アドテク業界研究~プログラミングスキルを生かして、イノベーションに関わる働き方ができる注目業界

働き方改革が叫ばれ、世の中にはこれまでになかったジャンルの仕事がたくさん生まれています。また、これまであった業界でも働き方、働く人のライフスタイルが大きく変わっている業界もあります。そこで、旬な業界、注目される業界を中心に、業界の成り立ちやそこで働く人たちのライフスタイルに迫ります。シゴトのコトゴト。第1回はアドテク業界についてです。

そもそもアドテクって何?

そもそも、アドテクとは「アドバタイズメント テクノロジー(Advertising Technology)」の略称です。直訳すれば「広告技術」になります。もっとも、広告代理店やさまざまな広告媒体が日々培ってきたノウハウを指すのかと言えばそうではありません。

できるだけ正確に言おうとすれば「インターネット上の広告で、その広告効果を最大限に高める技術(あるいはプログラミングを含む製品)」になります。広告媒体としてはウェブ広告に限定されることに注意が必要です。

テレビ、ラジオ、雑誌や新聞などのリアル媒体を持つ広告が「購入者(あるいは視聴者)に対してざっくりと広告を提示する」ことと比べれば、テクノロジーを駆使して「その情報を欲している人にダイレクトに広告を届ける」ことになります。そのため、媒体(Webメディア)、クライアント(広告の出し手側)、広告の受取り手のすべてにとって有用なものになることができるという特徴があります。

インターネット、特にモバイルツールが一般化し、個人がそれぞれのインターフェイス上で広告と接する環境ができつつあることにともなって発展したジャンルと言えます。

アドテク業界の市場規模は?

アドテクの業界像をつかむ上で、市場規模やプレイヤーをつかむことは重要です。もっとも、さまざまなプラットフォームが登場し、それを開発するプレイヤーも数多く誕生している市場ですから、全体像を把握するのはなかなか難しいものがあります。

そもそもインターネット広告はどの程度利用されているのか?

日本国内で見た場合、総広告費(テレビや雑誌などに出された広告金額の総合計)は6兆5300億円とされています(2018年電通調べ)。ここ数年続く景気の良さから、広告出稿費用は増加傾向にあります。

そのなかでインターネット広告の占める割合は?

では、総広告費のなかでインターネット広告はどの程度の金額かというと、なんと1兆1000億円規模。6分の1もの割合をしめています(2018年電通調べ)。比率でみれば、地上波テレビが27.3%に対して、インターネット広告は26.9%。ほとんど肩を並べています。これまで広告の王様として君臨していたテレビにインターネットがとってかわる瞬間がすぐそこまで来ているのです。

アドテクはインターネット広告の周辺に位置する業界

もっとも、「アドテク」そのものは純粋な広告メディアではありません。むしろ “インターネット広告の「枠(広告を出すためのスペース。例えばインターネット広告ならバナーなど)」を効率的に活用するためのシステム開発” に関連したプレイヤーが活躍する業界です。制作・開発といったジャンルになるとも言えます。インターネット広告は他の広告メディアとは異なり、効果をダイレクトに確認できるのが特徴です。そのため、クライアントが効果を体感しやすいことから市場規模も急激に拡大しています。2012年には1000億円程度であったのがが、ここ数年で急拡大し2017年には3000億円規模にまで到達しています(サイバーエージェント、シードプランニング調べ)。

インターネット上の広告は、単純なWebページから動画配信、SNSの活用など、そのスタイルが大きく変化していっています。そのため、効率化のシステム開発もどんどん新しいものが誕生するという循環が起こっています。というわけで、今後も市場規模は拡大すると予想されます。

アドテク業界におけるプレーヤー像

これまでまとめたように、アドテクとは「インターネット広告」の「最適化(別の言い方をすれば広告効果を最大限引き出す)技術」です。インターネット上で、広告主が広告配信しようとしてから、実際にWebで広告が配信されるまでには、数多くのサービスが関わります。それを考えれば、プレイヤーはその立場によってさまざまなタイプが存在します。Web上に独自のメディア(厳密には何らかのプラットフォーム)を持っていると言えるグーグルや、ヤフー、あるいはアマゾンなども挙げられます。その一方で、「技術」にフォーカスし開発だけを行なう企業もあります。

