アジャイル開発を導入する前に経営者・リーダーが読んでおくべき一冊は?

アジャイル開発とは、短い開発期間単位を採用し、リスクを最小化した開発方法のことで、その名の通り「アジャイル=素早く、俊敏な」ソフトウェア開発を可能にしました。近年このアジャイル開発の導入を進める企業が多く見られますが、うまく機能しないという声も聞かれます。それはなぜなのでしょうか。

今回はこのアジャイル開発の導入を検討している方に、実際にその取り組みをスタートする前に読んでほしいおすすめの本をご紹介したいと思います。

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アジャイル開発とは?

アジャイル開発は米国で生まれ、従来の計画駆動型の重量級な開発手法(ウォーターフォール開発手法など)から脱した画期的な手法として欧米を中心に広まりました。2001年にIT業界において著名な人々が集まり、「アジャイルソフトウェア開発宣言」をまとめたことがきっかけで広まったと言われています。その宣言には以下のようなことが書かれています。

「私たちは、ソフトウェア開発の実践あるいは実践を手助けをする活動を通じて、よりよい開発方法を見つけだそうとしている。この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。プロセスやツールよりも個人と対話を、包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、契約交渉よりも顧客との協調を、計画に従うことよりも変化への対応を、価値とする。」

参考URL : http://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html

そして、このアジャイル開発は、従来のウォーターフォール開発と比較して、約3倍の成功率を誇ることがアメリカの調査結果で発表されています(CHAOS REPORT 2011)。あくまでこれはアメリカでの調査ではありますが、変化を受け入れないウォーターフォール型よりも、変化を受け入れるアジャイル型のほうが高い成功率をおさめることができるということが実証されています。

アジャイル開発のメリットは以下のようになります。

  • 変化する状況に、臨機応変に対応できるスピード感
  • ユーザーのフィードバックがあるため、求められている価値の創造
  • スピード重視な開発のため、チームの成長がはやい

アジャイル開発はなぜうまく機能しないのか

このようにアメリカでは数多くの成功事例のあるアジャイル開発ですが、日系企業においてはなかなかうまく機能しないという意見が多くあるのはどうしてでしょうか。

Scrum.Inc トレーニング&オペレーション担当バイスプレジデントのAvi Schneier(アヴィ・シュナイアー)氏によると、日本の「礼儀」や「組織の階層」が邪魔をして、自由にものを言いにくくしていたり、階層が多いためにアジャイル開発本来のスピードが出せず、行動が遅くなっているからだそうです。そのうえで、アジャイル開発によるイノベーションを起こすためには、米国企業のような階層の少ないフラットな組織が適していると言っています。

≫「アジャイルで大規模開発を成功させたIBMの事例」はこちら

また「変化を恐れる勢力」が障壁となり、アジャイル開発本来の目的である「結果を出すこと」よりも、レポートを出すことが目的になりやすいという原因もあります。したがって、アジャイル開発の効果を十分に発揮するためには、ただ単純にこの手法を取り入れるだけではなく、手法を活かすための組織・フレームワーク全体の改革が必須であると言えるのです。

上記以外にも、このようなデメリットがあることを確認しておきましょう。

  • 開発の方向性がブレてしまう
  • チームで行なうため、経験や知見がないメンバーがいるとチームプレーが機能しない

アジャイル開発を導入する前に読んでおきたいおすすめの本

それでは実際にアジャイル開発を導入した日系企業は、どのような壁にぶつかり、改革を進めていったのでしょうか。

アジャイル開発に関連する書籍には翻訳本が多い中で、今回ご紹介するのは、日本におけるアジャイル開発の第一人者、平鍋健児氏と、世界的な経営学者でありスクラムの提唱者、野中郁次郎氏による、日本の企業経営者・リーダーのための良書です。スクラムとはアジャイル開発の手法の中の1つで、技術的な要素ではなく、チーム一体となってプロジェクトを進めることに重きを置いた手法のことで、アジャイル開発の手法の中でも主流のものとなっています。

『アジャイル開発とスクラム -顧客・技術・経営をつなぐ協調的ソフトウェア開発マネジメント-』 
(2013年 翔泳社)
平鍋健児氏,野中郁次郎氏 著

アジャイル開発、スクラムの定義、なぜ今この手法が必要とされているのかについての背景など、体系的に説明されているので、アジャイル開発を導入する目的をもう一度確認することができます。そして、実際にアジャイル開発・スクラムを導入した企業の例が紹介されており、彼らが経験した困難や挑戦について知ることができることから、自社に置き換えて効果やリスクを想定することができます。

また、アジャイル開発とスクラムについて更に掘り下げた内容が書かれていて、スクラムを実践する際に必要となるリーダーシップを学ぶことができます。

翻訳本とは異なり、日本の企業文化を考慮した視点で書かれているため、より具体的にアジャイル開発の導入イメージを得ることができる著書です。実際の導入をスタートする前に、まずは意義や考え方、日系企業の導入例について知っておきたいという方にまず一番におすすめしたい本なのです。

まとめ

アメリカでは主流となったアジャイル開発ですが、その手法をそのまま日本の企業にあてはめようとしても、企業文化やプロセスの違いからあてはまらないことがあります。したがって、導入を検討する際には、まずはアジャイル開発の特性をつかみ、なるべく日系企業の事例を収集して、自社への導入時の想定をすることが大切です。今回ご紹介した本もその内の1つとして、参考にしていただければと思います。

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