Web制作会社で働く若い人には、アナログだけどシンプルなツールがぴったりでした

名古屋を拠点に、300社以上の企業・店舗のホームページ制作・運営管理を営むWeb制作会社、株式会社アルタ。受託案件以外にも、ポータルサイトの運営やオフィスツールを始めとしたIT化の提案などを手掛けられています。開発拠点は、名古屋本社、東京支社以外にもフィリピンにオフショア開発体制を構築。個人の情報発信がますます社会性を帯び、企業単位でもその情報発信の「質」が重要になる中、Web制作会社の役割も増していきます。
多くの顧客から頼りにされる常務取締役鈴木さんに、Web制作会社ならではの開発スタイルを伺いに名古屋オフィスにお邪魔しました。

鈴木さん プロフィール:

株式会社アルタ 常務取締役。マイクロソフト認定パートナーでもあり、「名古屋で一番Office365を売った人」と呼ばれることもある。
もともとアジャイル開発には造詣が深く、いまは社内のシステム刷新に鋭意取組中。

Web: http://alta.co.jp/

Web制作会社としての事業基盤と会社の成り立ち

編集部:

本日はお忙しいところ、お時間をいただきましてありがとうございます。早速ですが、まず御社の紹介を簡単にお願いします。

鈴木:

弊社は、2005年創設の個人事業が大きくなった事業体ではあります。Web制作を中心にIT活用のコンサルティングを行なったりWebサイト保守運用のお手伝いをしています。「開発」という軸で事業を仕分けると、
– 大手企業からのコーディング案件
– サイトがない中小企業(新規事業を含む)の新規制作
– バナー制作
– 分析&広告測定
– スマホアプリ開発
と分けられるのでしょうか。多くの事業がそうでしょうが、現在進行系のものは「あれ」も「これ」も、と複雑に絡み合っていますよね。その横の関係は非常に大切にしています。

編集部:

Web制作会社としては、既に大きな規模の会社ですよね

鈴木:

開発の主力メンバーは、オフショア部隊も加えると15名ほど。いま、営業と言うか「顧客を回れる開発メンバー」というセクションを作りたいと考えているんです。運送会社で言われてた「セールスドライバー」みたいな、「セールスWebクリエイター」とでも言いますか。

編集部:

社内のメンバーもお若いですよね。

鈴木:

マネージメント層はぼくも含めてそれなりですけど、ここ数年新卒採用にも力を入れ始めていますからね。主力メンバーが若いというのは、やはり会社の大きな財産ですよね。

編集部:

若さゆえの課題はありますか?

鈴木:

あえて言うと、顧客要望に引きずられやすい点かな。若いということは経験が少ないということでもあるので、自分なりの解決ができない場合、顧客の言うママにものごとが進むことがある。それは大きな課題だと思っています。そのための仕組みづくりも喫緊の課題です。

若いメンバーをマネージメントするには「シンプル」を最優先すべし

編集部:

では、御社の開発スタイルについて、伺っていきたいのですが。

鈴木:

もともと基幹システム開発をしていた頃には、開発チームには『設計書』の中にプロジェクト体制図を書いてそれに一人ずつ直筆のサインをしてもらってオフィスの壁に貼っておくなんてことをしていました。任命するのではなく、その立場を自ら受け入れるという意識を持ってもらう試みですね。チームの結束とか意思統一というのは、まずアナログなものだということが真実だと、現在でも思っています。

編集部:

ミーティングもやはりちゃんと対面で行ないたい、という意見も根強いです。

鈴木:

一人のエンジニア、デザイナー、ディレクターが同時に複数案件を抱えているというのが常態であるという前提です。プロジェクトごとの一括管理は、エクセルのシートとMicrosoft Plannerが社内ツールとなっています。少し宣伝をしておくと、

Plannerというツールは、Trelloのように「Boards(ボード)」を使って、かんばん管理ができます。各ボードの中には個別の「Cards(カード)」があって、それぞれに締切を設定したり、添付資料を付けたり、カテゴリー分けやチャットができるようになっています。何のカードかを一目で判別できるよう、カードに書類や写真を設定することもできる。カードは「Buckets(バケツ)」と呼ばれるカラム内で整理する。バケツには色分けや優先順位を付けることが可能です。(これは、Trelloでは「リスト(レーン)」と呼ばれるものですね)

≫「Trello」に関する記事はこちらから

もう1つ重要な要素が「Hub(ハブ)」です。ハブでは、プロジェクト全体の進捗を確認することができます。誰が計画通りにタスクを進められていて、誰が遅れているかを確認し、そこからさらに詳細を確認できます。

