2017 12月

オフショア開発でもスクラムを実施して短期間で新規サービス立ち上げを成功できた秘密

国内の開発リソース不足という社会的な課題を解決するためのサービス「セカイラボ」の運営を始め、各種アプリ開発や運営で知られているモンスター・ラボ。いまや、「セカイラボ」の拠点数は9カ国17拠点だそうで、言語や文化・習慣を異にしても問題なく同じチームの一員として開発を進められるようにしっかりしたマネジメント体制が築けることも同社の開発体制の魅力。
今回は、そのオフショア開発にも関わらずスクラム開発を選んでしかも新サービス立ち上げを成功したというその具体例を伺いに、同社スクラムマスターの船山さんにお話を伺いました。

船山さん プロフィール:

1990年生まれ。モンスター・ラボ入社3年目。国内・海外拠点の開発チームとともに、アジャイル開発の手法を取り入れたプロジェクトを多数手がけている認定スクラムマスターの有資格者。

ところで、社名にある”monstar”という言葉は、怪物を表す”monster”ではなく、フランス語で「私の」という意味の”mon”と、英語の「星」”star”を組み合わせて創った言葉で「私にとってのスター」という意味を表しています。

モンスター・ラボ社内では、ほぼ初めてのスクラム事例となりました

大井田:

本日はよろしくお願い致します。では、今回のプロジェクトについての概要を簡単にお話いただけますか?

船山:

大手通信キャリアグループからの受託案件の話が決まったのが、昨年の春。開発は5月から始まりました。9月にはサービスリリースになり、それ以降は機能追加をしながら現在に至るまでプロジェクトが続いています。スクラム開発でいこうというのは、クライアント側担当者さんの強い意思でもあったというのが印象深いですが、短期間の要件不安定な開発になりそうだったのでスクラム開発はうってつけと思いましたし、スクラムマスターの資格を持つ私に白羽の矢がたったという始まりでした。

大井田:

当然、オフショア開発も前提なわけだったのですよね? 不安はなかったのですか?

船山:

はい、中国で開発メンバーをアサインして、国内ではデザインや設計メンバーを加える体制でした。チームメンバーとしては20人ほどで、これは現在も概ね変わりません。メンバーのほとんどがスクラム開発は初めてでしたから、開始前のレクチャーは数回私が行ないました。教本としては、公開されている『スクラムガイド』(http://www.scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf)を使いました。まずは、スクラムのメリットや注意すべきことを細かくインプットすることを進めたのですが、実際に始めてみないと理解できないこともあると思っていましたから、開発を始めてからも躓くたびにレクチャーの機会を設けました。

オフショア開発だからこその問題をまず解決しなきゃいけなかった

私自身は、やはり単一言語、単一拠点でチーム構成したほうが良いスクラムができるだろうと思っていました。これは、単純にコミュニケーションコストの問題です。デイリースクラムと呼ぶ朝礼を毎朝15分と決めて開催し、「昨日やったこと」「今日やること」「課題」をメンバーが発表するのですが、当初は中国メンバーも全員参加していました。日本語ができないメンバー(かつ、日本側は私も含めて中国語ができないメンバーばかり)ばかりでしたから、翻訳する手間がかかって時間もオーバーするし理解もままならないということがすぐにわかりました。そこで、あるタイミングで、中国側にスクラムやプロジェクト管理に対する知識があり、日本語が堪能なメンバーを加えました。中国側の調整を現地で行なうことと日本側とのコミュニケーションを担っていただくためです。これを早期に実現できたことが、このプロジェクト成功の大きな要素だったと今振り返っても思いますね。デイリースクラムの参加もこのメンバーだけにしたことで、円滑に進むようになったのです。

大井田:

コミュニケーションという問題以外で気になることはあったのですか?

船山:

実はもう2つ大きな問題がありましたね。まずは、離職率が高かったということ。開発が始まってしばらくしたら、メンバーが退職して再アサインしなきゃいけないということがありました。そのタイミングで大きくパフォーマンスが下がってしまったのですね。スクラム開発では、ベロシティ(生産量)が下がると表現します。これがあったので、スクラム開発では一般的に詳細なドキュメントを作らないのですが、引き継ぎがスムーズにできるように考慮したドキュメントは他のスクラムプロジェクトに比べるとかなり量的にも質的にも多いと思います。もう一つは、品質に対しての意識の問題です。もともと詳細設計に類するドキュメントがありませんでしたから、「とりあえずこれくらいで」とエンジニア自身が判断してタスク終了するということが相次ぎました。スクラム開発ではスプリント単位でテスト実行しますから、当初は「なぜこんなレベルでテストするの?」とプロダクトオーナーであるクライアントさんから声が上がるくらいの低品質となってしまっていました。

大井田:

それは具体的に、どのように解決なさったのでしょう? かなり深刻な課題ですよね

船山:

品質の担保については、「マインド」と「仕組み」の両面からの対処が必要でした。マインドというのは、具体的には日本のユーザーがサービスの品質には非常に厳しい姿勢で接するという開発者側も甘えを許さない心持ちで参加してほしいということを事例を踏まえて説明していきました。仕組みの面では、タスク終了時に確認すべき「チェックリスト」を用意してその確認を徹底するようにしたのです。ただ、この問題発見については、スクラム開発を選択したからこそ早期発見ができ、早々に対処できたということはメリットとしてちょっと太字にしておいていただきたいですね(笑)

モンスター・ラボならではのスタイル

スプリント計画は、プロジェクト全体を通して設定されたストーリーポイントに基づいて

大井田:

では、改めて御社のスクラム開発の具体的な流れについてご説明ください

船山:

大雑把な流れをまずお話すると、「計画」+「レビュー」+「スプリント振り返り」がスプリント1つずつの流れです。ちなみに、スプリントの単位は2週間にしています。スプリント計画からお話しましょうか。ここでは、ストーリーポイントも活用しています。

引用:

ストーリーポイントについての説明
スクラムはチームでの成果を重視する。個人のパフォーマンスはチームを支えるが、個人にはあまり着目しない。そういう原則がスクラムにはある。
スクラムにはストーリポイントという工数の尺度がある。これは、ウォーターフォールなど他の開発プロセスが採用する尺度とかなり異なる。ストーリポイントは時間ではない。相対的な尺度と言われる。
ポイントで見積るようになると、チームメンバー全員が共通した基準で見積ることができるようになる。

https://sugoiku.c16e.com/13/

このストーリーポイントについても、導入当初は使用されないはず(※ フィボナッチ数列を利用することが多く、本プロジェクトでもそれを利用)の数字が入ることがあり再レクチャーをした経緯があります。ストーリーポイントが与えられたユーザーストーリーをタスクに落とし込むのは各メンバーです。これの管理は、Redmineを使っています。

Redmineでのプロジェクト管理についても、導入当初は「どう使っていいかわからない」という声が噴出して逐次説明機会を設けたことを覚えていますね。タスク化の話に戻しますが、ストーリーポイントはあくまで相対的な数字です。これをタスク化する際に時間見積もりを加えているのですね。ストーリーポイント1が24時間というルールでももちろんありません。この流れと考え方は、このプロジェクトのひとつの肝ではないかと思います。

SlackとGitHubを併用して、コミュニケーションとコード管理

さらに、現実のコミュニケーションにはエンジニア必携ツールともなったSlackとGitHubを使っています。特にSlackでのやり取りは、Redmine側に転記するようにして極力一元管理できるように注意を払っています。ベロシティが下がることも憂慮されるので、ドキュメント化というポイントにおいても、チャットでやり取りされる経緯・履歴がきちんと管理されることは重要なポイントです。

GitHubへは、タスクそれぞれの画面からリンクを必ず貼っていて、これも管理しやすいようにしています。
こうした一連の動作がメンバー全員がこなれてくるまでには、2ヶ月くらいはかかりましたね。単純に「慣れ」が大きかったと思っています。いまでは、運用面での課題はほぼなくなったと感じています。実際にメンバーが変わるタイミングでも安心できていますね。

スプリント振り返りはKPT管理を採用

大井田:

レビューやレトロスペクティブ(振り返り)はどうですか?

船山:

これも当初は迷いながら進めていった、が正直な告白です。振り返りについては、クライアントさんもプロダクトオーナーとして参加していただいています。KPT(ケプト)管理の方法で振り返りミーティングを行なうようにしましたが、当初は、Pでいう「プロブレム」しか意見が上がらなかったです。「どうしたらいいか?」なんていつも考えていましたね。現在は、うまく回るようになっていますから、逆にTでいう「トライ」が生まれにくくなっているなと感じています。

引用:

KPT管理について
KPTとは、Keep、Problem、Tryの頭文字をとった造語のことです。
プロジェクトの振り返りをするときによく使われる手法で、振り返りをする際の基本といって良い手法だと思います。
Keep:続けること
Problem:問題点
Try:次にすること

http://hisa-magazine.net/blog/ref/kpt2/

ちなみに、このKPTの議事録はGoogle Docを使っています。Redmineのドキュメントでは機能不十分でその選択をしました。ですから、SlackやGitHub同様にRedmineからリンクを貼っている運用手法です。

もう一つ、振り返りでの特徴というか現在のプロジェクトとしては残念な点を付け加えると、振り返りにバーンダウンチャートがうまく活用できていないことです。redmineでこれを表示させる機能は追加できているのですが、全体共有してバーンダウンチャートを見ながらのミーティングができていないのです。これをうまく活用する方法はないものか、と検討が続いていますね。いい方法があればぜひ教えていただきたい(笑)

今後の開発スタイルの展望

モンスター・ラボではスクラム事例が増加中

大井田:

現時点で、このプロジェクトを振り返っていただいての一番の感想は?

船山:

そもそもメンバー全員が初体験ということを踏まえて、まずは9月の時点でのサービス公開は感慨深かったですね。以降は、機能追加を繰り返すという非常にスクラム開発らしい運用ができていて、オフショア開発でもここまできちんとできるぞという自信をつけられました。また、クライアント担当者さんが非常に優秀な方で「プロダクトバックログ」のメンテナンスはほぼお願いできていた状態であったことも、成功の一因だと思っています。これも太字にしておいてください(笑)

大井田:

船山さんはいまいくつのプロジェクトを抱えておられるのですか?

船山:

本プロジェクト含めて複数を見ていますね。このプロジェクトが試金石になっていますから、他のプロジェクトでも同じように運用しているという点では今日お話したポイントはほぼ踏襲されています。ただ社内的には、スクラムマスターがそこまで多いわけではないですから、スクラムマスターを増やす動きがあります。新しく立ち上がるプロジェクトをサポートすることもあります。おかげさまで忙しいですね。

大井田:

そんなお忙しいところ、今日はありがとうございました。いまの船山さんが考えるもっと良い開発のありかたってどんなものですか?

