規模によって異なる会計事務所のタスク管理とリスクマネジメントの考えの違い

会計事務所の規模によって違う? 整理&顧客管理方法比較」と「会計事務所の電子化は規模によってさまざま。進捗状況を徹底比較」の2記事をご覧いただけましたでしょうか?
これらの記事では、個人から大手までさまざまな会計事務所の顧客管理方法や電子化の浸透状況の違いを紹介しました。
顧客管理方法と同様に、会計事務所内のタスク管理とリスクマネジメントに関する意識も事務所によって大きく異なります。
今回の記事では、前回に引き続きAさんがこれまで勤務した会計事務所で見てきた、タスク管理とリスクマネジメントの違いを紹介します。

1.会計事務所におけるタスク管理とリスクマネジメントの必要性


会計事務所の業務は季節によって仕事量に大きな差があるため、しばしば季節労働者にたとえられます。

1年の業務の流れをみると、2~3月には個人の確定申告、その後は企業の確定申告、続いて7月までは算定基礎届の作成、そして11~12月にかけては年末調整が行われます。

例年、ほぼ同じ月に同じような業務を繰り返すため、内情を知らない人からは「タスク管理が簡単でマニュアル化しやすいのでは?」と思われがちです。実際、Aさんも会計事務所で働く前はそう考えていました。

しかし、実際に働き始めてから、その認識は大きな誤解であることに気が付いたといいます。特に規模の大きな会計事務所は事務所というよりもむしろ会社として機能しているため、組織としてのタスク管理をしなければ、全体を把握できないのが現状です。

一方、小規模な事務所は人数が少ないからタスク管理が容易かというと、決してそうではありません。確かにクライアントや従業員の数は大手ほど多くはありませんが、少人数だからこそタスク管理をしっかりと行う必要があります。さもなければ、事務所が機能しなくなってしまうのです。

会計事務所は事務所の規模に関係なく、タスク管理とリスクマネジメントが必要だといえます。

2.大手会計事務所でのタスク管理とリスクマネジメントの実例

かつてAさんが働いていた、中核都市でNo.1の税理士法人グループでの話です。

その事務所は人材派遣業なども展開し、他の都市にも事務所を構える大手の会計事務所で、グループ全体の従業員数は100~200人ほどでした。

大手なだけあって、電子化や顧客管理がしっかりしており、タスク管理とリスクマネジメントの面でも徹底されていたそうです。

どのように徹底されていたのか、大仕事である年末調整を例に説明します。

年末調整のタイムスケジュールが決定すると、事務所全体に通達され、どの業務をいつまでに終わらせるかという目標と各部門ごとの進捗表が一緒に貼りだされていました。

また、部門単位で各顧問先の進捗表もパソコンの共有フォルダに保存されていたので、クライアント別の進捗状況をオンタイムで確認できました。

目標到達度や進捗状況が数値化されていたので、仕事がはやい人はおのずと、業務を前倒しして進められる仕組みになっていました。

これらの進捗表や目標管理表の作成・管理こそがリスクマネジメントとなっていて、業務の見落としや連絡忘れを防ぐ役割を担っていたのです。

全体に開けたスタイルを取っていたため、タスク管理とリスクマネジメントがわかりやすかったそうです。

3.個人会計事務所でのタスク管理とリスクマネジメントの実例

Aさんがかつて勤務していた個人会計事務所は、先生1人と従業員10人程度で構成されていました。

小さな事務所だったため「組織」という考えはほとんどなく、1つひとつの業務は基本的に担当者に一任されていました。自分なりのルールやチェック表が活用されていましたが、それらはあくまで個人が使用するためのものでした。

保管場所や記入のルールが個人で異なっていたため、担当者の不在時に問い合わせがあると、バタバタと書類を探さなければならないことが問題だったように思います。

こう聞くと、管理がずさんであると思われますが、担当者がほとんど変わらない事務所であり、顧問先のことを各担当者がよく把握できているという長所がありました。深い付き合いから、融通がぎりぎりまできいたことも利点のひとつです。

しかしながら、個人主義的な面が強いがゆえのデメリットもあります。

せっかく新しいアイデアを思いついても、全体に共有しにくい環境でした。

また、全体の進捗管理ができておらず、誰かがたまたま書類をみつけて「この案件の納期、大丈夫?」と確認したことで漏れに気づき、なんとか間に合ったという事態があったほどです。何年か前の書類が出てくることもありました。

各担当者を束ねる立場の人がいたら、全体のタスク管理ができ、こうしたトラブルを防ぐことができたと思います。

4.新人教育からタスク管理とリスクマネジメントの徹底を

大手会計事務と個人会計事務所のタスク管理とリスクマネジメントに対する意識の差は、新人の教育方法にも表れていたと考えています。

大手会計事務所時代は「誰が担当しても同じ仕事ができること」を目標に、新人研修が行われていました。

新人研修では、書類のチェック方法からホチキスの留め方、間違えやすいポイントまで例題を交えながら学習し、修了した新人からそれぞれ実務に取りかかるスタイルです。

大手会計事務所は、会社としてのタスク管理とリスクマネジメントを徹底するために、新人教育、情報の共有化、複数のチェック機能、前倒しの目標数値、徹底したマニュアル化を行っていました。

万が一間違いが起きてしまった場合にも、前倒しスケジュールで動いていたために、間に合わせることができたのです。

一方個人会計事務所では、過去に事務所内の人間関係でもめたことがあったため、風通しがよく「みんな仲良し」といった雰囲気の会計事務所にしようとしていました。

そのため、タスク管理やリスクマネジメントという観点からは、大きくかけ離れていた印象が否めません。おのずと新人も、タスク管理とリスクマネジメントの重要性を知らずに育つことになります。

しかし、今後は必ずタスク管理とリスクマネジメントが必要になってくると思います。その際に、事務所を管理する立場の人を育てる必要があるでしょう。従業員が増えていくのであれば、さらに教育の重要性は高まります。

まとめ

タスク管理とリスクマネジメントについては、会計事務所の先生の考え方によって大きく変わるのではないでしょうか。

AI導入や働き方改革が進み、リモートワークがどんどん取り入れられています。今後、従業員それぞれが離れた場所で働くようになることで、タスク管理やリスクマネジメントの重要性がより高まると考えています。

タスク管理とリスクマネジメントについて、季節労働者にたとえられる会計事務所も今、大きな岐路に立たされているのではないでしょうか。

参照サイト
佐藤修一公認会計士事務所HP(https://satoscpa.com/taxjob.html)
日本年金機構HP(https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-kankei/hoshu/20141104-01.html)

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