エンジニアがデザイナーと協業する際に覚えておきたいコミュニケーションのポイント

WEBサービスを成功させるためには、UIやUXが的確に意識された良いフロントエンドのデザインが必要不可欠です。しかしながら、現在優秀なフロントエンド・デザイナーは開発案件の数に対し圧倒的に不足しているのが現状。理想的な人材に依頼することができない状態で開発を進めなくてはならないことも少なくありません。開発の現場からは「デザイナーに頼んだものの、意図したものとズレたものが上がってきた」「デザイナーに頼む際にどう伝えたらいいか分からない」と言った声が聞こえてきます。この記事では、デザイナーがどのようなプロセスを経てデザインを生み出しているかを知り、正しく案件を伝えられるようになるためのコミュニケーションのポイントについてご紹介します。

そもそもデザインとは?

デザイナーの仕事は「カッコ良いビジュアルを生み出すこと」という風に理解されている方が多いかもしれません。しかしデザインの語源を調べると、このように記述されています。

デザインは日本語では「設計」にもあたり、「形態」や「意匠」と訳されてきたが、それだけに限らず、人間の行為(その多くは目的を持つ)をより良いかたちで適えるための「計画」も意味する。人間が作り出すものは特定の目的を持ち、それに適うようデザイナー(設計者)の手によって計画されるのである。
Wikipedia > デザイン > 語源

どこにも、ビジュアルに関する記述がないのにお気づきでしょうか。実を言うと、デザイナーは決してビジュアルを良くすることだけがメインの仕事ではありません。デザイナーは、依頼されたデザインを行うために「依頼の本質(目的)を掴む」「構成に必要な要素を揃える」「配置や動線を考える」など、いわゆる「目的を達成するための設計」に多くの時間を使います。その結果、出力されたものが美しく機能的なデザインとなってビジュアルに現れるのです。

「ビジュアルを出力する前段階として、エンジニアの方が言うところの『要件定義』に近いプロセスを、デザイナーも行なっている」と言うと、伝わりやすいかもしれません。

デザイナーは「お任せ」では良いものを作れない

前項で、デザイナーにも要件定義のようなプロセスを行なっているとお伝えしました。つまり、良いデザインを出力するためには、ある程度の要件が決められていることが必要不可欠なのです。エンジニアの方がクライアントからよく言われて困る言葉に「いい感じで、なる早で」というものがあると思います。これは、デザイナーも同様で「なんとなくでは進められない」のがデザイナーの本音。腕のいいデザイナーは、その辺のディレクションを自分でかけられるため、作る前に依頼主に質問をして、必要な要件決めをしていきますが、デザイナーのディレクションスキルがそこまで達していない場合は、デザイナーがクライアントの求めるものを正確に把握できないまま制作が進むため「デザイナーに頼んだものの、意図したものと少しズレたものが上がってきた」という結果になってしまうのです。

デザイナーに開発の意図を正しく伝えるために必ず決めておくべき5つのポイント

逆に考えれば、デザインに関する要件定義をしっかり擦り合せることさえできれば、意図通りのデザインが仕上がってくる可能性が高くなります。この章では、デザイナーに依頼する際に必ず決めて伝えなければいけないポイントをまとめました。

①依頼するデザインの目的は何か?

デザイナーは「そのデザインが何の目的のために作られるのか?」という部分から逆算してデザインの構成を決めていきます。逆に言えば、目的の存在しないものはデザインできません。まず最初に「今回デザインして欲しいものは、こういった目的のために作って欲しい」という部分を伝えなくてはいけません。

②そのデザインは誰のためのものなのか?

そのデザインを最終的に見て使う、エンドユーザーの「性別や年齢」「どんな考え方、趣味嗜好を持っているのか?」などは、デザインの方向性を決める重要なポイントになります。原宿系の10代〜20代が対象なら「ポップな感じでいこう!」「文字サイズも少し小さめでもある程度は問題ないな」となりますし、60代のシニア世代向けなら「落ち着いた色調を選んだ方がいいな」「文字サイズやボタンなども少し大きめにしよう」となったりします。そのくらい誰のためのデザインなのかという部分は、デザインを定義していく重要な指針になるのです。

③ユーザーにどんな印象を与えたいのか?