船山:

社内で立ち上がるプロジェクトを見ていて考えるのは、もっと早くチームの組成ができないかということです。もちろん、開発スタイルとしてのスクラムももっと改善できると思っていますが、スクラムの価値がわかっているエンジニアを増やして同じ意識でチームを組めると自ずとパフォーマンスも上がると思うのです。
自分自身も話しながらプロジェクトの振り返りをさせていただいた感じがします。良い経験になりました。

大井田:

いえいえ、具体的なスクラムの現場のお話を伺うことができてとても勉強になりました。ありがとうございました。

取材を終えて

プロジェクト詳細は明らかにできませんが、今回はモンスター・ラボ様のご厚意であるCtoCサービス開発のプロジェクトについて実際のスクラム開発の現場感あるお話を伺うことができました。自社サービスでなく受託開発でのスクラムというのも珍しいかと思います。加えて、オフショア開発のメンバー半数と国内メンバーが混在してのスクラムチームという構成も非常に稀有なのではないかと思います。
これを見事成功裡に導いたのが、船山さんです。

スクラム開発の失敗事例は少し検索するといくつも発見できますが、ある固定のフレームに固執しないということが成功の秘訣なのではないかとお話を伺いながら確認できた気がしました。さすがスクラムマスターと感じられる決断・判断を彼の言葉の端々から、読者のみなさんも感じていただけるのではないでしょうか。

TeamHackersでは、これから数回にわたってスクラム開発事例を個社インタビューを通してご紹介していきます。引き続き、ご購読をよろしくお願いいたします。

Next…「最新テクノロジーの開発現場でスクラム開発がどのように活かされているのか?」

【PR】 タスクの管理方法にお困りですか?

TeamHackなら、プロジェクトの管理から情報共有まで、これ1つで全てが完結します。ソート機能で誰が何をやっているか明確に。タスクごとにチャットができるから、情報の錯綜もありません。プロジェクト管理者も作業者も、驚くほどタスク管理が楽になります。

スクラム開発の手法とは? スクラム開発の歴史や事例

スクラム開発は、少人数のチームで実施することから小回りが利きやすく、市場のニーズや顧客の要望に柔軟に合わせられることから最近さまざまな業界で採用されている開発手法です。
導入時に教育や試行錯誤が必要なものの、個人のモチベーション向上や作業の効率化、さらには自分で考えて動けるメンバーを育成することができ、コミュニケーションが活性化することで職場全体の雰囲気や環境が良くなるという副産物もあるようです。
このようなスクラム開発について、その歴史や事例などを交えてご紹介します。

スクラム開発の意味と概要

ソフトウェア開発の手法~ウォーターフォールとアジャイル~

ソフトウェア開発には、ウォーターフォール開発やアジャイル開発などさまざまな手法があります。

ウォーターフォール開発は、プロジェクトを作業工程順に1段階ずつ進めていく手法です。これは、古くから使われてきた手法で、比較的長期にわたるプロジェクトなどに向いています。対して、アジャイル開発では、プロジェクトを1〜4週間単位の短い期間に区切って進めていきます。この区切った期間のことをイテレーションと呼びますが、イテレーションごとに達成する目標を設定し、細かく段階的にプロジェクトを管理します。

近年、多くの業種で、このアジャイル開発の手法を採用する企業が増えてきています。

スクラム開発とは

アジャイル開発の中でも、チーム内のコミュニケーションをより重視した手法がスクラム開発です。
スクラムというと、ラグビーのスクラムを思い出す方も多いのではないでしょうか。ラグビーにおけるスクラムでは、選手たちが組み合って1つのボールを奪い合います。この様子を開発手法になぞらえて、1つのプロジェクトに向かってチームで協力して取り組むということでスクラム開発と名付けられました。

スクラム開発では3人から9人程度の少人数のチームを結成し、プロジェクト全体を数週間の単位で区切ります。
この区切った期間を、アジャイル開発ではイテレーションと呼んでいましたが、スクラム開発では「スプリント」と呼びます。本来イテレーションという言葉は反復、繰り返しという意味であるのに対し、スプリントは短距離走という意味があります。イテレーションとスプリントは同じようなニュアンスで使われることもありますが、スプリントのほうがより短い期間で全力疾走するようなイメージです。

スプリントの期間は1カ月以内がのぞましいとされていますが、チームのサイズによっては数日や1週間という短いサイクルで設定することもあります。また、プロジェクトの規模が大きい場合でもチームの人数は少人数のままにとどめ、複数のチームを作ることで対応します。

スクラム開発のメリット・デメリット

スクラム開発では短い期間のスプリント単位で開発を進めていくことから、プロジェクト途中での仕様変更に対して柔軟な対応がしやすいというメリットがあります。さらに、スプリント単位で開発期間を見積もることによって作業の工数を予想しやすく、全体の納期を比較的短縮することができます。

一方、デメリットとしては習得の難しさが挙げられます。これまで主流のウォーターフォール開発に慣れていると、考え方が違う点が多く、どうしても導入時に研修などの教育コストが必要となります。また、スプリントを繰り返すことが逆にスケジュールの全体像を見えにくくする場合もあります。さらに、スクラム開発では頻繁にミーティングを行うことが重要ですが、コミュニケーションが苦手な人が苦痛に感じたり、開発メンバーがミーティングの時間を無駄だと思ってしまったりすることもあるようです。

スクラム開発はどういう経緯で生まれたのか

1986年に野中郁次郎氏と竹内弘高氏によって書かれた研究論文『The New New Product Development Game』の中で、柔軟で自由度の高い開発手法として紹介されたのが、スクラム開発の始まりです。その後の1993年に、実際にスクラム開発のチームを組んでオブジェクト指向プログラミング設計・分析ツールを構築し実践したのが、ソフトウェア開発手法としてスクラム開発が用いられた最初の例となっています。さらに2003年には『アジャイルソフトウェア開発スクラム』として要件がまとめられ、スクラム開発の手法が確立されました。

もともとは日本発の開発手法であるスクラム開発は、現在、世界中で多く活用されています。公式の『スクラムガイド』にはスクラム開発のルールや理論が明記されており、現在もアップデートされ続けています。日本語に翻訳もされているので、ぜひ目を通してみてはいかがでしょうか。

スクラム開発の具体的手法

スクラム開発を実行するポイントとして、「スクラムチーム」の結成と「スクラムイベント」の実施があります。

スクラムチーム

スクラム開発のチームは、プロダクトオーナー、開発チーム、スクラムマスターの3つの役割で構成されます。チームでは、メンバーがお互いの能力を尊重し、密にコミュニケーションを取ることが大切です。そして、メンバーは全員が一定のスキルレベルを持っていることが求められます。

プロダクトオーナーは、チームの作業を明確化し、納品物のクオリティを保障する責任者にあたります。開発に必要な作業や要件を順番に並べたプロダクトバックログを作成し、管理します。チームメンバーのみならず、組織全体がプロダクトオーナーの決定を尊重する必要があります。

開発チームは、実際に作業をするメンバーです。専門領域であってもできるだけ属人化させず、作業の責任は開発チーム全体が持ちます。

スクラムマスターは、チームのリーダー的存在です。プロダクトオーナーと開発チームのどちらも公平に支援し、時にはスクラムチーム外の社員やクライアントとの調整も行います。

スクラムイベント

スクラム開発では、プロジェクトを1カ月以下のスプリントで区切り、その中でスプリントプランニング、デイリースクラム、開発作業、スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブといったイベントを実施します。

まずスクラムチームが協力してスプリントプランニングを行ないます。スプリントプランニングとは、スプリント中で達成すべきゴールを作成し、そのために必要な作業を洗い出す工程です。スケジュールや要件、作業工程などをリストアップしてチームで共有します。

スプリント中は毎日15分程度のミーティングを行います。このミーティングをデイリースクラムと呼び、前日の作業の確認や次の作業予定の計画、やるべきことや問題点などを議論します。これはコミュニケーションを活性化させるとともに、そのほかのミーティングを取り除くために行うもので、スクラム開発では重要なイベントとされています。

スプリントが終了したら、スプリントレビューを行ないます。スプリントレビューとは、ステークホルダーも交えてスプリントをふりかえる作業です。スプリントでうまくいった点や問題点などを議論し、成果物へのフィードバックを受け取ったりします。ここでの目的は次に行なうべき作業や目標、スケジュールなどを設定し、次のスプリントで使用することにあります。

最後にスプリントレトロスペクティブを行ないます。スプリントレトロスペクティブとは、スクラムチームの確認をすることです。スプリントレビューが成果物の確認をする場であるのに対し、スプリントレトロスペクティブでは働き方やツール、人間関係などの観点からスプリントを検査します。そして次のスプリントがより効率的で楽しいものとなるよう、改善案や必要な項目の整理をします。

このようにスクラム開発の手法は、チームで作業をするときのフレームワークとなります。少人数のチームで協力しながら進めることであれば、システム開発でなくとも応用可能と考えられています。ここで大切なことは、デイリースクラムやスプリントレビューなど、イベント自体が目的になってしまわないように気をつけることです。あくまでも目的はプロジェクトのゴールであり、各イベントはその手段に過ぎません。

スクラム開発事例

ある企業ではスクラム開発を取り入れたことによって、コミュニケーションの活性化で意見交換がスムーズになったり、チームメンバーそれぞれが主体性を持って動くことができるようになったりといった効果がみられたようです。

しかし、そのためには導入時にスクラムマスターによるコーチングや、チーム人数とスプリントの調整、コミュニケーションをするための工夫など、準備コストをしっかり取ったといいます。スクラム開発はルールがしっかり確立されているとはいえ、実際の現場ではプロジェクトの内容やチーム環境に合わせて試行錯誤をしながら取り入れることが多いようです。

チーム単位を重視することで、いままでの縦割り型の組織にはそぐわない場合もあります。そのため、新しい体制を柔軟に受け入れ、継続的に改善していくことが必要となります。

≫「スクラムを実施して新規サービス立ち上げを成功させた、とある”モンスター”について」はこちら

「スクラム開発の手法とは。スクラム開発の歴史や事例」についてのまとめ

従来のウォーターフォールなどによる開発手法では、個人の技量に委ねられる部分も多くありました。
しかし、スクラム開発ではチームとしての成果を重要視するため、メンバー全員が考え動くことが必然となります。ひいては自分の専門外の勉強が必要になることや、ミーティングによって作業時間が減ることもあり、時にそれは負担となる場合もあるかもしれません。組織としても教育コストや改善案の許容が求められます。

結果として、メンバーの意識が大きく変わり、自ら考えて動くことができる人材を育成できることは、これからの時代の組織運営に大きな利点となるのではないでしょうか。今回ご紹介したスクラム開発手法を、ぜひ今後のプロジェクト管理やチーム作りに役立ててみてください。

公式ガイド:
http://www.scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf#zoom=100

【PR】 タスクの管理方法にお困りですか?

