事例紹介
2018.05.07

「会社」の種類をきちんと知る〜会社とは組織とは? 集中連載第2回

「会社」とは、お金儲けを目的とした人の集まりで、かつ法人である。ここまでは前回の記事で理解いただけたと思います。ここで改めて、法人という言葉を復習しましょう。法人の対になる言葉は「自然人」。私たち「普通の人」のことです。少し格式張った言葉で説明すると、権利能力が認められる社会的実在としての人間のことです。

そんな普通の人たちの間にも、いろいろな人種や性格が異なる人が存在するように、一口に「会社」といってもその必要性や目的に応じていろいろな形態の会社が設立できるように法律で認められている、というところを確認していきましょう。
会社法では、会社の種類を株式会社、合資会社、合名会社、合同会社であると定めています。

まずは株式会社について詳しく知る

一番身近でなじみのあるスタイルは株式会社でしょう。株式会社の特徴は、「有限責任制」と「株式譲渡自由制」です。この2つの原則が、株式会社をこれほど世界中に広め、世界の経済活動を大きく左右するほどになりました。

有限責任制について

有限責任制とは、出資者(株主)が出資している株式会社が大きな債務を抱えて倒産しても、自分が出資している範囲内で責任を取れば終わり、ということです。自分の個人財産まで提供して返済するようなことは不要で、責任範囲に限度があることから、有限責任制と言われるのです。

つまり、会社が倒産すれば出資金は戻ってきませんが、その出資金額分のみあきらめればいいということになります。

無限責任制について

無限責任制においては、会社が倒産した場合、自分が出資した資金で債務のすべてを返済できなければ、個人財産もつぎ込まなければなりません。全額返済までに死亡すれば、相続人がその債務を引き継ぎ支払います。大変責任の重い制度です。
「一家で夜逃げ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。個人商店の多くは店主の家族で経営していますので、もし商売が行き詰れば、全財産を提供しなければなりません。そこで生活用品を車に積めるだけ積んで、近所が気づかない夜中に一家で逃げてしまうのでした。

とはいえ、株式会社でも日本の中小企業のオーナー経営者は、銀行などからの借入の際には連帯保証人となることを要求されますから、実質的には無限責任を負っています。

株式譲渡の自由性について

株式会社の株式は、上場・非上場を問わず原則として譲渡自由です。最初に会社を設立した際に出資した株主がそのまま持ち続ける必要はありません。何らかの理由でお金が必要になったとき、持っている株式を他の人に譲渡して資金を作ればいいのです。その株式を買った人もまた、いつでも誰かに譲渡できます。

「有限責任制」と「株式譲渡自由制」。
この2つが、誰でも気軽に自分の出せる範囲の金額を出資し、事業に参加することを可能にしたのです。これは、その後の社会においても偉大な発明でした。
将来有望で多くのニーズがあるものの莫大な資金が必要で、なおかつ儲けを出すには長い時間がかかる事業(例えば、鉄道業、海運業、航空業など)がこれを元に起こり、社会の発展や福祉の向上に寄与しました。
特に産業革命以後に、株式会社は世界で大きく発展していきました。
 

株式会社以外の会社を知ろう

合名会社

合名会社は、無限責任社員(社員とは法的にはその組織の出資者のことで、会社員とは違います)だけで構成されている会社です。
社員全員が代表権(会社を代表していろいろな権利・義務を行使する権利)と業務執行権をもっています。それだけに社員各人の信用が重要視されます。内部でも対外的にも社員同士の信頼関係がないと、うまくいきません。

取引をする側にとっては、万一の場合個人財産もアテにでき、非常に安心といえます。
また、構成員の社員は当然ながら儲けを全員で分配できるため、リターンが大きいのも特徴です。もちろん、その分リスクも大きいわけです。

どれだけ出資したかという割合を「持分(もちぶん)」と言い、その持分の譲渡には社員全員の承認が必要です。
次に述べる合資会社とともに、多くは家族や親族のみで経営している比較的小さな規模で、何百年も続いているお酒メーカーなどに多い形態です。

合資会社

合資会社は無限責任社員と有限責任社員、両方の社員で構成されている形態の会社です。
合名会社として始め、後に事業拡張のため友人や知り合いに有限責任社員として参加してもらったような会社です。
代表権や業務執行権は原則として、無限責任社員、有限責任社員双方とも有します。持分の譲渡については、無限責任社員、有限責任社員とも無限責任社員全員の承認が必要です。

前述の合名会社と同様に閉鎖的な形態で、ほとんど家族や親族、友人たちで経営している会社です。

合同会社

アメリカのLLC(Limited Liability Company)を見本にして、会社法によって設立が可能になった会社です。
出資者は株式会社と同じく有限責任ですが、「株主平等の原則(p.○○参照)」がある株式会社と異なり、「定款自治(ていかんじち)」があります。「定款自治」とは、会社の定款によって、出資者間で利益配当の分配率に差をつけたり、各種投票権に差をつけたり自由にできる権利のことです。

現在、この形態でもっとも有名な会社は、Appleでしょう。国内著名企業を挙げると、セゾングループ企業であった西友がウォルマート傘下となった際に合同会社に改組したということも当時は随分話題になりました。合同会社は比較的新しい会社形態だから、話題になるのも当然でした。

