なる声に対しても耳を傾ける
共感 相手の立場に立って相手の気持ちを理解する。人は不完全であることを前提に立ち相手をどんな時も受け入れる
癒し 相手の心を無傷の状態にして、本来の力を取り戻させる。
気づき 鋭敏な知覚により、物事のありのままに見る。自分に対しても相手に対しても気づきを得ることが出来る。相手に気づきを与えることができる。
納得 相手とコンセンサスを得ながら納得を促すことができる。
概念化 大きな夢やビジョナリーなコンセプトを持ち、それを相手に伝えることができる。
先見力 現在の出来事を過去の出来事と照らし合わせ、そこから直感的に将来の出来事を予想できる。
執事役 自分が利益を得ることよりも、相手に利益を与えることに喜びを感じる。一歩引くことを心得ている。
人々の成長への関与 仲間の成長を促すことに深くコミットしている。一人ひとりが秘めている力や価値に気づいている。
コミュニティづくり 愛情と癒しで満ちていて、人々が大きく成長できるコミュニティを創り出す。

以上、NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会(http://www.servantleader.jp/10s.html)より作成

先に述べたリードマネジメントは、相手の内的コントロールを重視するサーバント・リーダーシップの一つのカタチであると言えるでしょう。上述した10の資質を参考にしつつ、自立したメンバーの育成のため、サーバント・リーダーシップの実践を考えてみてはいかがでしょうか?

「考えながら行動できる人材づくりのためにすべきこと」についてのまとめ

本稿では、考えながら行動できる自立した人材を育成するためのヒントとなる考え方の枠組みをいくつか紹介しました。

リードマネジメントは、まだ世間に浸透しているとは言えませんが、今後注目されるマネジメント手法になっていく可能性があります。要チェックではないでしょうか。

効果的なマネジメントの処方箋

組織の潜在能力を引き出してビジネスを成功に導くためには、タスクや時間、そして人に対して、適切なマネジメント(管理)を実践することが必要不可欠です。
しっかりとした方法論に則って、効果的なマネジメントを実現させましょう。

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