TeamHackなら、プロジェクトの管理から情報共有まで、これ1つで全てが完結します。ソート機能で誰が何をやっているか明確に。タスクごとにチャットができるから、情報の錯綜もありません。プロジェクト管理者も作業者も、驚くほどタスク管理が楽になります。

チームづくりのための「朝礼」「夕礼」の重要性

朝礼・夕礼に良いイメージを持っている方はいますか? おそらく多くの人がそれとは逆の印象をお持ちかと思います。そんな朝礼・夕礼に対するイメージが、本稿を読めば180度変わるはずです。ぜひご一読を。

チーム作りに忘れがちなこと

チームで、日々タスクの消化に忙殺されていると、大切なことを忘れがちです。例えば、「メリハリをつけて働くこと」です。仕事の開始と終わりの切り替え、つまり、公私の区別をつけることが上手くいっていないと、働く時間が長くても生産的ではありません。そのため、スムーズに業務を開始・終了することが求められます。

次に、「一体感を持って働くこと」も忘れがちかもしれません。チームメンバーが、それぞれのタスクを淡々とこなしていると、視野が狭くなり、チーム全体をみることが難しくなります。それを防ぐためには、経営目標などの共有をしっかり行い、メンバーのチームへの帰属意識を高めさせることが必要です。

最後に、「メンバーのモチベーションを高めること」があります。メンバーのモチベーションが高ければ、それは業績に現れます。結果を出していくためには、高いモチベーションを個々のメンバーに持たせることが必要です。以上、3つの忘れがちな重要事項を挙げてみました。では、それらを実践させるにはどうしたら良いのでしょうか? それは、朝礼と夕礼をきちんと行なうことです。

朝礼・夕礼の目的とは


朝礼・夕礼というと、ちょっと古臭いイメージがありますよね。そして、世の中の多くの朝礼・夕礼はつまらなく、形骸化しています。しかし、だからといって、それは朝礼・夕礼が悪いわけではないのです。問題は、それらを運用する人たちの意識です。朝礼・夕礼の目的をしっかりと把握していれば、成果に繋げることができるでしょう。まずは朝礼・夕礼それぞれの目的を示します。

朝礼の目的

ここでは、朝礼の目的を3つ紹介します。

① 社内の重要事項がシェアされる
朝礼の大きな目的は、情報共有です。マネージャーがメンバーに対して重要事項を伝えることは勿論、メンバー一人ひとりが、重要だと考えていることをシェアします。それによって、チーム内の情報格差をなくすことができます。

② 社員の士気を高める
朝礼によって、社員の士気を高めることも忘れてはいけません。例えば、良い業績を上げたメンバーをみんなの前で表彰したりすることも重要です。また、メンバー自身に自分のタスクについて伝えさせることでも、士気は高まります。

③ コミュニケーションを促進する
朝礼では、メンバー全員が集まることが前提なので、普段あまり話をしないメンバー同士であっても、積極的にコミュニケーションをとる機会があります。また、横の関係だけではなく、マネージャーとメンバーという縦のコミュニケーションも分わかりやすく実現できます。

夕礼の目的

次に、夕礼の目的を3つ紹介します。

① タスクのやり忘れをなくす
夕礼で仕事の振り返りを各メンバーが行うことで、全員のタスクが滞りなく消化されていることを確認することができます。もしメンバーがタスクをやり忘れていたとしても、他のメンバーからの指摘などによってそれに気づくことができるので、タスクのやり忘れを無くすことができます。

② 定時で帰れるきっかけ作り
自分の仕事が終わっていても、他のメンバーがまだ仕事をしている場合、帰りにくく感じ、ついついTwitterやFacebookをみてしまう……。そんな経験はありませんか? 夕礼という、「一旦仕事終わり!」という明確な区切りがあることで、そのタイミングでメンバーが帰りやすくなり、無駄な残業をなくせます。

③ 作業スピードの向上
夕礼という仕事の終わりの目安が存在することによって、それまでにタスクを終わらせようと、メンバーが仕事の効率化について真面目に考えるようになります。そのことによって、作業スピードの向上が望め、残業を減らすことにも繋がります。

朝礼・夕礼の目的について解説しました。どちらも、正しく運用されれば大きな効果が期待できることがわかりましたね。ここまで読んで「よし!早速明日から朝礼を始めるぞ!」と考えるのは良いことですが、ただ始めるだけでは効果が上がらないことが多いので注意が必要です。次の章では、朝礼を成功させるポイントを説明します。

朝礼始めました、でいいの?

朝礼を実践している企業は、決して少なくはありません。あなたの会社でも朝礼があるかもしれませんね。それでは、質問です。その朝礼、役に立ってますか? きっと多くの人が答えに窮するかと思います。なぜなら朝礼は、非常に、形骸化・マンネリ化をしやすいからです。朝礼で共有するために情報を用意するなど、手段の目的化に陥っている場合も多いでしょう。

ここでは、失敗する朝礼と成功する朝礼の特徴について述べたいと思います。

失敗する朝礼

ここでは、失敗する朝礼の特徴を3つ紹介します。

① 担当者が自分に酔っている
朝礼を担当する人が、自己顕示欲を満たすがために、ベラベラと長くお喋りしているような朝礼は、誰にとっても、百害あって一利なしです。担当者の意識が変わらない限り、朝礼による効果を出すことは難しいでしょう

② 一度に多くのことを伝えようとする
朝礼の時間は、5分〜20分程度と、非常に限られています。その時間内で、あれもこれもと色々な情報を伝達しようとすると、結局、どの情報も伝わらないということはよくあることです。時間の制限を考えて、伝える内容を吟味する必要があります。

③ 上から目線・一方的
朝礼を担当する人が軍隊の長官のように、上から目線で一方的に発言していたら、あなたはどう思いますか? きっと、良い気分にはならないでしょう。人は、高圧的な態度で命令をされると反抗的になる性質を持っています。この場合、伝え方を見直すことが求められます。

成功する朝礼

ここでは、成功する朝礼の特徴を3つ紹介します。

① 朝礼は社員の意欲を高めるツール
朝礼が、何を目的にしているかを正しく認識しましょう。朝礼は、社員の意欲を高めるツールです。決して、担当者の自己満足を満たすために存在しているのではありません。目的に応じたアジェンダを用意することが成功の秘訣です。

② 対話を心がける
朝礼というと、担当者がメンバー全員に対して一方的に喋るイメージがあります。しかし、朝礼は縦と横のコミュニケーションを促進する効果もありました。そのためには、朝礼は双方向的に行なわれなければなりません。スピーチするのではなくあくまでも対話であることを意識すると良いでしょう。

③ 「楽しい朝礼」を目指す
最後は、少し抽象的ですが、朝礼に参加するメンバーの全員が楽しくなるような朝礼を目指すべきです。朝礼が楽しいと、1日のスタートを良い気分でスタートすることができるため、仕事のパフォーマンスを向上させることができます。担当者は、創意工夫をして、メンバーに楽しんでもらえる仕掛けを考えましょう。

正しい朝礼の進め方

ここでは、正しく朝礼を進めるための3つのポイントについて解説します。

① 共通目的意識を醸成する
朝礼の大きな目的の一つに、ビジョンや経営目標の共有という役割がありました。そのための手段として、ビジョンやミッションの唱和、KPIの達成度合いを確認するなど、をアジェンダに組み込むと効果的です。

② 「決意宣言」をさせる
メンバーのモチベーションアップとコミュニケーション促進も朝礼の目的でしたね。その手段として、メンバーに個人目標などを宣言させると良いでしょう。発表者だけではなくそれを聞いた他のメンバーも闘争心を煽られヤル気が出てきます。

③ 肯定的な発言をする
朝礼では、なるべく肯定的な発言をするようにしましょう。そのことで、メンバーの意識にポジティブなイメージを埋め込むことができます。ポジティブな態度が、業績の向上に繋がることは自明ですので、ぜひとも実践しましょう。

「チームづくりのための「朝礼」「夕礼」の重要性」についてのまとめ

朝礼・夕礼に対して良いイメージを持っていなかった方も、それらの意義について理解していただくことができたかと思います。塵も積もれば山となる。朝礼・夕礼も毎日継続して行なうことが大切です。また朝礼・夕礼以外にもチームの結束力を上げる方法を紹介しています。
良いチーム作りのためのアクティビティについての記事はこちら

【PR】 タスクの管理方法にお困りですか?

TeamHackなら、プロジェクトの管理から情報共有まで、これ1つで全てが完結します。ソート機能で誰が何をやっているか明確に。タスクごとにチャットができるから、情報の錯綜もありません。プロジェクト管理者も作業者も、驚くほどタスク管理が楽になります。

コミュニケーション能力が大事っていうけど、実際それって何なの?

近年、企業が採用の際に人材に求める代表的な能力が「コミュニケーション能力」と言われています。そのため、大学などの教育機関でも学生のコミュニケーション能力を向上されるためのプログラムを設けているところも登場してきています。ところで、コミュニケーション能力とはいったい何を指しているのでしょうか? ここでは、コミュニケーション能力が求められるようになった背景と、それがもたらす効果について紹介していきます。

コミュニケーションツールについて知りたい方は、「脱エクセルでタスク管理やプロジェクト管理をシンプルにしよう」の記事もチェックしてみてください。

コミュニケーション能力が求められるのはなぜ?

近年、採用活動を行なう企業のほとんどが人材に求める能力として、コミュニケーション能力を重視しています。チャレンジ精神、ストレス耐性、クリエイティビティといったスキルよりも、コミュニケーション能力が求められるのは、それだけこの能力が不足していると認識されているからでしょう。

若者のコミュニケーション能力が低下している

若者のコミュニケーション能力が低下しているという指摘は多く寄せられています。SNSなどのサービスを通じてコミュニケーションのニーズを解決できる機会が増えたことがその理由のひとつかもしれません。確かに、ショッピングや学習などの日常生活の場面で他人と接することなく完結できることが増えています。

即時に、簡単に、最低限のステップで様々な物事の解決が可能な時代。言葉に代わって絵文字やスタンプが使われるようになり、発信する言葉を考える頻度も減りました。リアルな反応を自身の五感で感じることなくコミュニケーションが完結することの繰り返しが習慣になり、職場での直接的なコミュニケーションに戸惑いや不安を感じる若者は少なくありません。

その前に、自分のコミュニケーションを見直してみよう

確かに、若者のコミュニケーション能力が低下していると感じられる面もあるかもしれません。しかし、コミュニケーション能力が求められているのは若者だけではないはず。どんなに社会人経験の長い人であっても、その若者の特徴や個性を尊重したコミュニケーション能力が必要です。もちろん、相手は若者だけと限りません。

現代は各年代層の特徴やコミュニケーションの取り方におけるギャップが大きくなっているため、なおさらこの能力が必要になってきていると言えるかもしれません。違いを受け入れ、理解し、スムーズに意思疎通ができることもコミュニケーション能力ではないでしょうか。つまり、若者の能力低下と決めつけてしまうのは責任転嫁と言っても過言ではないでしょう。

チームに必要なコミュニケーションとは?


