HRテックとは? 右肩上がりで成長中の注目業界を一から解説!

近年、ITの進化によって、これまでヒトの手を煩わせていた業務が自動化されています。「シゴトのコトゴト – 20代のための注目業界図鑑 -」、第2回のテーマはHRテック業界です。

ITがさまざまな領域の仕事を最適化する時代において、人事の仕事(HR)も進化を遂げようとしています。業務効率化や労働人口不足などの解決策として注目を集めるHRテックは、実際にどんなことができるのでしょうか。

HRテックという幅広い分野を含む業界において、広まりを見せるサービスと、新しい HRテック業界で活躍するために必要な要素について説明します。「人事の仕事に携わりたい」「これから発展していく分野で成長したい」という方はぜひ参考にしてみてください。

1. 今注目を集める HRテックとは

1.1 そもそもHRってなに?

HRTechとは

HRとはHuman Resourcesの略で、日本語に訳す際には「人事」とされることが一般的です。職種としては人事・採用担当・労務などのポジションがイメージしやすいでしょう。また、人事系サービスや人材系サービスを提供する企業をくくって「HR業界」と呼びます。

HRの業務領域は人材採用・教育・労務管理などさまざまです。人が組織で働くための入り口作りから、活躍するための環境整備まで、幅広い分野を含みます。そのためHR業界の大手企業はひとつの分野にとどまらず、多角的な事業展開を行っている場合がほとんどです。

たとえば業界大手のリクルートグループやマイナビグループには、人材採用や教育・評価など、それぞれのサービスを提供する子会社があります。リクルートグループには「リクルート●●」と呼ばれるグループ会社が数多くあることを知っている人も少なくないでしょう。

一方で歴史の浅いベンチャー企業はひとつの領域に特化してHR業界でスタートアップし、提供サービスを拡大する形で成長と生き残りを図ってきました。

1.2 HRと HRテックの違い

ひとつの組織におけるHRと HRテックの違いを理解するための良い例に、映画『マネーボール』があります。映画で描かれるのは、セイバーメトリクスという新しい考え方を基に、選手起用の場面で個人の印象に基づく判断が見直され、人材の評価と配置が最適化されていく過程です。

『マネーボール』はメジャーリーグにおけるオークランド・アスレチックスについての実話を元に作られています。同球団は所属する選手の総年俸額がニューヨーク・ヤンキースの1/3という低予算球団として広く知られていました。

2002年、このようなアスレチックスが選手起用にセイバーメトリクスの考え方を取り入れ、アメリカ国内全30球団で最高の勝率・最多の勝利数を記録。同球団の躍進はアメリカ球界に大きな衝撃を与えたのでした。

野球におけるセイバーメトリクスが意味するのは、華やかな印象よりもデータを重視すべきというものです。代表的な考え方として「ホームランやヒットを多く打つイメージがある選手」という不確かな印象よりも、「四死球を含めた出塁率」というデータのほうが重要という主張があります。

これまで人事評価をはじめとするHR(人事の仕事)は、特定個人(上司やマネージャー)の印象によって行われてきました。多くの組織(球団)が本来重視すべきデータよりも、不確かな情報を重視するという状況は、一般企業でも数多くあてはまるものでしょう。

一方で、 HRテックは野球の選手起用におけるセイバーメトリクスのように、機械的に処理したデータを有効活用することから生まれた新しいテクノロジーです。AIやビッグデータによって、人事評価・人材管理の場面で不透明さや不確かさが排除されようとしています。

マネーボール

1.3 ビッグデータとAIは、HRをどう変えるか?

HRテックという新しいテクノロジーに期待されているのは、機械やデータが人間に代わり、人間や情報を評価することです。主観や印象に左右されない判断という、人間同士では100%にできなかった機能を、AIやビッグデータが果たすことに関心が高まっています。

HRテックが社会に浸透すれば、企業は業務効率化や人材マッチング・配置の適正化、定着・活躍の促進などの効果を得られます。従来のやり方を変えることは簡単ではありませんが、いくつかの企業がすでに HRテックサービスを導入し、結果を出していることも事実です。

たとえばソフトバンクグループはエントリーシートの判別をAIに委ね、書類選考の時間が75%軽減されることを見込んでいます。また、日立製作所は HRテックを活用し、社員の人材タイプを分別。その結果をもとに、新卒採用で求める人材像を明確化しました。

