よいチームマネジメントのための目標の定め方。常に「チーム全体」で目標を達成するために

チームマネジメントを行なう上で、目標設定は欠かせません。しかし、現実的でない目標設定や、独り歩きしてしまった目標では意味がありません。目標に対して達成感を感じられないと、プロジェクトメンバーはモチベーションの維持が難しくなってしまい、ひいては業務遂行に悪影響を及ぼしかねません。
そこで今回は、システム開発における目標の定め方について見ていきましょう。

事例紹介〜ある大規模プロジェクトの場合

某製造業をクライアントとし、現行のレガシーシステムからオープン系システムへとシステム再構築。それは、数億円規模の大規模プロジェクトを行なった時のことです。レガシーシステムの開発言語が古く、その言語に関する技術有識者が少ない、かつ新システムで使用するパッケージ製品の導入経験者がいないことから、技術面の専門知識が求められるプロジェクトにもかかわらず、技術面のスキル不足が最大の問題点として浮上しました。

経過あるいは原因〜技術力の欠如が影響を及ぼす

このプロジェクトは技術力がキーとなりますが、その要件に見合うスキルをもつメンバーが少ないという問題がありました。

そのため、上流工程において見積や設計を行なう上で、十分な品質を担保できる状況ではありませんでした。そのことが影響し、開発工程に進むにつれ技術面のキャッチアップがボトルネックとなり、その結果、各チームの残業時間が増え、マスタースケジュールに対し進捗遅延が広がっていきました。

どのような結果に至ったか、どのような方法を取ったか〜ナレッジの共有が不可欠

チーム体制を見直し、各チームに技術に強いメンバーを分散して配置し直しました。技術に強いメンバーを中心に、チームの垣根を超えて勉強会やナレッジトランスファーを行ない、全体の底上げを図りました。

また、毎日朝夕にチーム内で進捗報告を実施し、WBSを確認してチームの状況を日々共有しました。遅延が発生しそうな場合は、遅れを最小限にとどめるよう、リーダーや他のメンバーが随時フォローに入るなどしてキャッチアップを行ないました。

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知識化をする〜常に「チーム全体で」目標を達成することを考える

この事例から得られる、チームの目標設定のポイントは以下の通りです。

スケジュールをチーム全体で共有し、目標を具体化・見える化する

目標を達成するために、チームとしての生産性を考えることが重要となります。そのため、マスタースケジュールやWBSをチーム全体で共有し、そこから各工程で誰がいつまでに何をどれだけ終わらせる必要があるか、具体的な目標をブレイクダウンして設定することが必要となります。

ここでのポイントは、スケジュールやWBSをリーダーだけではなく、チーム全体で共有することです。リーダーだけがスケジュールを頭に入れて、チームで残業をしてでもマスタースケジュールの中に収まれば何とかなる、と考える人もいるかもしれません。

しかし、開発案件の場合、無理やり納期に間に合わせようにすると品質が担保されません。その結果、下流工程でのバグ対応や手戻りに多大な時間を要し、全体スケジュールに大きく影響を及ぼすことも少なくありません。結果として遅延を免れない事態に陥ることがしばしば発生します。

一人ひとりがスケジュールに間に合わせることが最大の目標ではなく、「チームとしてスケジュールに間に合わせるためには各自が何をすればよいのか」というポイントから目標を設定し、チーム全体で共通認識を持たせることが重要です。

また無理のないスケジュールを立てることも大事なポイントです。効率の良いスケジュールの立て方を詳しく知りたい、学びたいという方は下の記事を参考にしてみてください。

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チーム全体でベストパフォーマンスを出せる目標を設定する

今回のように高度なスキルが求められるプロジェクトにおいて、技術面に特化したメンバーの貢献度は非常に大きいものです。そのため、個々に目標を設定する際に、技術者はチームへのナレッジトランスファー等もしっかり評価される目標設計が必要です。
また、スキルに乏しいメンバーは技術のキャッチアップはもちろんのこと、例えばドキュメント整備など技術面以外でチームに貢献できるスキルが評価される目標設計を考えることが必要になります。

メンバーに均等に作業を割り振ることは一見フェアに見えますが、チーム全体のパフォーマンスを考えた時に効率的ではありません。個人のスキルセットを正しくチームに反映できないと、工数や品質に大きく影響を及ぼすリスクがあります。

品質を高める意識をプロジェクト全体で徹底する

プロジェクトの上流工程で十分な設計・品質が担保できないと、下流工程に進むにつれて進遅延や手戻りが増え、プロジェクト全体へ影響を及ぼします。初期品質が悪いと、テスト段階においてバグや手戻りが多発し、これをカバーするために周辺機能の含めた見直しが必要となり、スケジュールがどんどん圧迫されてドキュメント修正まで追いつかないといった状況に追い込まれることもあります。

そのため、スムーズなプロジェクト運営のためには、一人ひとりが初期品質を高める意識を持つことが重要なカギとなります。

例えば、テスト工程におけるテスト密度(プログラム量に対して、どれだけのテスト項目を作成すれば適正であるかという指標値)やバグ密度(プログラム量に対して、どれだけのバグが検出されれば適正であるかという指標値)の基準値を設け、プロジェクト全体で共有し、定量的な目標設定を行うことが重要です。

社会性と広がり〜目標を達成するために必要なマインド

個々の目標だけではなく、チーム全体でひとつの目標を達成するためには、共通認識と高いマインドが必要です。メンバー一人ひとりにはそれぞれの考え方や価値観があるため、プロジェクトにおいて目標を達成することは決して容易ではありません。

しかし、目に見える形で具体的かつ現実的な目標を立て、それらをひとつずつ達成していくことで、プロジェクトのゴールはおのずと見えてくるのではないでしょうか。

よいチームマネジメントのための目標の定め方。常に「チーム全体」で目標を達成するためにのまとめ

プロジェクトを成功に導くために、正確な目標設定をすることは不可欠です。また、個人のスキルはもちろん重要ですが、それ以上にチームとしてどうしたらベストパフォーマンスを発揮できるかを常に念頭に置くことが重要です。そのための目標設定を意識し、目標に向かって実行することを心がけましょう。

またよりよいチームワーク作りをしたいと考えている方はあわせて下記の記事もご覧ください。

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