企業、組織、チームには、それぞれにビジョンや達成したいことがあると思います。チームが存在している理由が何かを考えるとき、その存在意義を豊かにしていくことができるのもコミュニケーションのなせる業です。チームにとって必要なコミュニケーションはどんなことなのかを考えてみたいと思います。

常に関わること

良いコミュニケーションは、関心や好奇心から生まれるものです。業務以外の関わりでは、チームの価値観や風土によって異なって構わないのかもしれません。しかし、業務に関わることについては、メンバー同士はお互いに作用しあうことが欠かせないことです。

常に反応すること

自分の仕事に精一杯になっていると、相手への反応が疎かになりがちです。求められる反応は何かを考えることすら意識から抜けてしまうこともあります。チームごとに、求められるペースや反応の種類も異なってくるでしょう。コミュニケーションで相手を知り、チームを理解して合わせていくことも必要です。

常に思いやること

相手を常に思いやる意識も大切です。自分の業務を進め、役割を果たすことだけを考えてしまうと相手への配慮が欠けてしまうこともでてきます。自分がコミュニケーションの中で発信している言葉、態度、姿勢や意欲が相手にどのような影響を及ぼすものかは、常に意識する必要があるでしょう。もちろん、相手に嫌な思いをさせたり、士気を下げたりといった発信がないよう気を配ることも思いやりではないでしょうか。

常に相互理解に努めること

コミュニケーションは相互理解を促すものですが、意識しなければ相手のことは理解できません。
業務の中では、事実を正確に共有することが大切ですが、特定のバイアスや周辺の言葉に左右されてしまうことでチームとして残念な結果や雰囲気を招いてしまいます。ミーティングやディスカッション、交流の場など理解し合うための機会の創出も繰り返し検討して、最適な方法を見つけていきます。

チームに必要なコミュニケーションの記事:【事例紹介】社内コミュニケーションを円滑にするための6つの方法

良好なコミュニケーションがもたらす効果

次に、良好なコミュニケーションを取ることの効果を見ていきましょう。
どうコミュニケーションを取っていくことが効果的なのかについても具体的に触れていきます。

信頼感を抱かせる

信頼関係は一朝一夕に築かれるものではありません。子供に言い聞かせることのように思われるかもしれませんが、約束を守ること、アクティブな傾聴を心がけること、声かけで接点を保つことなど、小さな積み重ねが信頼関係を築きあげます。自分の主観を排除して相手の考えや意見に耳を傾け、相手のプラスになる言葉を発信していくことが大切です。

安心感を与える

職場でのネガティブな緊張感を解くことにもコミュニケーションは役立ちます。ちょっとした気遣いのやり取り、ありのままを承認されている安堵、見守られサポートがあるという確信などはリラックス状態の源です。常に変化し、新たなステップに立ち向かうメンバーをコミュニケーションで支えることができるのです。もちろん、一方でコミュニケーションが緊張感を招いてしまうことがあることも意識しなければなりません。

モチベーションを喚起する

コミュニケーションによってメンバーのモチベーションを上げることができます。「褒める」ばかりでは本物のモチベーションは湧いてこない人もいます。ある人は頼られることで意欲が高まったり、ある人はフィードバックで感化されたりというように、それぞれのメンバーが仕事をする上で重要視していることに働きかけることが大切です。密な話し合いや日頃の観察によって見極めていくべき点です。

一人ではできないことを成す

チームや組織は一人では構成できません。チームや組織には、一人ではできないことを成し遂げるパワーがあります。そこにはコミュニケーションは重要な存在です。例えば、進捗を可視化するなど協働していることを認識できるツールを取り入れることも効果的です。コミュニケーションをどううまくとっていくかは、事業の成功と失敗を左右するポイントです。

共にやり遂げた一体感

円滑にコミュニケーションを行ないながらの業務には皆が関わって目標に向かう一体感が生まれます。これが組織を強くする要件でもあります。たとえ思わしくない結果や成果だったとしても目標に向かって業務を共有してきたこと自体が、次の仕事、他の仕事に良い影響を与え、チームの見えない支えとなっていきます。

チームのコミュニケーションを考える際のポイント

コミュニケーションがもたらす効果について紹介しましたが、ここで一つ、注意事項があります。それは、コミュニケーションのあり方は一様なものではないということです。最後に、そのことについて確認していきましょう。

コミュニケーションの捉え方は千差万別

「コミュニケーション能力が高い人」を思い浮かべてみると、フレンドリーでいつも明るいひとだったり、ボキャブラリーが豊富で説明がうまい人が思い浮かぶかもしれません。一方で、物静かだけれども聞き上手という点を、コミュニケーション能力が高いと評価する人も増えてきています。コミュニケーションのあり方は相手との関係によっていくらでも変化するものです。そのことを意識することが、効果的なコミュニケーションを実現するための第一歩となります。

内向的だからといってコミュニケーション能力が低いわけではない

実際、コミュニケーションの要素はとても幅の広いものです。人の個性を表す言葉に、外向的・内向的というものがありますが、外向的だからといってコミュニケーション能力が高いかというとそうとは言い切れません。

確かに、外向的な人は、人との接点が多い傾向があるので、コミュニケーション能力を磨く機会に恵まれている確率は高いでしょう。でも、内向的だからといってコミュニケーション能力が低い人ばかりではないことも事実。内向的な人は、一般論の刷り込みで自分のコミュニケーション能力に自信を持てない人も多いようですが、周りの評価は自身が思っているより高いということも少なくありません。

「コミュニケーション能力って、本当に最重要項目なの?」まとめ

コミュニケーションが低レベルで行なわれるチームでは、事実が歪んで伝わってしまったり、伝えるべきことを省いてしまったりということがよく起こります。
また、日常業務のさまざまことを一般論で片づけてしまう可能性も高まります。

いずれも、チームワークも生産性も低下させてしまう要素です。それを避けるためのコミュニケーション能力はとても重要性が高いです。
この記事では、あいまいに「コミュニケーション能力」と呼ばれるものの正体を探っていきました。

【PR】 タスクの管理方法にお困りですか?

TeamHackなら、プロジェクトの管理から情報共有まで、これ1つで全てが完結します。ソート機能で誰が何をやっているか明確に。タスクごとにチャットができるから、情報の錯綜もありません。プロジェクト管理者も作業者も、驚くほどタスク管理が楽になります。

あなたを成長させるのは「ハードワーク」だけだ、という本音

世間の風潮は、ハードワークを悪としていますが、本当にそうでしょうか? 世論に対して、思考停止状態になっていませんか? 本稿では、ハードワークの良い面をいくつも紹介しています。もしかしたら、あなたの仕事に対する価値観が変わるかもしれません。

ハードワークで成功した偉人3名

政府の打ち出す働き方改革やワークライフバランスなど、近年は長時間労働すなわちハードワークに対する風当たりが強いです。「ハードワーク = 悪」という考え方が世間に定着しているように思えます。ただ、本当にハードワークは悪いことなのでしょうか? 現実に目を向けると、ハードワークによって成功した偉人は数多いです。ここでは、そのような偉人を3人紹介しましょう。

1人目:アップルCEO ティム・クック
世界中の人がその製品に魅了されているアップルのCEOであるティムクックは、ハードワーカーで知られています。彼は毎朝4時30分に社員にメールを送ります。それなら就寝時間が早いのでは? と思う方もいると思いますが、なんと彼は誰よりも早く出社して、退社は最後です。

2人目:画家 パブロ・ピカソ
誰もが知る芸術界の巨匠であるパブロ・ピカソの制作した作品数は、147,800点です。彼は92歳で亡くなったので、毎日平均4.4点の作品を制作していたことになります(147,800点 ÷ 92年 ÷ 365日 =4.4点/日)。彼の偉大な功績は、ハードワークによって担保されていたことは間違いないでしょう。

3人目:日本電産の代表取締役社長 永守重信氏
ハードワーカーの日本代表は、日本電産の代表取締役社長である永守重信氏です。彼にとって、休暇は元旦の午前中だけ、年中無休で365日働き、毎日最低12時間は働きます。朝は、5時50分に起きて、6時50分に一番乗りで出社します。

以上、ハードワークによって成功した偉人を3人紹介しました。ここで挙げた例は少し極端かもしれませんが、ハードワークが世間で言われるほど悪いことではなく、きちんと結果につながっている事例もあるということがわかっていただけたかと思います。

質は量によって生まれる


「質は量によって生まれる」という言葉があります。最近の特に若い人に多いですが、仕事をたくさんこなすよりも先に、時間管理術や仕事能率向上のノウハウを本などによって学び、質を量ではなくテクニックで担保しようとする傾向があります。

ただ、机上の議論を学ぶだけで本当に仕事の質を向上させることは可能なのでしょうか? 多くの場合、それは難しいでしょう。なぜなら、本などで学ぶテクニックは、頭で理解することはできますが、自分の経験から導き出されたノウハウではないので、それを腹落ちして行動に移すことができないからです。「理解」と「実行」の間には、大きな壁が存在するのです。

一方これが、自分が一生懸命働いた経験則から生じた学びである場合は、話が違ってきます。自分の経験に基づいているため、体にそのノウハウは染み込んでいるだけではなく、頭で考えるよりも、すぐに行動に移すことができるからです。つまり、がむしゃらに働くことは、一見非効率に見えますが、それを継続することで、自然に仕事の質が高まってくるため、長期的にみるとプラスになります。まさに、質は量によって生まれるのです。

いいハードワークの9つの条件

ハードワークは、それ自体でも大きな効果がありますが、もう一工夫加えることで、劇的な効果を生み出すことができます。ここでは、そんなTipsを9つ紹介したいと思います。

「何のために働くか」という目的が明確

働く意義が曖昧だとやりがいを見出すことが難しいです。そのため、「自分は何のために働いているのだろう?」と自問して、その答えを見つけることによって、自分の内側からモチベーションが湧いてきます。つまり、内発的に動機付けられるのです。

最低限の睡眠時間や休息が確保されている

いくら仕事が好きだからといって、睡眠や休息の時間を削ることは、返って非効率です。疲れが溜まってしまうと、人は本来のパフォーマンスを発揮することができません。そのため、働きたい気持ちを抑えて、最低限の睡眠時間や休息を確保しましょう。

