マネジメント
2018.06.21

派遣・非正規・業務委託のメンバーをプロジェクトにコミットさせる方法を「ダイバーシティ」から学ぶ

システム開発プロジェクトでは、プロジェクト規模や予算、またフェーズによってもメンバー構成が変わることはよくあります。プロジェクトを成功に導くためには、QCD(品質・コスト・納期)をしっかり管理し、プロジェクトメンバーが一丸となって推進するという状態が理想です。

しかし、プロジェクトへの参画期間や役割など、条件や背景が異なるメンバーで構成されているプロジェクトが同じベクトルでゴールに向かうことは簡単ではありません。

今回は、違った組織間のメンバーをいかにしてプロジェクトにコミットさせていくかについて見ていきたいと思います。

事例紹介 ある大規模プロジェクトでのケース


ある製造業の10億円を超える生産管理システム導入プロジェクトでの話です。開発フェーズはプロパーのメンバーだけでなく、外部パートナーも含む100人月規模で構成されていました。

特に、複雑な生産計画部分においては、これまで熟練の勘と経験で属人的に運用されていました。そのため、システム構築にあたっては業務・システム両方への深い知識も必要とされたため、外部パートナーの存在も必要不可欠でした。

大規模プロジェクトであるためにコミュニケーションロスが発生


このプロジェクトはプロパーのメンバーに加え、生産計画部分はクライアントの業種に特化したパッケージでした。そのため、パッケージベンダー・生産管理領域に精通したコンサルタント・開発の一部は、業務委託のメンバーで構成することになりました。

プロジェクト自体の仕様が完全に定まらないにもかかわらず納期は決まっていたため、とにかく進めていくしかない状況で開発フェーズに入りました。特に外注の業務委託先にはその時点で確定済みの設計書を元に開発に入ってもらわなくてはならない状況で、手戻りが発生することはその時点で容易に想像できました。

テストフェーズに入っても、完全に外注していた部分は品質が安定しないという問題点が明らかになり、手戻りが多く発生しました。

手戻りが発生した原因は、仕様が固まらないこと以外にも、大規模プロジェクト特有の問題点が影響しています。それは、コミュニケーションルートが曖昧なまま作業を進めなければならかったこと、変更が続く仕様に対する情報連携が十分になされていないことでした。

どのような結果に至ったか、どのような方法を取ったか〜ダイバーシティとコミュニケーション


異なる条件や背景のメンバーがともに働くということは、現代の日本では当たり前のように見られる光景となりました。

今回のケースでは、プロパー・ベンダー・コンサルタント・業務委託といった肩書きや雇用形態の違いですが、グローバル企業ではこれらに加えて国籍・宗教などの違いも考慮しなければいけません。

このダイバーシティの概念は、グローバル企業だけでなく現代のビジネパーソン全てが積極的に取り入れる必要があるといえるでしょう。その理由は実業家の佐々木かをり氏が指摘している通り、ダイバーシティのある企業の最大の強みは、多様なものの見方ができることであり、そのことが多様な消費者や株主に受け入れられる商品やサービスを生み出すことにつながるのです
(参考:https://diamond.jp/articles/-/69754?page=3)。

労働人口や総人口が減少しているという現状で、よい商品やサービスを生み出そうとする際、多様な背景を持つメンバーの視点はますます重要となっていくでしょう。

しかし、ダイバーシティのある企業には問題点も発生します。それは、コミュニケーションの問題です。さまざまな背景を持つメンバーがいる組織には、コミュニケーションによくある「暗黙の了解」「これは言わなくてもわかるだろう」は通用しません。より繊細で綿密なコミュニケーションが求められます。

また、今回のケースのように大人数のプロジェクトとなると、どうして綿密にコミュニケーションをとることが難しくなります。ただでさえメンバーは手戻りの対応で忙しくしているので、よりコミュニケーションロスが発生しやすい状況といえます。

