CMプランナーから学んだコピーライティング発想法

コピーライティングとは広告を書く時の文章術です。例えば、街を歩いていると見かけるポスターや広告に書いてある文章などはコピーライティングで書かれています。少し古いですが、西武百貨店の昔のポスターには「おいしい生活」というキャッチコピーが書かれていました。紙媒体だけでもEコマースでも商品を売るための文章は工夫されています。

広告コピーは基本的には物やサービスを含めた商品を買ってもらうための文章です。商品を買ってもらうためにはターゲットの心を体を動かして商品購入まで導かなければいけません。このコピーライティングの発想法は実はマーケティングをする人だけではなく一般的なビジネスパーソンにも役に立ちます。

本記事では人の心と体を動かすコピーライティングの発想法をご紹介します。

コピーライティングは人の心と体を動かす

コピーライティングは商品を買ってもらうための文章術です。商品を買ってもらうためには商品に興味をもってもらわなければならないので心を動かさなければいけません。ターゲットに商品の存在を知ってもらい、お金を出してでも買いたいと思ってもらうためには心を動かす必要があります。

そして実際に買ってもらうためにはターゲットの体も動かさなければなりません。例えばアパレルの実店舗なら服を手にとってもらいレジまでもってきてもらい、さらにはお財布を出してお金を払ってもらわなければいけません。Eコマースサイトなら商品購入ボタンを押してもらわなければなりません。

コピーライティングは文章だけで人の心と体を動かせてはじめて成功したといえます。逆にいえば「人の心と体を言葉だけで動かす」のがコピーライティングなのです。

i Podのキャッチコピー “1000Songs in your pocket”

有名なキャッチコピーに 「1000Songs in your pocket」があります。iPod というアップル社の携帯音楽プレイヤーのキャッチコピーです。この短いキャッチコピーはとても短いですがiPodの良さをターゲットに一言で上手く伝えた美しいコピーとして有名です。

iPodが発売された当時も携帯型のMP3プレイヤーが多く販売されていました。しかしMP3プレイヤーのキャッチコピーの多くは「1GBの大容量!」等といった文句で売られていました。

「1000Songs in your pocket」と「1GBの大容量!」、同じキャッチコピーでもiPodのコピーと他のMP3プレイヤーのコピーでは本質的な部分が異なります。

一体、何が違うのでしょうか。答えを言ってしまうとiPodのキャッチコピーはターゲット、つまりお客さんの目線に立って、お客さんの悩みや問題を解決してどう変わるか?までを端的に表現できているところです。

「1GBの大容量!」はメーカー側の視点を抜けきれていません。単に商品のスペックだけを説明しても、なかなかお客さんの心と体を動かすことは難しいのです。

コピーライティングを考える3ステップ

コピーライティングを考える基本的な3ステップがあります。ステップ1がファクト、ステップ2がメリット、ステップ3がベネフィットです。この3ステップでターゲットの心と体を動かすコピーを考えます。

私もライターとして輸入品を取り扱うEコマースサイトの商品のコピーライティングの仕事を請負っていますが、この3ステップで紹介する商品のコピーを考えています。有名なコピーライターを輩出している宣伝会議などの講座でも教わるコピーライティングを考えるうえでの有名な考え方です。

この発想法はコピーライティングだけではなく営業にもマーケティングにも役にたちます。それでは詳しく見て行きましょう。

ステップ1:ファクト

コピーライティングをするうえで一番初めにおさえるのが売り出したい商品の「ファクト」の部分です。コピーライターは最初に商品の「ファクト」を正確に把握します。

ファクトは英語で事実という意味です。例えばiPodなら1GBの容量の音楽データが入るなどの実際の機能をさします。パソコンでしたらCPUがクロック周波数が3.00GHzでメモリーが512MBといった性能ですし、カメラなら約1500万画素数がファクトにあたります。

本当にガジェットに詳しい方なら、このスペックを見て商品を判断することができます。むしろ、気の利いた言い回しのコピーや宣伝文句があると実際の性能が分かりづらいと思うのではないでしょうか。少なくとも私がパソコンを買う時はむしろファクトの部分を重視します。

