話題の「アクティブラーニング」、ビジネスの場でも活用してみませんか?

アクティブラーニングと聞くと、「教育業界だけの話でしょ?」と思われるかもしれません。しかし、アクティブラーニングは、ビジネスの世界にも応用可能です。受動的から能動的な学びへ、あなたの見ている景色は一変するかもしれません。

アクティブラーニングが求められるようになった背景

アクティブラーニングという言葉を聞いたことがある人は多いと思います。そもそも日本でアクティブラーニングという言葉が広まったきっかけは、2012年8月28日の中教審(文部科学省中央教育審議会)の答申いわゆる「質的転換答申」資料の中で、「従来のような知識の伝達・注入を中心とした授業から、教員と学生が意思疎通を図りつつ、一緒になって切磋琢磨し、相互に刺激を与えながら知的に成長する場を創り、学生が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要である」と述べられたことです。

アクティブラーニングが求められた時代背景には、「少子高齢化」「グローバル化」「高度情報化」による、競争の激化と日本の立ち位置の変換です。従来は、発展途上国(かつての中国や東南アジア諸国)に生産を委託して、低コストで大量生産をすることで競争優位を得ていた日本ですが、生産国の経済発展によって、中国や東南アジア諸国に生産を委託するコストが増えるだけではなく、それらの国の企業がライバルになってきました。これによって、これからの日本には、安いコストで大量生産ではなく、新しい価値を生み出すことが重要になったのです。

かつての日本では、「真面目で勤勉」「言われたことをきちんとこなす」人材が高く評価されていましたが、これからの日本には、0から1を生み出すような創造的な人材が求められます。そのため教育も、既存の知識を詰め込むことではなく、その知識を使って新たな問題を見つけ、解決する力、あるいは、これまで社会になかったような知識を創造する力を養うことに重きを置く必要が出てきました。アクティブラーニングはこのような背景のもとで生まれたのです。

アクティブラーニングのねらい

アクティブラーニングは「能動的学習」と訳されます。つまり、教員の話を一方的に聞いているという受動的なスタイルではなく、より能動的な発言やグループワークなどに重きを置いています。

京都大学の溝上慎一教授によると、アクティブラーニングとは、「一方的な知識伝達型講義を聴くという(受動的)学習を乗り越える意味での、あらゆる能動的な学習のこと。能動的な学習には、書く・話す・発表するなどの活動への関与と、そこで生じる認知プロセスの外化を伴う」というように定義がなされています。

アクティブラーニングを実施することには、「思考力・判断力・表現力」や「主体性・多様性・協働性」を持った人材を育てる狙いがあります。アクティブラーニングは、即興劇のようなものだと表現されることがあります。つまり、失敗はなく、誰も結末を知らず、常に幕が開いていて、共演者と願望を、主体的に演じている、ということです。アクティブラーニングは、即興劇に求められるように、自分が取るべき選択を瞬時に判断する力を育てることも目的の一つです。

ビジネスの世界におけるアクティブラーニングの5つのメリットとその重要性

アクティブラーニングは、教育業界、特に大学教育の文脈で論じられることが多いです。確かに、現状の大学教育では、一方向的な知識のインプットが重視されていて、創造的な人材を育てることが難しいため、変革の必要があると言えるでしょう。

ところが、アクティブラーニングは、教育業界だけに止まる枠組みではありません。ビジネスにおいても、アクティブラーニングを利用することで、多くの恩恵を預かることができます。それでは、アクティブラーニングのビジネス上のメリットとは何でしょうか? 今回は、それを5つ紹介したいと思います。

① 問題発見・解決能力が高まる

アクティブラーニングは、問題は与えられるものではなく自分が作り出すものであるという前提で行われます。よって、問題を発見する能力が向上します。また、問題の解決策も模範解答をなぞるだけではなく、自分が立てた仮説をベースに解決することが推奨されていますので、問題を解決する能力も養うことができます。つまり、アクティブラーニングを行うことで、問題発見・解決能力を高めることができます。

