新興国という言葉はもう古い。世界を4つのレベルに世界を分ける時代へ

世界の国々を新興国や先進国に分ける考え方は時代に沿ぐわなくなりました。資本主義の恩恵を多くの国が受けたことで最早、新興国とは呼ぶにはふさわしくない国もこの20年で数多く出てきました。その一方で物質的にまだまだ資本主義の目から見ると厳しい生活を送っている国もあります。世界を新興国(開発途上国ともいう)と先進国に分ける視点はもはや雑で古いのです。

ビル・ゲイツも自身のブログで世界を4つのレベルに分けるべきと主張

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツも自身のブログで世界を4つのレベルに分けるべきだという主張をしています。


参照:https://www.gatesnotes.com/Books/Factfulness?WT.mc_id=04_03_2018_10_Factfulness_BG-media_&WT.tsrc=BGmedia (ビル・ゲイツ氏のブログ)

ゲイツの友人であり統計の達人でもあるハンス・ロリングの著書『FACTFULLNESS』は日本でも邦訳され反響をよんでいます。『FACTFULLNESS』には世界を分ける4つのレベルのことが詳しく書かれています。ハンス・ロリングのギャプ・マインダー財団のWebサイトは英語ですが図やグラフで世界の変化や事実が視覚的に分かるようになっています。
https://www.gapminder.org/ (ギャップ・マインダー財団の公式サイト)

私が子どもの頃、学生時代に学んだ社会科や地理で学んだことはもう古すぎて現実とそぐわないのです。世界各国の人と関わることが多い時代だからこそ現代のレベルまで過去に学んだ教養や社会科をアップデートしましょう。

世界は全体的に豊かになっている

世界の多くの国々が資本主義や技術革命の恩恵を受けて20年の間に豊かになりました。例えば、私が高校生だった1990年代後半の頃はインドや中国は人口の多い貧しい国の象徴として地理などの社会科で教わったおぼえがあります。インドも中国も人口の4割以上が極度の貧困状態だったと言われています。しかし、2017年にはインドでは貧困率は12%にまで低下し中国では0.7%にまで落ちたのです。

新興国と呼ばれたタイの現状


統計だけではなく実感としても新興国と呼ばれていた国は大きく発展しました。例えば私が住んでいたタイ王国は私が大学生の頃はスカイトレインも地下鉄もありませんでした。そしてカオサンロードは貧乏バックパッカーが集まる聖地で素朴で貧しい国という印象を受けた人が多かったのではないでしょうか。

しかし20年経った現在のバンコクはスカイトレインや地下鉄が通い綺麗なショッピングモールやビルが次々に建設されました。中間層も増えて現在ではタイ人にとって日本は出稼ぎのためにくる国ではなく観光し消費する国となりました。

街を歩けばハイブランドに身を包んだ資本主義経済で成功したタイ人を見かけることも珍しくありません。富の偏りから日本人よりもかなり豊かなタイ人も多いのです。いまでは僧侶の肥満が問題になっています。托鉢で高カロリーの良いものが食べられるため現代のタイの僧侶の中には肥満を気にしている人もたくさんいます。

日本語を学ぶ層において、ベトナム・ネパールが主流になった理由

私はタイにいた頃、現地の国立大学と日本の大学との交換留学のプログラムの提携の仕事もしていました。その経験を生かして日本のとある団体でも同じようなことをしようと思ったのですが私はタイではなくベトナムの担当になりました。

理由は簡単でタイや中国は既に豊かになったため、わざわざ日本に留学に来る人が少なくなったからです。タイや中国のトップ層から中間層の学生まで既に留学希望先の中心は欧米です。

そして代わりに現在、増えているのがベトナムとネパールです。日本は留学生がアルバイトの許可を比較的とり安い関係で経済的に勉強だけに専念できないベトナムやネパールの学生が多くなりました。


