車好きじゃなくても、アニメ好きじゃなくても、映画「カーズ」からチームビルディングの成功法則を知る

ピクサー製作の『カーズ』は2006年に公開されたアニメーション映画です。2011年には続編『カーズ2』、2017年には3作目『カーズ/クロスロード』が公開されている人気シリーズでもあります。
男の子のお子さんがいらっしゃる親御さんは、見たことがある方も多いアニメではないでしょうか。そうでなくとも、おもちゃ売り場にずらっと並んでいるミニカー、トミカのなかに、車のフロントガラスに顔を書いて擬人化した『カーズ』のキャラクターのミニカーに触れたことがあるかもしれません。
この映画は、子供向けのアニメーションではありますが、仕事をする上でのチームの意義、チームビルディングの重要性を読み取ることもできる作品になっています。
ここでは、映画「カーズ」に見るチームビルディングへの成功法則を紹介していきます。

「カーズ」あらすじ

主人公、ライトニング・マックィーンは、最高峰のカーレース、ピストンカップで活躍する新人。史上初の新人初優勝をめざしています。これまで支えてくれたサビ止めのメーカーであるスポンサーに恩義があるにもかかわらず、自分自身が車のサビが嫌いなことから、ピストンカップでの優勝を叶えて新しいスポンサーをつけることを夢見ています。自分が勝つためにはどんな行動も辞さず、自分以外は一切信用しないタイプ。次のレースのために、移動用のトレーラーをむりやり休みなく運転させた結果、トレーラーは居眠り運転し、中で眠っていたマックィーンを夜のハイウェイに落としてしまいます。レーシングカーのマックィーンには、ヘッドライトがなかったためラジエータースプリングスというさびれた街に迷いこんでしまうことから、この映画のストーリーが始まります。彼はさびれたこの田舎町での出会いを通じて、友情や、車として走ることの純粋な喜び、愛、そして仲間とのチームワークを知り、ひとまわり大きくなってカリフォルニアでのレースに望むことになります。結局、そのレースでは勝利をしないのですが、以前から熱望していた憧れのチームとの契約をチームオーナーから持ちかけられることになります。
以前の彼ならば、すぐにでも契約をするはずでしたが、友情とは何かを知り、仲間を得たマックィーンは変化していました。以前からのスポンサーに忠誠を尽くし、新たなスポンサーを断り、代わりに初めて出来た親友の願いをスポンサーに叶えてもらうのでした。

この小さな日本に、世界に通用する車メーカーが、トヨタ・日産・ホンダ・マツダ・スバル・三菱・スズキ等、これだけ存在していることは特筆すべき事実です。
日本は、車とその産業にこれまで大きな恩恵や影響を受けてきたわけですが、一方で、特に若者の間で車離れが問題になっています。地方在住であれば、車は生活と切っても切り離せないツールですが、電車や地下鉄網が張り巡らされた主要都市部では、数分おきに電車に乗れ、決まった時間に目的地に着くことができるため、車での移動よりも便利な場合があることは否めません。その他にも、車を所有する維持費や、特に都心部では駐車にかかるコストも高くつくことから、車を持たないという選択をする人が増えてきているわけです。そして、日本においては、乗用車のみならず、レースなどのモータースポーツへの人々の興味の低下は続いています。

例えば、かつてはホンダの活躍により人気を極めたF1(フォーミュラ1)は、いまやそのレースの模様は地上派で見られず、ケーブルテレビチャンネルのみで放送される、コアなファンしか見ることのできないスポーツになってきています。2017年にも、元F1レーサーである佐藤琢磨氏が、世界最速のカーレースであるアメリカのインディ500で日本人として初めて(アジア人としても初めて)優勝を果たしましたが、世界的に見れば大変名誉なことであるにもかかわらず、日本での報道や影響はその功績に反して、非常に小さなバランスであったように感じられました。

環境への悪影響という懸念もあり、環境に意識が高い日本人は車離れや、モータースポーツへの理解も興味も薄くなって久しいですが、しかしその一方で、車を運転することでの利便性や、ライフスタイルへの影響は、いまもなお無視できるものではありません。

