新人教育に欠かせないコーチング的コミュニケーションスキル-マインドセット編-

4月からの研修を終え、新人がもうすぐ配属されてくるというところも多いのではないでしょうか? 毎年配属の時期になると、それぞれ個性豊かな新人社員をどう教育していこうかと悩む現場の声をよく聞きます。

企業の方針に合わせた教育や個性を伸ばす教育など、教育方法はさまざまですが、もっとも大切なのはコミュニケーションのベースとなる信頼関係を築くことです。今回は信頼関係を築くために使えるコーチング的コミュニケーションスキルを紹介します。

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1.すべてのベースはコミュニケーションにある

そもそもなぜ信頼関係を構築し、コミュニケーションを円滑にする必要があるのでしょうか?

それは、意思疎通ができなければ教育しようと思っていても、まったく相手に伝わらないことが起こりうるためです。

特に新人社員は、はじめての社会人生活で慣れないことばかり。本人も自覚がないうちに、緊張が重なり、疲労が溜まって理解するまでに負荷がかかっている場合が多くあります。それに加え、「わからないことがわからない」状況なので、何をどう質問していいか悩んでいるケースもたくさんあるでしょう。

だからこそ、まずは先輩社員が温かく迎え入れ、信頼関係を築く努力をしながらコミュニケーションを取れる状態をつくることが必要です。

2.相手と自分はまったく違う人間であると理解する

それでは、新入社員と信頼関係を築くために必要なものはなんでしょうか? 基本的な姿勢としてもっとも重要なのは、「相手と自分がまったく違う価値観をもち、表現の仕方もまったく違う」ということを理解しておくことです。

育ってきた環境や時代背景が違えば、こちらの価値観こそ正しいという考えが通用しないのは当然。まして「あなたの考えを理解できない」と突き放し、コミュニケーションをあきらめてしまっては新人教育どころではありません。相手との考えの違いを受け入れることがコミュニケーションの第1歩です。

考え方の違いを受け入れるのは簡単ではありませんが、「相手とは考えが違って当たり前」ということをいつも頭の片隅に置いておくだけでもコミュニケーションの質が変わってきます。
考え方の違いについイライラしてしまうという人は、デスクに付箋を貼っておくなどして日常的に意識するとよいでしょう。

しかし、ここで注意したいのが「考え方の違い」ですべてを解決しないことです。「人と人は考えが違って当然」ととらえ、何も口出ししないでいると「この先輩の前なら何をしても大丈夫」となめられてしまう恐れがあります。

新入社員があきらかに常識はずれな行いをしたときや、会社の規定に反したときにはきちんと注意するようにしましょう。新人教育を始める前に、禁止事項や心構えをしっかり伝えていくこともおすすめです。

また、注意をするときには感情的になることなく、つとめて冷静に話すようにしましょう。イライラしながら話すと相手が怯えてしまい、注意した内容が頭に入っていかないこともあります。昨今の風潮では、パワハラで訴えたり、すぐに退職を選んだりする新入社員も珍しくないので指導する側は十分に気を付けるようにしましょう。

3.人に関しては原因論でなく、目的論で考える

「原因論」と「目的論」という考え方をご存知でしょうか?

原因論は、心理学者のフロイトがとなえたもので、「過去のできごとが現在の状況をつくり出している」という考え方です。この考え方は、ビジネスの世界では常識と考えられています。たとえば、売上が低迷しているという問題にぶつかった場合、その要因を分析するのはこの原因論に起因する行動の最たるものといえるでしょう。

いっぽう、目的論とは書籍『嫌われる勇気』で一躍有名になった心理学者のアドラーがとなえたものです。アドラーは目的論の定義として、現在の状況をつくり出しているのは本人がなんらかの目的をもっており、それを達成するためのものと説いています。

つまり、現在の状況について過去との因果関係がある、またはないとしているところが原因論と目的論の大きな違いです。この2つの考え方を、コミュニケーションに置き換えて考えてみましょう。

原因論をもとにコミュニケーションを取る場合は、現在の状況でうまくいっていない理由を確認する必要があるので、「どうしてこうなってしまったのか?」「こうなった原因は?」「こうならないためにはどうすればいいのか?」という問いかけがされます。

この問いかけは、コンピューターに対してであれば大変有用です。なぜなら、コンピューター上で何かがうまく作動しないときには必ずどこかに原因があり、それを解決すれば改善される場合が多いためです。

しかし、この問いかけを毎日投げかけられるのは人間にとってつらいものです。常に自分のあら探しをされ、それを直すように命令を出されているように感じる人も少なくありません。

そこで有用なのが目的論をベースにした問いかけです。目的論は、現在の状況が「本人にとってなんらかの目的を達成している状態」ととらえるため、過去に注目せず、「本人がどうなりたいのか」という目的に着目します。そのため、問いかける内容は「本当はどうしたいの?」「今後はどうなっていきたいの?」などになります。

この問いかけのいいところは自立を促すことができる点です。本人がどんなことを考え、どのように行動したいかがわかるため、自然な流れで主体性を身に付けさせることができるのです。

いっぽう、原因論はミスを犯さない方法に集中してしまうことが多く、自分で判断して行動する人間を育てる手段には向きません。

新入社員は機械ではなく、ひとりの人間であるということを忘れず、「目的論」を意識してコミュニケーションを取るようにつとめてみてください。

まとめ

今回はこれから配属されてくる新人に対して、どんなマインドをもって接すればいいかという点について、コーチングの視点からお話ししました。

ひとつ目に大切なことは、相手と自分の価値観はまったく違うものであると理解しておくこと。そしてふたつ目に大切なことは、なぜそうなったかを追及する原因論ではなく、自立を促す目的論で新人に接することです。

多様性が叫ばれる昨今、違いを認め合うことは企業におけるダイバーシティ尊重においても重要なことです。日本人だから同じと考えるのではなく、どんな人間にも個性があるということを認識した上でコミュニケーションを取ることは、外国人労働者を受け入れる上でも有用です。

さらに、原因論でなく、目的論で接することで、新人社員の自立を促すことができることもお伝えしました。ビジネスにおいては、原因論で考えるべき場面も多く存在しますが、人に接するときには目的論に基づいてコミュニケーションを意識することで、社員同士の人間関係を良好に保てるようになるでしょう。

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