最近ではベトナムも経済成長しSNSで日本は働きづらい国だと認識されることも増えているようです。ベトナムの商都であるホーチミンシティも年々、経済成長しておりモダンなビルやコンドミニアムが次々に建設されています。

フロンティアと呼べる国も少なった

世界の冒険投資家と呼ばれたジム・ロジャーズは、かつてミャンマーを世界でも最後のフロンティアとして称賛しました。しかし、ミャンマー最大の都市ヤンゴンも発展の兆しがあります。空港に着けばSIMカードがすぐに手に入りスマートフォンでネット環境に接続するのも簡単です。そして街中ではアメリカ資本のHARD ROCK CAFE でハンバーガーを食べられます。日本人向けの銭湯まであります。

仏教遺跡で有名なバガンへのアクセスも決して難しくなくお洒落なバーもあります。ミャンマーも既に世界のフロンティアではないのです。

ミャンマーもヤンゴンや有名な観光都市以外にいけば手垢のついていない土地や文化に触れることもできるでしょう。しかし年々、フロンティアはなくなっているのです。

もはや新興国をひと括りにできる時代ではない

モダンなビルが立ち並ぶ東南アジアの大都市とアフリカの飢餓に苦しむ国を同じ新興国や開発途上国として一括りにできる時代でしょうか。

バンコクでは、学生たちが美味しそうな日本食のトンカツを昼休みに食べに行きます。そして太っていることを気にしてジム通いをする学生も珍しくありません。一方で、明日食べるものにも困っている国の人もいます。餓死よりも肥満によって亡くなる人も多い時代です。

中所得国というカテゴリーもありますが、中所得国には入らないであろうミャンマーの人たちもアフリカの貧しい国に比べればかなり快適な暮らしをしています。そんな時代だからこそ丁寧にやや細かい分類が必要になってきました。

世界を分ける4つのレベルとは

ハンス・ロリング氏の提唱する4つのレベルで世界を分けることで、より丁寧に解像度の高い見方ができるようになります。それぞれのレベルを見ていきましょう。ちなみに下の図はギャップマインダー財団のページから確認できるレベル1から4までの国の分布図です。多くの国が既にレベル1を脱しレベル4の方向に向かっています。


出典 ギャップマインダー財団
https://www.gapminder.org/tools/?from=world#$state$time$value=2018;;&chart-type=bubbles

レベル1は、1日2ドル以下で暮らす国

レベル1では、1日に2ドル以下の稼ぎで暮らしています。世界のおよそ10億人が属するグループです。5人家族が一家にひとつしか穴井プラスチックのバケツを抱え靴も履かずに数時間かけて歩いて泥水を汲んでくる暮らしをしています。食事は泥が混じった粥です。炊飯器もありません。火を焚いて暮らす中で煙で肺が蝕まれても抗生剤も買えません。

アジアではネパール、アフリカではマダカスカルなどがレベル1に属しています。

レベル2は、1日2ドル〜8ドルの稼ぎで暮らす

レベル2では、自分で育てた作物以外にも鶏を飼って卵を食べられます。お金を貯めて自転車で移動できるようになりバケツを買い足して1日分の水を汲めるようになります。

調理ではガスボンベが使えるようになりマットレスを買って地べたで寝ずに済むようになります。

レベル2に属している国は、バングラディッシュやザンビア、ナイジェリア、インド、ベトナムなどです。また中国はレベル3に所属する人が多いのですが大都市以外の地方ではレベル2の暮らしをしている人も珍しくありません。国内でも地方と都市部で格差があります。中国でも上海と地方では生活レベルはかなり変わります。