しかし世の中の多くの人に商品を手にとって欲しいと思うならスペックだけを伝えても、その商品の良さは伝わりません。

例えばパソコンや携帯音楽プレイヤーのことを全く知らない小学生に、このiPodは1GBの容量のことだけ力説しても、「1GB?ふーん、だから・・・?」と思われてしまいます。

過去の日本の広告もファクトしか書かれていないことが多く、その商品の本当の良さを伝えきれていませんでした。メーカーの開発者からすれば、この「1GB」の容量が売りなんだ!とかカメラの約1500万画素というスペックを開発するのに苦労したから強調したいという思いもあるかもしれません。しかしファクトだけでは商品の良さを伝えきれません。

売り出したい商品の「ファクト」をコピーライターはしっかりおさえる必要があります。しかし、「ファクト」をそのまま伝えるだけではターゲットの心と体を動かし購買まで導くことはできないのです。

ステップ2:メリット

ステップ2ではコピーライターはステップ1の「ファクト」から、その商品の直接的な強みである「メリット」を考えます。

メリットは英語で利点や長所という意味です。例えばiPodなら音楽データを1GB分の約1000曲ほど保存しておけること」がメリットです。もっと分かりやすい例で車なら「遠い距離まで移動できること」ですしカメラなら「綺麗に写真を写せること」がメリットにあたります。

しかしステップ2のメリットを伝えるだけではターゲットの心と体を動かすには不十分です。そこでもう少し踏み込んでターゲットの目線から商品によって得られる価値、バリューまでを考える必要があります。

ステップ3:ベネフィット

ステップ3ではメリットからベネフィットを考えます。ベネフィットは簡単に言えば商品によってもたらされるターゲットにとっての価値です。

例えばiPodなら、「どこでも気軽に1000曲分の音楽データを持ち運んで場所を気にせずに音楽を楽しめるようになること」がベネフィットです。車でしたら「満員電車に乗らずに遠い職場まで通勤できてストレスフリーになる」とか「友人とドライブして楽しい思い出をつくれる」などがベネフィットになります。カメラでしたら「綺麗な写真で旅行先の思い出を残せる」「商業用にも使える品質の写真が撮れるからカメラマンとしての仕事の依頼もくる」などがベネフィットになります。
商品によってターゲットにもたらされる価値がベネフィットです。

ベネフィットを考えるコツは相手の視点やインサイト(内なる願望)と商品のファクト・メリットを結びつけることです。

iPodのキャッチコピー「1000songs in your Pocket.」は「どこでも気軽に1000曲分の音楽データを持ち運んで場所を気にせずに音楽を楽しめるようになること」というベネフィットをさらに、洗練された表現に言い換えたできたコピーなのです。

パーソナルトレーニングジムを3ステップで考える

2ヶ月で約10kgダイエットできると評判のパーソナルトレーニングジムをコピーライターが宣伝する時の事例を考えてみましょう。

まずはターゲット像を考えます。例えば太っているけど夏までに痩せて素敵な彼氏をつかまえたい女性をターゲットにします。この売りたいターゲットを設定することをマーケティング用語で「ペルソナ設定」と呼びます。

ステップ1:商品のもつファクトを把握する

ファクトではパーソナルトレーニングジムの客観的なサービスを把握します。

・個室でトレーニングできる
・マンツーマンでトレーナーがつくので負荷の高いトレーニングができる
・筋トレや食事のアドバイスを受けることができる
・短期集中のプログラム