さらに海外では英マクドナルドがHRテックを活用し、採用活動を効率化した事例が有名です。英マクドナルドは採用活動において、1日2,000人の応募者に対して、人事担当者が膨大な時間をかけて対応していました。

この状況を改善すべく、面接前にテストの実施とAIによる結果分析を行い、面接すべき応募者の数を35%軽減することに成功したのです。また、1次面接後の工程でも採用効率もあがり、最終的に人事担当者1人あたりの要対応者数を1/3まで圧縮することができました。

1.4 HRテックが広まりを見せた要因

近年HRテックが急速に広まっているのには理由があります。1つはリモートワークやパラレルキャリアの普及によって、人事の仕事が特定の担当者や場所、端末に縛られない形へと変化してきているからです。

属人的だった人事の仕事が、ヒト・場所・端末に縛られないクラウドへと移行していることが HRテックの浸透を後押ししています。社会で多様な働き方が受け入れるのにあわせて、今後もHRテックを用いた機械的で公正な人事評価はますます広まりを見せることでしょう。

また、人材不足を解決する方法としてもHRテックは注目を集めています。たとえば、近年不動産業界では、社員の高年齢化が進み、若返りが必要とされてきました。一方で日々の仕事で多忙ななか、新卒社員をはじめとする若手を育成するのが難しいという実情もあります。

そのような不動産業界の課題解決に注目されているのが、人材育成に関わる
HRテックです。たとえば、「Schoo」や「SAKU-SAKU Testing」などのeラーニングは若手社員が業務に関わる専門知識やビジネスマナーを自ら習得できるサービスとして期待されています。

さらに、「HEKIRA」というVR教育サービスによって、トップセールスの商談をヘッドマウントディスプレイを使って体感・習得できる教材も企画されています。これにより、これまで難しいとされてきたコミュニケーションスキルの学習が簡略化される見込みです。

実は、この方法はすでに米ウォルマートや米ケンタッキー・フライド・チキンで導入されています。米ウォルマートでは指導者の人的コストの削減と知識定着率の向上、米ケンタッキー・フライド・チキンでは人的コストの削減と指導時間の軽減という効果を残しています。

2. HRテック業界の市場規模

2.1 これまでの成長とこれからの展望

このような HRテックの成長について、ミック経済研究所が2019年1月に「 HRテッククラウド市場の実態と展望 2018年度版」という調査結果を発表しました。

調査結果によると、2017年度から2018年度にかけて HRテッククラウド市場は前年比139.7%の成長を記録。さらに2018年度から2019年度にかけてはこの伸びが141.5%となることが予測されています。


図:HRテッククラウド 4分野市場規模推移

また、2018年度に200億円をこえた市場規模は今後さらに成長を続け、2023年には1,000億円規模になる見通しです。


図: HRテッククラウド市場の中期予測

2.2 既存企業による HRテックと HRテックベンチャー

HRテック業界でサービスを展開する企業には、大きくわけて2つの企業属性があります。1つは既存企業から派生したもの、もう1つはスタートアップベンチャーとして HRテック業界に参入したものです。

前者は多くの場合、既存求人媒体や人事系・労務系サービスに紐づくシステムとて一定の知名度と信頼を得ています。一方でベンチャーとして HRテックに参入した企業は認知度で劣る分、よりユーザーにとって使いやすい点や低コストをウリにしているものがあります。

近年 HRテック業界が大きな盛り上がりを見せているのは、既存企業系サービスと新規参入サービスが同時に発展しているからなのです。

2.3 幅広い領域を含む HRテック業界

また、一言にHRといってもさまざまな領域が含まれています。なかでも多くの企業に選ばれているのは「人事担当者をラクにするもの(採用・育成・労務管理)」と、「従業員1人ひとりが変化を実感できるもの(勤怠管理・経費精算管理)」です。

HRTech業界の領域

「人事担当者をラクにするもの」とは、これまで人事担当者が手間を取られていた作業をHRテックによって簡略化し、業務効率を向上させるものです。これにより人事担当者は採用や労務管理などのルーティン業務から解放され、企画立案やクリエイティブ系のタスクに力を注げるようになります。

「従業員1人ひとりが変化を実感できるもの」とは、これまで多くの社会人が面倒に感じていた勤怠・経費精算に関わる申請や手続きの負担をなくすものです。人事担当者だけでなく、全従業員にメリットがあるため、小さな変化でも大きな価値のあるものとなります。

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