一定水準以上の待遇を得ることができる

これは、あなたの会社によりますが、ハードワークに対して、しっかり待遇を得ることができるほうが、仕事をするインセンティブが高まるに決まっています。できれば、能力給など、ハードワークが報われる仕組みがある会社で働くほうが、ハードワークはうまくいきます。

目標となる上司や先輩がいる

人間はロールモデル、つまり自分が将来的になりたい理想像を設定すると、努力を継続させることができます。そのようなロールモデルとなる上司や先輩があなたの会社内にいる場合は、彼らを目標に頑張りましょう。もし、そのようなロールモデルが社内にいない場合は、社外の人か有名人などをロールモデルにしても良いでしょう。

あなたを認めてくれるチームメンバーがいる

人間は誰しも他者から認められたいという承認欲求を持っています。あなたの努力を正しく認めてくれるチームメンバーがいることは、あなたにとって、とても大きな精神的報酬になりえます。そのような良好な人間関係を築くことは、有意義なことです。

1日を振り返って満足感に浸れる

1日の仕事を終えた時に、「今日も頑張って働いたなあ」と満足感や達成感に浸ることができれば、「また、明日も頑張ろう!」という気持ちになりやすいです。そのため、仕事が終わった時に、1日を振り返る習慣をつけるとモチベーションを持続させる効果があります。

ポジティブな文脈でみんなが働いている

あなたの仕事が、例えば、他人にとって不利益を与えるようなネガティブな文脈であった場合、社会的承認を得ることが難しいため、なかなかヤル気を見出すことが難しいです。これが、社会に役立つようなポジティブな文脈でみんなが働いている場合は、大きなやりがいを感じることができるでしょう。

仕事のことが好きである

「仕事は趣味です」といえるくらい、あなたが仕事のことを好きになることは、ハードワークをする上で、とても大きな要素です。自分の仕事が嫌いでなおかつ激務であれば、どんな人でも心身に負担がかかり、とても前向きに働こうとは思えないでしょう。

自ら進んで仕事を探し、引き受ける

能動的な姿勢で仕事をしているか受動的な姿勢で仕事をしているかは、あなたのモチベーションに大きな影響を与えます。当然、能動的に仕事をしている方が、モチベーションは上がりやすいです。他人から、指示を受けるまで動かないのではなく、積極的に仕事を探し、引き受けましょう。

ここで紹介した9つのTipsを踏まえた上で仕事をすれば、あなたのハードワークライフにとって、必ず良い影響を与えるはずです。実践できそうなことがあれば、積極的に採用しましょう。

ハードワークのわかりやすいメリット

最後に、ハードワークをする上でわかりやすいメリットを3つ紹介したいと思います。

効率を追い求めやすくなる

ハードワークすることによって、仕事の質が高まることは前述しましたが、仕事の効率を高める意味でもハードワークは重要です。大量の仕事をしていくうちに、力を入れる部分と手を抜いていい部分などの緩急をつけられるようになり、結果的に全体効率が高まります。

仕事を人に振ることがうまくなる

ハードワークをするということは、引き受ける仕事量がとても多いことを意味します。本当は、自分で終わらせたい仕事だったとしても、現実的に不可能な場合、チームの誰かに仕事を振ることで、対応することになります。それを繰り返していくうちに、自然と仕事を人に振ることがうまくなるのです。そして、あなたのチームの生産性は向上していきます。

PDCAサイクルを早く回して成長できる

PDCAは、Plan、Do、Check、Actionの略称で、とても有名なビジネスフレームワークです。ハードワークをすることで人より早くPDCAサイクルを回すことができますので、仕事の質が高まるだけではなくあなた自身の成長にもつながります。

PDCAを詳しくみるならコチラ

「あなたを成長させるのは「ハードワーク」だけだ、という本音」についてのまとめ

「ハードワークが良い」とは言い難い雰囲気がある昨今のビジネス界ですが、ハードワークは必ずしも悪役ではなく、個人の成長や業績向上につながる場合も多々あります。頭ごなしに否定するのではなく、その効果を冷静に見極めてみてはいかがでしょうか。

<参考>

「将来のためになるハードワーク」と「あなたを壊すかもしれない激務」の決定的な9つの違い

仕事-ハードワークは必要か?

【PR】 タスクの管理方法にお困りですか?

TeamHackなら、プロジェクトの管理から情報共有まで、これ1つで全てが完結します。ソート機能で誰が何をやっているか明確に。タスクごとにチャットができるから、情報の錯綜もありません。プロジェクト管理者も作業者も、驚くほどタスク管理が楽になります。

なんでチームが回らない? メンバーを動かして最強のチームを作るチームマネジメント

メンバーが思うように動いてくれないと感じるとき、何をどうするのが得策なのかを考えて、試行錯誤を繰り返しますよね。うまく回っているチームの特徴を知ることで発想転換や改善策の材料になるかもしれません。メンバーが動くチームが積み重ねているものを参考にしてみましょう。

メンバーの強みが反映されている

活気のあるチームの大きな特徴の一つは、それぞれのメンバーが担う業務に自分の強みが反映されているということです。マネジメントする立場にあるとき、個々のメンバーの強みを見極めることは重要事項となります。

1)重要なのは適材適所

適材適所への人員配置はマネージャーの最重要任務の一つ。

マネージャーに求められる能力は、特定の職種の技術やスキルに長けていることよりも、部署内の職種に必要な適性を深く知り、個々のメンバーの個性や資質を良く理解した上で、相応しいメンバーを配置することができる能力です。適した人材とは、その業務をより良く遂行できる人のこと。本人も自覚があり、納得して業務に取り組めるのが理想です。

さらにマネージャーは、環境の変化やメンバー自身の成長に合わせて新たに適所を提供していくことも考える必要もあります。そのためには変化していく職種についての知識が必要ですし、メンバーを理解するために密なコミュニケーションを心がけたり、あらゆる状況でメンバーを観察していかなければなりません。

2)強みのパワーを最大活用

強みを発揮できる場面を与えられているメンバーは、ポジティブな意識をキープして働くことができます。
強みを発揮するには、メンバーが自分の強みを自覚することから始まります。メンバーに自分の強みを自覚させ、それを発揮させることを後押しするのは、マネージャーや他のメンバーからの承認です。

マネージャーには、業務をスムーズに進めたり、メンバーの成長を促すことが求められているため、つい注意点や改善点に目がいきがちです。しかし、指摘に終始してしまうと、メンバーは「自分が持っている強み」を忘れてしまいます。そして、心理的にエネルギー不足となってしまうでしょう。

自分の強みを発揮して「感動」を得ることで、ポジティブな気持ちで業務を改善したり、困難が発生した時にも踏ん張ったり、仕事に対するモチベーションを維持することができるようになります。なので、マネージャーはメンバーにそのような感動を得られる機会を与えていきましょう。

ミスコミュニケーションの回避

チーム内の相互理解はコミュニケーションを通じて得ていくものです。言ったことが伝わらない、指示した行動につながらないこともあります。そんなことが続いている人は、ミスコミュニケーションの原因を探ってみましょう。

1)理解レベルを理解する

メンバーを理解することが大切だということはよく耳にします。では、具体的にメンバーの何を理解すればいいのでしょうか。その答えの一つがメンバーの「理解レベル」です。

メンバーが「はい」と答えたことがらでも、実はメンバー自身も分かったのか分かってないのかが、分かってないということがよくあります。なので、実際に行動するときになって頭に「?」が浮かんでしまい、伝わっているはずの行動がとれないという確率が高いのです。そこで、マネージャーは、指示や指摘、承認などをする際に、自分がメンバーに対して使う言葉や内容をメンバーの目線で伝える意識が必要です。

伝える側が意識し直してみることがミスコミュニケーションの回避策として最も有効なのです。

2)主語を意識する

主語の重要性を意識されたことはありますか? 主語は、相手の捉え方を変化させる力があります。
日本語は、特に1対1の会話の中で、主語を省いても通じてしまう、あるいは無意識に通じるはずと考えて話してしまう言語といわれます。実は、この習慣にミスコミュニケーションを発生させる原因が潜んでいます。

「~が言いました」⇒ 誰が言った?
「届く予定です」 ⇒ 誰が届ける?
「問題があります」⇒ 何が?
「良かった」   ⇒ 何が?
「分かりません」 ⇒ 何が?

そこで、主語を意識してみることで、取り違いや勘違いを防ぐことができます。

また、指摘や注意をする際に、主語を「相手」にせず、「もの・こと」にすることで、相手を直接的に否定しないようにすることも有効です。

例えば、間違いが起きたときに「なぜそれをしたのか」「どうして言わなかったのか」だと相手を責める直接的な表現になりがちです。「それ(問題)が、なぜ起こったのか」「言いにくくしたのは何か」など事象に焦点を当てて問うことで受け止め方が変わってきます。

3)具体的に伝える

ビジネスでのミスコミュニケーションで大きなポイントになるのが言葉の具体性です。
曖昧な表現による理解のズレが「できない部下」「ダメなメンバー」という捉え方や、上司としての「イライラ感」「うまくいかないという悩み」の原因になっていることもあります。

曖昧な表現にはいろいろありますが、例を挙げてみましょう。

「早めに」 ⇒ いつまでに、何時までに
「丁寧に」 ⇒ どの部分なのか、何を丁寧にするのか
「コミュニケーションを活発に」⇒ 挨拶をするのか、笑顔になるのか、雑談するのか、頻度をあげるのか……
「頑張る」 ⇒ 何をどう行うのか
「増やす」 ⇒ いくつ、何枚、何件増やすのか
「積極的に」⇒ 何をどう行うのか

これらの言葉に戸惑うメンバーは多いものです。メンバーに指示を伝える際には出来るだけ具体的に言うようにしましょう。

>>「社内コミュニケーションを活性化させて最高のチームを作るための5つのポイント」を読む

信頼関係を確実に作っていく

チームの中に信頼関係が築かれていると、メンバーは安心して業務に取り組めます。信頼関係を一朝一夕に構築することは不可能ですよね。信頼関係は、日々の業務を同じ空間でこなしていく中で少しずつ、少しずつ、ときには一進一退を繰り返しながら強固になっていくものです。優秀なマネージャーたちは、信頼を築くために意識すること、行動すべきことに力を注いでいるようです。

それでは、信頼関係を築いていくために意識するべきポイントにはどのようなものがあるのでしょうか。

1)一貫した雰囲気づくり

一人ひとりの個性に合わせたコミュニケーションは大切ですが、全体で共有しているルールがあるにも関わらず、その都度、対応の仕方や雰囲気を変えることはメンバーを戸惑わせる原因になります。例えば、部下への指摘や称賛、お客様の対応やクレームのような場面です。