Microsoftツールと連携することも簡単です。例えば、Office 365 Groupsと連携しているので、PlannerでのやりとりはOutlook 2016、ウェブ版Outlook、モバイルでもOutlook Groups Mobile Appsから見ることができるわけです。

さらに、OneNoteとも連携しているので、当社の場合、プロジェクトごとのサンプルデータやデザインなどはこの機能が頻繁に使われています。

編集部:

このあたりは、さすが認定パートナー企業だという感じです

鈴木:

さて。いまのお話が建前というわけではないのですが、プロジェクト管理は、というよりも、メンバーに対して何かを依頼をしたいなら、「シンプル」であるべきだ、ということを改めて感じてるんですよ。

編集部:

詳しくお聞かせいただけますか?

アナログだけど、「シンプル」でわかりやすい! 楽しんで参加してもらえるツールが誕生!

鈴木:

まず、時間管理の原則から説明しますね。朝9時出勤から夜9時までの12時間を4分割します。「朝」「昼」「夕」「夜」に分けます。この内、「夜」は原則的に自分の時間です。ちなみに、当社はフレックスタイム制ですよ。この3時間ごとのコマをしっかりインプットしてください。

次に、実際に行なう作業、つまり案件の方を考えます。工数管理と言いますが、案件は「その作業は何時間かかるのか」を見積もるところから始まります。ある案件は、120時間と見積もられました。したがって、顧客には80万円と提案します。ずばり、3時間で2万円の計算です。

このロジックで統一していますから、管理手法もこれに則って組み立てればいいのではないか、と考えました。
そして、作ったのがこのシートです。

「行」には、それぞれ人が並び、「列」は各日にちで平日は上記の通りのロジックで4分割にしたマスを用意し、土日は一マス。

編集部:

つまり、作業項目を書いたシートがシールになってるんですね? それを完了したら都度都度該当する時間のマスに貼っていくと。

鈴木:

それがミソです! 名古屋だけに。そのシールをこちらのスケジュールに貼っていくことで進捗がわかり、シールが残っていれば進んでいないとわかる。
方法論は、ぼくたちが小学生の頃にやってた「よくできました!」シールの延長みたいなものですが、みんな楽しんで進めてくれていますよ。

※ この方法が取り入れられる際には、社内での説明会を開催したとのこと

今後の展望とメッセージ

鈴木:

ついでに言うと、この方法では3時間未満で終わるプロジェクトは管理外です。経理上はもちろん必要な「タスク」かつ案件ですが、チーム管理上は加えないという考え方です。

編集部:

チームマネジメントの場合、何を優先するかと言うのはとても大事だということはよく伺うことです。

ところで、この方法はまだ始められたばかりということで、他に取り組みを始められていることなどありますか

鈴木:

プロジェクト管理のお話から飛び出してしまいますが、勤怠を含め社内システムをアップデート中です。ICカード型のタイムカードから各々のスマホでも打刻できるアプリ型のシステムを導入しました。これは独自開発しています。

さきほどのアナログ管理も、充分に回っていくことが見極められたらデジタル化をしたいと考えてます。まだ足りない点とかもう少し深掘りしたらいいかもなんて意見も出てくるかもしれませんし、もう少しアナログで試しながら意見を戦わせていきたいなと思っているのです。

編集部:

「シンプル」さを失わずに、ということですね。とても楽しみです。方法としては、すごく驚きましたが面白くもあります。

鈴木:

この方法で試してみたい、なんていう会社さんがいらっしゃったらぜひ声掛けしてほしいですね。

編集部:

それは、また取材をさせていただきたいです

取材を終えて

ユニークな経営者というのが初対面の際の印象でした。会話を交わすと、面倒見のよい人という言葉が加わります。若い社員に囲まれると、その信頼の厚さが感じられました。
ロジカルに考え即実践なところは、さすがでした。

お忙しいところお邪魔させていただいて、勉強させていただきました。ありがとうございました。ご紹介したアナログツールがデジタライズされる際には、また詳しくお話を伺いたいです。いや、アップデートもありうるので、アップデートの際にも!

TeamHackersでは、これから数回にわたってスクラム開発事例を個社インタビューを通してご紹介していきます。引き続き、ご購読をよろしくお願いいたします。

事例に学ぶ

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言います。ビジネスについても同じことが言えるでしょう。
他の企業の戦略や取り組みを分析し、そこから抽出した要素を組織に取り入れてみることで、あなたのビジネスを成功に導く鍵が見つかるかもしれません。

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