② 自律的に考え、行動できる

アクティブラーニングは即興劇のようなものだ、と前述しました。即興劇では、登場人物の一人ひとりが主体的に行動・思考することによって初めて成立します。それと同じように、アクティブラーニングは、失敗を恐れずに、どんどん自分の意見を主張する大切さを強調します。これによって、自律的思考にもとづいて、行動できるようになります。

③ 急な変更や変化に対して、柔軟に対応できる

従来の「言われたことをきちんとこなす」人材は、急な変更や変化に直面すると、柔軟に対応することができません。なぜなら、既存の模範解答を頭の中にインプットしているだけで、自分の頭を使って物事を考えていないからです。アクティブラーニングは、その特性上、状況に応じて臨機応変に応じる力を養いますので、急な変更や変更に対して、柔軟に対応できるのです。

④ チームワークが向上する

アクティブラーニングでは、チームの仲間と協働して問題解決をしていく姿勢を養います。例えば、グループディスカッションでは、多様な意見を柔軟に取り入れ、アウトプットがチームメンバーの単なる総和以上になるように、工夫して議論を進めることになります。その過程で、他人と協働するコツやポイントを身につけることになるため、自分が所属するチームのチームワークを向上させることができるのです。

⑤ 迅速な判断によって、マネジメントが円滑に行われる

アクティブラーニングでは常に迅速な判断が求められます。例えば、ファシリテーターに発言を求められれば、その瞬間に自分が考えている意見を発する必要があります。このように、自分の考えていることを、即座にまとめ、言語化する能力が養われることで、チームなどの組織をマネジメントしていく際に、迅速な判断を行うことができ、マネジメントが円滑に行われます。

アクティブラーニング実践方法

ここでは、すでに大学を卒業していて、「アクティブラーニングなんて、僕の時代にはなかったよ!」という方に対して、日常でアクティブラーニングを実践できる手法について、3つ紹介したいと思います。

① コンフォートゾーンの外に出てみる

人間は誰しも、自分の経験則に基づいて行動したがるものです。その行動範囲のことを「コンフォートゾーン」ともいいます。確かに、コンフォートゾーンつまり、自分にとって居心地のいい場所を出るためには、非常に勇気がいります。しかし、新しい自分を見つけるためには、その心理的ハードルを乗り越えて、コンフォートゾーンを出る必要があります。そのことで、見える景色は今までとは一転しているでしょう。

② ふとした気づきをメモする

通勤電車に乗っている時や、お風呂に入っている時に、「ん?」という風にふとしたことに気づきを得ることがありますよね。その時に、すぐそれをメモする習慣をつけてください。それによって、思考のプロセスを明確にして、曖昧な感覚を言語化するトレーニングになります。このことによって、新たな考え方や発想が生まれるようになります。その感覚を一度味わえば、日常的にアンテナを張って生活できるようになります。

③ 「質問は?」と問われたら、挙手をしてから考える

「質問は?」と問われた時に、多くの日本人が反応を示さないことはよくおわかりだと思います。これが、海外だと全く異なります。誰もが我先にと手を挙げているのです。質問という学びの機会に対する、モチベーションの差が如実に表れていますよね。ただそこで、「日本人はそういう気質なのだ」と開き直るのではなく、挙手をしてから考えることを実践してみてください。始めは、しどろもどろになってしまうこともあると思いますが、次第に素早い思考力が身につき、意見が溢れ出るようになるはずです。

「話題の「アクティブラーニング」、ビジネスの場でも活用してみませんか?」についてのまとめ

アクティブラーニングは時代の変遷により生まれた概念です。それは、教育業界に止まらず、ビジネスシーンでも応用可能な汎用的な学びのフレームワークだといえるでしょう。本稿で紹介した実践手法を習慣化することで、創造的な人材の仲間入りをすることができますよ。

<参考>
相川秀希 (2016) 『超一流はアクティブラーニングを、やっている』
http://www.core-net.net/g-edu/issue/5/

 

事例に学ぶ

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと言います。ビジネスについても同じことが言えるでしょう。
他の企業の戦略や取り組みを分析し、そこから抽出した要素を組織に取り入れてみることで、あなたのビジネスを成功に導く鍵が見つかるかもしれません。

詳細を確認する

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

同じタグのついた記事

同じカテゴリの記事