どんな時でもマネージャーの態度や言動は常にメンバーから見られているものです。そこで一貫性を欠いた対応をしていると、それをすぐにメンバーに見破られてしまいます。マネージャーの一貫性は、メンバーの一貫性のあるフォローにつながっていくのです。

2)緊張感を最低限にする

ビジネスシーンに限ったことではありませんが、適度な緊張感のもと、できるだけリラックス感を持つことで最大以上の能力が発揮されるともいわれます。そのようにして自分の最大の能力を引き延ばしていくことで、人は成長を遂げていきます。そんなときの充実感は計り知れないものです。

マネージャーが威圧的になると、メンバーはネガティブな緊張感を抱いてしまいます。失敗してはならない、間違えてはいけない、早く終わらせなければならない……。せっかくの見守りや観察も監視されていると受け止められるかもしれません。

ネガティブな緊張感で失われるものは甚大です。クリエイティブな発想、やってみようと思うチャレンジ精神、サポートし合う余裕と意欲、サポートがあるという安心感、できるという達成感。これらのすべてが、メンバーの能力を向上させるものであり、チームの成長にも不可欠なのです。

マネージャーは適度にプレッシャーをかけつつも、暖かい声掛けなどを通じてメンバーの緊張感を下げていく必要があります。

3)共に成長する意識の共有

マネージャーや上司という立場で仕事をしていると、つい他のメンバーとの上下関係のほうに意識が向いてしまいがちです。ですが、マネージャーも日々の業務の中でマネジメントなどのスキルを学んでビジネスパーソンとして成長をしている立場なのであり、その点ではマネージャーもメンバーも同じ立場です。

お互いがある意味、対等な立場であるということを意識して、謙虚な姿勢を貫く意識が必要です。

4)弱みを共有できる強み

どの役割を持っていても、どの立場にあっても、人は自分の弱みを認識してくれている組織に対して安心感を抱きます。きちんと、うまく、しっかり行なう自分しか見せられないチームの中では、人は業務に全力投球することができません。なぜなら、四六時中、弱みを隠すことに注ぐエネルギーも必要になるからです。

このことは、本人にとっても企業にとっても無駄なエネルギーと言えます。

弱みを共有することで、本人は無駄なエネルギーを浪費する必要がなくなります。そのことを強みとするメンバーからのサポートを受けることも容易になります。マネージャーがその采配を行なうことも可能でしょう。一人で苦手なことに時間を掛ける頻度が下がれば、業務スピードも上がります。サポートし合うという環境も生まれます。お気付きのようにメリットはとても多いのです。

CEOにもマネージャーにも弱みはあります。大切なことは、チームの中にそれを知っている仲間がいるということなのです。弱みを共有できることは強いチームの必須条件なのかもしれません。

>>「プロジェクトを成功に導く!コミュニケーション管理のコツ」を読む

まとめ

チームのマネジメントをスムーズにする要素として、メンバーの強みが反映されること、ミスコミュニケーションを回避すること、そして信頼関係を構築することをご紹介しました。皆さんのチームでは、これらのことをうまく実践できていますか? マネージャーやメンバーの括りを外して、良いチームづくりのために皆で語り合ってみるのも一つの有効策かもしれません。

リモートワークが抱える問題とは? 不安なリモートワーカーと長時間労働

政府が「働き方改革」を打ち出し、さまざまな施策を繰り広げていこうとしているなか、リモートワークや在宅勤務といった働き方が、確実に社会に拡がり始めています。今日、仕事についての環境は劇的に変化し、多様化をむかえています。IT技術の進化により、従来固定された場所で行われていた仕事はインターネットを介してどこででもできるようになりました。自宅やカフェなどの好きな場所で仕事を行なうことのできるリモートワークや在宅勤務といった働き方の浸透はますます進んでいます。 リモートワークや在宅勤務は、「勤務時間を必要としない、自宅でもどこでも仕事ができる」というところに大変大きなメリットがあります。通勤時間に費やす時間を節約して、仕事の時間にあてることができるのは、貴重な時間の節約にもなります。また、天候にも左右されず、通勤時間が不要なため、仕事に使える時間を確保しやすい働き方だとも言えます。しかし、このようなメリットの裏には、それによって引き起こされるデメリットもあります。ここでは、リモートワーカーならではの問題を提示していきます。

リモートワークは長時間労働につながる?

国際労働機関によると、リモートワーカーはオフィスワーカーと比べて、生産性は高いが、長時間労働の傾向があるという研究結果が出ています。すでに日本においても、平成22年の時点でこのような問題が指摘されていました。

「社員の労務管理の問題 「テレワーカーの労務管理が難しい」「テレワーカーが働きすぎてしまう」などの指摘が多い」(総務省 情報通信国際戦略局 情報通信経済室 調べによる)

参考URL http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/h22_06_houkoku.pdf リモートワーカー、テレワーカー、在宅勤務者は、仕事に使う時間を自分自身で自由にコントロールできるため、生産性が高まり、イノベーションも生まれやすくなると言われています。しかし、同時に、仕事とプライベートの生活が曖昧になってしまい、労働時間が長くなりがちであるという指摘もあります。

リモートワーカーの労働時間が伸びる理由

なぜリモートワーカーは長時間労働をしがちなのでしょうか。それは、リモートワーカーが、「オフィスで仕事をしなくても、どこででも自分は仕事ができる人間なのだ」という事を証明したいという強いプレッシャーがあるからではないでしょうか。実際に仕事が終わった後、まだ空き時間がある場合には、さらに仕事をすすめたり、見直したりして一日の中の長い時間を仕事に費やしているリモートワーカーもいることでしょう。 また、リモートワーカーは、物理的にオフィスから離れているため、やむをえずコミュニケーションにタイムラグができてしまったり、毎日オフィスで顔をあわせていれば自然にわかるようなチーム内で必要とされる知識や常識の共有が難しいとい問題を抱えています。 この齟齬を減らすために、チャットなどのツールでコミュニケーションのコアタイムを決めておいたり、チーム内で必要な重要ナレッジをオンラインで共有するようにする、といった管理が必要になってくるでしょう。このような対策を重ねていくことで、リモートワーカーの勤務時間はさらに増加していきます。 そして、リモートワーカーは、物理的にオフィスから離れて仕事をすることから、孤独を感じがちであったり、この働き方を続けていけるのだろうか、という不安も持つことも考えられます。 こういったリモートワーカーならではの「不安」が、リモートワーカーを長時間労働に向かわせている可能性も考えられます。

≫あわせて読みたい…「オフィスワークとリモートワーク、どちらのほうが生産的なのか?」はこちら

リモートワーカーは不安だ

リモートワーカーは、コミュニケーション上で不利な状況になってしまうことがあります。そして、コミュニケーションを円滑にするために、オンラインチャットのアプリケーションを駆使して連絡をまめに取り合う努力をしていても、常にタイムラグなしでコミュケーションができるとも限りません。 そんなときに、気をつけていかなくてはならない問題として、疑問点や必要なポイントが不十分なまま仕事をすすめてしまうということがあります。十分な計画や確認なしに、とにかく手をつけて形にしようとする危険性は、リモートワーカーだけでなく、一般的なオフィスワーカーにも考えられることですが、確認作業にタイムラグが発生しがちなリモートワーカーは、より気をつけていかなくてはならない問題です。

そのため、仕事に手をつける前には、必ず方向性や内容について明確に理解してから取りかかるようにしましょう。その仕事は何に対してのものなのか、対顧客に見せるものなのか、インターナルな資料なのか、という「誰」に見せるのかを確認しましょう。次に、その仕事が何のためのものなのか、なぜそうすべきなのかと整理してから進行していきましょう。

リモートワーカーが注意すべきこと

繰り返しとなりますが、最も注意するべきことは仕事とプライベートの生活の境界線があいまいになることです。余暇中や、仕事をしていない時間の間に仕事関連のメールを受け取ることはよくあることです。しかし、それに逐一対応していたら、休んでいるのか仕事をしているのか混乱してしまいます。特に、マネージャーの役割をもったリモートワーカーも注意が必要です。管理したいワーカーが様々な時間に仕事をしていると、パソコンや管理画面にずっと向かうことになり、オフィス駐在よりも仕事時間が長くなってしまう可能性も否めません。 適切に仕事時間と、他のことをする時間を分ける能力を養っていかないと、働き方自体が私生活に悪影響を及ぼしかねないことを理解しましょう。 ほかにも、在宅勤務には絶対必要なパソコンですが、どうしても長時間パソコンに向かうと、肩、首または背中、手首や指に疲労がでてしまいがちです。また、家庭の照明が適切でないと、眼の疲れや緊張を引き起こしてしまいます。リモートワークをする時間を考え、適切な環境を整えましょう。 長時間働くことができる環境であるがために生まれるリスクがあることをしっかり理解して、心と体の健康を損なわないためにも、十分な休息や仕事以外の時間を取る必要があることを覚えておくことが重要なのです。

タイムマネジメントでワークライフバランスをとる

このように、リモートワーカーは長時間労働になりがちであったり、特有の不安感からくる問題も存在します。しかし、多くのリモートワーカーは、ストレスが減ったり、ポジティブな影響があると考えています。 実際、ライター周辺でも、仕事を家ですることで、忙しさはあるが、自分で時間をコントロールできる喜びや充実感を感じているワーカーが多いです。通勤にあてていた時間を、子供の学校や幼稚園の親の役割を果たすことに使えたり、仕事だけではなく家族のために使うこともできるようになります。働く時間に柔軟性を持たせることができるので、雑用など、様々なことに対処する時間の編成を簡単にすることができます。以前は会社から休みや半休をとらないとできなかったことができるようになり、そのためストレスを軽くすることもできるのです。 この新しい働き方は、私たちの日々の仕事や生活に革命をもたらしているともいえます。会社に出社せず、在宅で仕事を行う人たち、リモートワーカーによる一人ひとりのタイムマネジメント能力の向上により、私たちのワーク・ライフ・バランスもまた、進化していくことができると考えられます。

まとめ

リモートワーカーが、その働き方によるメリットとリスク、仕事とプライベートライフの両立を進めていけば、このような、多様性のある働き方にたいする認知と理解、模倣が広がるに違い有りません。 リモートワーカー個人個人が問題や課題、将来改善すべき点を考え、働き方についてともに考えていくことがこれからも必要となっていくでしょう。 参考URL https://blog.noisli.com/remote-workers-are-working-longer/

あなたの職場の人間関係を見直してみよう~悩み無用の職場環境の作り方

職場で良好な人間関係を築くことができれば、仕事にいい影響を与えることができます。では、人間関係の構築において大切になる考え方とは一体何でしょうか? 本記事を読み進めれば、その真髄を感じていただけるのではないでしょうか。

