事例紹介
2018.07.17

成功した2つの組織の共通点を探る!江戸幕府とローマ帝国|ビジネスモデルにみる組織のあり方 Vol.3

この記事は「ビジネスモデルにみる組織のあり方」連載の3回目です。
>>まだ連載の2回目を読んでない人はこちら

連載Vol.2では、ローマ帝国に学ぶ多様性ということで、組織を存続させるために、多様性が重要であるということについて述べました。

今回は、江戸時代から現代まで日本の組織体制について、ローマ帝国と比較しながらみていきたいと思います。

江戸時代の日本とローマ帝国の共通点

江戸時代の日本は、徳川幕府が日本を統一していた統一国家というイメージが強いと思います。

しかし、実際は、統一国家というよりは、藩の連合体とみなすほうが適切な国家でした。徳川幕府という存在は、日本にいくつもある藩の中で、最も強力的な存在であるにすぎませんでした。

江戸時代において、各藩の自治権と裁量権はかなり広く認められていました。藩札の発行さえ行うことができたといいます。
※藩札とは、大名の領内だけで使える独自の通貨のことです。

通貨があれば、藩の中で独自に経済を回すことができます。つまり、江戸時代の藩という組織は、基本的には幕府から独立した存在であったといえます。

江戸時代を総じてみてみると、藩の連合体からなる江戸幕藩体制は、ローマ帝国以上に分権的なシステムであったといえます。江戸時代の人々は、国よりも藩や村への帰属意識が強かったのです。
江戸幕府が265年間にわたる長期政権を維持できたことや明治維新による統一国家への転換がごく短い期間の間に達成され、その後急速に近代化を達成したことなどは、江戸時代の分権的な構造にあったと考えられます。

このように、江戸時代の日本は、政治的な分権自由な経済という点で、ローマ帝国とよく似た経済・社会構造をもっていました。

ローマ帝国モデルの現代的意味付け

現代の日本は「失われた20年」といわれるように、長期の停滞過程を続けています。

連載Vol.2でローマ帝国は、中央集権化と国家の経済介入により内部から崩壊したといいましたが、その後ローマ帝国は驚くべきことに帝国の復活を遂げています。

当時の世界情勢においてローマ帝国が復活するという事実はとてつもない大ニュースでした。
ローマ帝国が最も栄えた時代の「ローマの神君」と呼ばれた皇帝アウグストゥスが亡くなってから80年以上の間、ローマ帝国は良い指導者に恵まれませんでした。
この時期のローマ帝国は、政治的にみるとまさに「混乱の時代」が続いていました。

しかしローマ帝国は、組織にとって重要な2つの要素を抑えていたために、再度「偉大なローマ帝国」ののれんを復活させることができたのです。

「組織が一度停滞しても復活することがある」という事実は、現代の日本にとって重要な意味を持ちます。

では、組織が復活するための条件とは何なのでしょうか?

分権と経済的自由

ローマ帝国復活に大きく影響したのは次の2つです。

一つは、分権化が進んでいたことです。
崩壊する前のローマ帝国では、都市にほぼ完全な自治権が与えられていたといいました。また、各都市は独自の財源を持っていて、独自の政策を進めることができました。そのため、復活に際してかつての分権システムが大きく役に立ったと考えられます。

もう一つは、経済活動の自由が確保されていたことです。
崩壊する前のローマ帝国では、経済に国家が介入することはほとんどなかったといいました。また、国が経済活動に関与するような巨大な国営企業を運営していたわけでもありませんでした。自由な経済経済こそが、かつてローマが栄えていた時代の経済運営の基本でした。

つまり、分権化と市場メカニズムの活用こそが、現代の日本を停滞から救い、悪政から国家と自由な経済活動を守る最も強力な手段といえます。

分権がシステムを強靭にする

分権化は、システム全体の強靭性を高めます。
分権体制の下では、どこかの組織がうまくいっていなくても、それがすぐ全体に響くわけではありません。

また、分権システムにおいては、多くの人の集合的な考えによって意思決定がなされます。この意味で、分権システムは強いシステムであるといえます。
たしかに、意思決定が分散することで、スピード感はなくなりますが、組織を安定的に保つという点においては評価することができます。

まとめ

いかがでしたか?
ブロックチェーンなどのテクノロジーや働き方改革による働き方の変化についてみてみると、社会の変化の方向は分散化に向かっていることがわかります。
この変化を構造的にみてみると、実は、ローマ帝国や江戸時代の社会・経済構造に回帰していることが読み取れます。

ということで、次回の連載では、産業革命以前のビジネスモデルへの回帰というテーマでこれからのビジネスモデルや組織のあり方についてみていきたいと思います。

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