会計事務所の電子化は規模によってさまざま。進捗状況を徹底比較

前回の「会計事務所の規模によって違う? 整理&顧客管理方法比較」では、複数の会計事務所や税理士法人への勤務経験があるAさんの話を参考に、会計事務所の規模ごとに資料整理と顧客管理方法を紹介しました。帳簿書類などの保存期間が10年に延びた(一定の条件を満たす場合)ことで、今後は紙資料の管理がますます大変になることが予想されています。また、さらなる業務の効率化を図る手段として、電子化は有効な選択肢といえるでしょう。

Aさんの話から、現時点の会計事務所における電子化の浸透状況は、事務所によって大きく異なることがわかりました。後編となるこの記事では、会計事務所の規模別に電子化の浸透状況を紹介します。

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1.個人会計事務所の電子化浸透状況

先生1人に従業員10人の小規模事務所に勤務していたAさん。顧客・従業員ともに高齢化が進んでいる事務所では、FAXやメール、チャットを使いこなせない先生に合わせて、資料・情報管理はほとんど紙資料で行っていました。

また、事務所内での連絡方法もメールやチャットではなく、口頭や連絡ノートを使ってのやりとりでした。確認機能がないため、きちんと伝達されているのか不透明な状態です。そのため、情報が錯綜するトラブルが非常に多くありました。事務所内にある膨大な資料の中から特定の資料を探し出すのに、かなりの時間がかかっていたこともわかっています。

このような状態であるため、当然のことながら電子化もほとんど浸透していません。事務所内のメールアドレスは先生だけのものであり、すべてのメールやFAXが一点に集中していたようです。

事務所内でメールを確認した人は担当者に知らせなければならないルールがありましたが、徹底されておらず、伝達ミスもしばしば起きていました。

スケジュール管理はパソコンでできるようになっていましたが、先生がカレンダーに記載していたためほとんど機能していません。カレンダーに記載漏れがあったために、お客様をダブルブッキングしてしまうこともよくあったようです。

社内連絡用のグループLINEもありますが、先生の写真投稿でほとんど埋め尽くされています。

日報には財務会計システムの「ミロク情報サービス(MJS)」を使っていました。しかし、常に何らかの業務を登録しなければならないシステムであるため、誰の手が空いているのかわからずに仕事を頼みにくいと先生が漏らしていました。

1つしかないメールアドレスやカレンダーのスケジュール管理など、電子化が浸透しているとはお世辞にもいえず、そのために発生したトラブルも多々あります。しかし、改革を提案しても却下されてしまう状況が続いているのが現状です。

2.準大手・中堅会計事務所の電子化浸透状況

Aさんが勤務していた40~50人の従業員が所属する税理士法人は、資料・情報管理だけではなく社内外連絡やタイムカードなど、全体的に電子化が浸透していました。これは事務所の規模によるものというより、先生の性格によるものが大きいとAさんは分析しています。

メールアドレスは全従業員に個別に与えられ、社外とのデータのやり取りでも使われていたようです。

また、社内のやり取りには情報共有ツールの「サイボウズ」が導入されていて、日々のスケジュール管理や社用車の予約ができるようになっていました。外出中の担当者に電話があった場合も、伝言メモを入れればメールが転送されます。サイボウズへのログイン・ログアウトがタイムカードの役割も果たし、サイボウズによる社内行事の出欠連絡も認められています。

2人の総務担当者が支店ごとのやり取りやスケジュールの調整、連絡や予定管理を徹底していたようです。日報だけは紙資料でしたが、紛失してそのままという事態も珍しくありませんでした。

サイボウズを導入したことで連絡や就業、スケジュール管理など全体的に電子化が浸透しているという印象を受けました。また、電子化が進んでいることと社内ルールが徹底されていることで、事務所内がきれいに保たれていたようです。

毎月一回バックアップを取りながら、セキュリティ対策が行われていました。

3.大手会計事務所(BIG4以外)の電子化浸透状況

ある中核都市でNo.1の税理士法人グループで働いていたというAさん。人材派遣業なども展開し、他の都市にも事務所があり、グループ全体の従業員数は100~200人程度でした。そのため電子化はマストで、オンライン上で全体がまとめられていることも多かったようです。

電子メールについては、各個人にアドレスが与えられていましたが、全体の連絡事項から関連部署の連絡事項、お客様からのメールなど何でもメールで来ていたので、掲示板のほうがわかりやすかったようです。毎朝のメールチェックから1日の業務は始まっていました。

月間スケジュールは期日までの入力必須で、細かい時間単位で入力する必要がありましたが、とりあえず入力していた人も少なくないようです。そのため、オンライン上のスケジュールと実際の仕事内容が違うこともありました。

日報は「TKCシステム」に組み込まれたものに入力。翌日の予定などは上司への連絡がなければ承認されないシステムになっていて、オンラインで業務の確認をやり取りできる仕組みでした。

月に一度あるグループミーティングには、遠方のグループに所属していて来ることができない人もいます。その場合は、ビデオでつないでオンラインミーティングスタイルをとっていたようです。

ミーティングや講演会が多い事務所でしたが、すべて録画・録音し、共有ファイルで保存していました。DVDに録画することで、参加できなかった人も見ることができるというメリットはありますが、取り込み作業などで仕事量が増えるといった問題がありました。

月に一度パソコンのチェックが実施されていて、業務に関係のないサイトを見ているとすぐにバレました。また、USBメモリーは支給されたものしか使用できず、月に一度のチェックがあるなど、セキュリティ対策は徹底していたようです。

大手事務所であるため、電子化を駆使して全体で情報を可視化して共有する工夫がされていた印象です。また、スケジュール入力やセキュリティチェックなどのルール化もされていました。電子化によって便利になる反面、追加業務が発生してしまうという事態もありました。

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

会計事務所の規模が大きくなるにつれて電子化が進み、ルール化も徹底しているという印象を受けました。電子化を進めるだけではなく、セキュリティチェック体制もしっかり整えることが重要です。

しかし、小規模事務所や個人事務所は先生の性格や意向がその事務所の特色として反映されるので、「小規模会計事務所=電子化が遅れている」と考えるのは早計です。

紙での保管を義務付けられている書類も多く、電子化が進んでいる事務所でも倉庫が足りないという所は多々あります。また、電子化したことでかえって仕事量が増えたというケースもあります。

電子化と紙資料による管理のそれぞれのメリット・デメリットを見極めながら、効率的かつ効果的に電子化を進めることをおすすめします。

参考:
株式会社ミロク情報サービス 財務・経理システム・会計ソフト
サイボウズのクラウドサービス サイボウズ

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