デザインは正しく出力された時、非言語の部分でユーザーの印象を操作することすら可能にします。デザイナーは、色調・フォント・余白などの組み合わせから、この組み合わせはこういった印象を与えやすいということを感覚で理解しており、案件によってその組み合わせをうまく調整して、人に与える印象を変えることができます。ただしそれにも、依頼側の「このような印象を与えたい」という意図が必要です。できるだけ具体的に与えたい印象を言語化できるようにしておきましょう。

④優先して伝えたいこと、重要なポイントは何なのか?

複数の内容をデザインの中に組み込む場合には、それぞれの優先順位を明確に決めておくことでより伝わりやすいデザインをデザイナーが作りやすくなります。よく、すべてを主張させたいがために「これも、あれも目立たせて」という指示を受けることがあるのですが、これはデザイン上ではタブーとされています。デザインには、印象の弱い部分と差があるから強い部分が目立つという法則があるからです。すべてを強めてしまうと、すべての強さが同じになり目立たなくなります。強めたいポイントの優先順位はハッキリさせるようにしましょう。

⑤デザインサンプルがあるとより伝わりやすい

作りたいデザインの参考になるようなウェブサイトやサービス、画像などがあれば、似た印象を持つ事例を3つほど用意しておきましょう。言葉で伝えるよりも視覚的に伝えられるので、デザイナーに伝わりやすくなります。参考デザインを伝えたからといってマトモなデザイナーならパクリになることはありません。そのデザインが構成している要素をうまく感じとって今回の案件にマッチするように変換してくれます。

デザイナーにお任せしてしまった方がいいこと

逆に、デザイナーにお任せしてしまった方が良い部分もあります。定義してしまうことでデザイナーの自由度を奪いすぎてしまい、デザイナーのやる気を削いだり、本来もっと良くなった可能性を潰すことになりかねない部分です。知らないうちにデザイン的に不可能な無理難題を言ってデザイナーを困らせてしまうというようなことがないように、ある程度幅をもたせたほうがいいポイントについてご紹介します。

色の組み合わせ


すでにコンセプトカラーの組み合わせが決定している場合を除き、どの色の組み合わせを使うかはデザイナーに一任、または擦り合わせをしながら決めて行ったほうが良いでしょう。色の組み合わせは、ユーザーに与える印象に大きく影響するからです。例えば、落ち着いた印象を与えたいと定義したにもかかわらず、蛍光ピンクを前面に押し出して使って欲しい!なんて言われると、それはデザイン的にちょっと難しいのです。ここはプロに任せて、与えたい印象に即した配色を決めてもらいましょう。前章の「ユーザーにどんな印象を与えたいのか」さえ伝えていれば、ある程度デザイナー側でそれに必要な色の組み合わせを数パターン提示してくれます。コンセプトカラーが既に決まってしまっている案件においては、その色によっては出しにくい印象もあるということを理解した上で、デザイナーと擦り合わせをしていきましょう。

配置・余白

文字の読みやすさ、伝わりやすさ、すっきりと美しく見える感じなどは、どこに何をどのくらいの大きさで配置するか? など絶妙なバランスで成り立っています。よく余白があると、そこにもっとアレコレもこれもと詰め込みたくなったり、目立たせようと必要以上に要素や文字を大きくしたくなったりしますが、それが本来の与えたい印象とズレることがあります。前章で定義したことと照らし合わせつつ、デザイナーと相談しながら進めるのが良いでしょう。

デザイナーに仕事を依頼する上で気をつけたい注意点

曖昧なまま、依頼を進めない

「デザイナーに開発の意図を正しく伝えるために必ず決めておくべきポイント」で紹介した内容は少なくとも決めておく必要があります。曖昧なまま進めてしまうと、必ずと言っていいほど「意図とは違う」結果となり、作り直しが発生してしまい、工数も費用も多くかかってしまいます。開発がスタートしている時点であれば、ある程度決まっていることと思いますが、もし開発にかかる前段階からデザイナーと協力して進める場合は、まずしっかりとこの部分を決めるところから始めていきましょう。