人間関係はとっても大切


職場で感じるストレスとして、男女共に最も多いのが「人間関係」であるという厚労省の調査結果があります。また、公益財団法人 日本生産本部が発表している平成27年度 新入社員を対象にした『「働くことの意識」調査結果』によると、「仕事をしていくうえで人間関係に不安を感じる」と答える人が66.5%います。その一方、「仕事を通じて人間関係を広げていきたい」と考える人は94.8%もいることが明らかになっています。このことからも、多くの人が職場における現状の人間関係に満足していないといえるでしょう。

なぜ、人間関係は仕事において、これほど重要なのでしょうか? 職場で 良好な人間関係を築くメリットについて、3つ紹介します。

仕事の効率が上がる

仕事をしていると必ず、自分一人では解決できない問題に直面します。そういった場合、上司や同僚に相談して、一緒に問題解決を考えることになるでしょう。その時に、職場で良好な人間関係を築くことができていれば、気軽に相談しやすく、また、相手からの協力を引き出しやすくなります。さらに、シナジー効果によって、仕事を効率よく完了することができます。

仕事が楽しくなる

仕事時の幸福感と人間関係には密接な関わりがあります。そのことは、人間関係に悩んで、仕事を辞めてしまう人が多いことからも想像することができるでしょう。良好な人間関係の元で働けば、やる気もアップします。そして、やる気が成果につながり、仕事が楽しくなるというポジティブなサイクルが回り始めます。

メンタルが楽になる

職場で良好な人間関係を築くことができていないと、仕事をしていてもストレスが溜まってしまいます。また、些細な言動に対して過剰な防衛反応が起きてしまい、精神的に辛くなることも多いでしょう。そのため、精神衛生的にも、良好な人間関係は重要になります。

このように、仕事と人間関係は切っても切れない関係にあるため、積極的に改善していく必要があります。

人間関係に疲れやすい人の特徴

人との出会いは歳を重ねるほど増えていきます。それを楽しむことができれば一番良いのですが、ストレスになってしまう人も少なくはないでしょう。その感じ方には、個人差があります。ここでは、人間関係に疲れやすい人の特徴を3つあげて、説明したいと思います。

引っ込み思案な人

引っ込み思案な人は、人間関係に疲れを感じやすいです。なぜなら、常に相手のことを優先させてしまうが故に、自発的な発言や行動を我慢してしまうことが多いからです。引っ込み思案は、視点を変えれば長所にもなりうるのですが、人間関係においては、損をしやすい性格でしょう。

相手の気持ちを想像しすぎてしまう人

他人が自分のことを、どう思っているかということを常に意識してしまう性格の人は、ストレスを感じやすいです。行動すべてにおいて、○○さんはどう思うのか? ということを考えすぎてしまい、がんじがらめになって、積極的な行動ができず、結果として疲れがたまってしまいます。

陰口や悪口でストレスを解消している人

このタイプの人は、不満を抱えている人に対しては、率直に自分の考えを告げることができません。その対処方法として、仲間内でその人の陰口や悪口を言い、ストレスを解消しようとします。ただ、ストレスの根源となっている問題はいつまでたっても解決することができないため、疲れを抱えやすいです。

ここまで、「あっ、これは自分の性格に当てはまる……」と感じた方もいるのではないでしょうか? そんな人は、人間関係に疲れやすい特徴を持っていますので、注意が必要です。

過去の失敗を振り返ろう

仕事をしていれば誰でも、人間関係において、一度や二度の失敗をしたことはあるでしょう。例えば、「誰かの陰口が人づてに本人の耳に入ってしまって気まずくなった……」などのエピソードはたくさんあるかと思います。ここでは、もう人間関係で失敗してしまうことがないように、注意するべきポイントを3つにまとめましたので、解説したいと思います。

相手のパーソナリティを指摘していないか

仕事をしていて部下が失敗した時に、注意することは大切です。それを怠ると、部下の成長に繋がりません。しかし、叱責すべき場面であったとしても、相手のパーソナリティを指摘することは絶対に止めましょう。パーソナリティを指摘するとは、ざっくり言えば、性格や人格を批判することです。言われた相手は、非常に不愉快な気持ちになり、あなたに心を開くことを止めてしまうかもしれません。感情的にならず、落ち着いて、言葉をかけることが大切です。

他人の多様性を認められているか

現在はグローバル社会であると同時に、個人の価値観を大切にする時代であるとも言えます。そのため、チームにも多種多様な価値観を持ったメンバーが集まるでしょう。その時に、相手の一面だけみて評価を下すことのないように気をつけてください。

例えば、一般的に、フィリピン人は時間にルーズです。そのため、大事な会議に遅刻したり、締め切りに間に合わなかったりすることもあります。その時に、時間にルーズという面だけで相手を評価するのではなく、そういえば「アイツは時間は守らないけれど、底抜けに明るくて、チームのムードメイカーだよな……」という風に、違う視点から評価する態度でいれば、多様性のあるチームでも、信頼関係を築くことができるでしょう。

人の話を最後まで聴けているか

相手との信頼関係を構築するために、相手の意見を「傾聴」することはとても重要です。「いつ話しても自分の話ばかりで、まったく意見を聴いてくれない……」と見なされれば、相手はあなたとのコミュニケーションを避けるようになるかもしれません。そこで、「傾聴」です。相手の話を聴く時に、「リフレクティブ・リスニング」と「アクティブ・リスニング」を用いれば、効果が高いでしょう。前者は、言葉を反復して返す手法であり、後者は積極的に傾聴する手法です。良好な人間関係を築くために、そういったスキルも身につけていければ、良いかもしれません。

人間関係で失敗しないための3つのポイントを紹介しました。上述したような態度を周りにとってしまわないように気をつけましょう。

変わるのは、あなたです

人間関係は次の4つの要素から成り立っています。

  1. 自分自身:自分をどうとらえているか
  2. 相手:相手が自分をどう受け止めているか
  3. 関係:例えば、上司と部下、先輩と後輩など
  4. 環境:職場や学校などの生活環境

ここで質問です。上述した4つの要素のうち、一番変えやすいのはどれでしょうか?

人間関係の改善を求める人が最初に考えるのは、「相手」についてです。「マネージャーがいつも雑用ばかり押し付けてくる」、「彼女はいつも感情的で、喧嘩ばかりだ」。これらのようなものを解決したいと思うと、「相手が悪い」と考えてしまいがちです。つまり、多くの人は、相手の心を変えたくなります。しかし、現実的に相手の考えや心を変えることは非常に難しいことは容易に想像できるでしょう。

次に、変わりにくいのは「環境」です。学校であれば転校、職場であれば転職をすれば、環境を変えることはできますが、そう簡単に何度もできるとは限らないことに加え、希望通りの環境に移れるかもわかりません。つまり、自分の意思で環境を変えることはできますが、その結果をコントロールすることが難しいのが、環境でしょう。

これらに比べれば、「関係」は比較的、変えやすいです。例えば、上司であれば命令に対してキッパリ「NO!」ということによって、服従関係をやめることができます。ただ、こういったことを言いにくいことは事実です。

ここまで進めてきて、お判りかと思いますが、最も変えやすいのは「自分自身」です。なぜなら、自分自身は、意思によっていくらでも変えることができるからです。アドラー心理学では、「自分の行動を決めるのは、自分自身」という「自己決定性」というものを唱えています。どんな相手で、どんな関係で、どんな環境であろうとも、まずは自分が「これからどうしたいのか」を選べるのです。そして、自分を変えることで、人間関係も間違いなく変えることができるということをしっかりと認識して、今後の行動に繋げてみてください。

「あなたの職場の人間関係を見直してみよう~悩み無用の職場環境の作り方」まとめ

本稿では、職場の人間関係を改善するために示唆となる考え方について、わかりやすく説明してきました。結局、抜本的に人間関係を変えるためには、自分を変えるしかない、ということが理解できたかと思います。まずは、周りのせいにするのは止めて、自分の考え方にメスを入れてみてはいかがでしょうか。

~関連記事~
・ストレスフリーな人間関係の構築には

それで本当に正しいの? チームメンバーの管理方法

「日々の業務に忙殺されて、メンバー管理まで手が回らないよ……」と嘆いている人は、注目してください。明日から実行でき、すぐに結果がでるメンバー管理方法について解説をしています。

まず、目標を共有しよう

タスクを行なうインセンティブを考えてみる

一般的なチームにおける役割分担は、「やるべき事を分解→タスクを作成→メンバーへ割り振り」という流れだと思います。この際、割り振るメンバーを決める判断軸は、メンバーの手が空いているかどうかです。メンバー側の作業は、お願いされたタスクを引き受け、それを完了して、リーダーに報告することです。

このやり方は、一見何の問題もないように見えますが、少し素っ気ない印象を受けませんか? その原因を解明するために、この場合における、メンバーがタスクを行なうインセンティブについて考えてみましょう。メンバーのインセンティブは2つあって、それは、お給料がもらえることと、与えられた職務を全うする責任感です。これは一見まっとうに見えますが、ここには大きな問題が一つあります。それは、これらがすべて外的な動機付けであることです。

メンバーを内的に動機付ける

人間が最も良いパフォーマンスを出せるのは、外的に動機付けられた時ではなく内的に動機付けられた時であるといわれています。つまり、上述した役割分担は間違ってはいないのですが、最適ではないのです。それでは、どのようにすればメンバーの内的な動機付けを引き出すことができるでしょうか? それは、チームが達成すべき大きな目標をメンバー全員が共通して理解・共感することです。なぜなら、それによって、メンバーが行うタスクは、単なる一つの作業ではなく、全体の大きな目標に向かうためのステップと考えることができるからです。

要するに、「自分の仕事が目標の達成に貢献している」と実感できれば、タスクに取り組むメンバーのモチベーションが上がり、高いパフォーマンスを発揮してくれます。そのため、メンバーにタスクを割り振る時には、必ず事前にチームの目標について共感・理解させてからにしてください。そして、その目標のために、メンバーが行う仕事がどのような位置付けにあるかについて、納得させた上で役割分担を行いましょう。そのことで、チームに活力が生まれます。ただ、それだけでは、役割分担を完全に上手くいかせることはできません。

次に、完全な役割分担を目指して、適材適所のチーム作りをする具体的な方法について、説明します。

適材適所のチーム作り

「自分よりうまくできる人がいるのなら、その人に頼めばいい。全部自分一人でやろうなんて思わない事だ」これは、ヘンリー・フォードの言葉です。要するに、適材適所の重要性を説いているわけですね。

一般的に役割分担は一方向性を持っています。つまり、「リーダーからメンバーへ」命ずる、ということです。前章で説明したように、メンバーがチームの目標を理解・共感していたとしても、「やりたい仕事をなかなか任せてもらえない」と感じていれば、役割分担は上手くいっているとは言えないですよね。