さまざまなプレイヤーが複雑に関わりあう業界環境のため、プレイヤー同士の関係性をまとめた図が「カオス(混沌)マップ」と呼ばれるほどです。
(例えば、このようなもの

今回のレポートでは、カオスマップの中から、アドテク業界において「役割」の面から重要なプレイヤージャンルをまとめて紹介することにします。

前提として、インターネット上の広告について

  • A)広告メディアとしてのインターネットが存在し、
  • (B)広告主としてインターネットに広告を出す企業がいて、
  • (C)その広告をインターフェイス(PCまたはモバイルツール)経由で受け取るユーザーがいること

を把握していなければなりません。それぞれの立場にとって「広告効果を最大限引き出す技術」が違ってくるからです。

(A)広告メディアとしてのインターネットに関連したアドテク

「アドネットワーク」

さまざまなウェブサイトの広告枠を一括で管理し、インターネット広告の配信管理を行うシステムを指します。 《プレイヤー像》 基本的に何かのポータルサイトを運営していたり、そもそも(インターネット広告の)代理店を運営している企業が主役になります。例えば、ヤフーの運営する「Yahoo!ディスプレイアドネットワーク」であったり、サイバーコミュニケーションズが運営する「ADJUST」であったりです。

「アドエクスチェンジ」/「SSP(サプライサイドプラットフォーム)」

アドネットワークが複数あることを前提として、それらをさらに全体として管理し、広告枠を自由に売買できる仕組みを指します。 一括してさまざまなアドネットワークを管理する場面で、メディア側の収益を最大化させるためのサービスとなります。アドネットワークを前提としてSSPが効果を高める関係にあり、切っても切れない関係とも言えます。したがって、結局のところ同じことを意味すると考えてかまわないかもしれません。 《プレイヤー像》 ジーニーが運営する「Geniee SSP」や、マイクロアドが運営する「AdFunnel」、ユナイテッドが運営する「adstir」などが挙げられます。

(B)広告主側のアドテク

「リターゲティング」

行動ターゲティング広告のひとつに分類されます。検索エンジンなどを経由して、あるウェブサイトに訪れたユーザーについて、その後の行動を追跡・分析して、再度広告を表示させる仕組みを指します。 《プレイヤー像》 基本的に、ポータルサイトの運営者がその仕組みを持っているという関係が成り立ちます。したがって、グーグル・ディスプレイ・ネットワークや、Yahoo!・ディスプレイアド・ネットワークが代表的なプレイヤーと言えます。

「DSP(デマンドサイドプラットフォーム)」

広告主の立場から、広告効果の最適化を目指すためのプラットフォームを指します。 インターネット広告の広告枠の買い付け、デザインや手法の分析などを行い、最適な広告を配信させる仕組みです。前述のSSPと対になる関係で、基本的にSSPとDSPはセットで運用されていると言えます。したがって、プレイヤー像もSSPと同じと考えてよいと思います。 もっと具体的に仕組みを説明するためにひとつ例を挙げましょう。オーディエンスターゲティングというものがあります。個人を特定しない属性情報の集まりであるオーディエンスを踏まえて、位置情報や行動履歴(インターネット上の)をもとにカテゴライズを行ない、そのカテゴライズ化されたユーザーに対して広告配信を行なえるように広告入札枠をアレンジする仕組みです。そして、これに対してリアルタイムで入札できる仕組みをRTB(リアルタイム・ビッティング)と呼びます。これもDSPの機能のひとつです。簡単に言えば、システムが見込み客っぽいユーザー層を設定して、勝手に広告を表示させるというものです。

