IT活用のプロジェクト管理~クリティカル・チェーン、考えていますか?

プロジェクトマネージャーはプロジェクトを管理することに長けているはずです。そして、メンバーは多くのプロジェクトを経験しています。にもかかわらず、経験を活かせずに失敗するプロジェクトが多く発生するのはなぜなのでしょうか? 私たちは経験から何も学べていないのでしょうか?
今日は少し目線を変えて、プロジェクト管理について考えてみます。

プロジェクト管理を最適化するという考え方

プロジェクトはなぜ遅れてしまうのか

最近では、プロジェクト管理という言葉もあちこちで聞き慣れたものになりました。PMBOK(Project Management Body of Knowledge)で定義された考え方を用いて管理しているプロジェクトも多いでしょう。プロジェクトは「納期遵守してこそ成功」です。ですので、プロジェクトが後半に差し掛かったときに「納期に間に合わない!」ともなると、ヘルプ要員を投入したり、全員が残業や休日出勤をしたりして、少しでも多く工数をかけてなんとか間に合わせようとする、ということも少なくありません。

そのため、なんとか納期内に納品できても、要員の疲弊や品質の問題が出現し、プロジェクトとしては計画通りの利益があげられなかったということも多いでしょう。もちろん、プロジェクト計画書を作るときにはコストやリスクのことも考えているはずです。

特に、IT業界では、納品間際にとにかく工数を投入してなんとか納品するということを繰り返し、いつも疲弊しているということをよく耳にします。きちんと見積もりをし、計画書を作り、最初は計画通りに進んでいるはずなのに、なぜうまくいかなくなるのでしょうか?

クリティカル・パスを意識する

プロジェクトでの作業順序を考えるときにはもちろん、「作業工程の従属関係」を考慮しますよね。そして、その作業を誰がするのか、ということから「リソースによる作業の従属関係」を考慮します。生産工程や作業の手順を表したネットワーク図の中で、最も長く作業時間がかかるルートを「クリティカル・パス」と呼びます。ただし、クリティカル・パスはどちらかというと作業工程上の依存関係だけを考慮に入れているため、リソース(その作業ができる要員や設備)が限られている場合などにボトルネックが発生してしまいます。

そこで、「作業工程の従属関係」と「リソースによる作業の従属関係」の考慮をし、納期遵守だけでなく工期短縮も目指す考え方があります。この考え方を、「クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント」といいます。これは、制約理論で有名なEliyahu Moshe Goldratt氏が開発したものです。

それでは、クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントとはどういうものなのでしょうか。

クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント(CCPM)とは

作業時間は伸びていく

あなたは「学生症候群」や「パーキンソンの法則」という言葉をご存知ですか? つい「期限までまだ間に合う」と考えてしまうことを、夏休みの宿題などで「まだ休みは長いから」とすぐに着手しない学生になぞらえて「学生症候群」といいます。「パーキンソンの法則(第1法則)」は、「仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」という法則です。つまり、予定より早くできあがっても、「もっとキレイな資料にしよう」「この機能もあると便利だから追加しておこう」と与えられた時間いっぱいまで作業してしまうということです。

また、上司やリーダーに作業を依頼されたとき、1日で十分だと思っても「2日かかります」というように時間を多めに見積もって伝えることはありませんか? ほかにも「他の作業がある」「急ぎの作業が入るかもしれない」など、いろいろな理由で時間を多く見積もることはよくあります。

このように、作業を依頼されたときに余裕をみて作業時間を取り、仕事にはギリギリまで着手せずに与えられた時間を目いっぱい使うとするとどうなるでしょう? プロジェクトの時間がいくらあっても足りません。

CCPMで効率的に工程を管理する

CCPMは、各タスクや予算にバッファは持たせずに、プロジェクト全体に対してプロジェクト・バッファという形で余裕を設ける管理手法です。

各タスクにバッファを持たせない代わりに、タスクが計画通りの工数で終わらない場合はプロジェクト・バッファを消費して作業を完了させます。そして、プロジェクトマネージャーが、どのくらいプロジェクト・バッファが消費されているのかに注視して管理していきます。

しかし、計画どおりの工数で終わらないすべてのタスクに対して、ただ単にプロジェクト・バッファを割り当てて作業していくだけではこれまでとあまり変わりません。

プロジェクト全体では、クリティカルパスに関わるタスクの方がより重要であり、プロジェクト全体の遅れに直結します。また、割り込み作業や作業の準備不足のため、途中で作業が継続できなくなることもあります。これらのようなケースを、プロジェクトマネージャーがすべて判断することが難しい場合もあるでしょう。ではどうすればいいのでしょうか?

プロジェクト管理をITに依存することで劇的な効果が

ERPを活用する

そこで、プロジェクトマネージャーなどの人の判断に委ねず、ITに依存することが考えられます。

先に紹介したCCPMをプロジェクトに用いて、劇的に効果を上げた事例として有名なのは、大和ハウス工業株式会社と株式会社富士通関西システムズ(当時)のERP(Enterprise Resource Planning)パッケージ導入プロジェクトが挙げられます。

このプロジェクトでは、株式会社富士通システムズ・ウエストが販売しているCCPM支援サービスの「CONCERTO(コンチェルト)」を用いてプロジェクトを成功させています。CONCERTOでは、プロジェクト・バッファの消費率はどのくらいか、どのタスクを優先すべきか、ということを明示してくれます。プロジェクトマネージャーはそれに従い、優先度が低いタスクを止めてでも優先度の高いタスクに注力させる、という判断をCONCERTOに委ねます。こうすることで判断ミスを防いで、優先すべきタスクが明確にすることで、メンバーの「自分のところは助けてくれない」という不公平感を排除することもできます。

大和ハウス工業株式会社と株式会社富士通関西システムズのプロジェクトは、当初の計画から遅延することなく、25パーセントの工期短縮を実現し、産業界でも注目を集めました。

「IT活用のプロジェクト管理~クリティカル・チェーン、考えていますか?」についてのまとめ

CCPMは、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)と一線を画した別の考え方、と思っている人も多いかもしれませんが、決してPMBOKを否定しているものではありません。プロジェクト管理の上でベースとなるのはPMBOKの考え方でしょう。その上で、どのようにプロジェクトを管理・運営していくのかということを考えたときに、CCPMも選択肢に入ることもあるかもしれません。

プロジェクトを成功させるため、画一的な管理方法ではなく、柔軟な考え方をもち、ベストな管理方法を選択できるようになるといいですね。多くのプロジェクトが成功裏に終わりますように。

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