一人では仕事ができないことを理解する

この映画『カーズ』は、自己中心的な若者の心の変化の物語でもあります。能力の高さから、周囲を信じず、自分だけの力ですべてを手に入れようとするマックィーン。彼は自分自身の能力に自信を持っているため、傲慢さも合わせ持ち、周囲からの協力の必要性も理解していません。映画冒頭のレースでは、ピットクルーの忠告を無視してタイヤをオーバーロードさせ、結果バーストしていまいます。タイヤを普通に交換していれば勝てたレースをふいにしたのはピットクルーの忠告を無視し続けたマックィーンのせいですが、それを決して認めません。あげくの果てにクルーをクビにしてしまいます。

マックィーンのその姿に、仕事は一人でもできると思っている傲慢な人材を思い浮かべられないでしょうか。または、以前の自分に、自己中心的な姿を投影できる人もいるかもしれません。仕事は自分一人でできると思っていることは誤りであり、チームや相手あってこそうまく成り立つと理解できるようになるまでに、そのタイミングが来るのを待つしかありません。例えば、自信満々で一人で進めていた仕事が失敗するとか、相手がないと成り立たない事実に自分で気づくとか、取り返しのつかない重大なミスをしてから気づくことができた、という人もいるかもしれません。人は、何かきっかけがあって初めて、一人では何も出来ないという事実に向き合うことができるのです。

自分勝手で自己中心的な若者と対峙したときにとるべき対応とは?

マックィーンは、ラジエータースプリングスに真夜中に迷い込んだため、気づかないうちに道路をでこぼこにしてしまっていました。街の医者兼判事であるドック・ハドソンに道路の舗装を強制されることになってしまいます。しぶしぶ道を補修するマックィーンでしたが、レーシングカーという自負とプライドから、舗装をまじめにやらず、道は以前よりもでこぼこになってしまいます。

そのためマックィーンは、怒った住民とドックから、ドックとのレースに勝てば、舗装は無しで街から出て行ってよいと言われ、レースをするはめに。しかし、いつものレースのような綺麗な道路ではなく、ダートでのレースであったこともあり、マックィーンは負けてしまい、道路を再度舗装させられることになりました。舗装していくうちに、周りの住民と友情や親睦を深めるマックィーン。ラジエータースプリングスの美しい自然の景色にも癒されながら、いちレースカーとしての自分にあった、本当の自然な自分の姿(車)としての自分を取り戻していきます。

才能のあまり、傲慢な若者であったマックィーンに、まじめに問題に対処させるように行動したドック・ハドソン。彼も実は以前3回ピストンカップに優勝歴のある伝説のレーサーであったというのはいかにも映画の筋書き的ではありますが、マックィーンの態度を軟化させる行動に踏み込めたのは、さすがに同じ経験を持つものの経験の賜物でしょうか。

ビジネス上でも、この映画と同じような状況に対峙するときがあるかもしれません。そのときに、真剣さと本気度をもって物事を伝えること、そして条件を提示して行動を即すことの重要さと問題解決への鍵をこの場面から汲み取ることができるのではないでしょうか。

評価/感謝を忘れない

どんな相手であっても、相手の行動に対しての評価を忘れてはなりません。マックィーンは、ドックとのダートレースに負けたため、きれいな道路舗装をすることを約束し、それを守りました。さびれていた街には、久しぶりにきれいな道路が広がることになりました。つるつるできれいな道のドライブを楽しむラジエータースプリングスの住民たち。それを見て、マックィーンも、嬉しい気持ちになっていきます。

もしここで、きれいな道路に直してくれたマックィーンはよそ者だから、と住民が喜ばないでいたら、マックィーンもがっかりし、すぐに街を出ていったことでしょう。しかし、よそ者であった若者のしてくれたことを心から喜び、評価してくれる街の人々のおおらかさと心に喜びと親しみに触れたマックィーンは、さびれてしまった街の人の心の寂しさをくみとり、様々な行動でそれを解消しようとしていきます。その姿は、清々しさやうれしさを感じるシーンです。

人は、評価を得られたときに、喜びや感謝、やりがいを感じる生き物でもあります。もし、職場において、評価しづらい相手、あるいはしたくない相手が評価すべきことを成し遂げたら、あなたはどうしますか?

