コーチング後の行動を加速させる「ベイビーステップ」とは?

相手に気づかせ、自発的な行動を促すマネージメントスキル、コーチング。「『コーチ』の由来から考える、コーチングの本質とは?」では、その本質についてご紹介しました。今回は、最終的な目標達成に向け、その後の行動を加速させるための方法についてご紹介します。

コーチングで相手の目指したいものがはっきりしたら、具体的にそれを実現するアクションを起こすことが重要です。そのためコーチングでは、「次に起こすべきアクション」をセッションごとに決めることがほとんどです。ただ、そのときに気をつけてほしいのは、「ハードルが高すぎるアクションを設定しない」ということです。

いきなり大きすぎるステップにするのは挫折のもと

コーチングで目指すものがはっきりし、モチベーションが上がっている状態になったら、次に重要となるのは、目標達成に向けた最初の一歩です。ここで、次にすべきステップについて相手に聞くと、どういった答えが返ってくると思いますか?

実は、ここで「目標達成に近づけすぎる」といえるような、大きなアクションを設定する人がとても多いのです。これが、成果につながらない原因だといっても過言ではありません。

たとえば、「普段1日2,000キロカロリーの食事を摂取し、運動をまったくしない」という人が、「10キログラム痩せたい」という目標を掲げたとしましょう。そこで、いきなり「食事を1日1,000キロカロリーに制限し、ハードなエクササイズを毎日1時間する」というアクションを最初に掲げるのは適当でしょうか? かなり無理があるでしょう。ほとんどの人が挫折してしまうと考えられます。そしてリバウンドし、ダイエット前よりさらに太ってしまうなどということになりかねません。

このような大きなアクションをいきなり起こすには、大きなエネルギーが必要です。そのため、結局そのアクションを継続できず、目指すものに近づくことすらできないという事態になることが多いのです。そればかりか、いきなり大きすぎるアクションに取り組むことは、当初より事態を悪化させる恐れさえあるのです。

この場合、まずは段階的に「1カ月で1キログラム」など、少しずつ確実に目標に近づく方法を考えるのが現実的です。そのために、「食事を1日200キロカロリー減らす」「有酸素運動を週1回始める」など、比較的実現しやすいステップから進めることがとても大切なのです。

せっかく目標へのモチベーションが高まったのに、実現に向けたステップの段階でくじけてしまうと、どんどんフラストレーションが膨らみます。そうなると、望んでいる目標のはずなのに、そこに向かうのが嫌になってしまったり、自分にはできないと諦めてしまったりする場合もあるのです。

「できない」と感じてしまうと、コーチングは機能しにくくなります。なぜなら、自己肯定感、つまり「やればできる」という気持ちがあるかないかが、コーチングが機能するうえで重要なポイントだからです。

コーチングは、「相手が目指す未来を実現する」ためのコミュニケーションなので、相手が「やればできる」と自分のことを信じている状況でなければ、成果は得られません。この、「やればできる」という気持ち、つまり自己肯定感を維持しながら目標に少しずつ近づける方法が、「ベイビーステップ」なのです。

段階的に進めることが成功のカギ

ベイビーステップとは、直訳すると「赤ちゃんの歩み」です。首が据わる、寝返りが打てるようになる、1人で座れるようになる……と、赤ちゃんが何カ月もかけて、段階的に小さな歩みを毎日積み重ねて成長していくように、着実にできる小さな一歩から踏み出すことがベイビーステップです。

ビジネスの例で考えてみましょう。

コーチングの結果、相手の望む未来が「キャリアアップのために、営業部で1位を取りたい」だったとしましょう。そのときに、相手に「これを実現するために、どんなアクションができそうですか?」と聞いて、返ってきた答えが「毎日10人以上のお客様を訪問します」だったとします。

このアクションは、相手の「現在の状況」によって「すぐに達成可能か否か」が変わってきます。現状「毎日9人の顧客に会えている」なら、「10人以上の訪問」は、すぐにできそうなベイビーステップになります。

しかし、もし現状が「頑張って毎日1人しか会えていない」ような状況だとしたら、それはとても実現が難しいアクションだと考えられます。これを次回のコーチングセッションまでのアクションに設定してしまうと、相手のモチベーションを下げることになりかねません。

大きな石も、最初に転がすのに一番エネルギーを使うように、相手が目標に向かって走り出すには、最初のスタートがもっとも肝心です。このスタートのすべり出しをできるだけスムーズに踏み出せれば、小さな行動を積み重ねることができ、やがて大きな目標の達成につながることが期待できます。「千里の道も一歩から」という格言のとおりです。

そのため、コーチングで相手の望む未来が見つかったら、そこに向けたアクションを設定し、それがどのくらいの難易度なのかを確認しましょう。そして、できるだけ実現しやすいベイビーステップを、次回のコーチングセッションまでの目標に定める。そのような段階的なステップが、成果を得るためには重要なのです。

ベイビーステップは、どんなに小さなものでも構いません。前述したダイエットの例なら、まずは「間食をやめてみる」とか、「自転車通勤を徒歩通勤に変える」といったことでも十分です。

普段の食事をいきなり半分にするとか、運動する習慣のない人がいきなりハードな運動をするとか、最初のハードルが高すぎるとほとんどの人が挫折しますが、段階的に減食したり運動量を増やしたりしていけば、無理なく進めることができるでしょう。それで1キログラム痩せた時点で、次のステップに進めばいいのです。

ビジネスの例なら、「今営業部1位の先輩に話を聞くアポを取る」とか「顧客リストを見返して、より注力すべきところを探す」などでも大丈夫です。それらの小さな一歩を達成した時点で、今度は少しだけ難易度を上げたステップに進むのです。最初のステップが当たり前にできるようになったとき、次の段階へ少しだけ進むのがベイビーステップだといえます。

まずは、簡単に相手がほんのひと手間だけで完結できる目標を設定するように促すのがベターです。

そのためには、相手の現在の状況をよく把握し、適切なベイビーステップへと導くのがポイントです。相手の状況をよく知らないまま、相手の無理難題を見極められずいうとおりにアクションを定めていては、最終目標に達する前に相手が息切れしてしまう恐れがあります。

実現可能な目標を段階的に掲げられるように促し、確実なステップを踏みながら最終目標へと近づけていくことが、コーチングにおいて重要なのです。

まとめ

最終目標達成のためには、段階的にコーチングを進めることが大切です。そのために、まずはたやすく実現可能な目標を掲げ、最終的な目標に向かってだんだんと着実に近づいていくことが重要だといえるでしょう。目標達成までモチベーションを維持したままスムーズに進んでいく、それこそが成果につなげるためのポイントなのです。

まずはベイビーステップから始めて行動を軌道に乗せ、最終目標達成に向けて段階的に確実に実現できることから試してみてください。

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