「お疲れ様」より「ありがとう」 女性メンバーのやる気を引き出すコミュニケーション

最近、パワハラ・モラハラ・セクハラなど、職場の人間関係におけるトラブルがたびたびメディアに取りあげられています。その中には、男性と女性との認識のズレによって生じているものも少なくありません。

異性と協力して仕事をするということは、そんなに難しいことなのでしょうか。職場には年齢や出身地、専門分野が異なる仲間がいて、性別もそうした違いの1つのはずなのですが。。

今回は、女性メンバー5人を束ねる男性リーダーが、女性メンバーにモチベーション高く働いてもらうために意識しているコミュニケーションについてお話しします。

1.大切なのは相手の立場を想像して言葉を選ぶこと

人はそれぞれ違う境遇の中で、日々生活しています。職場という狭い空間の中で互いに気持ちよく仕事をするためには、相手に敬意をもつことが必要です。相手に敬意をもつということは、相手を理解しようと歩み寄り、想像することだと思います。

「女性というのは本当によくわからないな」と、女性の部下に対して感じたら、「女性」が置かれている状況を想像し、その人個人を理解するように努めてみてください。それを意識することでコミュニケーションが変わり、仕事でのつき合い方が変わってくるはずです。

2.1日の終わりには「お疲れ様」ではなく「ありがとう」を

1日の終わりを感謝の言葉で締めくくること。これは、私がリーダーとして大切にし、日々意識しているコミュニケーションの1つです。女性メンバーばかりのチームをまとめるようになり、彼女たちを理解しようとして、これに気づくことができました。

社会人として仕事をしていると、1日に何度も「お疲れ様」という言葉を使う機会があります。最近では「朝からお疲れ様はいわないようにしよう」という会社も増えているようですが、それでも退勤時に「お疲れ様」と声をかけ合うのは、どのオフィスでも見られる風景だと思います。

しかし、私はチームの女性メンバーに、意識して「ありがとうございました」という言葉をかけてオフィスから送り出すようにしています。これは、彼女たちの仕事がオフィスを出ても終わりではないと思っているからです。

多くの場合、男性の仕事は職場で働くことを指します。家に帰って家事をするとしても、結婚をしていれば「手伝う」という言い方をすることが多いでしょう。しかし、既婚女性や子育てをしている女性の場合はそうではありません。仕事を終えて家に帰って家事をすることを、「手伝い」とはいいませんよね。

子どもがいる女性にとっては、むしろ家に帰ってからのほうが大変かもしれません。ですので、1日の仕事が終わったときに使う「お疲れ様」という言葉は、女性が職場での仕事を終えたときにかけるには、ふさわしくないと考えています。

では、代わりにどんな言葉をかけるのか。私は「ありがとう」がいいと思います。この言葉が「今日も1日がんばってよかったな」という気持ちを引き出してくれると信じているからです。

以前の記事で家庭をもつ女性メンバーから、「もう1人の自分になるために仕事をしている」という話を聞いたことについて書きました。もしも職場が、女性メンバーたちがもう1人の自分になるための場所ならば、職場は女性が多くの称賛を受け、感謝される場所であるべきです。

一生懸命に仕事をし、へとへとになって退勤していく女性メンバーにこそ、「今日も1日ありがとう」と声をかけてあげてください。きっとよい顔で職場を後にするようになるはずです。

3.休日の前にはどんなことがあっても指摘・指導・叱責しない


仕事に対するネガティブなイメージや苦手意識を家庭にもち帰ることを避けるため、週最後の出勤日は絶対に女性メンバーを指摘・指導・叱責すべきではありません。

想像してみてください。明日から2日間休みという金曜日の午後、上司に仕事のミスを指摘され、解消できずに退勤していくとき、あなたの部下はどんな気持ちを抱いているでしょうか。また、家に帰ってパートナーにどんな話をし、そのパートナーからどんな言葉が返ってくるでしょうか。

日中、家族で外出しているときにミスを思い出して落ち込んでしまうかもしれません。夜、「金曜日に仕事でミスをしちゃって、月曜日出勤するのが憂鬱なんだ」とパートナーに愚痴をこぼしてしまうかもしれません。パートナーからは「そんなにストレスを感じてまでやらなきゃいけない仕事なの?」なんて言葉が返ってくるかもしれません。

上記は少しおおげさかもしれませんが、仕事へのネガティブなイメージは、見えない場所でのコミュニケーションで膨れ上がります。職場を離れる前にネガティブなイメージを抱かせないことも、女性の部下をもつリーダーが意識すべきことなのです。

女性はつらいことや不安なことを、だれかに聞いてほしいという気持ちが強いといわれています。マイナスな気持ちを抱かせたまま家庭に戻らせてはいけません。

とはいえ、ミスは起こるもので、起こったミスはどうすればいいのか。たいしたミスでなければ、リーダーが隠れて巻き取り、休み明けの日に事の顛末を説明して再発防止策を一緒に考えればよいでしょう。些細なことなら休み前にわざわざ知らせる必要はありません。

また、緊急事態でどうしてもすぐさま対処しなければならないものは、チーム全員で共有し、個人のミスではなくチームの救急解決事項にして対応します。

そうすれば、チーム全体で「みんなでがんばって解決できてよかった」という達成感を味わうことができますし、ミスをした本人はミスをしたことよりも「優しい仲間がいてくれてよかった」という、信頼感や安心感をより強く感じることができます。