周囲や状況を理解する力

ラジエータースプリングスに滞在するうちに本来の自分を取り戻したマックィーンが、街の人たちへの感謝を示すかのように、さまざまな行動をしていくシーンは、非常に印象的です。タイヤ屋さん、オーガニック燃料屋さん、どの店も、ほとんど客が来ないままに、長い年月を重ねてきたお店ばかり。そしてラジエータースプリングスという街にとっても、マックィーンは新しいお客さんのように、喜ぶべき客であったのです。マックィーンは、お店の特色や希望を理解し、彼らが喜ぶオーダーをすすめていきます。それによって、お店の店員、そして周囲の住民にも喜びを広げていくことになるのでした。ラジエータースプリングスの住民の素朴な優しさと、オープンマインドに触れたマックィーンは、これまで自分が競争社会にどっぷりと浸かるあまりに、忘れてしまっていた、他人を思いやること、他人のために何かをすることの意義を思い出し、理解できるようになっていたのです。

日々仕事をしていくうちに、ビジネスでの競争や都会に溺れてしまい、いつの間に大切なことを忘れてしまっていた自分に気づくことがあるかもしれません。社会人になりたての頃に持っていた夢、大切にしていたモットーなどはなかったでしょうか。例えば、このマックィーンのように、いつもいる状況と違う場所に自分を置いてみて、自分を客観的に観察してみましょう。客観性は、周囲や状況を理解することに役に立ちます。これまでがむしゃらに働いてきた自分が、本来の自分とかけ離れてしまっていないか確認したり、チームで働いている場合には、自分の立ち位置や方向性が間違っていないかを判断してみましょう。

若者対年長者

マックィーンは、常にドック・ハドソン=伝説のレーサー、ハドソン・ホーネットから「坊や」と呼ばれます。
いつの時代でも、どんな状況でも、私たちは、年齢の壁をお互いに意識してしまうものです。

3月に2018年シーズンの幕開けをしたF1でも、メルセデス所属、ワールドチャンピオンを4回獲得しているドライバー、33歳のルイス・ハミルトンは、次世代のチャンピオンの呼び声高いレッドブル所属、20歳のマックス・フェルスタッペンの無理なオーバーテイクに対して、毎度不平不満を述べています。ついこの前まで若手だったハミルトンも、新人には一言言いたくなるという、よくある先輩vs若者という構図に、モータースポーツいちファンとしては、興味を禁じ得ません。

ビジネスでも、常にこのような状況が起こっていることでしょう。しかし、若者の視点や考え方には、まだその業界に染まっていないゆえの斬新さや、新しい切り口で難しい状況を突破する力が備わっている可能性があります。若者だからといって、上から目線で見るのではなく、ビジネス上でのチームの一員として尊重しあうようにしていきましょう。

組織対組織の合意という、チームビルディングの賜物と言える作品

映画「カーズ」はピクサーアニメーションスタジオが製作しています。ピクサーはアニメ製作をし、配給や販売促進はディズニーによって行われていましたが、映画およびキャラクターの著作権はディズニーが有し、また、10~15%興行収入をディズニーが得る契約であったためか、ピクサーが不満を抱えることに。長らくピクサーとディズニーは不調和が続いていましたが、スティーブ・ジョブスがCEOであったピクサーを、ディズニーが完全子会社化することで、2社は合意。その合意の年に公開されたこの「カーズ」は、まさに組織対組織の合意という、チームビルディングの賜物と言える作品でもあります。

ピクサーは、作品の脚本を複数人で分担し、シーン毎に担当者を割り当てて製作進行します。それに平行して、脚本に時間をかけて推敲することでも有名で、1作品で完成まで数年かかるといわれます。世界有数のチームワークで、十分に練り上げられたこの作品。若者の成長を見てとるもよし、ビジネスでの成功法則を読み取るもよし。笑いも友情もありのこの作品をぜひ見て、さまざまな観点から学びをすくい取ってみてください!
(画像出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B0151E4MNA/

間違いないチームマネジメント

競争的な市場の中でビジネスを加速させていくためには、強力なチームの存在が欠かせません。効果的なチームビルディング術や、チームでの共同作業に役立つツールやポイントを押さえることで、最高のチームを作り出しましょう。

詳細を確認する

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

同じタグのついた記事

同じカテゴリの記事