「好き」を仕事にするための仕組みづくりをする会社は、コミュニケーションをエンターテイメントにしていた

数年前にYoutubeが打ち出した「好きなことで、生きていく」というCMを覚えている人も多いでしょう。「好き」を仕事にするということの本質は、その好きなことが自分にとっても誰か他の人にとっても評価を得られるものかどうかにつきます。哲学めいてしまうので、サラリと流して語りますが、master of life(人生の達人) という言葉が思い浮かびました。『マスター・キートン』(小学館・ビッグコミックス)にも登場する(第7巻Chapter3 ・瑪瑙色の時間)「人生の達人はどんな時も自分らしく生き、自分色の人生を持つ」・・・印象的な台詞です。

自分らしく生きることは難しいことですし、時には困難に立ち向かう勇気も必要です。そしてなにより、人生を楽しむこととは誰もが漠然と夢を見て、と同時にある瞬間では諦めてしまう経験があるものだろうと思います。

ITがより高度化し、AIが人間の一部の行為を代替するとされ、制度的にはベーシックインカムが議論されるこの時代において、私たちはより「自分らしく」生きていく術を常日頃からより意識的に考えていく必要が生まれてきています。

さて。こと音楽については、今回取材させていただいた クレオフーガというサービスがその大きな助けとなってくれるはずです。話は弾み、サービスの紹介からリモートワーク、そして「働き方」改革の過程でも活発に語られる会社カルチャーの話題まで、さまざまな話題が飛び出しました。

音楽クリエイターのためのマッチングサービス「Audiostock」

「先週ちょうどミュージシャンの方を招いてレコーディングをしたばかりでした」という筆者にとっては、目撃できなくて残念な報告を受けながら話がスタートしました。クレオフーガが運営する「Audiostock」について説明をいただいたのは、代表取締役社長の西尾さん。

『音楽クリエーターにとってはチャンスが少ない』と感じたことがこのサービスの開発を決めたきっかけだったとのこと。クリエーターに就く人たちは、プロモーションを苦手とするあるいは苦手意識を持つことが少なくありません。そのストレスを軽減するマッチングサービスという点が、このサービス一番のコンセプト。ちなみに、「クレオフーガ」という命名は、創造という意味のラテン語「CREO」と「次世代の芸術(Future Generation Arts)」の頭文字を組み合わせた造語だそうです。もちろん、楽曲の形式のフーガをも想起できて音楽をイメージできる言葉となっています。

楽曲販売(公開)サービスは、インターネット誕生以降さまざまなものが生まれてはその効用を失って消えていったジャンルでもあります。取材のさなかにもMySpaceの話題が出ました。これは亡くなったデビッド・ボウイが積極的に活用を始めたことで大いに話題になったサービスでもありました。
P2Pのファイル共有ソフト(Napsterなど)の反響も業界を震撼させるものでしたし、だからこそのiTunesの登場だったのだ、と振り返ることもできます。

その音楽ビジネスの中で、「Audiostock」が扱うのは、それまで業務用CD、素材曲集と呼ばれていた制作物を中心に、クリエーターとその素材を必要とする組織や人をマッチングさせるという、いわばニッチな市場。ニッチと言っても潜在的な需要も明確で、流通量も決して少なくない活況なマーケットです。例えば、CMやTVのニュースなどで流れるBGMがそれ。

特徴的なのは、完全なワンストップサービスとなっていて、クリエーターにとって非常に面倒な契約まわりの作業や著作権管理業務、金融まわりの与信業務など、単純な音楽ファイル販売サイトではなく、限りなくクリエーターによってサービス提供している側面が垣間見られること。その評判が、現在では7000組のクリエーターが登録しているという数字にも現れているのでしょう。

 

オフィスには、レコーディングスタジオも用意されていて、その際には臨時の意見交換会が生まれたりというケースもあるのだとか。インターネットサービスは、ユーザーの要望を取り込みながら成長をしていくものである、という活きた事例です。

ベンチャー企業にとってのリモートワークの理想と現実


そんな先進のサービスを進めるのだから、都会の真ん中で生まれたのかと思うと、実はこの会社は岡山の企業だったという驚きも。いま現在も、本社は岡山(取材は、五反田の東京オフィスで行なわれました)で、開発メンバーの大半が岡山オフィスに勤務しているのだそう。

サービスの特徴やマーケット創造の面からも、もともと東京での商談や開発の打ち合わせも多く、社内にリモートワーク環境(リモートワーク社員)が出てくることはまったく違和感もなく、むしろ当然だろうという発想で進んでいったとのこと。

とはいえ、そこはベンチャー企業のあり方でもあって、いわば理想と現実の間での悩みは一通り経験したと言えるらしい。

互いの信頼をどう培っていくか

リモートワークそのものは、それぞれの自宅で行なうことになります。よく言われるのが、個人の時間管理感覚、ON・OFFの区別ということ。そのために、カメラを据え付けるとか、ちゃんと仕事をしているのか確認するための方法を検討すること。クレオフーガでは、現状、