会社の目的と投資家の目的を合致させるためいろいろな設計ができる点で、他の形態より自由度が高いと考えられているのがこの特徴です。

相互会社

社員(会員)の相互扶助を目的とした会社で、加入者全員を社員とする生命保険会社や損害保険会社に多い形態の会社。
これらの会社の社員は何十万人、何百万人となりますので、株式会社の株主総会にあたる社員総会は、開催不可能です。したがって、社員総会に代わるべき機関として「総代会」を設置し、総代会には社員の中から選出された総代が出席します。剰余金の処分、定款の変更、取締役の選任などを決議します。(相互会社の会社人は社員とはいわず、職員と言います。)

「まさかの時」が発生したら加入者同士で支援することを目的に、設立され運営されているわけですが、最近では保険会社も株式会社へ改組する流れがあります。

有限会社

○○有限会社、あるいは有限会社○○という会社名を時々見かけます。以前は商法で有限会社を作ることができたため、その名前が残っているのです。会社法が改正されるまで、比較的小規模の会社は有限会社で、資本金が1000万円以上の会社は株式会社という名称にする、という定めがありました。現在の会社法では株式会社が資本金1円から作れますから、有限会社と株式会社の区別の必要がなくなっています。

会社法施行前につくられた有限会社の名称は、「有限会社特例法」という法律で、そのまま残してもいいことになりました。

外国会社

外国の法律で設立され、日本に代表者一名以上を置いて事業を行なっている会社です。基本的には日本の会社と同様の義務や権利があります。

航空機、武器、原子力、宇宙開発、エネルギー、通信、放送、鉄道、旅客運送、石油など、日本の安全保障に関係する業種については、設立に当たって制限があります。

では、親会社・子会社ってなんだろうか?

「親会社」や「子会社」という名前の会社は存在しません。会社法上の支配権の問題で親会社と子会社に分かれます。
親会社とは、他の会社の決議権の50%以上を持っている会社や、50%以上持っていなくても、事実上「他の会社の財務及び営業または事業を決定する株主総会等の機関を支配している」会社のこといい、子会社とはその対象となっている会社です。

会社法による親子間の規定で主なものは、以下です。

1. 子会社は、子会社のためには何らの利益にならないのに、親会社の利益になる行為をしてはならない(親会社が子会社に圧力をかけて親会社の利益になることをさせるのを禁止しています)。
2. 子会社は、親会社の株式を取得し保有することを禁止される(親会社が子会社に出資し、子会社がそのお金で親会社の株式を取得すれば、同じお金がグルグル回っているだけで、出資になりません)。
3. 親会社の監査役は、子会社の監査や調査権も認められている。

ところで、同族会社という形態もあるのでしょうか

同族会社とは

会社法上では、このような会社はありません。法人税法の規定によって定められている名称で、株主の持株数や出資者の出資金額の多い順番に、上から「3人以下の者並びにこれらと特殊な関係にある個人及び法人」が、その会社の発行株式数または出資金の50%以上を所有している会社、と定義づけられています。
なぜ「同族会社」を別途定義しているかといえば、家族や仲間内で構成されるこのような会社では、非合理的な経営判断をしたり、不当あるいは違法に税金を逃れたりすることもあるかもしれない、と考えられているからです。人間の心理を考え研究されている制度ともいえますね。
なお、特殊な関係とは、「親族、事実上結婚関係にある者やその者の親族、使用人やその者の親族及びこれらの者から受ける金銭で生計を維持している者等」とされています。「事実婚」などの相手側やその家族も特殊な関係者に含まれる、と規定しているのです。
同族会社に対する法人税の特別規制の例としては、「同族会社の行為・計算の否認」があります。同族会社でなければ行わないような経済合理的でない取引で、不当に法人税をまぬがれている、と税務署長が判断した場合、税務署長の職権で、その取引をないものとして法人税が計算されます。そうでなければ「課税公平の原則」が保てないからです。

使用人兼務役員の制限

取締役営業部長などは、「取締役」と営業部長という「社員」という二重の地位を有します。このような取締役を使用人兼務役員といいます。役員賞与は法人税法では経費になりませんが、兼務役員の社員部分(使用人部分)は経費となります。ただし、大株主が使用人兼務役員の場合には、全額経費にはならない、という規則です。そうするとそれだけ法人税が高くなりますね。
例えば、相続税対策でまだ大学3年生の息子を大株主にして、かつ、取締役企画部長として、役員賞与をだしている同族会社があるとします。でもその役員賞与は使用人部分でも経費と認めない、という規則です。実際仕事をしていなければ、毎月の役員報酬も経費とはなりません。当然ですよね。

留保金課税

株式会社では利益が出れば当然配当をします。配当をしなければ株主から不満がでて、株主総会で取締役が解任されることになります。
しかし同族会社では、利益が出て配当しなくても、いつかはすべてが一族・大株主のものとなります。ですから利益が出ても配当しないで、内部に留保しておく傾向があります。
配当をすれば、受け取った株主に配当金課税ができますが、配当しないのでは課税できません。それでは、配当する会社の株主と配当しない会社の株主との公平性を欠きます。ですから、同族会社の留保金から一定の割合で留保金課税をし、公平を保つようにしているのです。

今回は、「会社」の幾つもの種類を追いかけてみました。
次回は、では「会社」の必要性やメリットについて注意深く追いかけていきましょう。

効果的なマネジメントの処方箋

組織の潜在能力を引き出してビジネスを成功に導くためには、タスクや時間、そして人に対して、適切なマネジメント(管理)を実践することが必要不可欠です。
しっかりとした方法論に則って、効果的なマネジメントを実現させましょう。

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