ガイドブックじゃわからない?国によって危ない表現の自由

日本も、LCCなどで海外旅行が国内旅行より安くいけるようになりました。しかし、気軽に行けるようになったことで日本と同じ感覚でSNSに投稿したり現地の人に自分の考えや意見を主張したりすると思わぬトラブルに巻き込まれてしまいます。

日本国内では、国際芸術展の「あいちトリエンナーレ2019」の『表現の不自由展・その後』が開催から3日後に中止に追い込まれました。テロ予告や脅迫を含んだ抗議の電話が殺到したためです。制限のない表現は時として誰かの逆鱗に触れてしまいます。いわゆる「炎上」のような形になることもあれば国家権力が動いてしまうこともあります。

表現の自由はもちろん認められるべきです。しかし、自由な表現は「炎上」や身の危険も招きます。SNSやネットで自分の考えの発信が当たり前のいまだからこそ表現でどんな反応が起きるのかを予見できる力を身につけましょう。

表現の不自由展で改めて考える「表現の自由」

愛知県で開催された『表現の不自由展』が3日で「炎上」し中止に追い込まれたことがSNSやニュースで話題になりました。表現の不自由展は日本における「言論と表現の自由」が脅かされているのではないかという危機感から、これまでいろいろなところで展示拒否された作品が展示されました。平和の少女像や昭和天皇の遺影を燃やす作品など、いかにもSNSで投稿したら炎上しそうな作品ばかりです。

この展示は表現の自由のために無理にでも続行すべきだったのでしょうか。それとも表現の自由にも限度があるということで中止は正しい判断だったのでしょうか。

メガホンを片手に自由を主張している。

表現の自由と制約

日本国憲法第21条では

第1項:集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
第2項:検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

と規定されています。これだけを読むと『表現の不自由展』の中止は不適切だったのではと思う人も多いかもしれません。

しかし、表現の自由には制約があり、「公共の福祉」による制約を受けるという考え方もあります。デリケートな問題で学説も分かれています。

表現の不自由展が中止されるべき理由は税金で運営されたから

問題とされたのは『表現の不自由展・その後』が税金を投入していた点です。不自由展がもし、私的なお金で私的に会場を借りて行なわれていたとしても炎上はしたかもしれません。しかし、強行して展示を続けようと思えばできたはずです。

LCCで気軽にいけるアジアでも公には表現できないことがある

LCCなどの格安航空会社の台頭もありアジアに気軽にいける時代になりました。日本の地方都市よりもアジアの都市に行く方が安いことも珍しくありません。しかし身近になりすぎたことで日本と同じような感覚でいると思わぬ自分の表現や主張が「炎上」のもとになったり場合によっては捕まってしまうこともあります。

タイ王国では王室に敬意を払わないとつかまる?

タイは日本人観光客が多い国です。外国人だらけの環境にいると外国であることを忘れてしまいそうになります。しかし一歩、タイ社会に足を踏み入れると気をつけなければならない表現もたくさんあります。

自由の国のように感じる人が多いのは外国人としてタイ社会のコミュニティの外で過ごすためです。実は、日本以上に表現やマナーに気をつけなければいけません。特に気をつけたいのは王室に対する表現です。

タイで王室は神聖な存在

タイの街を歩くといたるところに国王の肖像画が飾ってあります。タイでは王室は絶対的な存在なのです。

特に、私はタイの国立大学で働いていましたが王室の影響の強い職場でした。朝8:00と夕方18:00の2回、スピーカーから国歌が流れてくると仕事中でも手を止め直立不動で立たなければいけませんでした。特に、学内には銃を持った軍隊もいたため、とても物々しい雰囲気でした。

タイの王室。

タイには不敬罪が厳格に存在しており、王室について批判的な表現や態度は本当に捕まる可能性があります。それだけ王室に対する表現が制限されているということは特別な存在であることが分かるでしょう。

もしも、タイで「表現の不自由展」で王室批判などしようものなら炎上だけでは済みません。拘留されてしまいます。

Facebookのいいねで逮捕?ネットやSNSでも見つかれば拘留

タイにはFacebookの「いいね」を押しただけで逮捕された人がいます。Facebookで投稿された王室に対する批判的な写真に「いいね」を押したら、どこからともなく警察が現れて捕まったのです。
他にも

  • 国王の犬をネット上でからかって逮捕
  • ネット上の王政に批判的なプライベートメッセージに「はい」と回答しただけで逮捕
  • 王室に批判的な写真をSNSに共有しただけで逮捕
  • 国王死去で国全土が喪に服していた時期に現地でゴルフを楽しんでいた日本人20人逮捕

など本当に捕まってしまうのです。私は、国からお給料もいただいており活躍の場を与えてくれたタイ王国と王室には感謝しかなく敬意を払うようにしていたため何の問題もありませんでした。

しかし、知り合いの日本人に「お前、それ本当に捕まるぞ。やめとけ!」と注意しなければいけないことが何度もありました。

中国ではググることもできない?未だに厳しい情報統制

一方、中国は経済発展して上海などの大都市は近代的なビル群が立ち並んでいます。今時の若い人がスマホを日本の若者と同じように使いSNSで写真を投稿して楽しんでいます。日系の外食チェーンもあればスターバックスなどもあり普通に歩いている分には日本と変わらないように感じてしまいます。

しかし中国に滞在中、日本人がスマホで検索をしようとするとググることすらできない厳しい情報統制に気づくでしょう。

中国ではGoogleもLINEも使えない

中国は一国二制度を採用しています。同じ国でありながら中国本土と香港・マカオでは法律も流通している紙幣も違います。私は本土も香港も良く行くのですが本土に行くと困ることがあります。
GoogleもLINEも普段使っているメッセージソフトも特殊な方法を使わない限り使えなくなってしまうのです。

