事例紹介
2018.07.12

最強のチームは存続できない!?ローマ帝国に学ぶ多様性|ビジネスモデルにみる組織のあり方 Vol.2

この記事は「ビジネスモデルにみる組織のあり方」連載の2回目です。
>>まだ連載の1回目を読んでない人はこちら

前回、ローマ帝国が人類史上最も成功したビジネスモデルであるといいました。その理由は、ローマ帝国が人類史上最も長期間にわたって継続した組織であったからです。

では、組織を長期間継続させるために必要なこととは何でしょうか。
今回は、ローマ帝国に学ぶ多様性というテーマで組織のあり方について考えていきたいと思います。

異質なものを積極的に受け入れるローマ帝国

ローマ帝国は、人類史上最も継続した組織でしたが、多様性を欠いたために自ら崩壊したという歴史があります。

それまでのローマ帝国は強い軍隊をもち、領土を拡大してきました。なぜそれが成功したかというとローマ帝国が非常に優れた制度を持っていたからです。

優れた制度1 属州に大幅な自治権を与えた

ローマ帝国は、実は中央集権国家ではなく、属州都市の集合体であったことが知られています。つまり、ローマ帝国は分権的な国家であったということです。

優れた制度2 自由な経済が成立していた


ローマ帝国は自由経済が成立していた国家でした。経済活動に国が介入することはほとんどなく、自由な経済活動が行われていました。

自由経済という点では、現代の日本と共通しています。自由経済では、市場において様々なビジネス活動が行われます。経済活動に国家が介入しないことで、規制に縛られず、それぞれが自由な発想で経済活動を行うことができるため、当時のローマ帝国では様々なビジネスモデルが生まれたと考えられます。

このように、優れた制度の上に成立していたローマ帝国ですが、次第にこの仕組みが変化していきました。国家が徐々に中央集権的な組織になり、軍を強化するための様々な財政的負担が国民にのしかかり、経済が弱体化しました。
ローマ帝国は、外敵の侵入によって滅ぼされたことになっていますが、事実としては、経済が悪循環に陥り、内部から崩壊したというわけです。

ローマ帝国の崩壊は、現代の日本に重要なことを教えてくれています。
まず、ローマの崩壊の原因に、中央集権化がありました。分権が十分でないという点を現代の日本にみることができます。また、経済活動への国の干渉が増えたこともローマ帝国崩壊の原因でした。現代の日本は、仮想通貨の事例にみられるように、新しい技術や仕組みに対して、国家が度を超えた規制をかけているという状況にあります。

【ポイント】
・中央集権化
・経済活動への国家の介入

このように、現代の日本は崩壊時のローマ帝国と類似している点が多々あります。

なぜ組織にとって多様性が重要なのか?


すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、組織を継続させるためには「異質性や多様性」が重要です。

その理由の一つに「内輪の論理」があります。
同じ考えをもった人同士が集まると、どんなことでも「なぁなぁ」で終わらせてしまうことが多いのです。現代の日本でみられる企業の不祥事(ex.東芝)は、このような体質の組織に多く見られます。

もう一つは、「既得権益」の問題です。時に、企業にとって時代に合わせてビジネスモデルを変えることは、将来にわたって企業を持続させるために重要な要素になります。しかし、社内に同じ人ばかりが集まっていると、既得権(すでに持っている自分の立場や利益)の保護が最優先事項になります。
例えば、企業で過去に成功した部門の人々が、客観的な状況が変化したにもかかわらず、社内で強い権力をもっているため、その部門の存続を要求するといったことが挙げられます。

現代の日本で、産業構造の転換が実現できない理由も「既得権益」の問題にみることができます。高度経済成長を経験した人たちが、依然として強い力を持ち続けているという実情があります。

このような状況下では、環境が変化した際にビジネスモデルを大きく転換させることが困難になります。その結果、組織の硬直化を招き、徐々に企業は衰退していきます。

なぜ優秀な人を集めた「最強のメンバーの集団」は存続できないのか?

組織を継続させるために、異質性や多様性が重要である意味については理解して頂けたでしょうか。
次は、「最強メンバーの集団」のもつ脆弱性について考えていきます。

先ほど、同じ考えを持った人同士が集まると「なぁなぁ」になるといいましたが、集まったメンバーが優秀な場合そのような状態にはならない、という主張があると思います。
もちろん、優秀な人は、ビジネスにおける課題を多角的に見ることができるため、タイミングを見てビジネスモデルを変化させることができると思います。しかし、外的な条件が大きく変わった場合に、果たしてこの組織は生き残ることができるでしょうか?

ほとんどの場合、答えはNOです。

異質性や多様性は、大きな外的な変化があった場合の「保険」として作用します。「優秀なメンバー」だけを集めても、保険として機能することはありません。
つまり、「最強のメンバーの集団」は、周りの環境が大きく変化した場合、変化に対応できず組織を存続させることが困難になります。

【ポイント】
・多様性は、環境の変化に組織を適応させるために必要
・外的環境の変化に合わせて、ビジネスモデルを変化させることが組織を存続させるための条件

まとめ

いかがでしたか?
今回は 、ローマ帝国に学ぶ多様性というテーマで組織のあり方について考えてみました。次回の連載では江戸時代の日本のビジネスモデルについてみていきたいと思います。
>>連載3「成功した2つの組織の共通点を探る!江戸幕府とローマ帝国」

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