そこで、コミュニケーションロスを少しでも軽減できる環境を作りとして、組織間を超えてプロジェクトメンバーが同一の拠点に常駐することにしました。これと似たような発想の取り組みとしてフリーアドレス制度が挙げられます。

他の部署という異なるバックボーンのメンバーと席を隣にすることで、組織間のコミュニケーションを促し、新しい発想が生まれることを期待するものです
(参考:http://www.cosmosmore.co.jp/workplace/service/consulting/morenote/column27)。

さらに、このプロジェクトではコミュニケーションを密にとれるように、会議全体やコミュニケーションフローを再定義しました。そして、それぞれの求められる役割・必要成果物・納期を関係者と当事者で確認し、合意の上で再スタートするというステップを踏みました。また、日々の課題や改善点についても話し合い、現場の意見により耳を傾け、モチベーションの維持にも努めました。

個人の目標や業務上の確認などのために、話し合いを設けるということはよくある光景です。しかし、それが形骸化してしまっては意味がありません。フローを定義し、準備をしっかりして臨むことで問題を明確化し、解決に導くことができます。

また、話し合いをすることに物理的・心理的なハードルがあっては、そもそも話し合いの場が持たれないということになりがちです。忙しい中でも確実に話し合いを設けられるよう、特にマネージャークラスのメンバーが配慮する必要があります。

異なる背景を持つメンバーをコミットさせるために

プロジェクトメンバー全員がカットオーバーまで業務を進めることができる状態が理想ではありますが、プロジェクト規模やコストなどの理由から、メンバー構成が流動的になることがよくあるものです。

そのため、それぞれの立場のメンバーの作業範囲と求められる役割を明確にし、アウトプットを明確にすること、依頼する側・される側の両者が与えられたミッションに対してコミットした上で進めていくことが重要となります。

プロジェクトによっては、いくつもの要因から外部委託先に任せっきりのような状態になることもあります。しかし、それでは問題が発生した時、メンバーが悩んでいる時などにその全容が見えないという懸念があります。これを解決するためには、やはりコミュニケーションルートを明確にし、綿密な話し合いや打ち合わせの場を持ち、状況を管理することが求められます。

また、異なった組織のメンバーとのプロジェクトでは、途中仕様変更が発生した場合の責任範囲、スケジュールや金額面についても、作業開始前の契約時にクリアにしておく事も重要な要素となります。

社会性と広がり 「攻めのダイバーシティ」がカギ

異なる背景のメンバーと共に働く際、またタイトなスケジュールの中でゴールに向かって業務を進めていく際に、必要とされるポイントは数多くあります。それを一言で表しているのが、「攻めのダイバーシティ」です。

プロジェクトマネジメント経験の豊富なコンサルタントである柏陽平氏が提唱しているこの概念で大切なことは、コミュニケーションに関わるすべての段階において、ツールやプロセスを用いて「見える化」し、問題や状況を分解して「構造化」し、手続き等を一定のやり方に「標準化」することだそうです(参考:https://www.insightnow.jp/article/7721)。これにより、誰もが明確にソリューションを得られ、プロジェクトの活性化につながります。

異なる背景のメンバーが参画するプロジェクトをまとめるために

開発プロジェクトでは、プロパー・非正規・業務委託と所属組織や肩書きがことなるメンバーが集まりますが、最終的なプロジェクトのゴールはひとつです。
参画フェーズや役割によって各自の目標やゴールは異なりますが、各役割を明確にし、しっかりコミットした上で進めていくことが重要です。その積み重ねでおのずとゴールは見えてくるのではないでしょうか。

効果的なマネジメントの処方箋

組織の潜在能力を引き出してビジネスを成功に導くためには、タスクや時間、そして人に対して、適切なマネジメント(管理)を実践することが必要不可欠です。
しっかりとした方法論に則って、効果的なマネジメントを実現させましょう。

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