同じ国でも所得格差が激しい国ではレベルが混在しているケースもあるのです。世界の30億人がレベル2に所属しています。

レベル3は1日8ドル〜32ドルの稼ぎで暮らす

レベル3では、水道管をひくことができるようになります。移動手段にはバイクを使えるようになります。冷蔵庫で食料を保存できるようにもなり貯金も可能です。

事故が起きてもレベル2の生活レベルにはすぐに落ちずに済むようになります。

お金を稼ぐために子どもが社会に出てすぐに働く必要もなくなり高等教育を受ける余裕もでてきます。世界のおよそ20億人がレベル3の世界に所属しています。

カンボジア、パレスチナ、フィリピン、タイなどの国がレベル3に属しています。日本ではあまり豊かなイメージのないフィリピンやカンボジアも、実はレベル1やレベル2ではなく既にレベル3に所属しています。特に経済格差が激しいフィリピンやタイでは財閥関係者や稼ぎの良いITや金融関係の人の中にはレベル4に到達している人も珍しくありません。

レベル4は1日32ドル以上の稼ぎで暮らす

蛇口からはお湯もでる、車も買える、旅行では飛行機を使える、月に1度は外食も楽しめる。それがレベル4です。

世界的に見れば裕福な消費者と言えます。

アメリカや日本、マレーシア、韓国、イギリスやフランスなどの西欧諸国などがレベル4に所属しています。またタイや中国などの都市部の人も既にレベル4に入る人が多いでしょう。

先進国に暮らす人々はレベルの4の中での経済格差に敏感かもしれませんが世界的にみると、レベル4に属しているだけでも豊かな部類に入るのです。

かつての経済大国、日本はOne of Them になった

日本は現在でも経済的に見れば相対的に豊かな国に違いありません。しかし、その差はこの20年でかなり小さくなってきています。20世紀はアメリカが覇権を握ったパックス・アメリカーナの時代でした。そして経済大国日本もアメリカに次いで大きな存在感がありました。

しかし、21世紀になってからはアメリカも含めて力の強い国が次々に台頭するようになりました。
アメリカは今後も世界のリーダー的なポジションにはいるでしょうが経済大国のグループのリーダーというカタチになり、アメリカ一強の時代は終わりを告げました。日本も多くの現在の「先進国」のひとつにすぎません。

日本人というだけで得をする時代も終わった

かつて新興国に行けば日本人というだけでお金を持っていると思われたものです。そして優遇されることもありました。しかし現在では日本人もたくさんあるレベル4の国のひとつです。そして、かつての新興国との経済格差も日々、埋まっています。

日本人だから尊敬される、憧れられるという時代は既に終わっています。もちろん日本は歴史と伝統のある素晴らしい国には違いありません。しかし日本人であるというアイデンティティだけが拠り所の人は今後、ますます厳しい時代が訪れるのではないでしょうか。

日本も素晴らしい国ですがベトナムもタイもインドネシアも素晴らしい国なのですから。ちなみに、戦前のフィリピンは日本よりも経済的に豊かだったと言われています。日本が経済的に強かった高度経済成長期をベースにした過去の教育は点に過ぎません。線で世界を見なければ自分の立ち位置を見失ってしまいます。

丁寧に世界を見つめ謙虚に世界と対話する時代へ

常識が20年前で止まっている人も大勢いるのではないでしょうか。ギャップマインダー財団の調査や『FACTFULLNESS』は、我々日本人にも教養のアップデートの必要性が分かる教材です。社会の変化が早い時代では常識や過去の学びだけでは現代社会を捉えきれないのです。丁寧に世界を見つけ謙虚に世界の人たちと対話するためには教養のアップデートが必要です。

過去に学校で学んだ社会科の知識も社会科2.0、3.0とアップデートし続けていかなければいけない時代です。

まとめ

世界を新興国と先進国で分けるのは既に実態に合いません。これからはビル・ゲイツの言う通り世界を4つのレベルに分けてみることが主流になるでしょう。

社会の変化が激しい現代社会だからこそ教養のアップデートが必要です。世界との関わりが多い現代社会では、丁寧に世界を見つめ謙虚に世界と対話できるようにならなければ自分の立ち位置を見失ってしまいます。

技術だけではなく生きる土台となる教養もアップデートしていきましょう。これからを生ききる土台づくりがあなたの人生を豊かにします。

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