・カメラはZoom(ビデオ会議システム)
・チャットは、チャットワーク

と定まってきたそう。
結局、社内の信頼の醸成は、いかに雑談をしているか、というバロメーターがあるそうで、「雑談」ルームが活発であることが肝心だという結論。さもありなん。

また、定期的な出社機会を設けているのも特徴の1つ

制度としてのリモートワークは、現在はエンジニアのみに許されているそうで、しかも完全なリモートワークとは少し違って、リアルなコミュニケーション機会を意識的に作っていくことも大事だと実感しているとのこと。

そうは言っても、ある時、やはりコミュニケーション不足だなんて声が社員から上がってきたのだそうです。そこで、この会社が取り組んだ答えが・・・

音楽を生業にする自分たちの最適解が「社内ラジオ」だった

「社長がラジオやってくれないかな? 面白いんじゃない?」
ある社員の言葉から、社内でそれは面白そうだ、やってみよう。さぁ、社長まずは〜
とスタートしたのが、「社内ラジオ」が誕生するきっかけでした。

当初は「どれくらい手間がかかるんだろう」「めんどくさくないのか」と不安を覚えたという西尾さんも、実際に始めてみると大きく印象が変わったと言います。
まず、テキストコミュニケーションよりも多くの情報が詰め込めること。「社長メルマガ」という方法を採用する会社も少なくありませんが、執筆に時間がかかるわりに情報そのものは微量に終わる。しかも、ほとんどが一方通行。こうした経営者発の情報発信は、発信側の自己満足的な印象に終わることも多いし、結局続かないものであるのが一般的です。

「発言のまま、情報発信できれば、多くのことが伝えられるし、何より熱量が伝わるのがよいと思いました」
現在は、Scrapboxというツールで、このラジオに対する反響も視覚化し共有できているそうです。

ところで、では社員の皆さんの反応はと言うと。

【社内ラジオを欠かさず聞いていますか?】
過半数が「はい」との答え

【いつ、聞いていますか?】
通勤時間など「空き時間に」というスタイルがほとんど。

【社内ラジオをもっと良くするためのアイデアはありますか?(複数回答有)】
・もっと社員をゲスト出演させる
・もっといろんな人が話してほしい。開発ラジオが聞きたい
・専用のアプリやツールなどを作って収録しやすくする
・過去のラジオ一覧が見やすくなるように工夫する
と、いくつものアイデアの提案も。

この「社内ラジオ」概ね毎日公開されているそうで、西尾さんの収録スタイルはほぼ完成されてきて、現在はスマホでも収録可能になっているとのこと。早いときは公開まで30分程度で完結するようになったので、手間でもなくなってきたそう。

この定着してきた「社内ラジオ」。いくつか明確なルールも見えてきたと言います。
・できるだけ社内の話題に特化すること
・楽しんで収録すること、楽しんでいることが周りにわかるようにすること
・無理してやらない

 

要望にも出ていますが、「ゲスト出演の際には、実際のラジオのDJブースのように演出もしながら収録をするのが、モチベーションにもなる」と広報担当の宮崎さんも言います。

結論。コミュニケーションもエンターテイメントになりうるという自信


そもそも、なぜ「ラジオ」だったんだろう? と訊ねました。
「ラジオ」という単語、その表現がわかりやすかったし、これならみんなに受け入れられるという自信があったのだという答え。

と聞いて、思い浮かべるのは、昨今のYoutube番組のスタイルはかつてのラジオの文化を踏襲しているものだな、ということだったり、つい最近の2.5次元人気で発売されるDVDメディアの特典映像がやはり声優たちの雑談トーク集(まさに、これもラジオ)だったりするもの。

「クレオフーガ」の社内ラジオも、公にはできない機密事項が打ち明けられたり、思い切り身内ネタで盛り上がったりするのだそう。旧世代だと、このためのツールは「社内報」と呼ばれるものでした。いまでは、30代くらいの社会人も既にそうしたメディアを見た経験がないかもしれませんが、この「社内報」に力を入れて良いメディアを生んでいた会社もたくさんあります。リクルートという会社も、その1つに加えられるでしょう。

インターネットの登場〜ブログツールの普及で、そうしたプチメディアもなくなっていったのですが、社会にとっての役割や目的が大きく異なるものでもありません。かわら版と呼ばれていた謄写版の読み物が、活版印刷によって〇〇新聞として社会にあまねく広がっていったように。今回、「社内ラジオ」という話題を伺って、その在りようを知ってみると、それは新しい会社のコミュニケーション手段を目撃したという印象でもありました。

参考:
クレオフーガ
日本最大級の著作権フリーBGM・効果音 ストックサービス「Audiostock」

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