そこで、ボトムアップの考え方が必要になります。つまり、メンバーの意見を聞いて、彼らが希望するタスクをなるべく任せていくということです。ただ現実的には、彼らの願いを100%叶えることは不可能でしょう。なぜなら、実際にやらなくてはならないタスクと彼らの希望するタスクの需要と供給は釣り合わないからです。それでは、リーダーはどうすればよいのでしょうか? ここで、このような状況を打破する二つの方法について解説したいと思います。

一段掘り下げたヒアリング

「一段掘り下げたヒアリング」とは、どういう意味でしょうか? それは、メンバーの希望するタスクについて把握するだけではなく、もっと長期的で根本的な部分(例えば、将来のキャリアプランや身に付けたいスキルなど)を聞き出すことです。

この方法のメリットは、メンバーに割り当てるタスクの選択肢を増やす事ができる点です。例えば、IT業界において、将来はプレイングマネージャーになりたいというのであれば、要件定義など上流工程を任すことも重要である一方、開発など下流工程に関する知見も引き続き深めなければなりません。このような視点から、上流・下流のどちらのタスクも任せることが必要であり、これはタスクの選択肢を増やすことに繋がります。

メンバーの能力を具体的に知る

メンバーの能力を具体的に知るためには、常日頃から、メンバーの仕事を注意深く観察していなければいけません。自分の仕事をこなすだけではなく、例えば、メンバーに日報を書かせて1日の仕事を具体的に報告させたり、ちょっとしたスキマ時間にメンバーのタスク状況について会話することなどが考えられます。そうやって、メンバーを観察してその能力を具体的に知ることによって、メンバー自身も気付いていないような長所を発見できるでしょう。そして、その長所を活かすようなタスクを任せることで、メンバーの能力の最大化を図ると同時に、彼らも納得感を持ってタスクに取り組んでくれるようになります。

>>「最高のチームを作るための5つのポイント」を読む

適材適所のチーム作りを実現するために重要な二つの方法について説明しました。次は、メンバーの権限管理手法について解説したいと思います。

RACIで権限管理

適材適所のチーム作りを行なうことができても、メンバーの権限について管理されていないと、責任の所在が不明確になることもあります。そうすると、予期せぬトラブルが起こりうるので、権限管理をしっかり行なうことが非常に大切になります。ここでは「RACI」というチャートを用いて、権限管理手法について、説明します。

RACIの「R」、「A」、「C」、「I」は、それぞれに次のような意味があります。

R: Responsible 該当する業務の遂行に責任を持つ実行責任者
A: Accountable 該当業務の結果に責任を持つ説明責任者
C: Consulted 相談を受け、意見を求められる複数人や組織
I: Informed 進捗について最新の情報を受け取る人や組織

これらは、利害関係者のそれぞれのプロセスや活動への関わり方を表現するために利用されます。

ただ、そう言われてもいまひとつ実感が湧かないですよね? 私も最初は混乱しました。そこでオススメすることは、具体例を参考にしてみることです。ここでは、レストラン経営を例にして、RACIをわかりやすく解説します。

支配人 料理長 ウェイター/ウェイトレス
注文を受ける A C / I R
料理を作る A R I
料理を配る A C / I R
会計をする A / R R
食器を洗う A R R

この例では、レストランの業務を縦軸に、運営する人たちを横軸にしました。すべての業務に「R」がつけられている点に注目してください。これによって、レストランを運営するために必要な業務が網羅されて、責任の所在が明確になります。あらゆる業務に「A」がついている支配人は、すべての活動の結果に責任を持ちます。そのため、料理長・ウェイター・ウェイトレスに業務を遂行できる環境を整備するだけではなく、指導や指示を行なって、適切に業務を遂行させる義務と権限を持たなければなりません。RACIの注意点は、「A」はただ1人に割り当てるということです。最終的な説明責任者がいないことも、複数いることも、組織に混乱を招くからです。

RACIは、汎用性の高い、役割分担を明確にするツールです。あなたのチームにも取り入れてみてはいかがですか?

「それで本当に正しいの? チームのメンバー管理の方法」についてのまとめ

本稿では、チームメンバーを管理するために必要な要素について、わかりやすく説明しました。最後に紹介した「RACI」は利便性の高いツールですので、ぜひ参考にしてみてください。

IT活用でプロジェクト管理を最適化する方法~クリティカル・チェーンとは?

プロジェクトマネージャーはプロジェクトを管理することに長けているはずです。そして、メンバーは多くのプロジェクトを経験しています。にもかかわらず、経験を活かせずに失敗するプロジェクトが多く発生するのはなぜなのでしょうか? 私たちは経験から何も学べていないのでしょうか?
今日は少し目線を変えて、プロジェクト管理について考えてみます。

プロジェクト管理を最適化するという考え方

プロジェクトはなぜ遅れてしまうのか

最近では、プロジェクト管理という言葉もあちこちで聞き慣れたものになりました。PMBOK(Project Management Body of Knowledge)で定義された考え方を用いて管理しているプロジェクトも多いでしょう。プロジェクトは「納期遵守してこそ成功」です。ですので、プロジェクトが後半に差し掛かったときに「納期に間に合わない!」ともなると、ヘルプ要員を投入したり、全員が残業や休日出勤をしたりして、少しでも多く工数をかけてなんとか間に合わせようとする、ということも少なくありません。

そのため、なんとか納期内に納品できても、要員の疲弊や品質の問題が出現し、プロジェクトとしては計画通りの利益があげられなかったということも多いでしょう。もちろん、プロジェクト計画書を作るときにはコストやリスクのことも考えているはずです。

特に、IT業界では、納品間際にとにかく工数を投入してなんとか納品するということを繰り返し、いつも疲弊しているということをよく耳にします。きちんと見積もりをし、計画書を作り、最初は計画通りに進んでいるはずなのに、なぜうまくいかなくなるのでしょうか?

クリティカル・パスを意識する

プロジェクトでの作業順序を考えるときにはもちろん、「作業工程の従属関係」を考慮しますよね。そして、その作業を誰がするのか、ということから「リソースによる作業の従属関係」を考慮します。生産工程や作業の手順を表したネットワーク図の中で、最も長く作業時間がかかるルートを「クリティカル・パス」と呼びます。ただし、クリティカル・パスはどちらかというと作業工程上の依存関係だけを考慮に入れているため、リソース(その作業ができる要員や設備)が限られている場合などにボトルネックが発生してしまいます。

そこで、「作業工程の従属関係」と「リソースによる作業の従属関係」の考慮をし、納期遵守だけでなく工期短縮も目指す考え方があります。この考え方を、「クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント」といいます。これは、制約理論で有名なEliyahu Moshe Goldratt氏が開発したものです。

それでは、クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントとはどういうものなのでしょうか。

クリティカルチェーン・プロジェクトマネジメント(CCPM)とは

作業時間は伸びていく

あなたは「学生症候群」や「パーキンソンの法則」という言葉をご存知ですか? つい「期限までまだ間に合う」と考えてしまうことを、夏休みの宿題などで「まだ休みは長いから」とすぐに着手しない学生になぞらえて「学生症候群」といいます。「パーキンソンの法則(第1法則)」は、「仕事の量は完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」という法則です。つまり、予定より早くできあがっても、「もっとキレイな資料にしよう」「この機能もあると便利だから追加しておこう」と与えられた時間いっぱいまで作業してしまうということです。

また、上司やリーダーに作業を依頼されたとき、1日で十分だと思っても「2日かかります」というように時間を多めに見積もって伝えることはありませんか? ほかにも「他の作業がある」「急ぎの作業が入るかもしれない」など、いろいろな理由で時間を多く見積もることはよくあります。

このように、作業を依頼されたときに余裕をみて作業時間を取り、仕事にはギリギリまで着手せずに与えられた時間を目いっぱい使うとするとどうなるでしょう? プロジェクトの時間がいくらあっても足りません。

CCPMで効率的に工程を管理する

CCPMは、各タスクや予算にバッファは持たせずに、プロジェクト全体に対してプロジェクト・バッファという形で余裕を設ける管理手法です。

各タスクにバッファを持たせない代わりに、タスクが計画通りの工数で終わらない場合はプロジェクト・バッファを消費して作業を完了させます。そして、プロジェクトマネージャーが、どのくらいプロジェクト・バッファが消費されているのかに注視して管理していきます。

しかし、計画どおりの工数で終わらないすべてのタスクに対して、ただ単にプロジェクト・バッファを割り当てて作業していくだけではこれまでとあまり変わりません。

プロジェクト全体では、クリティカルパスに関わるタスクの方がより重要であり、プロジェクト全体の遅れに直結します。また、割り込み作業や作業の準備不足のため、途中で作業が継続できなくなることもあります。これらのようなケースを、プロジェクトマネージャーがすべて判断することが難しい場合もあるでしょう。ではどうすればいいのでしょうか?

プロジェクト管理をITに依存することで劇的な効果が

ERPを活用する

そこで、プロジェクトマネージャーなどの人の判断に委ねず、ITに依存することが考えられます。

先に紹介したCCPMをプロジェクトに用いて、劇的に効果を上げた事例として有名なのは、大和ハウス工業株式会社と株式会社富士通関西システムズ(当時)のERP(Enterprise Resource Planning)パッケージ導入プロジェクトが挙げられます。

このプロジェクトでは、株式会社富士通システムズ・ウエストが販売しているCCPM支援サービスの「CONCERTO(コンチェルト)」を用いてプロジェクトを成功させています。CONCERTOでは、プロジェクト・バッファの消費率はどのくらいか、どのタスクを優先すべきか、ということを明示してくれます。プロジェクトマネージャーはそれに従い、優先度が低いタスクを止めてでも優先度の高いタスクに注力させる、という判断をCONCERTOに委ねます。こうすることで判断ミスを防いで、優先すべきタスクが明確にすることで、メンバーの「自分のところは助けてくれない」という不公平感を排除することもできます。

大和ハウス工業株式会社と株式会社富士通関西システムズのプロジェクトは、当初の計画から遅延することなく、25パーセントの工期短縮を実現し、産業界でも注目を集めました。

「IT活用のプロジェクト管理~クリティカル・チェーン、考えていますか?」についてのまとめ

CCPMは、PMBOK(Project Management Body of Knowledge)と一線を画した別の考え方、と思っている人も多いかもしれませんが、決してPMBOKを否定しているものではありません。プロジェクト管理の上でベースとなるのはPMBOKの考え方でしょう。その上で、どのようにプロジェクトを管理・運営していくのかということを考えたときに、CCPMも選択肢に入ることもあるかもしれません。

プロジェクトを成功させるため、画一的な管理方法ではなく、柔軟な考え方をもち、ベストな管理方法を選択できるようになるといいですね。多くのプロジェクトが成功裏に終わりますように。