アジャイルな「場」に有効なワークショップのススメ

アジャイルソフトウェア開発は「ビジネスの価値を最大化する」ための考え方やフレームワークです。実際にアジャイルについて学んだり、見聞きしたことがある人も多くなってきたと言えますが、その考え方を周りと共有し、プロジェクトメンバー全員がその有用性を腑に落として、価値を最大化することに繋げられているプロジェクトは少ないのではないでしょうか。ここではアジャイル開発を実際に活かし、ビジネスの価値を真の意味で最大化するためのスモールステップでもある「ワークショップ」の有用性について具体例も交えながら紹介していきます。

創造的な「場」を作ることがアジャイル開発の成功の鍵

一橋大学大学院名誉教授の野中郁次郎氏によるキーノート・スピーチでは、組織やチームの成長を促すためには、メンバーそれぞれの知識をつなぎ合わせ、全員の知識を変えていくため、創造的な「場」を作りあげることの重要性が語られています。アジャイルソフトウェア開発においても「場」を形成できるかどうかが、成功の鍵。その成功の鍵を握るのは先にも述べた「ワークショップ」なのです。

ワークショップは知識を価値に変換する

ワークショップはメンバーが気軽に参加できる雰囲気作りと、気づきが多い時間を過ごすためにとても有効なアプローチです。日々の業務からいったん距離を置き、非日常を感じながら思ってもいない様々な気づきが得ることができます。

よく耳にする話として「『知っている』と『出来ている』は違う」というものがありますよね。ウェブ情報や書籍、セミナーなどから知識は得たけれど、実際の業務や生活に活かせているかは甚だ疑問だ、と思ったことがある人は少なくないと思います。

人間の頭は知識だけでなく、実際に体を動かして体験し、フィードバックを受けることで、更に知識を膨らませていくもの。これはアジャイル開発の過程でも同じです。お客様との知識やアイディアの共有だけでなく、動くソフトウェアを体感し、プロジェクトとしてフィードバックを受けることで実際に活きる「価値」を創造していきましょう。

複数人で体験することで、チームに一体感を醸成

一人だけでも知識を価値に変換することが難しいのですから、複数人で進めていくプロジェクトにおいてはなおのこと、それが難しいことは容易に想像できます。情報のインプットにより、「実際の現場でも活かしてみよう!」という気持ちになっても、実際にプロジェクトの現場で実践してみるとうまくいかないことも多いでしょう。アジャイルは様々な開発手法の集合体ですので、どうしても抽象的なことが多くなっているからです。

だからこそ、一方的に知識を伝えて無理に実践させるのではなく、チームメンバーで一緒になって体験し、考え、気づき、学ぶことができる「ワークショップ」を有効活用すべきでしょう。プロジェクトを成功に導く答えと一体感をチームに醸成することができます。

時間が限られている時こそ、体験によって学習効果を高める

期限があり、決して時間にゆとりがあるわけではないアジャイル開発の現場において「わざわざワークショップをしている時間はない」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし時間が限られている時こそ、ワークショップを活用し、体験による学習効果を高めるべきです。アジャイルの考え方をメンバーに理解し、即実践してもらうためには、知識をインプットする際にも即実践し、知識を腑に落とす方が良いことは容易に想像できます。

人間はどんなに良い話を聞いたとしても、時間が経つにつれどんどんと情報を忘れてしまいます。「ワークショップ」を活用することで、「知識」が感動や納得をともなう「濃い体験」に変換され、頭だけでなく腑に落ちた記憶としてその人自身に記憶されることでしょう。

ワークショップの価値を高めるために目的・目標の共有とグランドルールを決めよう

目的・目標の共有とグランドルールを決める」ことはワークショップを進めていく、ファシリテーターは特に意識してほしいものです。ワークショップを実施しようと企画をし、準備をしているファシリテーターは何らかの課題意識を持っているわけですから、ワークショップの目的・目標をしっかり認識しているはずだからです。

しかし、その目的・目標を参加者に十分に共有できていないままワークショップを進めることはオススメしません。ファシリテーターだけが突っ走り、参加者を置いてきぼりにする可能性もあります。ワークショップを終えた後に、参加者はどう変わっているのか? というイメージ(目標)を共有し、同じ方向性に向かってワークに取り組むことでチームとしての一体感は醸成されていくでしょう。

もう一つワークショップの価値を高めるために必要なのはグランドルールです。限られた時間の中で、一体感があり活発な「場」を作り上げるためのちょっとした魔法とも言われています。

ルールといっても堅苦しいものではなく、あくまで参加者全員がワークに主体的に取り組み、発言をしやすくするためのものといって良いでしょう。「笑顔を忘れずに」「わからないことがあればすぐ質問!」といったカジュアルなルールから、「常に時間を意識しましょう」「ご自身のプロジェクトや組織に照らし合わせて取り組んでみる」というような仕事を意識できるようなルールまで、達成したい目的に合わせてルールを工夫してみてください。

ワークショップを活発化するイチオシのアクティビティ「レゴスプリント」

ワークショップにかけられる時間は組織やプロジェクトによってまちまち。長い時間をかけられるワークショップの場合は、その中で、個人ワーク、ペアワーク、グループワークなど、いくつかの「アクティビティ」を組み合わせて行います。ここではワークショップを構成する数あるアクティビティの中からイチオシのアクティビティ「レゴスプリント」を紹介します。

実施目的

タイムボックスを体験できていない初めての方に、実際のアジャイルのタイムボックスと同様のリズムを感じてもらう。アジャイルと同様のリズムと、いくつかのプラクティスを実際に使いながら、価値を描き、膨らませていくことを体感する。
※タイムボックスとは?
作業の時間単位を規定すること。アジャイルソフトウェア開発では、リリースまでの期間を最初に規定し、絶対に変更しない。タイムボックス内に終了しない機能がある場合は、次のリリース目標に組み込むなど、顧客・チームに確認をとった上でなんらかの対応措置を取る。

実施後に期待する効果

  • 価値を描くことの重要性を理解することができる。
  • タイムボックスを利用した場合の時間の重要性を理解することができる。
  • ふりかえりによって成長していくことを体感し、実際のプロジェクトでも応用することができる。

必要な備品

  • レゴブロック
  • A3用紙、筆記用具
  • ポストイット

実施方法

  1. チーム名を決定(2分)
  2. 「最高の飛行機」をディスカッション(5分)
  3. タスクを考える(2分〜5分)
  4. 飛行機作成作業(10分)
  5. もう一度、タイムボックスを回す

レゴスプリントの詳しい実施方法は現在、PDFで公開されています。詳しく知りたい方はこちらをご参照ください。(立ち読み用PDF「レゴスプリント」→ http://goo.gl/6pww8

アジャイルな「場」に有効なワークショップのススメのまとめ

先ほど紹介したアクティビティのメインツールは「レゴブロック」。「そんなものでアジャイル開発の何がわかるの?」と思った方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、このアクティビティは色々な企業やイベントで非常に効果があったと言われています。ぜひ「レゴブロック」を用意してアクティビティにチャレンジしてみてください。この知識も体験してこそ、活きる価値となりますよ。

参考文献
前川直也、西河誠、細谷泰夫,アジャイル開発の教科書,Softbank Creative,2013,p44-56

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