ステップ2:商品のもつメリットを考える

メリットではパーソナルトレーニングジムの直接的な強みを把握します。

・10kg痩せることができる
・2ヶ月ぐらいと短い期間で済む

ステップ3:ターゲットのインサイトを踏まえベネフィットを考える

ペルソナ設定では「太っているけど夏まで素敵な彼氏を見つけたい女性」なので、

・10kg痩せてスマートになれるから見た目も若々しくなり男性からモテる
・2ヶ月の短期間で痩せるから夏までに間に合う

これがベネフィットです。商品やサービスをお客さんに売るときは、このベネフィットまでを伝えなければお客さんの心と体を動かすことはできません。

What to say とHow to say

コピーライティングの世界ではWhat to say とHow to sayを分けて考えます。つまり何を伝えるのか?どう伝えるのか?を明確に分けて考えます。

ファクト・メリット・ベネフィットの3ステップでWhat to sayの部分が決まります。そのうえでどんな表現で伝えるのかを考えます。

例えば「必ず痩せる」という表現も「結果にコミットする」と言い換えると同じ内容を伝えているにも関わらず印象が変わります。

コピーライティングではどう伝えるか?も大切です。

紙媒体広告のキャッチコピーの作り方

紙媒体のキャッチコピーの伝え方の一例を簡単にご紹介します。ファクト・メリット・ベネフィットの3ステップまでを考えるのは変わりません。しかし紙媒体ではHow to sayの部分でWebメディアよりも少し婉曲的で洗練された表現が使われる傾向があります。

マインドマップと連想ゲームでHow to sayを考える

紙媒体ですと直接的なコピーは場合によりますが、あまり好まれません。ですので伝えたいことを中心に添えて連想ゲームのようにマインドマップで言葉を考えます。

例えば「音楽を携帯できます」

音楽からアーティストやSONGS、心地よさ、リズムといったワードを連想できます。
携帯からポケットや軽い、どこでも、出かけるといったワードを連想できます。

そして

「ポケットにリズムを入れて出かけよう!」
といったキャッチコピーが生まれます。この発想法はプロのコピーライターも使う技術です。

Eコマースのコピーライティング

Eコマースのコピーライティングは紙媒体に比べるとキャッチーな表現にしなくても良いため、紙媒体よりも具体的で直接的な表現が好まれます。

広告にはプッシュ型とプル型があります。プッシュ型は広告主がユーザーに情報を伝える広告。
例えばテレビやラジオCM、ポスターなどです。プル型はターゲットが自分から取りに行く広告でネット検索されるEコマースやWebメディアが中心です。

ポスターなどの紙媒体はプッシュ型広告なのでキャッチーな表現にしないと読んでもらえないのに対してEコマースはプル型なのである程度、興味のある顧客が文章を読んでくれるため紙ほどキャッチーな表現にする必要がないからです。

Webの商品紹介はストレートな表現で書く

例えばCMでは「結果にコミット」という表現が使われているパーソナルトレーニングジムがありますがWebサイトでは「短期間でキレイに痩せるだけじゃなくなりたいカラダにどんどん変われる」とCMよりも直接的で具体的な表現のコピーが用いられています。

Webサイトはプル型広告なので、ある程度サービスや商品に興味をもった層に具体的なメッセージを届けるためストレートな表現になるのです。

営業に応用するコピーライティング発想法

営業にもコピーライティングの発想法を応用することができます。本質的には営業も広告も相手の悩みを解決し幸せになってもらうことが目的だからです。

相手の悩み(インサイト)を捉える

まずは相手の悩みを考えます。広告との違いはペルソナ設定をする必要がなく目の前の人の悩みを考えてあげることです。だから営業では目の前の人をしっかり見ることが大切です。

相手の悩みを解決する提案をする

自分の売りたい商品と相手の悩みを結びつけます。そして自分の商品の持っているファクト・メリット・ベネフィットを考えたうえで相手の悩みを解決する提案をします。ベネフィットをしっかり伝えることが大切です。そして相手によってベネフィットをどんな表現で伝えるかも考えます。

本質的には広告も営業も変わりません。

お客さんファーストであることが大切

広告も営業も基本的なスタンスは変わりません。私はEコマースで輸入品のガジェットのコピーを書くときもライターとして仕事を得るために営業をする時もコピーライティングの発想法をベースにして行動しています。

コピーライティングで一番、大切なのはお客さんファーストであることです。お客さんの悩み事の部分を考えることが大切です。そのうえで自分の持っている商品やサービスがお客さんに有益であることを伝えるのです。本当にお客さんにとって有益なら喜んでもらえるはずです。

まとめ

コピーライティングの発想法はビジネスパーソンにも役に立ちます。ターゲットのインサイトをしっかりと把握して自分の持っている商品やサービスの強みをファクト・メリット・ベネフィットの3ステップで考えいかに有益なのかを工夫して伝えます。一番大切なのはお客さんファーストであることです。商品・サービスでお客さんにどんな価値をもたらすことができるのかを伝え、お客さんの心と体を動かしましょう。

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