なにもすべてのミスをすべて巻き取るということではありません。いくつかのミスについて、指摘するタイミングと解決する形を考えることで、メンバーが家で不安な気持ちで過ごす時間を軽減できます。本人と、そしてチーム全体でどう対処するかによって、仕事へのモチベーションは変わってくるはずです。

メンバーがトラブルを招いたときには、「本人にはいわない」「リーダーの言葉でチームに責任転嫁する」という選択も含め、コミュニケーションを考えてみてください。

4.仕事の完成図を一緒に見る

みなさんは、job/career/callingという考え方をご存知でしょうか。仕事をしているレンガ職人たちに「あなたは何をしているのですか?」と質問をし、返ってきた答えからそれぞれの仕事観を紐解く、というキャリアカウンセリングの考え方です。

ミシガン大学のAmy Wrzesniewski教授らが1997年に論文にまとめたのが初出とされるこの考え方ですが、私は女性メンバーとチームを組むことになったとき、まっ先にこの考え方について女性メンバーたちに説明しました。

一言にまとめると、「本当の完成図を一緒に見て、仕事をしましょう」という話をしたのです。job/career/callingのエピソードのように、単純作業1つでもいろいろなとらえ方で取り組むことができます。だから、たとえ文書作成1つをとっても、仕事の価値を感じられるようにしますと約束しました。

callingを日本語にする際、「(神に)呼ばれる=天職」という言葉があてられます。天職というのはいい過ぎかもしれませんが、仕事の伝え方・説明の仕方によって、メンバーにやりがいを感じてもらうことはできるはずです。そして、仕事のやりがいはもっとも純粋で強いモチベーションになります。

少しだけ具体的な話をします。私のチームは人事のチームで、どこの会社でもそうだと思いますが、基本的には会社にとってのコスト部門です。メンバーを増員した(人件費が増した)チームが評価されるには、この前提を覆す必要がありました。

そこで目標に設定したのは、まだ取り切れていない助成金を獲得し、会社の利益に貢献することです。その仕事を、下記の3段階に分けてメンバーに説明しました。

⑴作業
はじめに取りかかるのは、会社に在籍しているシルバー人材の数や産休・育休からの復帰者数などのデータ算出、フォーマットへの入力など。正直にいって時間がかかりますし、地味な作業です。

⑵実績
申請手続きをやり終えたあとには、メンバーひとりひとりにとって、社会にアピールできる経験になっています。1年を振り返ったときには、チームだけでなく個人の実績になると考えてください。この経験はほかの会社に転職しても生かせるものです。

⑶完成図
助成金は売上とは違い、そのまま利益になります。利益率が10%なら、50万円の助成金は500万円の売上に相当します。この額を6人で増やすことができれば「人事=コスト部門」という認識や「女性ばかりの人事チーム=求職者へのアピールでしょ」というイメージを変えられます。たとえば営業社員が「人事チームが新しくなって、おれたちと一緒に会社の売上や利益のことを考えてくれるようになった」なんていってくれたら最高じゃないですか。

このように話をしたことで、地味なデータ整理と書類作成は、会社の数字に貢献して新生人事チームを社内に認めさせる仕事へと姿を変えました。ちなみに、この後のことはメンバーに任せきりなので、正直なところ、私はリーダーなのに助成金の細かい申請業務については詳しく知りません。仕事の成果はすべて彼女たちのものです。

メンバーのモチベーションをどう引っ張りあげるかは、リーダーが常に頭を悩ませていることだと思います。メンバーが女性だったり、パートタイムで働いたりしている場合にはなおのこと、何をどこまで伝えればいいのかわからないと感じるかもしれません。しかし、女性メンバーにこそ、最終的な完成図をまっすぐ話せばいいのです。

女性メンバー、特にパートタイムで働くメンバーは、仕事を選ぶ際に「どうしてもこの仕事をしたくて」という理由をもたない場合が少なくありません。「家から近かったから」「保育園がこのエリアしか空いていなかったから」「時給が高いかったから」など、スタートするときの理由はこのようなものでかまいません。

それぞれの理由の後に、「でも、やってみたら思っていたよりも楽しくて、今はやりがいを感じています」とつけ加えられるようになることが大切なのです。

仕事が細分化される場面でこそ、最終的な大きな完成図とともに、仕事の依頼をしてみてください。きっとモチベーション高く仕事に取り組むメンバーが増えてくるはずです。

5.まとめ

改めてポイントのおさらいです。

1日の終わりには「お疲れ様」ではなく「ありがとう」を
家に帰ってからも家での仕事をする女性メンバーには、仕事の終わりを労う言葉はふさわしくありません。「今日も1日がんばってよかったな」という気持ちを引き出してくれる、感謝の言葉を送りましょう。

休日の前にはどんなことがあっても指摘・指導・叱責しない
仕事へのネガティブなイメージをもち帰らせない。余計なことを本人にいわないというコミュニケーションも重要です。

仕事の完成図を一緒に見る
女性メンバーにこそ仕事の完成図を伝えて、この職場でしか味わえないやりがいを感じてもらえるようにしましょう。

女性の部下との関係に悩んでいるなら、上記を試してみてください。女性とのコミュニケーションは難しいと身構える前に、メンバーひとりひとりに敬意をもって、歩み寄ることが大切です。部下との関係がどのようなものになるかは、日々のコミュニケーション次第なのです。

参考サイト:
Jobs, Careers, and Callings: People’s Relations to Their Work(Amy Wrzesniewskiほか・1997年発表)http://faculty.som.yale.edu/amywrzesniewski/documents/Jobscareersandcallings.pdf

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