(C)ユーザーに関連したアドテク

「DMP(データマネジメントプラットフォーム)」

読んだ通り、インターネット上に蓄積されているさまざまな情報を管理するためのプラットフォームです。 例えば、メールフォームから取得したデータやWebサイトにおける行動履歴など多様な情報をセグメント化し、効果的な広告配信を行うことに活用されたりなどします。 さらに詳しく分類すると、「オープン型」と「プライベート型」があります。オープン型はさまざまな企業が持っている(個人として特定しないレベルでの)属性情報を蓄積・管理するプラットフォームです。他方、「プライベート型」は自社が持っている購買履歴や顧客管理データベース上の情報を用いたプラットフォームになります。最近では、「プライベート型」DMPに類するものを「CDP(カスタマーデータプラットフォーム)」とカテゴライズして、別物として検討する考えも広がってきています。 《プレイヤー像》 例えば、サイバーエージェントが運営する「RightSegment」や日本オラクルの「Oracle BlueKai」、ブレインパッドの「Rtoaster」やPLAN-Bの「Juicer」などさまざまなものがあります。どのようなオーディエンスデータ(基礎となる属性情報)を使うのか、その数はどの程度か、ユーザビリティはどうかなどで傾向が違ってくると言えます。

アドテク業界で働く人々のスタイルや年収イメージ

これまでまとめたように、アドテク業界というのは「インターネット広告の効果を最大限引き出すためのシステム開発」を行なうことを目的にしています。

もちろん、ここには運用も含まれます。そのため、この世界で働こうと考えた場合、やはりプログラミングの技術であったり、インターネット広告の運用にまつわるスキルを持っていることが望ましいことになります。
(もっとも、自らがスタートアップでなにがしかのアドテクノロジー開発を行なう、ということであれば別だけれども、それは日本国内では大手企業に所属してプロジェクトに携わることで実現するものだと考えられます。例えば、サイバーエージェントなり、Yahoo! JAPANなどで。)

結局のところ、従来から存在するプログラミング関連の職業、あるいはWebサイト(Webアプリ)運用で見られるワークスタイルなどが、アドテク業界でも基本的には当てはまるということになります。率直に言って、タフな業界です。開発スピードは早く、求められる成果が高いのですから。

プログラミングの技術で活躍しようとすれば、企業に属するとなると、年収ベースでは400万円〜というのがひとつの目安ではないでしょうか。当然プロジェクトマネジメントを行なえるスキルがあれば、大手(ポータルサイト運営会社に紐づく企業などで)では1000万円前後の年収も夢ではないでしょう。

一方、運用側の場合、プログラミング分野よりもよりマネジメント能力が求められることになります。こちらはスキルと年収がやや合致しない傾向が強いと言えます。むしろ、所属する企業の大小によって年収イメージが変わってくると理解してもいいのではないでしょうか。寄らば大樹の陰、という切実な現実があります。

ただ、アドテク業界に関わっていくことを考えれば「無理して企業に所属しない」という選択肢もありえます。つまり、フリーランスとして仕事を請けていくというスタイルです。このようなフリーランスの場合、開発案件が完成するまでの間、月極めの固定報酬というスタイルがあったり、時給制に似た業務委託であったりと千差万別です。

アドテク業界での必要技術

企業に所属するにしろ、フリーランスで活躍するにしろ、アドテク業界では「必要だと思われる技術」の傾向がわかりやすいと言えます。

大量なデータを処理する、分散処理技術として「Hadoop」やAWS関連「Redshift」などの経験があれば強みになるでしょう。また、高速トランザクション処理もシステム上必要な性質ですからKVS(Key-Value Store)などの知識は歓迎されます。また、アドテク関連のシステムは基本的に大量データ処理を前提とするため、クラウドサーバの技術が必須と言えます。したがって、クラウドサーバ(AWSなど)関連の知識や技術、経験も歓迎されます。

まとめ

インターネット広告は現在、さまざまなタイプが登場しています。また、モバイルツール向けアプリ内での広告など、純粋なインターネット広告とは異なるジャンルも登場。“広告媒体”あるいは“広告手法”として発展性のあるジャンルと言えます。したがって、市場規模は拡大傾向です。となれば、アドテク業界もチャンスが多いはず。さまざまなアイデアが具体化されていくダイナミズムもあります。自らの知識や経験を活かして、世界をアッと驚かせるテクノロジー開発に携われる機会に巡り会えるかもしれません。腕におぼえあり! という方はチャレンジしてみるのもアリではないでしょうか。

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