本番デザインの前にラフ(カンプ)を出してもらう

デザイナーに要件を伝えたら、いきなり本番のデザインを作ってもらうのではなく、ラフ(カンプ)段階で方向性が間違っていないかの擦り合わせをしましょう。極力労力をかけずに作れるラフ(カンプ)の状態での修正であれば、デザイナー側にも負担が少ないため、お互いにとって良い関係で作業を進めていけます。

一度確定させたことを、途中で変更しない。

例えば、ページのトップにこの文言をメインキャッチとして入れてくださいとお願いしたとして、デザインが完成した後にやっぱり変更しようとなったとします。文字を変えるくらいだからすぐできる修正だろうと思われるかもしれませんが、文字数が大幅に変わったり、文字から醸し出されている印象が変わると、その1つの修正のバランスをとるために他の要素も時として修正しなくてはいけなくなるのがデザインです。まだ文字くらいならなんとかなることも多いですが、これがメインカラーやデザインにおいて重要な要素になってくると、1から作り直しになるレベルのことも少なくありません。

非常にわかりやすい説明をしているイラストがあったのでご紹介いたします。

▼ スクロールして読むことができます。

画像:https://gori.me/it/22125

このように、デザインとはすべての必要な要素を絶妙なバランス感覚で、美しくまとまるように積み木を積み上げていくような作業です。ちょっとした変更がデザイナーにとってはとても大変なこともあるということを理解した上で、デザイナーに頼む際には極力変更がない状態で依頼しましょう。それでもどうしても、変更せざるをえないということもあると思います。その際は、変更してもらって当たり前というスタンスではなく「途中で変更になって、申し訳ないんですが」というスタンスでコミュニケーションをとると、良好な関係を続けやすいと思います。

それでもイメージ通りにならない時は

以上のことに気をつけてさえいれば、ある程度のレベルのデザイナーならマッチするデザインを提案してくれますが、デザイナーが個性派だったり、力量不足だったりすると上手くいかないことがあるかもしれません。そんな時は、気になる点に関してこんな質問をしてみてください。

「ここの部分に関しては、どのような意図でデザインされたのですか?」

冒頭で述べた通り、デザインは設計する仕事。必ず、そのデザインになった意図があります。もし、そのデザイナーがちゃんとデザインをしている人なのであれば、自分が出力したデザインに対して、何故このようなデザインにしたのかを理解できるように説明してくれます。それを聞いてあなたが納得するものであれば、そのデザイナーは優秀であるということです。もし、定義したデザインの目的と大幅にズレていたり、意図がない「なんとなく」でデザインされているものだったとすればデザイナーの力量不足です。他のデザイナーにお願いすることも視野に入れたほうが良いかもしれません。

まとめ

この記事では、デザイナーと協業する際に覚えておきたいコミュニケーションのポイントと題し、デザイナーに正しく案件の意図を伝えるためのコツをご紹介していきました。デザインの仕事は、色・配置・形・余白・空間など、非言語的な要素を扱うために一見製作のプロセスを理解しにくいように思えますが、実は明確な「意図」によってアウトプットされています。デザイナーも要件定義のようなプロセスを経てデザインを出力するため、依頼側が決めておかなくてはいけないポイントがあるということ。その上でデザイナーに任せておいたほうが良い部分、依頼する際に注意したほうが良い点などを踏まえてコミュニケーションをとり、デザイナーとより正確な意思疎通を図るきっかけになれば幸いです。

事例に学ぶ

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言います。ビジネスについても同じことが言えるでしょう。
他の企業の戦略や取り組みを分析し、そこから抽出した要素を組織に取り入れてみることで、あなたのビジネスを成功に導く鍵が見つかるかもしれません。

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