中国ではアメリカのIT企業が活躍できない背景

中国本土ではアメリカのGoogleなどのIT企業が活躍できません。理由は中国政府の言論統制にあると言われています。政府に都合の悪いことも簡単に検索できてしまうアメリカの検索エンジンを国民に使わせたくないのです。そのため中国では中国人による中国人のためのIT企業が次々に生まれました。

中国には金盾という情報管理統制システムがあり言論や表現がコントロールされています。中国本土では表現の自由はかなり制限されています。

香港で「引き渡し条例改正」のデモが激しい理由

香港は現在、表現の自由を守るためにデモが激しくなっています。

2019年夏、香港では「引き渡し条例改正」の反対デモが過激になり一時、香港国際空港の機能が停止しデモ隊と警察が衝突しました。「引き渡し条約改正」の概要は以下の通りです。

  • 香港で犯罪を犯した人は中国本土・マカオ・台湾にも刑事事件の容疑者を引き渡せる
  • 中国政府から要請を受けたら資産凍結も差押えもできる

条例が改正されると中国政府のさじ加減で香港でも簡単に捕まり本土に連行されてしまう可能性があります。条例改正前でも本土の政府に批判的な本を扱う書店の店長が中国当局に拘束されました。香港では現在、本土とは違いGoogleもLINEも日本と同様、自由に使えます。しかし条例が改正されればLINEなどで政府批判のプライベートメッセージをやりとりするだけで捕まる可能性があります。

政府批判も当たり前ですが拘留の恐れ

中国やタイ以外でも政府批判などで捕まった事例は少なくありません。自分の思ったことをそのまま表現するだけで簡単に捕まる国は珍しくないのです。

ベトナムではブロガーなど逮捕

日本でもブロガーはまだ増えています。自分の考えや主張を自由に表現できるのがブログの良いところです。SNSなどを眺めていると、炎上しているブログなどもありますが、ブログで逮捕されたという事件を日本では聞いたことがありません。トラブルから発生した殺人事件というものは過去にありました。

しかし、ベトナムでは有名ブロガーのベトナム人が逮捕されました。フイン・トゥク・ヴィーさんの「暴力や尋問をやめよう」という主張を動画で配信するなど積極的に活動していました。
日本のような感覚でブログを書いて自分の考えを表現するだけで逮捕されてしまうのです。

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/08/post-10769.php (ニューズウィーク)

ミャンマーではジャーナリストがよく捕まる

ミャンマーでもジャーナリストがよく捕まります。例えば、ミャンマーのイスラム教徒少数民族のロヒンギャに関する極秘資料を入手したジャーナリストが逮捕されました。ミャンマーは民主化され日本人はビザなしでも観光できるため訪れる人が増えています。普通に観光している分には何の問題もありませんが政治的に触れられたくない部分などもあるようです。2011年にミャンマーは民主化されましたが表現の自由はまだまだ限定的です。

表現規制を見ると国の価値観がわかる

海外旅行でテレビを見ると、日本のアニメーションがよく字幕付きで放映されています。ジャパニメーションは、世界でいまだ存在感があります。しかし、アメリカなど国によっては、あれ?っと思うことが多々あります。例えば、タバコを吸ってたはずのキャラクターがキャンディーを咥えていたり、お酒がジュースになっていたり、モザイクのようなものがかかっていたりします。

背を向けて歩く子供たち。

咥えタバコはキャンディーになる

日本のアニメには、タバコを咥えた魅力的な渋いキャラクターがたくさんいます。しかし、海外ではタバコに対して厳しい検閲を行なう国が多く、咥えタバコがキャンディーになっているなど日本人から見ると不自然な改変をされているケースも珍しくありません。

他にも銃が水鉄砲になったりお酒がジュースになるなど国によって表現規制されているところが違います。むしろ、表現が完全に自由で認められている国を探すほうが難しそうです。

表現の規制やタブーを見れば文化がわかる

政治的な主張以外にもタバコやお酒などが厳しく規制されている国ではアニメでの放映すらできません。しかし表現の規制されている部分などを見ることで、それぞれの国の文化が見えてきます。
外国では郷に入れば郷に従えの精神で表現には配慮が必要です。そして、表現に対する理解や配慮が自分自身の身を守ることにもつながります

表現には力がある。だからこそデリケートな感性や理解が大事

外国では国が表現を規制することも珍しくありません。場合によっては捕まってしまうほど表現の自由は厳しく制限されています。しかし考えようによっては表現というのは、それだけ国を左右してしまうほどの大きな力があるとも考えられます。

表現は政治も経済も人の心も大きく動かせるだけの力があるからこそ自由と規制の間にあるのです。人を幸せにすることも不幸のどん底に落とすこともできてしまうのが表現の力です。だからこそ時と場所を踏まえなければいけません。

最近は、自分の思っていることをSNSやブログなどを通して簡単に世界中に拡散できるようになりました。表現の力がメディアによって大きく増幅される時代です。表現は国すらも本気で規制しなければいけないほど強い力があります。だからこそデリケートな感性や理解が大切なのです。

まとめ

表現には国や人の心を動かす大きな力があります。だからこそ表現は自由であると同時に規制の対象にもなります。国や文化的な背景など様々な要因で表現は自由と規制の間を行き来するのです。表現が完全に自由になることも完全に規制されることも現実的にはないでしょう。時代や国によって、すごく自由になったり不自由になったりします。

SNSやブログで簡単に表現を拡散できる時代、簡単に国境を超えられる時代です。思ったことをそのまま他人や社会に配慮せずに表現することは良い面もありますが相応の覚悟も必要なのではないでしょうか。

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